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Posted by ブクログ
いやー、安部公房の作品の中でよもやこんなに理解できないとは。自分の感性が死んだのかと不安になる。
ただ巻末の解説をよみ、「うわー!さすが安部先生!」となった。この小説は、分かりやすくてはいかん、順序立ててはだめなのだ。
まず時系列が掴みにくい。「今」か回想かの境が判別しにくく、全部読んでも半分位しか順序立てて整理できない。
そして地理関係の分かりにくさ。「旧病院跡」?「崖っぷちを切り抜いた商店街」?「中庭に面した6つに分かれた小部屋」?一文ずつ頭の中に地理を浮かべようとするが、すぐに矛盾が生じて追えなくなる。
このわからなさこそがこの作品の肝。論理立てて整理できないその混乱こそ、主人公が囚われている世界。
私は安部公房の描く「ナルシスト的孤独」が好きだ。ただこの作品は少し毛色が違うように思う。
いつもの主人公は、他者とのコミュニティから疎外されている。外界との繋がりに不具合が生じ、それを拗らせて精神世界に没入する。
だがこの作品の主人公は、むしろ周りからはどんどん関わりを持たれ、コミュニティに取り込まれようとしている。そしてとてもノーマルな人間だ。だけど最終的には孤独になっている。
「坩堝」、私はなんとなくそんな印象を受けた。何度も読み返す作品だ。
Posted by ブクログ
妻を救急車によって攫われた男がその行方を追うにつれ、組織としての病院と患者、そして医師に撹乱されていく話。「盗聴」という行為をもって、社会における性の統制と計画的な消費を断片的に描写しています。
もっともらしい言葉を使って概要を述べるのは簡単なのですが、ではこの作品は何を示したかったのか?といった部分に踏み込むと途端に手がかりが無くなってしまう。結果的には「閉鎖的な異常社会と外界にはあまり差は無い。」とか、胡散臭い感想をぼんやりと持つが、それだけで済むほど焦点は少なくない。
結局、一度二度読んだ程度では理解が難しい作品です。また、もしかすると点で読む作品では無く、安部公房の作品群として線で読む作品なのかもしれないなと思いました。(帰宅)
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小説・文芸
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