新潮文庫 - 切ない作品一覧

  • BUTTER(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,045円 (税込)
    男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)
  • しゃばけ(新潮文庫)
    4.0
    1~22巻649~737円 (税込)
    江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。(解説・小谷真理)
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編―(新潮文庫)
    完結
    4.1
    全6巻693~825円 (税込)
    1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
  • ねじまき鳥クロニクル(第1部~第3部)合本版(新潮文庫)
    4.0
    1巻2,970円 (税込)
    「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より) ※当電子版は新潮文庫版『ねじまき鳥クロニクル』第1部~第3部の全3巻をまとめた合本版です。
  • 眼の壁
    3.9
    白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に背負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者・田村の応援を得て、必死に事件の真相を追う。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織に立ち向かうが、手がかりは次々に消え去ってしまう…。複雑怪奇な社会の裏に潜む悪の実体をあばき、鬼気迫る追求が展開するベストセラー。

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  • ゴールデンスランバー(新潮文庫)
    4.4
    衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(解説・木村俊介)
  • 殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―
    4.6
    5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか? なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか? 執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。
  • 赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―
    4.4
    1~10巻781~990円 (税込)
    ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく――。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。
  • カラマーゾフの兄弟(上)
    4.3
    1~3巻1,045~1,155円 (税込)
    物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)
    4.1
    中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
  • 火山のふもとで(新潮文庫)
    4.0
    ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間の「夏の家」へ事務所を移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る鮮烈なデビュー作。
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(新潮文庫)
    完結
    4.2
    全2巻825~935円 (税込)
    高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
  • ツナグ 想い人の心得(新潮文庫)
    4.5
    僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(解説・深木章子)
  • イノセント・デイズ(新潮文庫)
    4.2
    田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
  • 夜のピクニック
    4.4
    1巻880円 (税込)
    高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
  • 峠(上中下) 合本版
    4.3
    幕末、雪深い越後長岡藩から一人の藩士が江戸に出府した。藩の持て余し者でもあったこの男、河井継之助は、いくつかの塾に学びながら、詩文、洋学など単なる知識を得るための勉学は一切せず、歴史や世界の動きなど、ものごとの原理を知ろうと努めるのであった。さらに、江戸の学問にあきたらなくなった河井は、備中松山の藩財政を立て直した山田方谷のもとへ留学するため旅に出る。 ※当電子版は『峠』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
  • 苦役列車(新潮文庫)
    4.1
    劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
  • 美しすぎた薔薇(新潮文庫)
    4.2
    竜守令祥(たつもりれいしょう)は、転職先で教育係となる工藤三鷹(くどうみたか)との衝撃の出会いを果たす。その容姿、能力、所持品までもが憧れであり、全てを真似る日々が始まる。だが、その「執着」は殺人への幕開けだった。ストーカー被害の顛末と考えられるなか、やがて、被疑者となった男に関わる不可解な事実が次々と浮かび上がる。――『レモンと殺人鬼』で注目の著者が描く、究極のサスペンス! 『初めて会う人』改題。(解説・大矢博子)
  • 八本目の槍(新潮文庫)
    4.5
    石田三成とは、何者だったのか。加藤清正、片桐且元、福島正則ら盟友「七本槍」だけが知る真の姿とは……。「戦を止める方策」や「泰平の世の武士のあるべき姿」を考え、「女も働く世」を予見し、徳川家に途方もない〈経済戦〉を仕掛けようとした男。誰よりも、新しい世を望み、理と友情を信じ、この国の形を思い続けた熱き武将を、感銘深く描き出す正統派歴史小説。吉川英治文学新人賞受賞。(解説・縄田一男)
  • 小説以外
    3.7
    本好きが嵩じて作家となった著者は、これまでどのような作品を愛読してきたのか? ミステリー、ファンタジー、ホラー、SF、少女漫画、日本文学……あらゆるジャンルを越境する読書の秘密に迫る。さらに偏愛する料理、食べ物、映画、音楽にまつわる話、転校が多かった少女時代の思い出などデビューから14年間の全エッセイを収録。本に愛され、本を愛する作家の世界を一望する解体全書。
  • 離婚弁護士 松岡紬(新潮文庫)
    4.0
    北鎌倉。縁切寺として名高い東衛寺の門前に、松岡法律事務所はある。住職の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬のもとに、今日も依頼人が駆け込んでくる。浮気・モラハラ・熟年離婚・財産分与・親権争い――「離婚したい!」その瞬間から始まる法律と人生の現実問題(リアル)。あなたの心とお財布をまもりつつ、上手に縁を切る方法、教えます。前を向く元気をもらえる、リーガルドラマ。『縁切り上等!』改題。(解説・中江有里)
  • 燃えあがる緑の木―第一部 「救い主」が殴られるまで―
    3.7
    1~3巻715円 (税込)
    百年近く生きたお祖母ちゃん(オーバー)の死とともに、その魂を受け継ぎ、「救い主」とみなされた新しいギー兄さんは、森に残る伝承の世界を次々と蘇らせた。だが彼の癒しの業は村人達から偽物と糾弾される。女性へと「転換」した両性具有の私は彼を支え、その一部始終を書き綴っていく……。常に現代文学の最前線を拓く作者が、故郷四国の村を舞台に魂救済の根本問題を描き尽くした長編三部作。
  • 重力ピエロ
    4.3
    兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

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  • 清く貧しく美しく(新潮文庫)
    4.0
    この冷たい世界で、ぼくたちだけはおたがいをほめあって生きよう。30歳・大手ネット通販の巨大倉庫で働く堅志と28歳・スーパーのパート勤務の日菜子はそう約束している。合わせて年収300万円台の暮らしは、つましくも幸せだった。だがある日、堅志に正社員登用の話が舞い込む。喜ぶ二人だったが、本社研修の担当は堅志のかつての恋人・佳央梨で……。恋愛小説の名手が描く現代の切実な恋の行方。(解説・吉田大助)
  • 太陽の塔(新潮文庫)
    3.8
    私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
  • 老人と海(新潮文庫)
    3.8
    八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)
    値引きあり
    3.9
    江戸の金の流れを握る。それはお上を動かす力になる――。甲斐の農家から出て江戸で名を挙げた茂十郎は、永代橋の崩落事故で妻子を失ってしまう。だが悲嘆を糧に、茂十郎は立ち上がる。大胆不敵な資金集め、流通の構造改革、旧弊の刷新。すべては江戸の繁栄のために――。既存の枠を超えた発想と、強引なまでの辣腕で「狼」と畏怖され、歴史の闇に消えた謎の経済人を描く。新田次郎賞受賞。(解説・本郷和人)
  • 錦繍
    4.2
    1巻693円 (税込)
    「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
  • ボトルネック
    3.7
    亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
  • 写楽 閉じた国の幻(上)
    3.6
    世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヵ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか、誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎──。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは……。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。
  • 砂の女(新潮文庫)
    4.2
    砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。(解説・ドナルド・キーン)
  • 僕の人生には事件が起きない(新潮文庫)
    3.3
    組み立て式の棚は完成できぬまま放置して、水筒に入れたあんかけラーメンの汁を公園のベンチで飲む。マニュアル至上主義の店と「食べログ」低評価店の惨状に驚愕しつつ、歯医者の予約はことごとく忘れ、野球場で予想外のアクシデントに遭遇する……事件なんて起きないはずだった「ありふれた人生」に何かが起こる、人気お笑い芸人による初エッセイ集。書き下ろし「文庫版あとがき」も収録。
  • 戦争と平和(一)
    4.2
    1~4巻1,045~1,210円 (税込)
    19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もどってきた平和な暮しのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描きだすところから物語の幕があがる。
  • 「子供を殺してください」という親たち
    3.8
    自らは病気の自覚のない、精神を病んだ人を説得して医療につなげてきた著者の許には、万策尽きて疲れ果てた親がやってくる。過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘……。究極の育児・教育の失敗ともいえる事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する。現代人必読、衝撃のノンフィクション。
  • マドンナ・ヴェルデ(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.6
    1巻1,100円 (税込)
    美貌の産婦人科医・曾根崎理恵、人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。彼女は母に問う。ママ、私の子どもを産んでくれない――? 日本では許されぬ代理出産に悩む、母・山咲みどり。これは誰の子どもか。私が産むのは、子か、孫か。やがて明らかになる魔女の嘘は、母娘の関係を変化させ……。『ジーン・ワルツ』で語られなかった、もう一つの物語。新世紀のメディカル・エンターテインメント第2弾。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • ループ・オブ・ザ・コード(新潮文庫)
    4.5
    1巻1,155円 (税込)
    20年前に歴史の一切が“抹消”された、かつての独裁国家〈イグノラビムス〉。今や多数の企業が参入し、理想郷となったその国で、突如児童200名以上が原因不明の奇病を発症した。世界生存機関から派遣された私は、現地調査で人々の抱える闇に気づく。だが悲劇は再び目の前まで迫っていた。歴史を奪われた国に隠された衝撃の真実とは。混沌を生きる全ての人に捧ぐ、エンターテイメント超大作。
  • 女刑事音道貴子 未練
    3.5
    ふと入ったカレー屋で音道は、男が店主に「こいつは俺の女房を殺した」と怒鳴る場面に遭遇する――男同士の絆が無惨に引き裂かれてゆく様子を描いた表題作。公園の砂場で保育園児が殺害され、その容疑者の素性に慄然とする音道……「聖夜」。監禁・猟奇殺人・幼児虐待など、人々の底知れぬ憎悪が音道を苛立たせる。はたして彼女は立ち直れるのか? 好評の音道シリーズ短編集第二弾!
  • 女刑事音道貴子 嗤う闇
    3.6
    レイプ未遂事件発生。被害女性は通報者の男が犯人だと主張。被疑者は羽場昂一──。レイプ事件の捜査に動いていた音道貴子に無線が飛び込んだ。貴子の恋人、昂一が連続レイプ犯? 被害者は大手新聞社の女性記者。無実の通報者に罪を着せる彼女の目的とは? 都市生活者の心の闇を暴く表題作など、隅田川東署へと異動となった貴子の活躍を描くシリーズ第三弾。傑作短篇四編収録。
  • 花神(上)
    4.1
    周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。
  • この気持ちもいつか忘れる(新潮文庫)
    3.9
    毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。(解説・菅波栄純)
  • 正雪記(上)
    値引きあり
    3.3
    立身出世を夢見て、一介の染屋職人の伜から、侍になる野望を抱き江戸へ出奔した由井正雪は、その明晰な頭脳を武器に島原の乱で浪人たちの衆望を集める。浪人隊を結成し、幕府軍の先鋒に使うことを進言する。しかし知恵伊豆・老中松平信綱の狡猾な罠が待っていた……。支配権力への抑えがたい怒りを胸に、徳川のゆるぎない天下に挑んだ巨人を正面から見つめた本格歴史長編。

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  • 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)
    4.7
    生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない――。長年、内面を明かさなかった作家が明かしたその思想。1980年代に語られた言葉の数々は、今なお社会の本質を射抜き、我々への啓示へと変貌する。国家、言語、儀式、芸術、科学、果たして安部公房は何を考えていたのか。エッセイ、インタビュー、日記など多様な表現を通して、世界的作家の隠された素顔に迫る。(解説・養老孟司、鳥羽耕史)
  • 雷神(新潮文庫)
    3.8
    あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかった――。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人(ゆきひと)を襲った脅迫電話。電話の主が店に現れた翌日、娘の夕見(ゆみ)から遠出の提案を受ける。新潟県羽田上(はたがみ)村――幸人と姉・亜沙実の故郷であり、痛ましい記憶を封じ込めた地だった。母の急死と村の有力者の毒殺事件。幸人らが村を訪れると、凄惨な過去が目を醒まし……。最後の一行まで最上級の驚愕が続くミステリ。(解説・香山二三郎)
  • 人間失格
    4.2
    1巻308円 (税込)
    「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。

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  • ツナグ(新潮文庫)
    4.3
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)
    完結
    4.2
    825~1,045円 (税込)
    理不尽で我侭で好色な男の周辺に生起する幾多の波瀾。父と子の関係を軸に戦後生活の有為転変を力強く描く、著者畢生の大作。
  • 貘の檻
    3.8
    1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜ――。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が……。薬物、写真、地下水路。昏(くら)い迷宮を彷徨(さまよ)い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!
  • 谷中・首ふり坂
    値引きあり
    3.5
    養子に入った武家の妻にへきえきしていた男が、初めて連れていかれた谷中の茶屋の女に魅せられ、武士の身分を捨ててしまう表題作。自堕落に暮らしていた息子が、濡れ衣を負って処刑された父の敵を討とうと決心した途端に人柄が変わってしまう「夢中男」。そのほか「尊徳雲がくれ」「へそ五郎騒動」「舞台うらの男」「かたきうち」「伊勢屋の黒助」など、全11編を収める傑作短編集。
  • 二十歳の原点
    3.8
    独りであること、未熟であることを認識の基点に、青春を駆けぬけていった一女子大生の愛と死のノート。学園紛争の嵐の中で、自己を確立しようと格闘しながらも、理想を砕かれ、愛に破れ、予期せぬうちにキャンパスの孤独者となり、自ら生命を絶っていった痛切な魂の証言。明るさとニヒリズムが交錯した混沌状態の中にあふれる清冽な詩精神が、読む者の胸を打たずにはおかない。
  • 母の待つ里(新潮文庫)
    4.0
    40年ぶりに帰るふるさとで待っていたのは、初めて会う〈母〉だった――。大企業の社長として孤独を抱える松永徹。退職と同時に妻から離婚された室田精一。親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。人生に疲れた三人が選んだのは「里帰り」だった。囲炉裏端に並ぶ手料理や不思議な昔話。母と過ごす時間が三人を少しずつ変えていく……すべての人に贈る感涙の物語。ふるさとを、あなたへ。(解説・赤坂憲雄)
  • オルタネート(新潮文庫)
    4.0
    高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」が必須の現代。料理コンテストでの失敗に悩む調理部部長の蓉(いるる)は、再びの挑戦を決断。高校を辞め居場所を探す尚志(なおし)は、音楽家らのシェアハウスに潜り込む。オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、アプリが導く運命の相手を探す。そして文化祭の初日、三人それぞれに起こる奇跡――。10代の過酷さと煌めきを鮮やかに切り取る、青春小説の新たなマスターピース。(解説・重松清)
  • 日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―(新潮文庫)
    4.7
    お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。(解説・柳家小三治)
  • 百日紅の咲かない夏
    3.8
    1巻1,023円 (税込)
    父の事故死、母の出奔で別々に育てられた姉弟が、十年ぶりに再会した。以来、十七歳の弟は、二十歳の姉を週末ごとに訪ねる。夜、姉の布団で幼子のように身を寄せながら、歳月の重さと互いの愛の深さにおののく二人。その年、北国の町では怪しげな商事会社が暗躍し、孤独な二人に危険な人間関係がからみつく。
  • 爪と目
    3.6
    あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて――三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させるホラー。芥川賞受賞作。
  • 黒い福音
    3.8
    救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。日本の国際的な立場が弱かったために、事件の核心に迫りながらキリスト教団の閉鎖的権威主義に屈せざるを得なかった警視庁――。現実に起った外人神父による日本人スチュワーデス殺人事件の顛末に強い疑問と怒りをいだいた著者が綿密な調査を重ね、推理と解決を提示した問題作。

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  • しろがねの葉(新潮文庫)
    4.3
    1巻880円 (税込)
    銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる――。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見(いわみ)銀山の坑道で働き始める。山に穿(うが)たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰(からだ)を蝕(むしば)んでゆく……。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。(解説・北方謙三)
  • スープ・オペラ
    4.1
    ルイ。独身。35歳。女手ひとつで育ててくれた叔母さんが、還暦を前に突然の恋に落ちて出奔。一人残されたルイの家には、ひょんなことから二人の独身男が転がり込んできた。初老だけどモテモテのトニーさんと、年下の気弱な康介。唯一の共通点はスープ好き。一つ屋根の下で暮らすことになった、そんな三人の関係は。そして叔母さんの恋の行方は? 温かくキュートで少しだけ辛口の物語。

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  • くまちゃん
    4.2
    風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
  • リカーシブル
    4.0
    越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)
    値引きあり
    3.8
    富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。その陰には、遠島になってまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。十年後、島から戻った六郎兵衛。だが、二人は敵同士として剣を交えざるを得なくなる……。派閥争いに巻き込まれ、運命に翻弄されていく男たち。彼らは、何を守るために刀を振るうのか。真に大切なものを問う、葉室文学の円熟作。(解説・島内景二)
  • この人と結婚していいの?
    4.0
    男はウルトラマン、女はシンデレラ──結婚カウンセラーとして数多くのカップルの問題を解決してきた著者が、男女の思考・行動の違いを、ユーモラスにわかりやすく解説! 「結婚したら夫が急に無口に……」「突然怒ったり泣いたりする彼女が理解できない」「性生活が不一致で……」など、心当たりはありませんか? 結婚前は勿論、倦怠期、破局寸前の夫婦にも効き目抜群の“愛の処方箋”。

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  • 無垢の領域
    3.8
    道東釧路で図書館長を務める林原を頼りに、25歳の妹純香が移住してきた。生活能力に欠ける彼女は、書道の天才だった。野心的な書道家秋津は、養護教諭の妻伶子に家計と母の介護を依存していた。彼は純香の才能に惚れ込み、書道教室の助手に雇う。その縁で林原と伶子の関係が深まり……無垢な存在が男と女の欲望と嫉妬を炙り出し、驚きの結末へと向かう。濃密な長編心理サスペンス。
  • 盲目的な恋と友情(新潮文庫)
    4.1
    タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。
  • 豆の上で眠る(新潮文庫)
    3.8
    小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微(かす)かな違和感を抱き続けている。――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。(解説・宇田川拓也)
  • 出版禁止 死刑囚の歌(新潮文庫)
    4.1
    千葉県柏市で6歳と4歳の姉弟が誘拐され、無惨な姿で発見された。犯人は死刑判決を受け、やがて刑は執行されたが、最後まで動機は不明だった。事件から22年後。東京都向島で凄惨な一家三人殺傷事件が発生する。殺害されたのはなんと柏の事件の……。共通する手口、戦慄の短歌、消えたM子。本当の鬼畜は誰なのか。虚実が複雑に絡みあい、逆転また逆転そして絶句。あなたは今度も騙される!(解説・前川裕)
  • 何様(新潮文庫)
    3.9
    生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる―。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く6編!(解説・若林正恭(オードリー))
  • ラッシュライフ
    4.2
    泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

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  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)
    3.9
    1巻649円 (税込)
    許されぬ殉死に端を発する阿部一族の悲劇を通して、高揚した人間精神の軌跡をたどり、権威と秩序への反抗と自己救済を主題とする歴史小説の逸品『阿部一族』。ドイツ留学中に知り合った女性への恋情をふりきって官途を選んだ主人公を描いた自伝的色彩の強いロマン『舞姫』ほか『うたかたの記』『鶏』『かのように』『堺事件』『余興』『じいさんばあさん』『寒山拾得』を収録。「森鴎外 人と作品」(山崎正和)、「『阿部一族・舞姫』について」(高橋義孝)収録。
  • 異邦人(新潮文庫)
    4.1
    母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。(解説・白井浩司)
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)
    4.0
    うしろ姿が美しい男に恋をし、銀色のダンベルをもらう。掌大の小さな人を救うため、銀座で猫と死闘。きれいな魂の匂いをかぎ、夜には天罰を科す儀式に勤しむ。精神年齢の外見で暮らし、一晩中ワルツを踊っては、味の安定しないお茶を飲む。きっちり半分まで食べ進めて交換する駅弁、日曜日のお昼のそうめん。恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18編の物語。※本書の解説は紙の本にのみ収録されています。電子書籍版には収録がございませんのでご注意ください。
  • ミッキーマウスの憂鬱ふたたび(新潮文庫)
    4.2
    東京ディズニーランドで清掃のアルバイトをしている、永江環奈。ある日、彼女はテーマパークの顔として活躍するアンバサダーになれることを知り、挑戦を決意する。不可能だと言われながらも、周囲の応援を受け、夢に向かって前進する環奈。迎えた選考会当日は雨、さらに園内で大騒動が発生して。知られざる〈バックステージ〉を舞台に、仕事、家族、恋、そして働く者の誇りを描く、最高の青春小説。(解説・藤田香織)
  • ピラミッド―最新科学で古代遺跡の謎を解く―(新潮文庫)
    4.7
    4500年前からナイル河岸に聳える大ピラミッド。ドローンで3D計測が開始され、宇宙線による透視調査で「巨大空間」が見つかり、最古のパピルスが発見されるなど、近年、古代遺跡の研究は次々と更新されている。最新データと調査技術を元に「なぜ」「どのように」作ったのかに加えて、建造に従事した「人間」に焦点を当てた、古代エジプト研究最前線! 『ピラミッド・タウンを発掘する』改題。(解説・橋本麻里)
  • ヤクザの子(新潮文庫)
    3.9
    DV、ドラッグ、差別、貧困――暴力団の家庭には社会のあらゆる問題が詰まっている。両親は朝から注射を打ちセックスに耽り、クスリが切れた瞬間に血だらけになるまで殴り合う。学校では極道家庭と白い目で見られ孤立し、出自が影響して就職は不可能に近い。ヤクザの血を継ぐ人間は表の世界で生きられないのか。14人の「ヤクザの子」が証言する哀しい半生。「ヤクザ・チルドレン」改題。
  • 小説日本芸譚
    値引きあり
    4.1
    日本美術史に燦然と輝く芸術家十人が、血の通った人間として甦る――。新進気鋭の快慶の評判に心乱される運慶。命を懸けて、秀吉と対峙する千利休。将軍義教に憎まれ、虐げられる世阿弥。将軍家、公卿、富商の間を巧みに渡り歩く光悦。栄華を極めながらも、滲み出る不安、嫉妬、苛立ち、そして虚しさ――美を追い求める者たちが煩悩に囚われる禍々しい姿を描く、異色の歴史短編小説十編。
  • 劇場(新潮文庫)
    3.9
    高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてくれる、沙希の笑顔だけが救いだった――。理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。
  • 沈むフランシス(新潮文庫)
    3.8
    都会での仕事を三十五歳で辞め、北海道の小さな村で郵便配達をする女。川のほとりの木造家屋で世界中の「音」を集めながら暮らす男。偶然出会った両者は、急速に惹かれあっていく。からだでふれあうことでしか感じない安息と畏れ、そして不意に湧きあがる不穏な気配。その関係が危機を迎えた嵐の夜、決して若くはないふたりが選択した未来とは。深まりゆく愛と鮮やかな希望の光を描く傑作。(解説・山田真歩)
  • 流れる(新潮文庫)
    4.0
    1巻605円 (税込)
    梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る……。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。(解説・高橋義孝)
  • 野火
    4.0
    敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。
  • はるか(新潮文庫)
    3.6
    賢人は小さな頃、海岸で一人の少女と出会い恋に落ちる。彼女の名は、はるか。大人になり偶然再会した二人は結婚するが、幸せな生活は突如終わりを告げた。それから月日は経ち、賢人は人工知能の研究者として画期的なAIを発明。「HAL‐CA」と名付けられたそのAIは、世界を一新する可能性を秘めていた――。『ルビンの壺が割れた』で大反響を呼んだ著者による、更なる衝撃が待つ第二作。
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)
    3.9
    1巻693円 (税込)
    高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
  • 明治の人物誌
    3.9
    星新一の父・星一は、苦学しながらアメリカの大学を卒業し、帰国して製薬会社をおこした。事業は成功したが、やがて政争に巻き込まれ衰退していく。それでも常にエネルギッシュで近代人的な生き方を貫いた生涯だった。彼の夢と理想に手をかした野口英世、伊藤博文、エジソン、後藤新平など、近代国家の形成期に活躍した明治人たちとの交流の中から、星一の生涯を辿った異色の伝記。
  • 愛に乱暴(上)(新潮文庫)
    3.6
    1~2巻649円 (税込)
    初瀬(はせ)桃子は結婚八年目の子供のいない主婦。夫・真守の両親が住む母屋の離れで暮らし、週に一度、手作り石鹸教室の講師をしている。そんな折、義父の宗一郎が脳梗塞で倒れた。うろたえる義母・照子の手伝いに忙しくなった桃子に、一本の無言電話がかかる。受話器の向こうで微かに響く声、あれは夫では? 平穏だった桃子の日常は揺らぎ始め、日々綴られる日記にも浮気相手の影がしのびよる。
  • 遺訓(新潮文庫)
    値引きあり
    4.2
    沖田総司の甥にして、天然理心流の遣い手たる沖田芳次郎は、旧庄内藩重臣から西郷隆盛の警護を依頼された。青年剣士はやがて西南戦争という激流に巻き込まれてゆく。西郷、大久保という二つの巨星。悲恋、戦塵をくぐり抜けながらの成長。戊辰戦争ののち西郷と庄内侍の間には熱い絆が結ばれた。『南洲翁遺訓』を後世に伝えた鶴岡に生を受けた著者が、深き感慨をこめて描く、本格時代長篇。(解説・大矢博子)
  • 華のかけはし―東福門院徳川和子―(新潮文庫)
    値引きあり
    4.0
    1巻731円 (税込)
    家康の孫娘、和子(まさこ)は「徳川の血を引く天皇の誕生」という悲願のため、後水尾天皇のもとに入内した。二度と、江戸の土は踏めぬ――。一触即発の朝幕関係、待望した皇子の夭折(ようせつ)、夫帝の突然の譲位。次次と襲いかかる荒波を持ち前の天真爛漫(てんしんらんまん)さと芯の強さで乗り越え、彼女は両家の対立を超えた存在となってゆく。歴史上唯一、皇后となった徳川の姫の、稀有(けう)な生涯を描いた大河長編。『華の譜』改題。(解説・近藤サト)
  • ウドウロク(新潮文庫)
    4.0
    49歳独身。職業・アナウンサー。これまで、いろいろなことがありました。たくさんの人と出会い、多くの言葉をもらってきました。そんなこんなを好きなように書いた本です。自他ともに認めるクロい部分も、ちょっとだけ残っているシロい部分も詰まっています。――人気アナウンサー初の書き下ろし本、待望の文庫化! 「人生で一番悩んだ決断」にいたった経緯と本心も、初めて明かしています。
  • 破船
    4.3
    1巻693円 (税込)
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)
    4.1
    第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった……。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
  • 1ミリの後悔もない、はずがない(新潮文庫)
    3.9
    「俺いま、すごくやましい気持」。ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あの頃の恋。できたての喉仏が美しい桐原との時間は、わたしにとって生きる実感そのものだった。逃げだせない家庭、理不尽な学校、非力な子どもの自分。誰にも言えない絶望を乗り越えられたのは、あの日々があったから。桐原、今、あなたはどうしてる? ――忘れられない恋が閃光のように突き抜ける、究極の恋愛小説。(解説・窪美澄)
  • 女刑事音道貴子 風の墓碑銘(上)
    3.7
    1~2巻605~649円 (税込)
    貸家だった木造民家の解体現場から、白骨死体が発見された。音道貴子は、家主の今川篤行から店子の話を聞こうとするが、認知症で要領を得ず、収穫のない日々が過ぎていく。そんな矢先、その今川が殺害される……。唯一の鍵が消えた。捜査本部が置かれ、刑事たちが召集される。音道の相棒は……、滝沢保だった。『凍える牙』の名コンビが再び、謎が謎を呼ぶ難事件に挑む傑作長篇ミステリー。
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)
    4.4
    セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ……。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。(解説・小池真理子)
  • 軽薄(新潮文庫)
    4.1
    18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を越えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していた――。二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。喪失と再生の純愛小説。
  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
    3.7
    メイクラブまでは一瞬だった。立ち入り禁止のドアの向こう、横たわるスペースもないその空間で、私は立ったまま片足を高く上げハイヒールを壁に付ける。足首には小さなショーツが巻きついている。やがて体の芯に“あれ”が来て、すべての感覚が麻痺してしまった。「うちに来て」――黒人脱走兵・スプーンとの生活がはじまった。愛の表現も謝罪の表現も、私を気持ちよくするための方法を、彼はファックしか知らない。かわいいスプーン――。黒人との愛を描いた、デビュー作を含む詠美文学の原点・3編を収録。

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  • シズコさん(新潮文庫)
    4.0
    四歳の頃、つなごうとした手をふりはらわれた時から、母と私のきつい関係がはじまった。終戦後、五人の子を抱えて中国から引き揚げ、その後三人の子を亡くした母。父の死後、女手一つで家を建て、子供を大学までやったたくましい母。それでも私は母が嫌いだった。やがて老いた母に呆けのきざしが──。母を愛せなかった自責、母を見捨てた罪悪感、そして訪れたゆるしを見つめる物語。(解説・内田春菊)
  • 草原の記
    4.1
    史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満洲・中国と国籍を変えることを余儀なくされ、いま凜々しくモンゴルの草原に立つその女性をとおし、遊牧の民の歴史を語り尽くす、感動の叙事詩。
  • 砂漠の塩
    3.9
    夫を日本に残し参加したヨーロッパツアー。最初の目的地パリで一行と別れた野木泰子は、一人カイロへと向う。そこには、出張先の香港(ホンコン)から会社に辞表を出した谷口真吉が、彼女を待っているはずだった。――妻を捨てた男と夫を裏切った女と、そして妻を求めてその跡を追う夫。不毛の愛を埋めるために砂漠の果てをめざす彼らに、贖罪はあるだろうか。神なき荒野の神なき愛を描く長編。
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)
    3.7
    盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。楽器メーカーからの依頼でライバル社の調査を続けるうちに、冬絵の存在を知った。同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件が起きる。俺たちは否応なしに、その渦中に巻き込まれていった。謎、そして……。ソウルと技巧が絶妙なハーモニーを奏でる長編ミステリ。(解説・佐々木敦)
  • 見るまえに跳べ
    4.1
    処女作『奇妙な仕事』から3年後の『下降生活者』まで、時代の旗手としての名声と悪評の洪水の中、充実した歩みを始めた時期の秀作10編。“政治と性”の主題を初めて取り上げ、屈伏感と自己欺瞞の意識に苦悩する同時代の青年の内面を文学に定着させた表題作、政治における挫折の問題に挑んだ『後退青年研究所』ほか、『鳩』『ここより他の場所』『上機嫌』戯曲『動物倉庫』など。
  • 女刑事音道貴子 花散る頃の殺人
    3.4
    『凍える牙』で、読者に熱い共感を与えた女性刑事・音道貴子。彼女を主人公にした初の短編集。貴子自身がゴミ漁りストーカーに狙われて、気味悪い日々を過ごす「あなたの匂い」。ビジネスホテルで無理心中した老夫婦の、つらい過去を辿る表題作など6編。家族や自分の将来に不安を抱きつつも、捜査に追われる貴子の日常が細やかに描かれる。特別付録に「滝沢刑事と著者の架空対談」!
  • 虞美人草(新潮文庫)
    4.2
    大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰ったほどの秀才小野。彼の心は、傲慢で虚栄心の強い美しい女性藤尾と、古風でもの静かな恩師の娘小夜子との間で激しく揺れ動く。彼は、貧しさからぬけ出すために、いったんは小夜子との縁談を断わるが……。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く。東京帝大講師をやめて朝日新聞に入社し、職業的作家になる道を選んだ夏目漱石の最初の作品。(解説・柄谷行人)
  • 倫敦塔・幻影の盾(新潮文庫)
    3.8
    イギリス留学中に倫敦塔を訪れた漱石は、一目でその塔に魅せられてしまう。そして、彼の心のうちからは、しだいに二十世紀のロンドンは消え去り、幻のような過去の歴史が描き出されていく。イギリスの歴史を題材に幻想を繰りひろげる「倫敦塔」をはじめ、留学中の紀行文「カーライル博物館」、男女間における神秘的な恋愛の直観を描く「幻影の盾」など七編をおさめる。(解説・伊藤整)

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