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格別の思いがこもる、作家今村翔吾の原点!
明和七年、太平の世となって久しい江戸・日本橋で寺子屋の師匠をつとめる坂入十蔵は、かつては凄腕と怖れられた公儀の隠密だった。
学問は苦手ながら剣術に秀でた才を持つ下級武士の息子・鉄之助、浪費癖のある呉服問屋の息子・吉太郎、極度のあがり症ながら手先の器用な大工の息子・源也など、さまざまな個性の筆子たちに寄りそう日々を送っていたが、藩の派閥争いに巻き込まれた筆子の一人、加賀藩士の娘・千織を助ける際、元忍びという自身の素性を明かすことになる。
年が明け、筆子たちのお伊勢参りに同道する十蔵の元に、将軍暗殺を企図する忍びの一団「宵闇」が公儀隠密をも狙っているという報せが届く。十蔵は、離縁していた妻・睦月の身にも危険が及ぶことを知って妻の里へ向かった。
哀しみに満ちた妻との出会いと別れ、筆子たちとの絆の美しさ、そして手に汗握る結末――「本書は無冠だが、無冠の傑作として永く文学史に残るであろう」そう文芸評論家・縄田一男氏が絶賛し、作家自身が「最も自分自身を剥き出しにして書いたかもしれない」と語った、今村翔吾の原点ともいえる青春時代小説の傑作!
※この作品は単行本版『てらこや青義堂 師匠、走る』として配信されていた作品の文庫本版です。
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Posted by ブクログ
明暦2年、十蔵は日本橋松川町に寺子屋の青義堂を開いた。十蔵の寺子屋は安い。そして男女の別なく、どの身分でも入れる。
実は十蔵は伊賀者だった。神君家康公を本能寺の変からの逃走中にお守りして以来、部下に加えられた。今も大名家を探ったりする。というのに悪戯っ子達に水をかけられる失態をおかしたりする。
第1話 月岡鉄之助は剣術に打ち込みたいのだ。寺子屋で座っている場合ではない。しかし父は今のご時世剣だけでは食べていかれぬという。どうせ剣でも筆でも生きていかれぬ世の中だから、仕方ないと思うのだ。
母を飯盛女と求馬に侮辱されて、鉄之助は立ち会う気になった。青義堂を破門にしてもらわねばならない。十蔵がやってきて、刀を収めるように言われた。そしてなぜか、道場主の兵部衛と十蔵が戦うことになった。
第2話 吉太郎は無駄銭使いの名人である。今は着物に凝っている。最近はどうやらふらふら出歩いているようで、十蔵は後をつけることにした。紙屑拾いに扮する。吉太郎は橋の下の乞食達に菓子や餅を配り出した。吉太郎は親の稼いだ金を泡銭だと思っているらしい。ところが吉太郎は拐かされた。
第3話 源也の父大工の棟梁定一が、息子を辞めさせると乗り込んできた。そろそろ大工仕事を仕込みたいらしい。源也は友達もいるし、青義堂を辞めたくないという。源也は陸船車を作っていた。からくり師になりたいらしい。
源也、吉太郎、鉄之助がいなくなった。
第4話 千織が今日は女論語で文句を言わなかった。千織がおかしいのは、縁談のせいだった。ほぼ小大名に等しい1万6500石の松根城代村井家からである。聞き込みをしたところ、破談になるとの噂。私は男に生まれたかった。女の身では何者にもなれません。と千織はいう。あれこ」あって縁談は破談に。
第5話 昔から十蔵は秀でた忍びだった。23歳の時、殺しの命を受けた。その時に睦月と出会った。もらってやって欲しいと言われる。2人は結婚した。しかし忍びの妻子が狙われる事件が相次ぎ、別れてくれと頼む。隠密をやめて寺子屋をやることにする。
第6話 伊勢詣をこっそり筆子達が企んでいる。どうせならついていってくれないかと相談を受けた。千織まで行くらしい。ほぼ書き上がっている「隠密往来」を預ける。男の足なら15日。女の足なら20日。126里の道程である。費用は福助が出してくれた。しかし菰野に住む睦月に魔の手が迫っていることを知る。
第7話 子供達は十蔵を守るために走る。
Posted by ブクログ
疾走する如く読み切ってしまいました。色々と思考を巡らせることなく、今村さんが描かれているストーリーをそのままを読んで楽しめる。ワクワク、ハラハラ、ドキドキするのだけれど、決して期待が裏切られることがない。安心?して読み進められる感覚がとてもよかった。
江戸時代中期、田沼意次が老中となっていた頃の時世を背景に公儀隠密、侍、忍者といった武士階級。農民、商人、大工といった市政の人々が大活躍する大冒険活劇、といった作品。
元隠密であった寺子屋の師匠と筆子たちの師弟愛や夫婦愛を中心に据えてストーリーが展開されます。喜怒哀楽の様々な要素が組み込まれており、読むスピードを抑えることが難しかった。
今村さんの時代小説は作品ごとに異なる時世を背景にしつつも、人間の感情を巧みに操りながら心を揺さぶるような作品が多いと思っています。ただ、この作品は特にスピード感が半端ではありませんでした。
面白かったです。
Posted by ブクログ
内容(ブックデータベースより)
明和七年、太平の世となって久しい江戸・日本橋で寺子屋の師匠をつとめる坂入十蔵は、かつては凄腕と怖れられた公儀の隠密だった。
学問は苦手ながら剣術に秀でた才を持つ下級武士の息子・鉄之助、浪費癖のある呉服問屋の息子・吉太郎、極度のあがり症ながら手先の器用な大工の息子・源也など、さまざまな個性の筆子たちに寄りそう日々を送っていたが、藩の派閥争いに巻き込まれた筆子の一人、加賀藩士の娘・千織を助ける際、元忍びという自身の素性を明かすことになる。
年が明け、筆子たちのお伊勢参りに同道する十蔵の元に、将軍暗殺を企図する忍びの一団「宵闇」が公儀隠密をも狙っているという報せが届く。十蔵は、離縁していた妻・睦月の身にも危険が及ぶことを知って妻の里へ向かった。
哀しみに満ちた妻との出会いと別れ、筆子たちとの絆の美しさ、そして手に汗握る結末――「本書は無冠だが、無冠の傑作として永く文学史に残るであろう」そう文芸評論家・縄田一男氏が絶賛し、作家自身が「最も自分自身を剥き出しにして書いたかもしれない」と語った、今村翔吾の原点ともいえる青春時代小説の傑作!
令和5年2月10日~15日
Posted by ブクログ
面白かった!!
『塞王の楯』『ぼろ鳶シリーズ』も良かったけど、こちらも胸アツで良かったです。
寺子屋の先生をしている元隠密の十蔵とワケありの4人の生徒たち。
子どもの行動には理由がある。それをちゃんと受け止めてあげられる十蔵が素敵でした。
子どもたちが巻き起こす騒動と先生の織り成すストーリーから目が離せない。
そして、十蔵の過去である「公儀隠密」に絡んだ不穏な動き。
自分たちに出来ること、すべきことを考え行動する子どもたち。頭の回転、決断力、胆力、何もかもがすごすぎる…。
途中から手に汗握る展開で一気読み!
十蔵の内儀だった睦月さんもすごく素敵な女性でした。
十蔵と生徒たちの絆。友の絆。十蔵の生徒を見守る優しい眼差し。夫婦愛。
すべてが心に響きました。
本作もシリーズ化して欲しいくらいに面白かったです。
『人を想い、人のために生きる。それが大人になるということだ』
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