戦争と平和(三)

戦争と平和(三)

小説・文芸
1,210円 (税込)

6pt

1812年、ナポレオン軍のモスクワ侵入を描く全編中のクライマックス。国土は焼かれ生活は破壊されるが、ボロジノの会戦に示されたロシア民族のたくましい潜在力が無敵のフランス軍を打ち破る。軍の意志を無視して自分の意志に従わせたナポレオンに対比させ、民衆の意志を心の耳で聞きそれに従って勝利を得たクトゥーゾフ将軍の姿に、トルストイの理想的人間像が写し出される。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    戦争と平和
  • タイトルID
    :
    421619
  • 電子版発売日
    :
    2017年01月27日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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戦争と平和 の一覧

1~4巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~4件目 / 4件
  • 戦争と平和(一)
    1,155円 (税込)
    19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もどってきた平和な暮しのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描きだすところから物語の幕があがる。
  • 戦争と平和(二)
    1,155円 (税込)
    ロストフ伯爵家とボルコンスキイ公爵家の人びとの交際。また、旺盛な実行力に富むアンドレイと、繊細な感受性で自己の内面に没頭し人生の永遠の真理を探究するピエール。二人の若い貴族に仮託してトルストイの深淵な人間観が吐露され、彼らの生活を通してロシアの実態があざやかに写し出される。本巻は、全編の中でもっとも詩的な部分であり、多くの美しい印象的場面が展開される。
  • 戦争と平和(三)
    1,210円 (税込)
    1812年、ナポレオン軍のモスクワ侵入を描く全編中のクライマックス。国土は焼かれ生活は破壊されるが、ボロジノの会戦に示されたロシア民族のたくましい潜在力が無敵のフランス軍を打ち破る。軍の意志を無視して自分の意志に従わせたナポレオンに対比させ、民衆の意志を心の耳で聞きそれに従って勝利を得たクトゥーゾフ将軍の姿に、トルストイの理想的人間像が写し出される。
  • 戦争と平和(四)
    1,045円 (税込)
    ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作るものは一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活にほかならないという歴史観を明らかにしてゆく。また、アレクサンドル一世から一従卒まで、全登場人物559人のすべてを、個性ゆたかに生き生きと描き出すことによって構成される本書は、世界文学の最高峰とよぶにふさわしいであろう。

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戦争と平和(三) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    描写が美しいから、戦時中の辛い様子を描くところでも、気持ち的に休み休みしながら読める

    にしても登場人物の人間感情がリアルすぎ
    こんなに「人間」について克明に描いた作家いるのかな?ってくらい、ほんとそこに感動する…

    そして結局諸行無常なんだけど、たまに現実世界でも起こりそうなくらいに幸福な瞬間や愛もあって、だからまた救われるというか

    そしてたまにでる作者の鋭い観察眼による金言が舌を巻く。3巻にしてできた推しはアンドレイ公爵

    0
    2025年12月12日

    Posted by ブクログ

    一気に書き方が変わったと言うか小説から歴史になった。
    作者の意見もたくさん入るというか、史実と見解と小説が交互にやってくる。お陰で読み進められるのだけど、あまりにロシアの地名も歴史もナポレオンのことも知らなすぎて興味が出てきて、途中Wikiで調べたり地図で場所を確認したりして読む。
    全巻読み終わったら読みかけの「全世界史」を読もうと思う。

    0
    2022年03月07日

    Posted by ブクログ

    戦争も大詰め。名将が知略を尽くす戦争ではなく、
    個人間の殴り合いの延長にえるような、
    決して格好よくない戦争が描かれる。

    伏兵のために、兵を伏せる場所、
    事前準備の段階では確かにマヌケな
    場所に見えるかも。

    トルストイの歴史認識や、人物描写が
    冴え渡る1冊。

    0
    2020年05月17日

    購入済み

    どの頁を開いても楽しめる

     全巻を紙の本、解体してタブレットに入れたり、ブックライブから購入したりした。また、過去にテレビで放送された、「戦争と平和」の番組を録画したりした。
    どの頁を開いても、人物がまず生き生きと描写されていて、まるで映画を見ているようにも感じられる。
     長編なので、、また、人物の名前を覚えるのが大変だが、どの頁を開いても
    ストーリーを抜きにして楽しめる。

    0
    2019年10月27日

    Posted by ブクログ

    何不自由無く遊んで暮らす大富豪の青年がいて。優しく純粋な大富豪は、パーティ三昧な無為の中で人生に悩んでいます。

    大富豪の心の友、大親友の青年は、親の代からの誇り高き軍人、高潔で有能な高級士官。ナポレオンと祖国との戦争に巻き込まれながら、天真爛漫な美少女と運命の恋に落ち、婚約。

    美少女の兄も軍人。士官。
    悩み無く軍隊勤務を楽しみながらも、実家が経済的に没落していく気苦労。家の経済の為には、愛し合う貧しい幼馴染との結婚が許されない。

    天真爛漫な美少女は、不良の嘘と誘惑によろめいてしまい、婚約は破棄される。騙された愚かさに気づいた美少女は、絶望して自殺を図る。そんな彼女を慰めた大富豪の青年。親友の元婚約者の美少女と、運命の恋に落ちてしまった自分に、気づいた…。

    そして全てを飲み込むように、戦争が足音を立てて近づいていました。

    #

    怒涛の大河ロマン、第三巻。

    ここからちょこっとだけ、「歴史小説」の色合いも増してきます。
    書き手のトルストイさんの顔がチラチラ見えて、フィクションの人物たちの運命を一旦棚に上げて、歴史としてのナポレオンとロシアの死闘を俯瞰的に眺め、分析したり考察したりする章が時折現れます。

    そのあたりは、地理的な固有名詞とか、若干わかりにくいですが、詳細すぎる政治軍事評論ではなくて、「戦争」をヒーローの物語として捉えることを頑なに拒否して、即物的な集団の運動だったり、混乱の中の偶然だったりという、極めて冷徹な細部の積み重ねとして受け入れることを熱弁します。

    それは、時代を超えて、国を超えて、たしかに説得力があります。

    (このあたり、「坂の上の雲」をはじめ、司馬遼太郎さんに影響を与えているのではないでしょうか)

    #

    では小説として面白くなくなったのかと言うと、全くそんなことはなく。ちゃんとダレてきた頃には、俯瞰の目線から主人公達の姿へと、物語は急降下していきます。

    優しい大富豪ピエールは、ナターシャへの愛に気づく。
    そして、既婚者のピエールは、その気持ちの危険に気づいて、自分から離れていく。

    ナポレオン軍がモスクワに迫る。
    モスクワの手前、ボロジノでの大会戦。

    義勇軍の士官となって(でも実際上はただの見物人として)戦場におりたった大富豪ピエール。
    激戦の前日、戦地での親友アンドレイとの再会。
    美少女ナターシャとの婚約が破れたアンドレイ。その冷たい気持ちになすすべのないピエール。

    大会戦。
    トルストイは混乱のリアリズムの戦場に、ピエールとアンドレイとともに読者をものすごい力で引きずり込む。文庫本のページから硝煙と血しぶきが吹き上がるような筆力。圧巻。

    そしてモスクワでは。
    落ち込み、立ち上がれない美少女ナターシャ。ピエールの支えで、ようやく微かな笑顔を取り戻しつつあった。
    一方で、そのナターシャが裏切ってしまったアンドレイの妹マリアは。長年自分を虐げてきた父が、痴呆になった末に亡くなるのを看取る。

    そのモスクワに、とうとうナポレオン軍がなだれ込む。
    避難。混乱。暴徒。狂気。無政府状態。
    逃げ遅れたアンドレイの妹マリアは、農奴たちに背かれ危機一髪のところを、青年士官に救われる。それは、ナターシャの兄、ニコライだった。
    劇的な出会い。二人の間に芽生える、恋愛感情。
    だが、ニコライには、幼馴染の許嫁である、ソーニャがいる。どうするどうなる。

    ナポレオン軍の砲弾が、アンドレイの体をえぐる。瀕死の重傷。

    ロシア軍は、大いに傷ついてモスクワを放棄する。
    ナポレオン軍も、大いに傷ついて、飢えた狼のようになってモスクワを略奪する。

    貴族であるナターシャの一族は、荷馬車の列を組んでモスクワから逃走。葛藤の末に、前線からの負傷兵たちを載せるために家財を投げ打って。
    その、負傷兵の中に、重傷に喘ぐかつての婚約者・アンドレイがいることを知らずに…。

    ニコライも、自分の部隊とともにモスクワから撤退。アンドレイの妹マリアを守りながら…。

    そして、悩める優しき大富豪ピエールは、全てを投げ打って失踪。
    混乱の廃墟となったモスクワ市内に姿をくらませてしまった。
    彼を突き動かすのは。

    「僕は、ナポレオンを暗殺する」。

    だが、火災で地獄と化した街で、見知らぬ少女を助けてしまったことから、フランス軍に逮捕されてしまう…。

    #

    ひとりの英雄もいない。

    誰もが勇敢であり、卑怯でもあり。

    戦場は歴史家が英雄の功績とするような分かりやすいゲームではなく。混乱と狂気の中で砲弾に突然肉弾を抉られる。自分が放つ砲弾も、敵陣で同じことをする。

    貴族も、平民も、農奴も、自分たちの生活の、日常の全てを一方的に破壊される。

    どうして戦争が起こるのか。

    戦争は無くならないかもしれない。
    戦争を絶対悪として棚にあげることも、リアリズムではない。

    でも、これを読んで戦争を美化できるヒトがいるんだろうか。
    誰かが理不尽に殺されて、誰かを理不尽に殺すことを、誰が望むんだろうか。

    …そんなレクイエムの一方で、大映ドラマもハーレクインロマンも泣いて吹っ飛ぶ疾風怒濤の恋愛物語、冒険のジェットコースター。

    #

    戦場の男たち、銃後の女たち。
    硝煙を知らぬペテルブルクの貴族たち。もはや痛烈な喜劇である政治と支配者のエゴと錯誤。
    ままならぬ混乱の波に翻弄される、ナポレオン、皇帝たち。
    極大から極小へ。ロマンスから生死へ。
    魅力的な脇役たち。一場面だけの人物たちもキラキラとギトギトと、人間臭さを放つ。

    #

    章が終わるたびに、巻が変わるたびに痛感するのは。

    ひっぱりが上手い。
    極上のエンターテイメント。

    重傷のアンドレイは、生き残れるのか?
    裏切られた美少女ナターシャと、再会するのか。許せるのか。

    アンドレイの妹アンナと、ニコライの運命の出会いはどうなる?
    ニコライは、幼馴染のソーニャを捨てるのか?捨てられるのか?

    ナターシャへの愛を秘めて、銃を懐にして無法都市モスクワに残ったピエールの運命は?フランス軍に逮捕?どうなるの?

    避難民の狂奔の流れの中で、モスクワに残るピエールの姿を、馬車の中からナターシャが見つける。一瞬の交錯。別れ。震えるほどの名場面。

    いよいよ、完結編の第4巻へ。

    0
    2016年12月01日

    Posted by ブクログ

    トルストイによる戦争論から始まる第三巻。
    三巻は戦争とそれに伴う政治思考が多いです。

    ロシア人名についてのメモ。
    ❖名前に男性形と女性形がある。
    ⇒名字の場合、(ボルコンスキィ家の場合)父と兄「ボルコンスキィ」、妹と妻「ボルコンスカヤ」
    名前の場合、男性「アレキサンダー」、女性「アレキサンドラ」。男性「イリア」、女性「イリナ」など。
    ❖名前の中に父称(父親の名前)を入れる。
    ⇒(ボルコンスキィ家の場合)
    父「ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキィ」
    息子「アンドレイ・ニコラーエヴィチ(ニコライの息子)・ボルコンスキィ」、
    娘「マリヤ・ニオコラーエヴナ(ニコライの娘)・ボルコンスカヤ」
    ❖名前(洗礼名)には、愛称、省略形がある。
    ⇒リザヴェータは「リーザ」、ニコライは「ニコレンカ、ニコールシカ、コーリャ」、エフゲニーは「ジーニャ」など。
    ❖呼びかける場合。
    「ニコライ・アンドレーヴィチ」と名前と父称で呼ぶのは、非常に丁寧な呼びかけ。
    「ニコーレンカ、ニコールシカ、コーリャ」と愛称、名前の略で呼ぶのは、親しい間柄。

    以外備忘録のためネタバレしています。
     【ベズウーホフ伯爵家】
     ❖ピエール・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵(本名はピョートル):
     二巻でアンドレイ公爵を裏切ったナターシャの献身的な友として支える。ナターシャが生きられたのはピエールの存在が大きいだろう。
    ピエールはナターシャへの愛を自覚するが、そのためにロストフ公爵家からは距離を置くことにする。

    その頃ナポレオン軍の攻撃は激しさを増す。ピエールも戦場を見る。
    ついにモスクワ市民はモスクワを放棄して地方へ散らばる。
    そんななかピエールはある決意を持ち、自分の家から出てモスクワ市に潜伏する…。
     
    ❖エレン公爵夫人:
     二巻まではまあ普通のふしだらな上流夫人だったんだが、三巻では「むしろここまで行くとご立派(^。^;)」と言うくらいの不道徳っぷりを示してきた。
    ピエールという夫がいるにも係らず、どこぞの王子とロシア高官にプロポーズさせ、離婚を禁じているカトリックにおいて自分が完全に正しい離婚と再婚をするにはどうするか、を画策したのだ。
    道徳的にも宗教的にも恥じるべき行為をエレン本人はまっすぐな信念として自分が正しいと振る舞い、そのため社交界や宗教界まで彼女の味方に。
    カトリック法王に真のカトリック教会への入会を許されるが、寄付金目当てと見抜いたエレンからは軽くあしらわれる。
    道徳的には相当愚かな人間のはずなんだが、自分の損得を見極め自分を有利にさせる手腕は天性のものか。(~_~;)

    さて、キリスト教の教派はよく分からないので、エレンの扱いがどのくらい名誉で特殊で腐敗なのか?
    正教会の一つであるロシア正教会に属しているエレンの事をローマ・カトリックの法皇が認めますよ、ただしお金いっぱい寄付してくれればね、ということか?法皇(教皇)を抱かない政教派が法皇に認められるのは名誉なんだろうか、よく分からん。
     
    【ボルコンスキィ公爵家】
     ❖アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキィ公爵:
     名誉を傷つけたアナトーリ公爵を追うためと、社交界から離れるために再度軍隊へ入る。アナトーリへの決闘の理由、自分の名誉、ナターシャへの思い、いちいち理屈が先に来るところがアンドレイの面倒くさいところ。
    軍隊生活では一般兵士や農民たちからは「おれたちの大将」と慕われるが、貴族たちにはとことんイヤな態度で接する。
    政治も軍事も農地改革もセンスはあると思うんだが、出世昇格とは真逆の理由で軍隊入りしたため、それらの機会を永久に失う。

    激しさを増す戦闘でついに大怪我を負う。
    怪我の痛みの中、アンドレイ公爵の心は深く内面を見つめ、神の愛を悟る。

    そして瀕死の床でのナターシャとの再会…

    三巻は戦闘や錯綜描写が非常に多いのだが、
    そんななかでのアンドレイの漂う意識と彼の行き着いた想い、激しく愛し憎んだナターシャとの再会場面の美しさと言ったらない。

      ❖マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ:
     父のニコライ・アンドレーエヴィチ・ボルコンスキイ老公爵の死を看取る。
    死を迎える父の寝室で、父が死んだら自由になるのか?などと考えが浮かんでは懺悔する。

    その後戦火に巻き込まれそうになったところをニコライ・ロストフ伯爵に助けられ、互いに好意を持つ。

    えーっとこのときマリヤは27,8歳か?公爵令嬢にしては縁談がまとまらなかったですね。

    【ロストフ伯爵家】
     ❖ニコライ・イリーイチ・ロストフ伯爵:
     進軍途中で、マリヤ・ボルコンスカヤ公爵令嬢を助ける。

     この「二人が出会った」という事実は社交界を駈け廻り、「さっさと婚しちゃえ!」な雰囲気に。
    自分には婚約者同然のソーニャがいるんだよなあ…とちょっと思いつつ、経営破綻している我が家を考えるとボルコンスキイ公爵家と縁を結ぶのは魅力的だとも考えてみたり。

    さて、アンドレイ・ボルコンスキイ公爵と、ナターシャ・ロストワ伯爵令嬢との婚約は両方の家から歓迎されていなかった。
    しかし同じ家同士の縁組でも、ニコライ・ロストフ伯爵と、マリア・ボルコンスカヤ公爵令嬢なら歓迎、というのは、持参金の問題なのか??

     ❖ナターシャ・ロストワ(ナターリア・イリイニーシナ・ロストワ公爵令嬢):
     二巻ラストは狂乱のナターシャだが、弟のペーチャと、ピエールの存在が助けとなり徐々に明るさを取り戻す。

    以前よりも神に祈る。クリスチャンにおける謝罪と言うのは、相手に謝るのではなく神に許しを請うのですね。「神よ、アンドレイ公爵への裏切りをお許しください。そしてアンドレイ公爵とアナトーリ伯爵の心に安らぎが訪れますように」人間が自ら相手に侘びて安らぎをもたらせるのではなく、それができるのは神、というキリスト教の考え方です。

    さて、ナターシャは三巻終盤で、瀕死のアンドレイ公爵の前に現れ、その足元で手を取り許しを請う。

     ❖ペーチャ(ピョートル・イリーイチ・ロストフ)
     ナターシャの弟。ナターシャの生きる希望となっていた。
    同じ名前のピエール(ピョートル同士)に憧れ軍隊に入ることを望む。
     
     ❖ソーニャ:
     ニコライの事実上の婚約者だが、破産寸前のロストフ伯爵家ではその結婚は歓迎されていない。
     
     【クラーギン公爵家】
     ❖アナトーリ・ワシリーエフ・クラーギン公爵:
     アンドレイ公爵から逃げていたが、思わぬ場所で思わぬ姿で彼らは再開する。これぞ神のおぼしめしか。
     
     【他の人たち】
     ❖クトゥーゾフ:
     ロシア軍総司令官。
    歴史家の評価は分かれているらしいが、トルストイはかなり評価している様子。
    遠征先で作戦本部とした農家で、小さな娘さんから見たクトゥーゾフの姿が面白かった。軍人同士で「モスクワ放棄か?」を論じてる時に娘さんは「おじいちゃん(クトゥーゾフのこと)がんばれ」と思ってしまう。一見好々爺の面もあるのだろう。

     ❖ラストプチン伯爵
     モスクワ総督。民衆を支配していると思い込んでいる施政者。
    モスクワ放棄直前にナポレオン賛美者を勇壮な見せ場を作るための生贄として処刑する。

    0
    2022年11月24日

    Posted by ブクログ

    切れ目なく続く展開と交差の連続。
    瀕死のアンドレイと、一度は彼を裏切ったナターシャの再開があまりに美しく、震えた。
    導かれるまま、いやらしくもない、劇的な場面の応酬で、☆五つ。

    指導者がすべての手綱を握っているかのように思われがちだが、そうではない、抗いがたい何かによって時代が動いていく。
    指導者は戦争を始める事もできなければ、終わらせる事もできない。そこに彼の感情や思想はなんの影響力ももたない。
    ではいったい、戦争とはなにか?
    実際の戦争を細かに描写しながら、個人の心の中や民衆の生活の中にあるそれを見事に浮き彫りにしていく。
    戦場と社交界
    個人感情と神
    それぞれのものだと思っていたものが、当然のように互いを行き来し、混ざりあい、影響しあう。
    「戦争」と「平和」ではなく、「戦争と平和」という状態。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    3巻は、ボロジノの会戦の記述(ナポレオン登場)多く、戦争が人々の日常生活にまで及びます。トルストイの戦争に関する考察も入ってきます。戦場の様子は身の毛もよだつ恐ろしさ。

    登場人物それぞれの境遇が大きく変化し、読みどころ多し。再会を果たす人々もあり、期待感増し増し。戦場で負傷したアンドレイの心情描写は、白眉です。ピエールの行動にはビックリで、ナターシャと共に心の成長が見られます。

    起承転結の“転”に当たる3巻は、まさに「戦争」と「平和(人々の様子)」の核心に迫っているのではないかと思いました。

    以下、ネタバレ的感想、つれづれです。



    ・アンドレイの妹マリヤの身に大きな変化(父の死、領地農民の反抗、ニコライとの出会い)
    →父との関係で、心を痛めてきたマリヤにとうとう人生の春がやってきた感じで嬉しかった。一方、ニコライに思いを寄せていたソーニャが不憫。
    “不釣り合いは不縁の元”という諺が思い浮かぶ。

    ・アンドレイの、戦争の勝敗を決める理論→勝つと決心した方が勝つ
     ↓
    『坂の上の雲』の日露戦争の場面が思い浮かぶ。

    ・アンドレイの言葉が忘れられない。
    「戦争はご愛嬌じゃない、世の中でもっともいまわしいことだ、だからそれを理解して、戦争のゲームなどしないようせにゃならんのだ。・・・・人間は知恵の木から果実を食べすぎると、よくないのだな」

    ・ボロジノの会戦→ナポレオンが勝利を得なかった最初の会戦
     ↓
    ナポレオンは、鼻風邪をひいていた!

    ・人々を殺したのはナポレオンではない。兵士たちであるというトルストイの考え。(ナポレオンの命令ではなく、それぞれの希望)
          ↓
       とても興味深い

    ・ピエールが戦場に赴く展開にビックリ!ピエールの成長が見られそうな予感。

    ・クトゥーゾフ(ロシア最高位公爵)についてトルストイの考察
      ↓
    会戦の運命を決定するものは、総司令官の命令でもないし、軍の位置している場所でもないし、砲や死者の数でもなく、それは軍の士気と称される目に見えぬ力だ→『坂の上の雲』をまた思い出す。

    ・アンドレイ、戦場で負傷し治療を受けているとき、恋敵アナトーリと再会。片足を切断していた。ナターシャのことを思い出し、全てのものへの愛を知るアンドレイ。死なないで、もう一度ナターシャとのよりを戻してほしいと思ってしまう。

    ・ナターシャとアンドレイの奇跡的再会に感動!逆境が2人の心を変え、絆を深めている。

    ・ピエールのナポレオン暗殺計画、未遂に終わる。フランス軍の捕虜となる。→逆境がさらに、ピエールの心を変化させる予感。

    0
    2025年09月11日

    Posted by ブクログ

    ナポレオンのロシア遠征、ボロジノの会戦からフランス軍のモスクワ入城までが第3巻の主要な舞台だ。ボロジノの戦いを第三者的な目で見るピエール、彼の心の中にはナターシャがいるが、その行動は因循だ。一方、ナターシャの放埒な行動に傷ついたアンドレイは軍隊に戻りクトゥーゾフと共に戦いに臨む。瀕死の重傷を負ったアンドレイはその心の中にナターシャが棲むことを知る。二人はモスクワのロストフ家で偶然再開するが、この場面は本作品中、最も美しいシーンではないかと思う。ピエールはナポレオンの暗殺を志向するが、放火の疑いでフランス軍に逮捕される。ピエールの行動、ナターシャの恋の行方、ロシアから撤退するナポレオンの思い、第4巻に期待するところが大きい。

    0
    2023年04月11日

    Posted by ブクログ

    3巻はそのほとんどを戦争シーンが占めており、登場人物がそれぞれに生き生きと動き詩的な美しさを感じる2巻に比べると、やや退屈に感じてしまった(それでもすごいんだけど!)。

    トルストイは「戦争」の中で何度も何度も、「歴史とは一人の人物や一つの原因が作るのではない」と強調する。これがあったからこうなった、ということはなく、それは後世がその結果からただ線を引き繋げて言っているに過ぎないのだと。その場の全て、どれとも誰とも言えない、あえて言うならば「その時」こそが歴史であり、「その場」こそが民衆なのだと。
    そして、それらが積み重なり、その時その時が終わって振り返ってようやく、我々はそれを「歴史」として「事実」として認識するのだと。

    こう言うとまるで、個人の力は時の流れにゆらゆらと漂う頼りない木の葉に過ぎないような書かれ方をしているかのようだ。
    けれど、これほどダイナミックに、これほど感情豊かに「戦争」を描く本はないのではないか、と私は思う。
    次巻はいよいよ最終巻。この壮大にして繊細な物語が、どういう終わりを迎えるのかわかると思うと、嬉しくもあり、けれど読み終わるのが怖いような気もする。

    0
    2014年01月05日

戦争と平和(三) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外文学
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    戦争と平和
  • タイトルID
    :
    421619
  • 電子版発売日
    :
    2017年01月27日
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