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19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もどってきた平和な暮しのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描きだすところから物語の幕があがる。
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Posted by ブクログ
ナポレオンのロシア侵攻を取り上げたトルストイの小説第1巻。全部で4巻。自分をだまして結婚する生活の虚しさや、戦争の愚かさが感じ取れる。戦闘の場面と、日常の場面の切り替えがあるため状況をつかみづらいと感じたところもあるが、時系列で進んでいると思って読んだので問題はなかった模様。
たぶんこの小説の主人公は「戦争」と「平和」なのだろう。しかし長くて登場人物が多いので、読みとったあらすじを書いておいたほうがよく理解できると思うので。(まっさらな気持ちでこの小説を読もうと思う方はこれを読まないほうがいいかも。) 「第一巻 第一部」 アウステリッツの戦いでナポレオンに負ける前...続きを読むのロシア帝国、ペテルブルグやモスクワの貴族社交界は爛熟していた。 貴賓の館で開かれるたびたびの夜会では、ナポレオン戦争の話題と権力出世お金をめぐって権謀術数が繰り広げられていた。 中心人物はワシーリィ公爵。皇帝の顕官でありながら手元不如意。なぜならアナトーリとイッポリットいう二人の不肖の息子がいてお金がかかるのだ。頼みは美しい令嬢娘エレン。よろしき縁談求めて息子、娘をどうしてくれようかとてぐすね引いている。またはお金持ちの知人、ベズウーホフ伯爵の遺産をめぐって画策もしている。 もうひとりのやり手は零落しているドベルツコーイ公爵未亡人。愛息ボリスのためにあらゆるつてを使って出世や入用のお金を得る、たいしたお方。 財産家瀕死の老ベズウーホフ伯爵にはピエールという庶子がいる。外国で教育を受けさせ、溺愛しているために遺産と爵号を継がせたい。けれどピエールの性格純情無垢。 ピエール親友にアンドレイ・ボルコンスキー公爵。シニカルで人を寄せつけないようなところもある。やはり裕福、父が旧人で変わり者隠棲している。禿山という所で父にかしずき引き込んでいる妹マリヤは不美人のうわさ。 アンドレイはリーザと結婚しているが、一年も経たないうちに不仲の模様。ピエールの将来を心配し、かつ結婚はしない方がいいと忠告のアンドレイに心酔すれど、ワシーリイ公爵息子の悪友アナトーリワシーリイ・クラーギンの宴会も魅力のピエール。大騒ぎが繰り広げられる。そこで出会ったドーロホフという粗暴な若者も立身出世の権化、あらゆるところで頭角をあらわす。 一方、モスクワのロストフ伯爵家。破綻しかかっている家計ながら当主磊落。子供多し。ヴェーラ、ニコライ、ナターシャ、ペトルーシャ、従姉のソーニャ。 ロストフ伯爵家で催す晩餐会の最中、ナポレオンとの宣戦布告話題となる。ニコライ、ボリス出征の予定。家族、恋人への別れ。 まわりの醜い画策の渦中、老ベズウーホフ伯爵死す。ピエール、莫大な財産を継ぎ若ベズウーホフ伯爵となる。 アンドレイも出征のため妻を禿山に預け、父、妹マリヤに別れを告げる。 ***** アンドレイのニヒルさ、ニコライの若き情熱、ピエールの不安定な心情に興味を覚える。でもまわりで揺曳する老練なやからのおもしろいこと、ったら!
天然なヤツ、嫌味なヤツ、人生舐めているヤツ、 ゾロゾロ出てくる登場人物。 しかし、不思議に憎めない。 それぞれが、自分の生を生きている印象を受ける。 ちょっとした、仕草でキャラを描ききるのが 文豪の筆力か。 高尚な哲学的な展開を想像していたら 生々しいまでに人間的。 あと三冊も一息に読めそう。 ...続きを読む(ロシア人の名前は覚えにくく、誰だっけと思っても、 勢いで読んで、「ああ、あいつか」と思い出すくらいで読むのがコツ?)
学生時代に読んでてよかった。 夢中でトルストイにハマったのは正解 今だと戦争と平和、アンナカレーニナ、 復活とロシア文学にハマるほど エネルギーがないわ 大作に挑戦するのは大切だ。 心に今も残ってる。
アンナカレーニナが面白かったので、続けて手に取ったこの本。登場人物と人間関係が把握できるまで少し我慢が必要だが、その後はすっと話に入っていけた。後半はのめり込みすぎて、終わるのが勿体無い!という気持ちを久しぶりに味わった。大満足。
オシャレやファッションが好きな人は「オシャレis我慢」と言うそうです。寒かったり、ちょっとキツかったりするのを、我慢しないとね、ということなんでしょうね。 ホントのところで言うと、読書でも何でも、色んな趣味も、やっぱり我慢が大事です(笑)。ほんとにヨロコビを得るためには。 (ってまあ、半分冗談で...続きを読むすけど、そういうと人間関係も仕事も家族関係も、恋愛も、なんでもそうなのかも知れませんねえ…) # やっぱり19世紀の小説ですから。 うーん。冒頭は若干入りにくいかもですね。 僕の個人的な方法論としては「もう、4割くらいはなんだか分かんないけど、分かんないまま読み飛ばしていく」というのが常です。 1巻だけで文庫本670ページくらいなんですが、400ページくらい過ぎると、俄然面白くなってきました。 そこまでは、我慢。 我慢があるから、大きな喜びがありますね。 # 実に面白い小説。 トルストイさん、凄い。凄いです。 以前「アンナ・カレーニナ」も面白かったのですが、コッチのほうが面白い。 おそろしい小説家ですね。トルストイさん。 この人とドストエフスキーさんがいたんだから、19世紀ロシア文学っていうのは、奇跡のような輝きですね。 # お話は、1804年くらいから始まります。 アウステルリッツの戦いの年です。 アウステルリッツの戦いというのは、ナポレオンと、「反ナポレオン同盟」との、関ヶ原さながらの野戦、一大決戦。ナポレオンの圧勝に終わっています。 # 1789年が、フランス革命が始まった年です。簡単に言うと、それまではヨーロッパ中で、 「王様とか皇帝を頭にして、貴族が居て、貴族が貴族だからという理由で巨大な土地や財産を所有して、世襲していて、その他はほとんど貧しい農民でした」 というのが当たり前の時代だったんですね。 戦争っていうのも、貴族たちが大まかやっている訳です。その銃卒とか下僕とかはまあ、庶民ですが、「徴兵制度」って言うのは無いんですね。 そして極端に言うと、戦争するのも、「まあ春からだよね」みたいな暗黙の了解があったり。今から考えると牧歌的だったわけです。 これが、1500年代〜1700年代にかけて、色々変わってくるわけです。 例えば、銃が出来る。大砲が出来る。印刷技術。そういう科学の側からの変革もあります。 蒸気機関が出来る。工業が栄える。 イギリスでまずそれが発達して、植民地を持っている、ということの旨味が飛躍的に変化してきます。略奪して奴隷を奪うだけぢゃなくて、「自国の製品を売りつける。巨万の富を得る」という国家経営です。産業革命です。 そうなると、「商人」「都市生活者」が発生します。都会で知的活動をして、文字を読む人々です。同時に都市の時間労働者も発生します。貧民、治安の悪化、などなど。 富裕層、貴族階級を相手に、活版印刷が出来る。プロテスタントが台頭する。ジャーナリズムが出来る。 そして、そんな流れの中でとうとうフランス革命が起こります。太陽王ルイ14世以来、文化や品格の面では欧州の勝ち組であり、あこがれであったフランス。そのフランスで共和制が産声を上げます。「自由、平等、博愛」という流れが出てきます。 ※一方で、アメリカ。僻地であったゆえに、王侯貴族の既得権という歴史の積み重ねの重みから自由だったんでしょう。言ってみれば商人たちの都合から、いち早く「世襲の王権が無い国家」と実現しています。アメリカ独立宣言1776年ですね。共和制国家誕生。この影響も少なくなかったと思います。 # フランス革命に、ヨーロッパ全土がびっくりします。 ここで興味深いのは、ドイツもロシアも「共和制っていうのは困るよ」という、切れば血が出る感情がある訳です。これは、一時期の「とにかく共産主義とか社会主義とかっていうの考え方自体が困るんだよ。思想自体を悪として弾圧しなきゃ」という考え方と似ていますね。あるいは、今でも、というべきか。。。 ところが、この頃に産業革命をいち早く進行していて、いちばん金持ちで、いちばん強い海軍、軍事力を持っていた、イギリス。このイギリスは、おそらく産業革命という、国家自体のヤクザ商法的な経営を滑らかに行うために、ドイツやロシアや革命前のフランスとは違って、「王様の絶対君主制」みたいなものを、内部で緩やかに解体していました。 言ってみれば、王様はいるんだけど、実態は、今の日本みたいに王様はほぼお飾りで。国家の経営自体は議会や政治家が、世襲ではなく行っていたんですね。 *ただ一方で、市民革命をハードに行わずに移行しちゃったので。巨万の富は一部の事実上世襲の貴族(あるいはかつて貴族だった人々)が独占し続ける、という流れが21世紀現在まで強く残ってしまっているんだと思います。日本の「勝ち組負け組の緩やかな世襲状態」よりも、シビアで強烈な「階級」が現在でも事実上、ありますね。 # それはさておき閑話休題。 小説「戦争と平和」。 1789年にフランス革命がはじまります。 大まかに言うと、その後、ドイツ、イギリス、オーストリア、ロシアなどが、続々と革命を潰すためにフランスと戦争状態になります。 混乱の10年の後、フランスは、ナポレオンが戦力を握ります。皇帝に即位します。ここンところが僕らにはわかりにくいんですが、ナポレオンは皇帝に即位したんだけど、行政改革、国家の仕組みのガラガラポンについては、「フランス革命」を遂行したんですね。ただ、そのために強力な独裁権力がないと、革命を進行できない。なので、皇帝になっちゃった。 というわけで、「自由平等博愛を掲げる革命皇帝ナポレオン」なんです。 だから、欧州各国との敵対は続くんです。 いちばんお金持ちの、ナポレオンの宿敵、イギリス。 ナポレオンはイギリスに進行したかったんですが、なにぶん、とにかくイギリスの海軍が強すぎて、ドーバー海峡を渡れない。 その代わり、陸戦では、天才軍事リーダーであるナポレオンは、大まかに言うと百戦百勝、負け知らず。 イタリアもオーストリアもプロイセンも押し返し跳ね返し、どんどん征服していきます。そして征服地では、「王権絶対封建制」から「共和制」へと行政転換していきます。だから、各地で貴族階級はともかく、商人階級市民階級、それからインテリ貴族の間では、「ナポレオンってやっぱ、かっこいいよね」という意見もあったわけです。 ナポレオンが皇帝になった翌年。1804年。オーストリア、プロイセン、ロシアの「反ナポレオン同盟」は、イギリスを仲間にして、ナポレオンと一大決戦を迎えようとしています。決戦の場所は、プロイセンかオーストリアか。 という状況でのロシアで始まるのが、物語「戦争と平和」。 # ピエール・ベズウーホフ。 ロシア有数の金持ち貴族の、庶子。大柄で肥満でがさつで、女にもてません。 生きるには困らないくらいのささやかな財産を与えられて、無軌道な青春、自分探しの放蕩を繰り返していた、インテリ青年。 だがしかし運命は一転。まさかまさか、父が死んだときに、並居る相続権利者の中で、ピエールに全てを残したのです。 一夜にして、ロシア有数の資産家になります。 周りの扱いがころっと変わります。美女が群がってきます。みんなお世辞を言います。 理知的で悩める青年だったのが、一気にスポイルされて、有頂天の思い上がりになっていきます…。 # アンドレイ・ポルコンスキー。 恐らくロシアで20人には入るんでしょう、という名門貴族の息子。嫡子。エリート。 その上、頭が良くて度胸があって、男っぽくって割りと寡黙で勇気があって。イケメンです。そして軍人です。 そしてこの人は、知性派なんですね。ピエールとも仲良し。ピエールよりよほど、人としては、弱くない。自分を律する男。 当然、結婚(あるレベル、政略結婚=当時の当たり前)しています。 さてこのアンドレイは、ロシア貴族社会の社交などの俗物具合、嘘にまみれた不薄生活がもう、たまらなく嫌で。若いし、むしろ戦場のリアリズム、潔さに惹かれています。 そして、若き将校としてメキメキ頭角を表しながら、決戦の戦場へ赴きます。血筋も良いですしね。素直な愛国心もあります。でも一方でナポレオンに憧れ評価している理性もある。そしてナポレオンのように、「祖国の英雄となる」ことに憧れる気持ちも強い。 このアンドレイは、混乱混沌の戦場、アウステルリッツの大壊滅の中で銃弾を浴びて倒れ…。 # ニコライ・ロストフ。 これまた大貴族の御曹司。蝶よ花よで坊っちゃん育ち。そんなに秀才でもなく、マッチョでもなく、高潔でもない、人間臭い二十歳です。 なんとなく周囲に流されて生きてきて、かっこいいなで軍に参加して、初陣。戦場のリアリズムに大翻弄されながらアウステルリッツの前哨戦で、何も活躍せぬままに落馬負傷して収容されます。 それでも、傷が癒えたら、大嘘の武勇伝を酒を飲んで自慢するような、ごくごくありきたりな、愛すべき弱い若者です。 可愛い利発な妹ナターシャがいて、その妹の大親友の従姉妹ソーニャと、恋愛中です。かわいいもんです(笑)。 # ものすごい量の登場人物が、雪崩を打つように続々と登場します。 もう、確実に覚えきれません(笑)。 そこンところは、放棄するしかないですね。もう、一晩寝ただけで、「あれ。この人はなんだっけ」みたいになります。 なんだけど、どうやら上記の三人がわかっていれば、なんとか物語にくらいついていけます。 # そして、面白い。 遺産相続、財産、立身出世をめぐる、どろどろした人間模様。 年配の男性の目論見。 年配の女性の欲望。 若者の都合。カッコつけ。身勝手。自尊心。無理解。残酷さ。理想。 女性のプライド、エゴ、優しさ。 美醜を巡る物凄い自意識、劣等感、優越感。 男性の野心、わがまま、傲慢。嫉妬。嫉妬と悪意を抱いての友情。成り上がり。没落。冒険への憧れ。ヒーローへの執着。英雄への心酔。 夫婦のすれ違い。 親子の確執。父権の高圧。母の愛という名のエゴ。支配が子供を歪める。 恋愛。恋に恋する恋愛。親子の妄執の愛。無垢な友情、しかし移り変わる情愛。兄弟姉妹の親愛。 打算とエゴの結婚、愛情。地位と名声と財産に裏ごしされた愛情。浮気。ロマンス。不倫。肉欲。 大きな視野を持つ者。冷笑的なもの。世論に流される人々。熱狂。集団心理。政治家の傲慢、金持ちのエゴ、指揮官の無能。 # そして「戦争」。 従軍経験、戦闘経験のあるらしいトルストイさん。 戦場の混乱。残酷。悲惨。熱狂。泥酔。荒廃。不合理。暴虐。友情。打算。 その中での良心。命令遂行の純粋。 殺し、殺される虚無。痛み。 そして、強烈な恐怖。 すごい。 司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」と比較すると、俯瞰的な部分があるのは似ていますが、それに加えて物凄い勢いと粘着質な執拗さで、読者を汚れと疲弊感と血の匂いと恐怖がびっしりと埋め尽くされた「戦争」の体温にまで貼り付けます。 「戦争」って、怖い。 # ものすごい小説だと思いました。 なんだかこう、比喩的に言うと「ここに全てがある!」ブラボー!。 人間模様の大舞踏会なんです。なんですが、ナポレオンという、小説上はあまり出てこない歴史を回転させる大英雄とその時代を描く大河ドラマでもあるんです。 なんだけど、言ってみれば複数のカップル、親子、兄弟の、怒涛の恋愛物語なんです。 読書の快楽。面白い。 新潮文庫で読んでいて全四巻なんですが、1巻読み終わっただけで、なんだか「読み終わりたくないなあ、ずっと読んでいたいなあ」と思ってしまいました。 # それにしても呆然とするのは、トルストイさんは40歳くらいでこの小説を書いているんですね。 どれだけ色んな高慢や絶望や恐怖や思考や観察を体験すると、こンなのが40歳で書けるんだか…。 この小説のピエールさんが、トルストイ自身の姿が投影されているそうです。こういう人、友人や家族として存在したら、面倒くさいだろうなあ(笑)。 # ちなみにトルストイさんは1828年生まれ。40歳くらいで「戦争と平和」書いていたそうなので、言ってみれば、「自分が生まれる25年くらい前の話を40歳で書いてる」訳です。65年くらい前の話。 微妙に、そのときの大人たちはみんな死んでいて、書きやすかったんですかね。 2016年現在に、40歳の人が、1950年くらいの話を書くようなものです。「小説 朝鮮戦争」とか「小説 毛沢東・蒋介石」とか。そういう感じですかね。 # 岩波文庫の新訳で読むか、新潮で読むか悩みましたが、なんとなく新潮文庫で。 いまのところ、日本語の文章としてもさほど苦痛でもなく、なかなか名訳なんぢゃないかなあ、と楽しめています。
子供の頃「小学館世界名作全集」で読んで知ったつもりでいる”名作”がたくさんあるんですが、やっぱりこれはいつかちゃんと読まなきゃいけないよなあと私の読書課題だったので取り掛かってみた。 まずはロシア人名について。 私はフィギュアスケートファンなのですが、スラブ系選手を本名でなく愛称で応援したり、本名...続きを読むが長ったらしかったり、兄妹なのに名字が微妙に違ってたりしてるので、ロシア人名についてとりあえずこのくらいの認識を持っている。 ❖名前(洗礼名)には、愛称、省略形がある。 ⇒リザヴェータは「リーザ」、ニコライは「ニコレンカ、ニコールシカ、コーリャ」、エフゲニーは「ジーニャ」など。 ❖名前に男性形と女性形がある。 ⇒名字の場合、(ボルコンスキィ家の場合)父と兄「ボルコンスキィ」、妹と妻「ボルコンスカヤ」 名前の場合、男性「アレキサンダー」、女性「アレキサンドラ」。男性「イリア」、女性「イリナ」など。 ❖名前の中に父称(父親の名前)を入れる。 ⇒(ボルコンスキィ家の場合) 父「ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキィ」 息子「アンドレイ・ニコラーエヴィチ(ニコライの息子)・ボルコンスキィ」、 娘「マリヤ・ニオコラーエヴナ(ニコライの娘)・ボルコンスカヤ」 ❖呼びかける場合。 「ニコライ・アンドレーヴィチ」と名前と父称で呼ぶのは、非常に丁寧な呼びかけ。 「ニコーレンカ、ニコールシカ、コーリャ」と愛称、名前の略で呼ぶのは、親しい間柄。 「ボルコンスキィ公爵」と呼ぶのは、一般的な呼びかけ。 トルストイが地の文章で「アンドレイ公爵」「アンドレイ・ニコラーヴィチ」「ボルコンスキイ公爵」(父に対しては「ボルコンスキイ老侯爵」)と色々呼び名を使ってるのですが、使い分け法則がよく分かりません。 では1巻。 ナポレオンがロシアに迫る19世紀帝政時代、ロシアの社交界で繰り広げられる人間模様から始まる。 当時の貴族たちは教養としてフランス語を会話に混ぜ、人脈とコネつくりの為のサロンやパーティが行わる。 放蕩息子たちは膨大な金を賭け合い、瀕死の資産家には権利のある人間たちが遺産をもらおうと群がり、若い男、娘たちは良い条件での昇格や縁談探しに余念がない。 そんな社交界を出て戦場へ向かう貴族たちもいる。貴族界に飽き飽きして、ロシア皇帝への崇拝のため、若い見聞のため、立身出世のため。 当時のロシアはフランスに絶大な影響を受け、また憧れをもっているようですね。 ロシア貴族社会ではフランス語は教養とされ、主要人物のピエールはロシア貴族(の庶子)だけど、ロシア名の”ピョートル”ではなくフランス名の”ピエール”。彼の妻もロシア名の「ヘレン」ではなくフランス風の「エレン」。エレンの実家のクラーギン公爵家はエレンの兄弟たちも「アナトーリ公爵、イッポリト公爵」とフランス風。 また、ボルコンスキイ公爵家にはフランス人のコンパニオン(令嬢の相手をする女性)がいるので、フランス風を家庭に持ち込むのは流行だったのか。 さらにナポレオンが攻めてくるというのにナポレオンに敬意を払うような男がいたり(女性からは反キリスト者!などと容赦ないけど)、フランスと戦争のため同盟を組んでいるロシア皇帝とオーストリア皇帝とが教養としてフランス語で挨拶したり、読みながらもどうもこの戦争に対する温度感が分からなかったのだけれど、油断していたら終盤で大敗走、大敗北で現実を突き付けられた。 【ベズウーホフ伯爵家】 ❖ピエール・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵: キーリル・ウラジーミロヴィチ・ベズウーホフ伯爵の庶子。 ベズウーホフ伯爵死去の際は遺産目当ての貴族たちが群がるが、ピエールがすべての財産を継ぐ。 フランス帰りで社交界に馴染めず、相手構わず自分の論議をまくし立て周りからはちょっと浮いた人扱い…なんだが膨大な財産を継いだことにより「高潔な人物」と称賛されるようになる。 ぼーっとしているうちにクラーギン公爵の娘エレンを愛していると思い込み外堀埋められ結婚。おそらく全読者が「その結婚うまくいかないよ」と想像したであろう新婚生活を始めた。 【ボルコンスキィ公爵家】 ❖アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキィ公爵: 社交界生活に嫌気がさし、出産間近の妻を残して戦場へ向かう。皮肉的厭世的な思想があるんだが、アンドレイ自身も社交界からは神経質でとっつきにくいと思われている。戦場では生き生きとした様子を取り戻しつつある…けどたまにイヤな奴の面も出てる。 ❖リーザ(リザヴェータ・カルローブナ公爵夫人。若公爵夫人、小柄な公爵夫人、など): アンドレイの妊娠中の妻。自分たちを置いて戦場に行く夫、夫の父の元に預けられる自身を嘆く。 ❖マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ: アンドレイの妹。頑固な父と田舎に住んでいる。醜い容貌だとかなんだとか書かれちゃっているんだが、純粋な心の持ち主。 ❖ニコライ・アンドレーエヴィチ・ボルコンスキイ公爵: アンドレイとマリヤの父。政治社交界に合わず田舎で貴族としての秩序を守った生活を送る。頑固で厳格で支配的な性格は家族を含めて周りから恐怖と畏敬の念を持たれている。 主要登場人物でボルコンスキィ家は公爵だが皇帝の親族にあたるのか。「皇帝陛下の遠縁にあたる、ちょっと怖くて煙たいけど正しいので遠巻きにされてるご隠居様」といったところか。 【ロストフ伯爵家】 ❖ニコライ・イリーイチ・ロストフ伯爵: 貴族の若者だが前線に加わる。 ❖ナターシャ・ロストワ(ナターリア・イリイニーシナ・ロストワ公爵令嬢): ニコライの妹。1巻ではまだ12歳。天心爛漫な次女。 【クラーギン公爵家】 ❖ワシーリイ・クラーギン公爵: クラーギン公爵家は、登場人物の中では貴族の悪い面を具現化しているような家のよう。 ワシーリイ公爵はベズウーホフ伯爵の遺産争いに負けて、遺産を継いだピエールに近づき、娘のエレンと結婚させる。他に息子のイッポリトとアナトーリも資産の多い貴族の娘と結婚させようと画策中。 ❖エレン・ワシーリエヴナ・クラーギナ: ピエールの妻となる、クラーギン公爵の美貌の娘。貴族社会では財産や地位があると「心が美しい」と称賛されるようなんだが、彼女は美貌と資産にしては兄弟のアナトールと噂があったりあまり知的でなさそうだったり、褒められた性質ではないと思うんだけど、周りからは家柄と美貌の為にひたすら称賛され持ち上げられる。 …というか「自分の兄弟と噂のある女」とずるずる結婚するピエール、さすがにしっかりしようよ(--;)。 【実在の人】 ❖ミハイル・イラリオーノヴィチ・クトゥーゾフ: 実在の帝政ロシア時代の軍人。 小説ではアンドレイの父の友人で、戦場でアンドレイが配下に着く。 むか~し映画も見ました。 ピエール:ヘンリー・フォンダ アンドレイ:メル・ファーラー ナターシャ:オードリー・ヘプバーン さて、1巻終了時点でロシアはフランスに大敗、アンドレイは瀕死でフランス軍に保護され、ピエールは読者から見ればその結婚うまくいかないよと思われる生活を始めた。 まだまだ先は長いのでゆ~っくり読んでいきます。
秋なので、思い切って大長編に挑戦!! ということで、かなり背伸びしてみるのもいいだろう、と思い『戦争と平和』を手に取る。 しかし、意外や意外。思っていたよりも、全然、難しくない!! むしろ、すごく読みやすーい!! 描かれているのが19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入ということと、俗にいう「登場人物...続きを読む500人超」に読む前から尻込みしていたのが嘘みたい。登場人物はいきいきしており、展開がスムーズで、雰囲気は明朗である。 特に人物描写の素晴らしさには、目を見張るばかりだ。いろいろ言ってはキリがないのだが、とにかく、膨大な数のそれら登場人物が、ことごとく第一印象を裏切らないのである。 これは別の言い方をすれば、それぞれのキャラクターが、読者にはっきりと第一印象を与えるように書かれているということだろう。読んでいるうちに、確かにこの人物「なら」こう考えるだろう、この人物「なら」このキャラクターとはウマが合うだろう、ということがまるで当然のように書かれている。驚くしかない。 私は『アンナ・カレーニナ』を読んだ時に、この作品で描かれているのは「自分の人生に戸惑い続ける私」なのではないかと思ったのだが、この『戦争と平和』を読んでいる今も、そう感じている。 誰もが自分の人生に、確固たる自信など持っていないこと。どんなに立派で勇敢な軍人でも、どんなに美しくかわいらしい美女でも。 けれど、それを雄大に、堂々と、明朗に描くのがトルストイの素晴らしいところ。この偉大な作家が生まれたこと、書いてくれたことに感謝しつつ、読み進めている。
これを一人の人間が書いたのか!とおもう。500人を超える登場人物をひとりひとり緻密に書き分け、みな血が通った人間にしたてあげている。友人から「どういうストーリー」ときかれてうーんとうなってしまった。ピエールのことをいえばいいのか、アンドレイか、ナターシャか、ナポレオンか・・・一人一人の人生が生き生き...続きを読むと、そして丁寧にえがかれている。いくつもの物語が交錯して、まったくどう説明していいか見当もつかない。これはその時代のロシアを偉大な文豪が鋭利な刀で切り取ってきた作品ですとでもいえばいいのか。 歴史はどうしてつくられるのか。一部の有名人によって形成されるのか。作者はちがうという。目に見えない動き、とくに民衆の動きが歴史を決定していくと。 読むのに時間がかかるのだけれども、人間がかきうる最高傑作だとおもう。
間違いなく読んで良かったと思える小説でした。 物語がひと区切りする時にはトルストイの哲学的な考察が挟まり、正直1回読んだだけでは総てを理解し受け止めることは出来ません。 戦争の場面は読んでいて集中力が途切れることがしばしばあったし、読んでいて退屈を覚えるくだりも結構あるけれど、物語の緻密な構成と豊...続きを読むかな人物描写が実に魅力的。 読み進めていくうちに登場人物達に対する愛情が深まり、愛を知る喜びも、大切な人がこの世を去る時の喪失感も、今までの人生で感じてきた総ての感情が作品を通じて呼び起こされて、自分自身の過去についても振り返らずにはいられませんでした。 この作品を読んでいる間、私の心は1800年代初めのロシアにたしかに居て、まるで別の人生を経験したようです。 生と死、戦争と平和、愛と憎しみ、どれも一見両極にあるように見えるけれど、どちらか一方が存在するときにはもう一方の存在は必然なのだということが強く描かれた物語でした。 生涯を通して再読していきたいと思います。
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