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ある夏の未明、突然やって来た救急車が妻を連れ去った。男は妻を捜して病院に辿りつくが、彼の行動は逐一盗聴マイクによって監視されている……。二本のペニスを持つ馬人間、出自が試験管の秘書、溶骨症の少女、〈仮面女〉など奇怪な人物とのかかわりに困惑する男の姿を通じて、巨大な病院の迷路に息づく絶望的な愛と快楽の光景を描き、野心的構成で出口のない現代人の地獄を浮き彫りにする。(解説・平岡篤頼)
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Posted by ブクログ
人間の歴史は逆進化の歴史。 発情の衰退(進化とも言える)と、嘘と本当と、記録と(時には嘘がある明日の新聞)、また見る見られるの不思議な関係、そして盗聴ポルノテープ。 何をしても明日には死んでる自分、手淫という行為という1人だけの密会。 イカれた現代の性。をさらに進めた密会の中。 全員が病気でこの世界...続きを読むは病院。いつのまにか僕も病人、このイカれた性の世界に取り込まれた。 夢の話のようで精神病のようでどこかで自分との親近も感じるストーリー。すごい。
愛と快楽にまみれた出口のない現代人の地獄… 虚無感、喪失感、絶望…なんとも言い難い感情を味わった。 馬人間、女秘書、溶骨症の少女、奇怪な人物を通して描かれる。 やはり安部公房先生の作品は衝撃的です。 ⚫︎良き医者は良き患者 ⚫︎動物の歴史が進化の歴史ならば、 人間の歴史は逆進化の歴史 ⚫︎明日...続きを読むの新聞に先を越され、ぼくは明日という過去の中で、何度も確実に死に続ける。やさしい一人だけの密会を抱きしめて…
いやー、安部公房の作品の中でよもやこんなに理解できないとは。自分の感性が死んだのかと不安になる。 ただ巻末の解説をよみ、「うわー!さすが安部先生!」となった。この小説は、分かりやすくてはいかん、順序立ててはだめなのだ。 まず時系列が掴みにくい。「今」か回想かの境が判別しにくく、全部読んでも半...続きを読む分位しか順序立てて整理できない。 そして地理関係の分かりにくさ。「旧病院跡」?「崖っぷちを切り抜いた商店街」?「中庭に面した6つに分かれた小部屋」?一文ずつ頭の中に地理を浮かべようとするが、すぐに矛盾が生じて追えなくなる。 このわからなさこそがこの作品の肝。論理立てて整理できないその混乱こそ、主人公が囚われている世界。 私は安部公房の描く「ナルシスト的孤独」が好きだ。ただこの作品は少し毛色が違うように思う。 いつもの主人公は、他者とのコミュニティから疎外されている。外界との繋がりに不具合が生じ、それを拗らせて精神世界に没入する。 だがこの作品の主人公は、むしろ周りからはどんどん関わりを持たれ、コミュニティに取り込まれようとしている。そしてとてもノーマルな人間だ。だけど最終的には孤独になっている。 「坩堝」、私はなんとなくそんな印象を受けた。何度も読み返す作品だ。
性描写のオンパレードの中に、グロテスクな描写あり。 時代背景としては、売春を筆頭に性行為が軽視され始め、スポーツ化したというところからこういった内容になったようですが、登場人物がカオス過ぎて惹かれる。 病院=社会、ということは混乱を意味しているよう。 迷路のような想像できない病院内や地下道は、そのま...続きを読むま社会への混乱に加えて先が見えないことを表しているのかも。 想像したらキリがないけど、ラストの安倍印も満足。
ぶっ飛んだカルト・ムービーのようでいて外れ過ぎないというか押さえているという稀有な作品。アングラっぽさが漂うもそこに逃げていない。この世界造形はさすが安部公房という感じ。小説表現の自由や可能性が感じさせる。巻末の平岡先生の解説もいい。
妻を救急車によって攫われた男がその行方を追うにつれ、組織としての病院と患者、そして医師に撹乱されていく話。「盗聴」という行為をもって、社会における性の統制と計画的な消費を断片的に描写しています。 もっともらしい言葉を使って概要を述べるのは簡単なのですが、ではこの作品は何を示したかったのか?といった...続きを読む部分に踏み込むと途端に手がかりが無くなってしまう。結果的には「閉鎖的な異常社会と外界にはあまり差は無い。」とか、胡散臭い感想をぼんやりと持つが、それだけで済むほど焦点は少なくない。 結局、一度二度読んだ程度では理解が難しい作品です。また、もしかすると点で読む作品では無く、安部公房の作品群として線で読む作品なのかもしれないなと思いました。(帰宅)
ここまでドギツイ性的描写ができるのはさすがです。 ややグロテスクな表現もあるので中々人にはお勧めできませんが、 安部公房作品が好きな方にはたまらない一作かと思います。
小説内で登場する架空の病院内および市街地がとても精密に描写されていることに驚いた。作者は当初地図を描いて載せようとしたほど(全集26・構造主義的な思考形式)作品内の空間設定が練られていることがわかる。 作品の冒頭は主人公の妻が連れ去られてから4日目の早朝、報告書というかたちで読者に提示される。そ...続きを読むれから最終章である「付記」の始まりまで主人公は病院に到着してからの経緯を薄暗い隠れ家(旧病院跡地)で報告書を書き続ける。主人公が過去の説明し終わる頃、やっと「付記」にて現在の時間が流れ出すが、最後の数ページで明日に追い越されてしまう。 このような時空の中に不気味で悲しい登場人物たちが無駄なく配置されている。相関図を書いてみるとわかるが本当によくできた関係だ。誰一人として矢印が向き合ったものがいない。人間関係の空しさが感じられる。 この作品に関しては本当によくできているとしか言いようがない。作品内世界の作りこみがハンパではないし、探偵小説の犯人捜しの要素もあるので読んでいて引き込まれる。最後のシーンの悲劇性も抜群にいい。
今回もなかなかの実験作。情景描写がとにかくわかりづらい。迷路のような病院を舞台にしてるだけあってか。それも作者の意図なのか。 砂の女や箱男のように、わからないなりにも理屈があるような作品とは違い、わからないのをそのままに楽しむことを求められる作品、な気がした。
特殊な方法で失踪した妻を探して男は病院へと潜り込む。盗聴という監視ネットワーク、医者という要望の権力者会の縮図の内外を出入りし、男は存在すらも怪しい目的を求めて彷徨い続ける。
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