燃えつきた地図(新潮文庫)

燃えつきた地図(新潮文庫)

825円 (税込)

4pt

失踪した男の調査を依頼された興信所員は、追跡を進めるうちに、手がかりとなるものを次々と失い、大都会という他人だけの砂漠の中で次第に自分を見失っていく。追う者が、追われる者となり……。おのれの地図を焼き捨てて、他人しかいない砂漠の中に歩き出す以外には、もはやどんな出発もありえない、現代の都会人の孤独と不安を鮮明に描いて、読者を強烈な不安に誘う傑作書下ろし長編小説。(解説・ドナルド・キーン)

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燃えつきた地図(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年11月02日

    最高。
    通常の世界からだんだん夢の中を歩いている気分になる。自分は誰なのか、むしろ自分が追い求めていた人物かもしれないし自分はその弟かもしれない。ファイトクラブのような気もしつつ、ただ人を探す行為に疲れた精神錯乱かもしれない。それを風刺として利用したのかそれとも夢の世界に引き摺り込みたいのか。安部公...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年02月10日

    安部公房が書く「都会という無限の迷路」、それはタクシーであり公衆電話であり地図であり電話番号……、そのような「都会」は今はもうないのかもしれない。

    初めは物語世界に入り込むのに苦労した。
    半分を超えたあたりで、小説のテーマが何となくわかった。
    入り込めなかったのは、現代が安部公房の時代とは前提が変...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年10月09日

    手掛りを辿れども辿れども、真実に近付きも遠のきもしない感じが、失踪人の周囲を同心円上にぐるぐる回っているだけのようで徒労感と無力感が延々と繰り返される。それでも次は何かがわかるかも知れない!という期待を込めてページを捲る手が止まらない。
    通常の推理小説ならラスト一気に真実の一点へ駆け込むが、そうは問...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年08月04日

    「存在しないもの同士が、互いに相手を求めて探りあっている、滑稽な鬼ごっこ」

    正に現代。鬼ごっこの形が変わって誰でもどこでもやり易くなっただけで、やってることは昔とさほど変わらない。

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    Posted by ブクログ 2020年06月10日

    ハードボイルド小説だ。或いはノワール小説的でもある。

    ハードボイルドやノワールという物語の成立には都市という舞台は必要不可欠だ。

    田園風景の中で、誰もが誰もの家族たりうる社会でハードボイルドもないだろう。

    この物語も等しく、都市が舞台であって、さらに、拡大してゆく最中の都市とも言える。

    この...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年12月01日

    「失踪した主人を探して欲しい」
    この時点で、安部公房を何冊か読んできた人なら、見つかることはないことは想像に難くないだろう。したがって、見つからないのである。
    いなくなった人を探して見つからないというテーマは「密会」と似ており、安部公房作品らしくどの登場人物ものらりくらりと本質を語らない。主人公もフ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年10月10日

    手触りかん、現在形、途中までは才能をフルに発揮、恐らく最後の数十ページは彼にとっても挑戦。いいね!!

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    Posted by ブクログ 2014年06月21日

    なぜ、安部公房の作品は文学作品だというのに、いつも、長い夢を見たような気分になるのか。文字よりもそこから喚起されるイメージのほうが頭に焼き付いて離れない。

    孤独、アイデンティティの喪失という題材を儚くも美しく、お得意のメランコリックな文体で仕上げた名作。

    社会での歯車の一部感で苦しくなっていると...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年12月15日

    過去に読んだ本。

    大学4年の頃、その時受講していた講義の先生の影響で安部公房にハマって、何作か読んだ。

    暗い、不条理な感じがいい。

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    Posted by ブクログ 2011年12月31日

    探偵の即物的視点からえがく傑作。
    内容については他の方が書いていらっしゃるので割愛する。

    勘違いしてはならないことはこの小説はスリップストリームであり探偵小説とは違うと言うことだ。

    この混乱する社会を混乱していく小説で見事にえがいてある。

    序盤から終盤にかけての即物的文体、終盤の幻想的文体、こ...続きを読む

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