小説・文芸 - 新潮文庫作品一覧

  • 隠蔽捜査(新潮文庫)
    続巻入荷
    4.3
    竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、衝撃の真相に気づいた。そんな折、竜崎は息子の犯罪行為を知る――。保身に走る上層部、上からの命令に苦慮する現場指揮官、混乱する捜査本部。孤立無援の男は、組織の威信を守ることができるのか? 吉川英治文学新人賞受賞の新・警察小説。

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  • 初陣―隠蔽捜査3.5―(新潮文庫)
    続巻入荷
    4.1
    警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。『隠蔽捜査』シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。 この作品は『初陣ー隠蔽捜査3・5ー』文庫版を底本とした電子版となります。重複購入とならないようご確認下さい。
  • 剣客商売一 剣客商売
    4.1
    勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ――剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る――田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ第1作。全7編収録。
  • 母の待つ里(新潮文庫)
    4.3
    40年ぶりに帰るふるさとで待っていたのは、初めて会う〈母〉だった――。大企業の社長として孤独を抱える松永徹。退職と同時に妻から離婚された室田精一。親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。人生に疲れた三人が選んだのは「里帰り」だった。囲炉裏端に並ぶ手料理や不思議な昔話。母と過ごす時間が三人を少しずつ変えていく……すべての人に贈る感涙の物語。ふるさとを、あなたへ。(解説・赤坂憲雄)
  • 正欲(新潮文庫)
    4.5
    自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
  • 檜垣澤家の炎上(新潮文庫)
    5.0
    1巻1,210円 (税込)
    横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。(解説・千街晶之)
  • ボッコちゃん
    4.1
    1巻616円 (税込)
    スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群! 日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。
  • 向日葵の咲かない夏
    3.7
    夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

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  • 国盗り物語(一~四) 合本版
    5.0
    世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「知恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を〈国盗り〉の拠点と定めた! 戦国の革命児斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守土岐頼芸の腹心として寵遇されるまでの若き日の策謀と活躍を、独自の史観と人間洞察によって描いた壮大な歴史物語。 ※当電子版は『国盗り物語』(一)~(四)の全四巻をまとめた合本版です。
  • 借金取りの王子-君たちに明日はない2-
    4.0
    2~7巻605~704円 (税込)
    「誰かが辞めなければならないなら、私、辞めます」企業のリストラを代行する会社で働く真介の今回の面接相手は――真面目で仕事もできるのになぜか辞めたがるデパガ、女性恐怖症の生保社員に、秘められた純愛に生きるサラ金勤めのイケメンなどなど、一筋縄ではいかない相手ばかり。八歳年上の陽子との恋も波瀾の予感!? 勤労者にパワーをくれる、笑って泣ける人気シリーズ、第二弾。

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  • 永遠のディーバ-君たちに明日はない4-
    4.0
    2~7巻605~704円 (税込)
    ※本作品は 2015年3月25日まで販売しておりました単行本版『勝ち逃げの女王-君たちに明日はない4-』の文庫改題版となります。 本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。 「おれはただ、ずっと自分を誤魔化(ごまか)してきただけだ」。リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、航空会社の勝ち組CA、楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、ファミレスの超優秀店長、おまけに、破綻した証券会社のOBたち。企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる? 全ての働き人たちにパワーを届ける、人気お仕事小説第4弾! 『勝ち逃げの女王』改題。
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
    4.4
    人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。(解説・日野剛広)
  • 海辺のカフカ(上下)合本版(新潮文庫)
    4.8
    1巻1,815円 (税込)
    「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。 ※当電子版は新潮文庫版『海辺のカフカ』上下巻をまとめた合本版です。
  • 楽園のカンヴァス
    4.5
    ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。
  • 箱男(新潮文庫)
    4.0
    ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。(解説・平岡篤頼)
  • 深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)【増補新版】
    4.0
    インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行ってみたい――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小(タイスウ)」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪の旅が今、幕を開けた。いざ、遠路二万キロ彼方のロンドンへ! 山口文憲氏との対談「出発の年齢」を収録。「あの旅をめぐるエッセイI 孤寒」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年七月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。
  • わたし、定時で帰ります。(新潮文庫)
    4.1
    1~3巻649~880円 (税込)
    絶対に定時で帰ると心に決めている会社員の東山結衣。非難されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。仕事中毒の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人……。様々な社員と格闘しながら自分を貫く彼女だが、無茶な仕事を振って部下を潰すと噂のブラック上司が現れて!? 働き方に悩むすべての会社員必読必涙の、全く新しいお仕事小説!
  • ねじまき鳥クロニクル(第1部~第3部)合本版(新潮文庫)
    4.0
    1巻2,607円 (税込)
    「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より) ※当電子版は新潮文庫版『ねじまき鳥クロニクル』第1部~第3部の全3巻をまとめた合本版です。
  • BUTTER(新潮文庫)
    4.0
    男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)
  • 夜のピクニック
    4.4
    1巻781円 (税込)
    高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
  • しゃばけ(新潮文庫)
    4.0
    1~20巻605~737円 (税込)
    江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。(解説・小谷真理)
  • ゴールデンスランバー(新潮文庫)
    4.2
    衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(解説・木村俊介)
  • 大家さんと僕(新潮文庫)
    4.6
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 都内にある木造2階建て一軒家。1階に大家のおばあさんが住み、2階を芸人の「僕」が間借り生活中。上品な大家さんの挨拶は「ごきげんよう」、好きなものは伊勢丹とNHKと羽生選手。誕生日にはおはぎにロウソクでお祝いをし、強風の日には飛ばされないよう支え合ってランチへ……。日本中がほっこり泣いて笑った、手塚治虫文化賞短編賞受賞の大ヒット日常マンガ。カラーイラスト8P収録! (解説・瀬尾まいこ) ※このコンテンツは固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 不毛地帯 第一巻
    4.4
    1~5巻825~902円 (税込)
    拷問、飢餓、強制労働――11年に及ぶ地獄のシベリア抑留から生還した壹岐正は、第2の人生を商社マンとして生きる事を決意する。「商戦」という新たな戦いに身を投じ、戦後日本の高度成長を陰に陽に担った男を活写する、記念碑的長編。

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  • 極限団地―一九六一 東京ハウス―(新潮文庫)
    NEW
    -
    古きよき昭和の生活を体験してみませんか? 謝礼500万円をお支払いいたします――。リアリティショーの出演者公募で選ばれた二組の家族と番組スタッフは築60年の広大な団地に集結した。質素ながらも夢と希望にあふれる暮らし……のはずが、待っていたのは悲惨な環境だった。不倫、失踪、そして忌まわしい過去。押し寄せる惨劇に呆然必至の長編ミステリ!『一九六一 東京ハウス』改題。
  • 天命探偵シリーズ(全7巻)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻5,170円 (税込)
    真田省吾、職業は探偵。養護施設で育ち、元警視庁の敏腕刑事に拾われ事務所に住み込みで働いていた。ある日、謎の美少女から奇妙な依頼が持ち込まれる。「私の夢の中で殺される人を助けて」。彼女は人の死を予見する能力を持ち、それが現実になる可能性、これまで100%──この予知夢に法則はあるのか、そして運命は変えられるのか? 人気絶頂アクション・クライムミステリー!(『タイム・ラッシュ―天命探偵 真田省吾―』の内容紹介文より) ※当電子版は新潮文庫版『天命探偵』シリーズ全7巻をまとめた合本版です。
  • 火のないところに煙は(新潮文庫)
    3.8
    1巻649円 (税込)
    「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。心に封印し続けた悲劇は、まさにその地で起こったのだ。私は迷いつつも、真実を求めて執筆するが……。評判の占い師、悪夢が憑く家、鏡に映る見知らぬ子。怪異が怪異を呼びながら、謎と恐怖が絡み合い、直視できない真相へとひた走る。読み終えたとき、それはもはや他人事ではない。ミステリと実話怪談の奇跡的融合。(解説・千街晶之)
  • 砂の女(新潮文庫)
    4.3
    砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。(解説・ドナルド・キーン)
  • 砂の器(上)
    4.1
    1~2巻693~737円 (税込)
    東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。 映画でもドラマでも大ヒットした社会派ミステリー。

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  • 新史 太閤記(上下) 合本版
    5.0
    日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。 ※当電子版は『新史 太閤記』(上)(下)の全二巻をまとめた合本版です。
  • 愛に乱暴(上)(新潮文庫)
    3.6
    1~2巻539円 (税込)
    初瀬(はせ)桃子は結婚八年目の子供のいない主婦。夫・真守の両親が住む母屋の離れで暮らし、週に一度、手作り石鹸教室の講師をしている。そんな折、義父の宗一郎が脳梗塞で倒れた。うろたえる義母・照子の手伝いに忙しくなった桃子に、一本の無言電話がかかる。受話器の向こうで微かに響く声、あれは夫では? 平穏だった桃子の日常は揺らぎ始め、日々綴られる日記にも浮気相手の影がしのびよる。
  • 雷神(新潮文庫)
    4.2
    あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかった――。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人(ゆきひと)を襲った脅迫電話。電話の主が店に現れた翌日、娘の夕見(ゆみ)から遠出の提案を受ける。新潟県羽田上(はたがみ)村――幸人と姉・亜沙実の故郷であり、痛ましい記憶を封じ込めた地だった。母の急死と村の有力者の毒殺事件。幸人らが村を訪れると、凄惨な過去が目を醒まし……。最後の一行まで最上級の驚愕が続くミステリ。(解説・香山二三郎)
  • 室町無頼(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻1,342円 (税込)
    応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵は骨皮道賢に見込まれる。道賢はならず者の頭目でありながら、幕府から市中警護役を任される素性の知れぬ男。やがて才蔵は、蓮田兵衛に預けられる。兵衛もまた、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒。二人から世を教えられ、凄絶な棒術修業の果て、才蔵は生きる力を身に着けていく。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。 ※当電子版は新潮文庫版『室町無頼』上下巻をまとめた合本版です。
  • 儚い羊たちの祝宴
    4.1
    夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。
  • ぎょらん(新潮文庫)
    4.4
    人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
  • 管見妄語 大いなる暗愚
    完結
    4.0
    郵政民営化も時価会計も医療改革も市場主義万能論も米国の策略である。Jリーガーよ、紳士たれ。政治家は国民に迎合するな──国を憂えるプロフェッサー藤原は、日本人に警鐘を鳴らす一方でギョウザ、英国人の美風、文語、浮世絵、健気な教え子、ひばりの歌……素晴らしいものは褒めちぎる。勿論、自らの魅力に満ちた風貌と人格を自覚し、ハニートラップへの注意も怠りないのであった。
  • 面白南極料理人シリーズ(全4巻)合本版(新潮文庫)
    -
    ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮した抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。 ※当電子版は新潮文庫版『面白南極料理人』シリーズ全四巻をまとめた合本版です。
  • 夜が明ける(新潮文庫)
    3.8
    15歳のとき、俺はアキに出会った。191センチの巨体で、フィンランドの異形の俳優にそっくりなアキと俺は、急速に親しくなった。やがてアキは演劇を志し、大学を卒業した俺はテレビ業界に就職。親を亡くしても、仕事は過酷でも、若い俺たちは希望に満ち溢れていた。それなのに――。この夜は、本当に明けるのだろうか。苛烈すぎる時代に放り出された傷だらけの男二人、その友情と救済の物語。(対談・小泉今日子)
  • 滅私(新潮文庫)
    4.0
    愛着が湧く前に捨てる。それが鉄則だ――。ライター業のかたわら、ミニマリストな生活を発信する男、冴津。貰った物は家に帰ると捨て、家具や服は極力減らし、無駄を削ぎ落すことを追求する日々。そんな「身軽生活」を体現する彼の前に現れた“かつての自分”を知る男。その出会いは記憶の暗部を呼び起こし、信じていた世界を徐々に崩壊させていく。芥川賞作家が放つ、不穏でスリリングな超問題作。
  • 公孫龍 巻一 青龍篇(新潮文庫)
    5.0
    1~2巻737円 (税込)
    中国戦国時代、人質として周から燕に送られることとなった十八歳の王子稜(りょう)。父赧王の燕王宛ての書翰に、己を殺すようにと書かれているのを知った稜は愕然とする。王宮内の陰謀に巻き込まれたことを悟った稜は、山賊の襲撃から救った強国趙の幼き二公子の求めに応じ、商人「公孫龍(こうそんりょう)」として趙の都邯鄲(かんたん)を目指すことに。群雄割拠の乱世に颯爽と現れた青年の成長を描く波乱万丈の大河歴史小説開幕。
  • ドイル傑作集 冒険編
    -
    コナン・ドイルはホームズシリーズの数倍にもおよぶ作品をのこしている。ここには、冒険をテーマにした短編を収録した。エジプト山岳地帯での実に滑稽な冒険談「ヒラリ・ジョイス中尉の初陣」、山奥の孤独な放浪者を驚惑させたひとつの不条理な人生図「ガスタ山の医師」、ジプシー部落での武勇伝「借りものの情景」、荒海の冒険「アーケーンジェルから来た男」、世紀の発明をめぐる皮肉な結末「ブラウン・ペリコード発動機」、著者の若いころの感傷的な作品「開かずの部屋」の6編。
  • #真相をお話しします(新潮文庫)
    3.5
    島育ちの仲良し小学生四人組。あの日「ゆーちゅーばー」になることを夢見た僕らの末路は……(「#拡散希望」)。マッチングアプリでパパ活。リモート飲み会と三角関係。中学受験と家庭教師。精子提供と殺人鬼。日常に潜む「何かがおかしい」。その違和感にあなたは気づくことができるか。新時代のミステリの旗手による、どんでん返しの五連撃。日本推理作家協会賞受賞作を含む、傑作短編集。(解説・村上貴史)
  • ルビンの壺が割れた(新潮文庫)
    3.9
    「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!(解説・西山奈々子)
  • ツナグ(新潮文庫)
    4.3
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫)
    4.7
    1巻1,661円 (税込)
    高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。 ※当電子版は新潮文庫版『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』上下巻をまとめた合本版です。
  • 出版禁止(新潮文庫)
    3.8
    著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー。
  • 軍艦長門の生涯(上中下) 合本版
    5.0
    総排水量4万3千トン、40サンチ砲8門搭載、最高速力26.7ノット。世界最大・最強・最高速の戦艦としてその威容を誇った軍艦長門は、帝国海軍の栄光と矛盾を一身に背負って激動の大正・昭和期を生きた。連合艦隊が壊滅し、ただ一隻生き残った長門を、敗戦後待ちうけていたのは劇的な終焉……。一隻の軍艦の生涯を通して今よみがえる、“あの時代”の日本と日本人の一大スペクタクル! ※当電子版は『軍艦長門の生涯』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
  • 噂

    4.1
    「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。
  • 関ヶ原(上中下) 合本版
    4.4
    東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか? ※当電子版は『関ヶ原』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
  • きみはポラリス(新潮文庫)
    3.7
    どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛……言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている――。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。(解説・中村うさぎ)
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)
    4.7
    箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。(解説・最相葉月)
  • 葬送 第一部(上)
    4.0
    1~4巻583~704円 (税込)
    ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。

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  • 新三河物語(上中下)合本版(新潮文庫)
    -
    永禄3年(1560年)、織田信長の急襲に遭って、今川義元は桶狭間に斃れた。義元に頤使されていた松平元康(家康)は父祖の地、西三河は岡崎城に戻り、悲願の独立を果たす。だが息継ぐ間もなく、一向一揆が勃発。血縁者が敵味方に分かれ、相争う国力消耗の未曾有の事態から家康を救ったのは大久保忠俊(常源)だった。忠俊率いる大久保一党の決死の進退が深く胸を打つ戦国歴史小説の巨編。 ※当電子版は新潮文庫版『新三河物語』上中下巻をまとめた合本版です。
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)
    4.3
    中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
  • 旅のラゴス(新潮文庫)
    4.0
    北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
  • 満願(新潮文庫)
    3.9
    「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
  • 真田太平記(一)天魔の夏
    4.1
    天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍によって戦国随一の精強さを誇った武田軍団が滅ぼされ、宿将真田昌幸は上・信二州に孤立、試練の時を迎えたところからこの長い物語は始まる。武勇と知謀に長けた昌幸は、天下の帰趨を探るべく手飼いの真田忍びたちを四方に飛ばせ、新しい時代の主・織田信長にいったんは臣従するのだが、その夏、またも驚天動地の時代が待ちうけていた。全12冊。

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  • 君が夏を走らせる(新潮文庫)
    4.4
    ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて――。きっと忘れないよ、ありがとう。二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。(解説・あさのあつこ)
  • 高虎と天海(新潮文庫)
    -
    1巻737円 (税込)
    六尺二寸の巨躯にして全身に九十九の傷を持つ戦国屈指の荒武者・藤堂高虎。徳川家康を天下人と見定め家来として仕えることにした高虎は、関ヶ原合戦勝利祝賀の席で、その博識と器量を家康に認められた喜多院の僧侶・天海と共に天下安寧を目指す。島左近の暗躍、風魔対伊賀者の諜報合戦、魑魅魍魎渦巻く朝廷対策、そして大坂の陣。徳川幕府の礎を築いた二人の智略と交友を描く書下ろし小説。
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    4.0
    私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー……。'80年代アメリカ文学の代表的作品!(解説・伊井直行/三浦雅士)
  • 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)
    4.1
    セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ……。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。(解説・小池真理子)
  • 死の貝―日本住血吸虫症との闘い―(新潮文庫)
    4.4
    腹に水がたまって妊婦のように膨らみ、やがて動けなくなって死に至る――古来より日本各地で発生した「謎の病」。原因も治療法も分からず、その地に嫁ぐときは「棺桶を背負って行け」といわれるほどだった。この病を克服するため医師たちが立ち上がる。そして未知の寄生虫が原因ではないかと疑われ始め……。のちに「日本住血吸虫症」と呼ばれる病との闘いを記録した傑作ノンフィクション。(解説・飯島渉)
  • 神の棘I
    4.2
    1~2巻825~979円 (税込)
    家族を悲劇的に失い、神に身を捧げる修道士となった、マティアス。怜悧な頭脳を活かすため、親衛隊に入隊したアルベルト。寄宿舎で同じ時を過ごした旧友が再会したその日、二つの真の運命が目を覚ます。独裁者が招いた戦乱。ユダヤ人に襲いかかる魔手。信仰、懐疑、友愛、裏切り。ナチス政権下ドイツを舞台に、様々な男女によって織りなされる、歴史オデッセイ。全面改訂決定版。
  • 罪と罰(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。 ※当電子版は新潮文庫版『罪と罰』上下巻をまとめた合本版です。
  • ザ・ロイヤルファミリー(新潮文庫)
    4.2
    お前に一つだけ伝えておく。絶対に俺を裏切るな――。父を亡くし、空虚な心を持て余した税理士の栗須栄治はビギナーズラックで当てた馬券を縁に、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」のワンマン社長・山王耕造の秘書として働くことに。競馬に熱中し、〈ロイヤル〉の名を冠した馬の勝利を求める山王と共に有馬記念を目指し……。馬主一家の波瀾に満ちた20年間を描く長編。山本周五郎賞受賞作!(解説・今野敏)
  • オーデュボンの祈り
    4.2
    コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか? 伊坂幸太郎、伝説のデビュー作見参!
  • カラマーゾフの兄弟(上)
    4.3
    物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。
  • 采女の怨霊―小余綾俊輔の不在講義―(新潮文庫)
    4.0
    奈良・猿沢池の畔に鎮座する「采女神社」は池に背を向け、平素は固く門を閉ざしている。昔、入水した采女の霊を慰める祭では、門が開かれるというのだが……。そもそも、なぜ下級女官の鎮魂が連綿と続いているのか。春日大社から壬申の乱、皇位継承の闇、平城京の怨霊封じに続く謎。民俗学者、小余綾俊輔の推理が、隠された古代史を解き明かす。鍵を握る采女とは何者か。歴史真相ミステリー。(解説・北夏輝)
  • 白い巨塔(一~五) 合本版
    5.0
    1巻3,377円 (税込)
    国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。華麗なるメスさばきでマスコミでも脚光を浴びる彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌悪し、他大学からの招聘を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとするが…。教授選挙に絡む利権をめぐり蠢く人間模様を描いた医療サスペンスの傑作! ※当電子版は『白い巨塔』(一)~(五)の全五巻をまとめた合本版です。
  • 何者
    3.8
    就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
  • ボトルネック
    3.8
    亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
  • この気持ちもいつか忘れる(新潮文庫)
    3.8
    毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。(解説・菅波栄純)
  • 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)
    NEW
    -
    生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない――。長年、内面を明かさなかった作家が明かしたその思想。1980年代に語られた言葉の数々は、今なお社会の本質を射抜き、我々への啓示へと変貌する。国家、言語、儀式、芸術、科学、果たして安部公房は何を考えていたのか。エッセイ、インタビュー、日記など多様な表現を通して、世界的作家の隠された素顔に迫る。(解説・養老孟司、鳥羽耕史)
  • 野火
    4.1
    敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。
  • 文人暴食
    4.1
    野人・怪人と謳われた南方熊楠の好物はアンパン。本職が牛乳屋の伊藤左千夫は丼飯に牛乳をかけてもりもり食べたそうな。人肉嗜好の金子光晴は口腔内の頬肉を食いちぎって試食したというから驚きだ。そして美食家の折口信夫は若い頃のコカイン常用で殆ど嗅覚がなかったし、アル中の極みは若山牧水だった。ああ、食は人なり。三十七文人の食癖にみる近代文学史。『文人悪食』の続編。
  • シャーロック・ホームズの帰還
    4.0
    自ら歴史小説家と称していたドイルは『最後の事件』をもってホームズ物語を終了しようとした。しかし読者からの強い要望に応え、巧妙なトリックを用いて、滝壺に転落死したはずのホームズを“帰還”させたのである。本編はホームズ物語の第三短編集で、帰還後第一の事件を取上げた「空家の冒険」をはじめ、「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」など、いよいよ円熟した筆で読者を魅了する。
  • 国盗り物語(一)
    4.4
    世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「知恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を〈国盗り〉の拠点と定めた! 戦国の革命児斎藤道三が、一介の牢人から美濃国守土岐頼芸の腹心として寵遇されるまでの若き日の策謀と活躍を、独自の史観と人間洞察によって描いた壮大な歴史物語の緒編。
  • 博士の愛した数式
    4.3
    [ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。寺尾聰主演の映画原作。

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  • 壁(新潮文庫)
    4.3
    ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った野心作。(解説・佐々木基一)
  • 孤高の人(上)
    4.4
    1~2巻737円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
  • シャーロック・ホームズの思い出
    4.1
    逞しく男らしい生涯を送った老人の暗い過去を、その刺青に読みとったホームズ……。探偵を生涯の仕事と決する機縁となった「グロリア・スコット号」事件をはじめとして、名馬の失踪とその調教師の死のからくりを解明する「白銀号事件」、もっとも危険な犯罪王と時代にぬきんでた大探偵との決死の対決を描く「最後の事件」など、ホームズの魅力を遺憾なく伝える第二短編集。
  • 後宮小説
    4.0
    時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに……。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。
  • 苦役列車(新潮文庫)
    4.1
    劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
  • アメリカひじき・火垂るの墓
    4.0
    昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。シラミだらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ4歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしく飛び交った……戦後どれだけの時間が過ぎようと、読む度に胸が締め付けられる永遠の名作『火垂るの墓』をはじめ全6編を収載。

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  • 一夢庵風流記
    4.3
    戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。

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  • いちばん長い夜に
    4.0
    ペットの洋服作りの仕事が軌道に乗ってきた芭子と、パン職人の道を邁進する綾香。暗い場所で出会い、暗い過去を抱えながら、支え合って生きてきた。小さな喜びを大切にし、地に足のついた日々を過ごしていた二人だったが、あの大きな出来事がそれぞれの人生を静かに変えていく。彼女たちはどんな幸せをつかまえるのだろうか――。心を優しく包み込む人気シリーズ、感動の完結編。
  • ツナグ 想い人の心得(新潮文庫)
    4.3
    僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(解説・深木章子)
  • 砂の器(上下)合本版(新潮文庫)
    5.0
    1巻1,430円 (税込)
    東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。 映画でもドラマでも大ヒットした社会派ミステリー。 ※当電子版は新潮文庫版『砂の器』上下巻をまとめた合本版です。
  • 北の海(上)
    4.0
    1~2巻649~737円 (税込)
    幼少期から祖母に預けられ、家庭の雰囲気というものを知らずに育った洪作は、高校受験に失敗し、ひとり沼津で過ごす。両親がいる台北に行くべきだという周囲の意見をかわし、暇つぶしに母校へ柔道の練習に通ううちに、〈練習量がすべてを決定する柔道〉という四高柔道部員の言葉に魅了され、まだ入学もしていない金沢へ向かう。──『しろばんば』『夏草冬濤』につづく自伝的長編。
  • シャーロック・ホームズの事件簿
    4.0
    端正で知的な顔の背後に地獄の残忍性を忍ばせた恐るべき犯罪貴族グルーナー男爵との対決を描く「高名な依頼人」。等身大の精巧な人形を用いて犯人の心理を攪乱させ、みごと、盗まれた王冠ダイヤを取戻す「マザリンの宝石」。収集狂の孤独な老人がその風変りな姓ゆえに巻込まれた奇妙な遺産相続事件のからくりを解く「三人ガリデブ」。ますます円熟した筆で描く最後の短編集である。
  • ジェーン・エア(上)
    4.4
    孤児として、伯母に育てられたジェーンは、虐待され、ローウッド寄宿学校にいれられる。そこで八年を過した後、広告を出し家庭教師として赴いた先に居たのは子供と家政婦だけだった。散歩の途中助けた人物こそ、屋敷の主人ロチェスターであると知ったジェーンは、彼と名門の貴婦人とのロマンスを聞き、胸が騒ぐ。

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  • けものみち(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻1,386円 (税込)
    割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。 ※当電子版は新潮文庫版『けものみち』上下巻をまとめた合本版です。
  • 画家とモデル―宿命の出会い―(新潮文庫)
    値引きあり
    4.0
    生涯独身を貫き、人知れず青年のヌードを描いたイギリス屈指の肖像画家サージェント。身分違いの女公爵への恋文を絵に潜ませた宮廷画家ゴヤ。遺伝性疾患のために「半人半獣」と蔑まれた少女を描いたイタリアの画家フォンターナ。15年にわたり人妻と密会して描き続けたリアリズムの巨匠ワイエス……。不世出の画家たちが画布に刻みつけた、モデルとの濃厚にして深淵なる関係を読み解いた論集。(解説・諏訪敦)
  • 約束の海
    4.1
    海上自衛隊の潜水艦「くにしお」と釣り船が衝突、多数の犠牲者が出る惨事に。マスコミの批判、遺族対応、海難審判……若き乗組員・花巻朔太郎二尉は苛酷な試練に直面する。真珠湾攻撃時に米軍の捕虜第一号となった旧帝国海軍少尉を父に持つ花巻。時代に翻弄され、抗う父子百年の物語が幕を開ける。自衛隊とは、平和とは、戦争とは。構想三十年、国民作家が遺した最後の傑作長篇小説。
  • 龍神の雨
    3.8
    添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に遭わせたから。――そして、死は訪れた。降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか? あなたの胸に永劫に刻まれるミステリ。大藪春彦賞受賞作。
  • 影武者徳川家康(上中下) 合本版
    5.0
    慶長五年関ヶ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された! 家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者、只者ではなかった。かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人」であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ……。 ※当電子版は『影武者徳川家康』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
  • ファウスト(一)
    4.1
    1~2巻693~869円 (税込)
    世界の根源を究めようとする超人的欲求をいだいて、ファウストは町へ出る。理想と現実との乖離に悩む彼の前に、悪魔メフィストーフェレスが出現、この世で面白い目をみせるかわりに、死んだら魂を貰いたい、と申出る。強い意志と努力を信じる彼は契約を結び、若返りの秘薬を飲まされて、少女グレートヒェンに恋をするが――前後六十年の歳月をかけて完成された大作の第一部。
  • かげろう絵図(上)
    -
    江戸城花見の宴で催された歌くらべで、前将軍家斉の寵愛する中臈(ちゅうろう)多喜の方は、大奥の実力者お美代の方に勝つ。が、その直後、歌の短冊を桜の小枝に結ぼうとした多喜の方は、踏台から転倒し、流産して死んでしまう。お美代の方の養父中野石翁は、すでに隠居した身でありながら、絶対権力を握る大御所家斉の信寵を得ているのであった……。江戸城大奥と絡む陰湿な政治闘争が展開する。

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  • おせん
    4.1
    〔けころ〕とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。それがその男の口ぐせとも知らず“不作の生大根”という罵言にかっとなり、思わず殺してしまった世間知らずの娘の、その後の人生を追った「三河屋お長」。ほかに「あいびき」「お千代」「梅屋のおしげ」など全13編収録。
  • 雄気堂々(上)
    4.3
    1~2巻704~748円 (税込)
    近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊皇攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。

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