無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
徳川家康が最も恐れた男、真田幸村の謎に迫る!
「歴史ミステリとして、そして本格ミステリとして、実に優れた一作」
――大矢博子(解説より)
徳川・豊臣両家や諸将の思惑が交錯する大坂の陣。
亡き昌幸とその次男幸村――何年にもわたる真田父子の企みを読めず、翻弄される東西両軍。徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永、ついには昌幸の長男信之までもが、口々に叫ぶ。「幸村を討て!」と……。戦国最後の戦いを通じて描く、親子、兄弟、そして「家」をめぐる、切なくも手に汗握る物語。
『塞王の楯』「羽州ぼろ鳶組」シリーズの熱さと『八本目の槍』の緻密な叙述を兼ね備え、家康を「探偵役」に紡がれた、単行本時各紙誌絶賛の傑作歴史ミステリーが待望の文庫化!
【目次】
家康の疑
逃げよ有楽斎
南条の影
名こそ又兵衛
政宗の夢
勝永の誓い
真田の戦
解説 大矢博子
〈大坂の陣410周年〉
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
歴史ミステリという、今まで読んだことのないジャンル。
これが最高に面白かった!
全6章で構成され、徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永と、名だたる武将たちがそれぞれ主人公を担います。
同じ出来事でも、語り手が変われば見えてくるものも変わる。それぞれの立場や思惑が少しずつ明らかになり、点と点がつながっていくような構成がたまらない。
そして何より印象的なのが、敵味方関係なく、揃いも揃って叫ぶ「幸村を討て」という言葉。
なぜ、彼らは幸村を討とうとするのか。
それぞれの章を読み進めるたびに、この言葉に込められた意味が少しずつ変わっていきます。歴史上の出来事を知っていても、こんなふうに物語を楽しめるのかと驚きました。
各章最高に楽しめましたが、個人的に心に残ったのは南条元忠の章。
南条と忍びとの関係が描かれることで、武将としての立場だけでは見えてこない人間らしさや、そこにある思いが伝わってきました。戦国の世を生きる人々にも、それぞれの事情や大切にしているものがある。そうした部分に触れられたからこそ、胸にくるものがありました。
もちろん6つの章だけではなく、章と章の間に挟まれる真田家の回想も良い。
真田家、特に幸村と信之の2人については、本書を通してそのすごさを知ることができました。自分たちの信念を持ち、時代に翻弄されながらも、それぞれの生き方を貫こうとする姿。真田家が何を目指し、どんな夢を抱いて生きてきたのかを知ることで、2人への尊敬の念が深まっていきます。
そして、忘れてはいけないのが徳川家康のすごさ。
それぞれの武将の話を聞き、複雑に絡み合った思惑の中から真相を暴きかけるその洞察力と、物事の裏側まで見抜こうとする姿には驚かされました…。
ただ、そんな家康をもってしても、思いどおりにはならない真田家の恐ろしさ。
家康のすごさが描かれるからこそ、幸村や信之のすごさも際立つ。単純な敵味方の構図では語れない、それぞれの武将の力量や信念がぶつかり合うところも、本作の大きな魅力だと思います!
そして、読み終えた今、もっと知りたくなったのが大坂の陣そのもの。
歴史上の出来事として知っていたはずなのに、その背景にある人間関係や、それぞれが抱えていた思惑を知ることで、歴史の見え方が変わりました。実際の大坂の陣では何が起きていたのか、ほかの武将たちはどんな思いで戦っていたのか。もっと深く知りたくなりました。
歴史ミステリとして真相を追う面白さ。
そして、武将たちの思惑や生き方に触れ、心を動かされる面白さ。
この2つを存分に味わえた一冊。
歴史上の人物たちが、教科書の中の存在ではなく、それぞれの信念や葛藤を抱えた一人の人間として見えてくる。
今村翔吾さん、やっぱりすごい!
Posted by ブクログ
映画界隈では戦国×ミステリーという異色の作品である黒牢城がマイケルに轢き殺されている中、戦国ミステリーの手本と言えるような本に私は出会ってしまった。本作「幸村を討て」は戦国最後の大決戦である大坂の陣を舞台に繰り広げられる様々な武将の思惑の交差、真田幸村を中心とする謎、といった戦国の醍醐味をミステリーというジャンルに落とし込んだ作品である。戦国ファンなら誰もが思いを馳せた歴史の隙間に作者の解釈が見事にはまる。なぜ幸村を名乗るに至ったかなどたまらない要素が謎解きに組み込まれていて心を躍らせてくれる。500頁超の大作であるがどんどん引き込まれていくストーリーの展開に唸る。戦国物のエンタメとしてこれ以上ないくらいにマニアの心を唆る話だった。
Posted by ブクログ
今村翔吾の戦国末期を舞台とした歴史創作ミステリー。
574頁にも及ぶ大作であるものの、読めば読むほどに世界にのめり込ませる作者の力量には厚さも、気にならないほどであった。
主役は真田幸村(信繁)なのであろうが、大坂夏の陣で徳川家康を討てるところまで追い詰め、敢えてと言えばいいのかそうしなかったところから話しは進み、東西両陣営の武将から徐々にではあるが、真田幸村という存在が浮かび上がってくると同時に、真田昌幸、真田信之という真田家の在り方もしっかりと描かれ、これはどちらの作品が先か分からないが「八本目の槍」を想起させられた手法であろう。
しかしさらに後半に至るにあっては、例えば後藤又兵衛は名を、南条元忠は徳川陣営に高値で仕えることをなど、それぞれの武将が如何に生きるべきかを描ききることで、当時の戦国末期の、安定前の各個人の入り乱れる雰囲気を十二分に醸し出していることで、「八本目の槍」よりも読者を引き摺り込むところとなったのではなかろうか。
また当時の武将が何よりに考え、特に真田家に顕著である、現代において希薄となっている家族制度と各個人との関係を思い起こさせられるところからも単に戦国を舞台としたミステリーとしたものではないと思う。
Posted by ブクログ
章ごとに様々な人物の視点で描かれる大阪の陣という構成が、まずかなり効いていた。ひとつの出来事を別の立場から見直すたびに印象が変わり、「幸村」という名の重さ、そして魅力がじわじわ立ち上がってくる。序盤は謎や不気味さといった印象の強さで引っ張り、中盤は徐々に明かされる真相で緊張を保ち、終盤は鮮やかに仕掛けられたトリックで押し切る流れがきれいで、めちゃくちゃ面白かった。
特に良かったのは、単なる合戦ものとしての勢いだけでなく、真田家の関係性を軸に「名を継ぐこと」「役目を背負うこと」を丁寧に描いている点。家同士の論理と個人の願いがぶつかるところに、人間くささと切実さが出ていて、読み終わったあとに余韻が残る。創作の大胆さはあるのに、歴史上の人物像とかみ合わせる語り口がうまく、物語としてとても楽しめるバランスが良い。後半になるほど面白さが加速するタイプの一冊で、読後の満足感はかなり高かった。
あと勝永の章まじで泣けた。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。570ページも読むの大変だったけど、先が気になってどんどん読み進められる。最近戦国時代を勉強し始めて、ストーリーの大筋がうっすら分かる、くらいのレベルで見てるから特にちょうどいいんだと思う。逆に全く戦国武将を知らないと登場人物のイメージが掴めなくて読むの大変かも。
真田信之、幸村を題材として、大坂夏の陣での不可解な謎を5人の証言と共に家康が解き明かしていく。織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永から見た大阪城での真田の戦、そしてその間にこの兄弟の昔話が入って一つの物語となっている。この昔話が始まるたびに六文銭が一つずつ集まっていくのが洒落てて好き。
私の推しポイント一つ目は、一人一人にしっかりフォーカスが当たっていて、それぞれの物語を持っているところ。南条元忠って誰だっけと思いながら読んでいたけど読み終わる頃には感情移入してる。楽しみながら各々の生い立ちを知れるのが良い。伊達政宗の話が好きでした。
二つ目は、幸村の不気味さが感じられるところ。真田幸村という男は一体誰で、何を考えているのか。真田目線ではなく周りの証言をもとにして話が進んでいくので、得体の知れなさが伝わってくる。当時の家康の気分が味わえているようで面白い。
三つ目は、幸村だけではなく真田家の戦として大阪城での戦いが描かれているところ。実際はわからないけど、昌幸から継いだ思いを兄弟2人が力を合わせて見事に叶えた、という話には夢があると思った。信之は戦場に出たわけではないけれど、話に一枚噛んでいたとしてしっかり登場してくれるのが嬉しい。
四つ目は、「幸村を討て」というタイトル。みんなが口々に幸村を討て!と言うんだよね。「関東勢百万も候え、男は1人もいなく候」というセリフが本当にかっこよくて。しかもその言葉ですら幸村が相手に言わせてたと閉めるのも良い。
忘れた頃にもう一度読みたいな。
以上戦国時代に全く詳しくない人の感想でした。
Posted by ブクログ
本作『幸村を撃て』は、戦国武将・真田信繁(幸村)を中心に据えながらも、単なる英雄譚にはとどまらない多層的な魅力を持つ作品である。読み始めた当初は、幸村という一人の人物の物語だと捉えていたが、読み進めるにつれ、その印象は大きく変化していった。
序盤では、幸村が何者なのかはっきりとは見えず、「裏切り者なのか、それとも忠義の士なのか」という謎が提示される。登場人物たちは口々に「幸村を撃て」と語るが、その意味や背景はすぐには明かされない。「何が起きたのか」は徐々に見えてくる一方で、「なぜそうしたのか」という核心は容易には掴めない。この“行動は見えるが動機は見えない”という構造が、本作をミステリーのような作品にしている。
中盤では、物語は兄・真田信之との関係へと移り、兄弟の物語としての側面が強まる。信之は感情に流されることなく、「何を守り、何を捨てるか」を見極めて最適な選択を重ねる人物であり、その現実的な強さには天才性すら感じられた。一方で幸村は信念を貫く存在として描かれ、対照的な生き方を選ぶ二人の間には確かな愛情がある点に強い美しさを感じた。
さらに物語は真田家という「家」の視点へと広がる。父・昌幸、兄・信之、弟・幸村は、それぞれ異なる選択をしながらも、「家をどうするか」という問いに向き合っている。生き残る道と信念を貫く道、そのどちらもが真田家としての一つの答えであり、単純な善悪では測れない価値がある。
本作は、南条や後藤又兵衛、伊達政宗、織田有楽斎といった人物の視点から語られる群像劇でもある。登場人物たちは皆「幸村を討て」と語るが、章ごとに幸村の印象は変化し、その実像は最後まで定まらない。この点において、本作は「人物そのものが謎であるミステリー」としての側面も持っている。
終盤、徳川家康との対峙を経て、物語は再び兄弟へと収束する。家を残した信之と、信念を貫いた幸村。異なる選択でありながら、そのどちらもが真田家の在り方を形作っている点に、本作の美しさがある。
中でも私は、真田信之に強い魅力を感じた。特に最後の徳川家康とシーンは、「すごい」の一言に尽き、思わず鳥肌が立った。すべてを理解した上で選択し続けるその姿は、何よりも難しく、そしてかっこいいものである。本作は、「人はどう生き、何を守るのか」を問いかける作品である。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。