西日本の戦国武将24人を描く短編集。
毛利元就、尼子経久、大内義興、松永久秀、龍造寺家兼、
宇喜多直家、石田三成、戸次道雪、北畠具教、黒田官兵衛、
亀井玆矩、伊東祐兵、有馬晴信、加藤清正、雑賀孫一、
足利義昭、豊臣秀吉、十河存保、長宗我部元親、
加藤嘉明、島津義弘、謝名利山、蜂須賀家政、立花宗茂
...続きを読むその武将の人生の一コマを切り取って描いたような、
味わい深い短編集です。それぞれが実に短い物語なのに、
その後にある史料・文献から得た想像力での創作は、見事。
主人公の視線、近しい者たちの視線が鮮やかに語る。
親子や兄弟、夫婦や男女、主従の、信愛と確執。
庶民、異邦人や将軍の姿もある。
彼らによる、国のため、民のため、己のため、
愛する者のため、尊敬する者のための、喜怒哀楽の発現。
毛利元就の三本の矢異聞は、家を父を思う息子や娘の絆。
最後の戦場を駆ける93歳の龍造寺家兼の、戦いへの信念。
官兵衛の思い。半兵衛よ、未完でも進む我が姿をご覧あれ。
受け入れてくれた大切な人を守る!異邦人たちの戦い。
島津の退き口は、出会った武士の運命を変える。
琉球の民を守るため佞臣となった謝名利山の約束。
武骨な家風のままに生きる立花宗茂と付き従う家臣たち。
それは見事立花家が再興した、基盤なのかもしれない。
東日本編が良かったので、西日本編へ。
今回も評伝が読みたくなった武将が増えてしまいました。