カンガルー・ノート(新潮文庫)

カンガルー・ノート(新潮文庫)

小説・文芸
693円 (税込)

3pt

ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは? 急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!(解説・ドナルド・キーン)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    カンガルー・ノート(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1527048
  • 電子版発売日
    :
    2024年03月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

閲覧環境

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カンガルー・ノート(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    どんなジャンルに分類すればいいのかわからない作品。
    非現実的で「何だこれは」と思うような内容なのに、めちゃくちゃ面白い。

    脛にかいわれ大根が生え、病院のベッドにさまざまな場所へ連れ回される。
    腹が減れば脛のかいわれ大根を食べてみたりする。
    前半に登場する烏賊爆弾の発想も面白かった。
    気がつけば点滴が烏賊の内臓になっている…

    奇想天外な物語でありながら、安楽死や尊厳死についても考えさせられるところもあった。
    治療とは人権を守るものなのか?

    久しぶりに読んだ安部公房、やはりその世界観は圧倒的。
    天才的だと改めて感じた。

    0
    2026年06月03日

    Posted by ブクログ

    すべてわかったわけではないが、とにかく好きだった
    一緒に夢を見ているようだった、楽しい、面白い、悲しい

    0
    2025年09月02日

    Posted by ブクログ

    やったことある人には分かる絶対夢日記だ!!
    どうやって作ったのかは分からないけど、例えばめちゃくちゃ面白い夢を見て起きた日の夜に、その夢を強く思い出しながら寝ると続きの夢を見れる、そうやって続きを書いたのかも。由希さんは自分の夢日記を見てカンガルーノートを思い出したらしいから、夢を描く時の構造や文章や表現は似てくるのかも。

    0
    2025年01月15日

    Posted by ブクログ

    かいわれ大根から始まる旅。
    テンポ良くて、読みやすい。
    死が其処此処に配置されているけれども、暗くない。

    0
    2024年04月21日

    Posted by ブクログ

    シュールの極みだった。世界観を楽しむ作品という気がする。あれこれ考えても全く訳がわからないけど、テンポがよくてリズム感もあって読みにくくはなかった。笑い転げるほど面白い場面もあるし、語り口調のおもしろいところもなんかかわいらしいところもあった。景色は暗いのだけども、どんよりとした気持ちになる作品ではなかった。

    安部公房は初めて読んだけれど、癖になりそう。

    0
    2024年03月19日

    Posted by ブクログ

    天才。
    これは夢か現実かわからなくなることが夢の中であるが現実の中で起こしている。
    かいわれ大根やカンガルー、ベッドといった周りにあるものをあり得ないものと組み合わせて登場させる。それが癌を患わした自分と重ねているのか、それが小説だと主張してるのか。
    人が死ぬときはそんなもんだと言ってるのかもしれないし自分の妄想で人は死ぬというのを言いたかっただけなのかもしれない。

    0
    2022年09月13日

    Posted by ブクログ

    きっとこの寓話の世界に比べたら、現実なんてバカくらいに単純で平凡なものなのだろう。大学の講義の合間に、あの広場のベンチで、ページをめくる指がスキップしていたのを今でも思い出す。 今ならぼくは、肘に豆苗を生やすだろう。

    0
    2022年01月29日

    Posted by ブクログ

    初めて読みました安部公房
    ChatGPTに本の好みを散々聞いてもらってからおすすめされました

    なるほどー
    文字を読むことで、この目で見たかのように映像が脳内で再生される
    その映像が奇妙すぎて虜になるね

    脛にかいわれ大根が生えてきてしまった男の話です
    なんだろうな脳にこびりついて離れない映像が多すぎる
    面白かったって感想よりいい体験をしたって感想の方がしっくりくる

    0
    2026年08月24日

    Posted by ブクログ

    たくさんの滑稽で余計なものに覆われているからこそ、その真髄にある中身が深刻に立ち現れる。死が大きなテーマだったが、自分が今まで死について考えていたものなど笑い飛ばされるような、複雑でグロテスクな描かれ方をしていた。

    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

    ずいぶん前に、Twitterで「脛にカイワレ大根が生えてしまった男が病院に行ったところ、温泉療法を勧められて、自走式ベッドで地獄めぐりをする話」と紹介されていたのを見た。興味を持ち買ってから数年積読されていたのを開いたが、紹介されていた通りの話だった。本当に面白い。今度、友人と読書会で読むことにした。
    とはいえ、物語の全体像を一貫したストーリーとして把握するのは、かなり難しい物語だ。とにかく、場面と場面の間に脈絡がなく、「地獄めぐり」の言葉通り、大黒屋、賽の河原、硫黄泉の露天風呂、キャベツ畑、病院……といった場所で、現実にはあり得ない光景に出会っていく。
    先行研究なんかを見ていると、大筋としてこの物語を「死」をテーマにした物語であり、「かいわれ大根」は、語り手の「ぼく」を孤独にする存在として読まれているようである。ぼくはどちらかというと、これは、生きる可能性を提示している物語で、その可能性こそが、「かいわれ大根」だったのではないかという気がしている。

    卵と野菜とハムのミックス・サンド。風がはためく。サンドイッチに齧りつき、すぐに吐き出した。呆れたことになかの野菜は《かいわれ大根》だったのだ。嫌がらせにしてもひどすぎるよ。吐き気が込み上げてくる。例の医者が、なぜあんなに激しく嘔吐したのか、納得できた。彼は《かいわれ大根》の納豆あえを食べた直後だったのだ。時分のフケの臭いには平気でも、他人のフケには我慢できない、あの生理だろう。(p110〜111)

    あいにくぼくは、さほどはしゃいだ気分にはなれなかった。運ばれてきたチャーシュー・ヘルシー定食には、たっぷり《かいわれ大根》をあしらった味噌汁がそえられていたのである。(p137)
    《かいわれ大根》入りの味噌汁には、さすがに手をつけられなかった。(p140)

    一つ目は、賽の河原で、観光客向けに石積みを演じる小鬼たちの引率者が、おそらく親切でくれたのであろう「かいわれ大根」入りサンドイッチに対する反応である。二つ目は、キャベツ畑で母親にベッドを奪われそうになったところを助けてくれたトンボ眼鏡の看護師と行った、ラーメン屋での描写である。
    ここでは、「かいわれ大根」は、コミュニケーションの契機として現れてくる。しかし、そのきっかけに対して拒絶反応を引き起こすのは、語り手の「ぼく」の方だ。

    見覚えのある植物だ。そう、もしかしたら《かいわれ大根》かもしれない。マヨネーズをかけて、三日に一度は食べている好物の野菜だ。(p14)

    そもそも「かいわれ大根」は、ぼくにとって好物の野菜だった。そう考えると、引率者が渡してくれたのは、「ぼく」の好物をたっぷりと入れたサンドイッチだったわけで、本来は、好意として受け取ってもいいものだった。
    しかも、「他人のフケには我慢できない、あの生理だろう」と語り手は言っているが、「ぼく」にとって「かいわれ大根」は「他人のフケ」ではない。自分の身体の一部であり、一時とはいえ、命をつなぐための貴重な栄養源でさえあった食べ物である。そんな「かいわれ大根」を拒絶してしまうことで、自己疎外してしまうのである。
    考えてみれば、物語を通して、「ぼく」が好意を寄せることになるトンボ眼鏡の看護師や、下り目の少女たちと出会うのも、「かいわれ大根」があったればこその出会いだった。「ぼく」は、脛に「かいわれ大根」が生えて、病院にいったからこそ看護婦らと出会うのである。

    こうやってみてくると、「かいわれ大根」は、「ぼく」にとってコミュニケーションのきっかけとしてある。それは、ぱっとしないサラリーマンをしている現実世界とは、別の生き方の可能性を提示してくれる場所=治療の場として、地獄があったのではないかということを意味している。しかし、「ぼく」はそれを拒絶してしまう。そして、物語の最期、再び「ぼく」は、カンガルーと出会うことになるのである。

    六つの電動ドアが一気に開いた。誰も降りてこない。いや、なにか灰色の小動物の群れが飛び出してきたような気もした。すごいスピードでジャンプしながら、ホームを横切り、闇のなかに散らばっていく。カンガルーにしては小さいので、ワラビーかもしれない。そしてふたたび、静まり返ってしまう。(p228)

    元をただせば、カンガルーというのは、サラリーマンとしての「ぼく」の悩みのタネであった。「カンガルー・ノート」と呼ばれる、ただの思いつきの商品アイデアが、上司の目についてしまったがために、新しい商品を具体化されるように指示され、何のアイデアもなく「ぼく」は、悩むのだった。
    地獄をめぐる足であったベッドを失い、カンガルーという現実の群れに引き戻されることによって、語り手の地獄めぐりは終わりをつげる。それこそまさに、生の終わりを意味していた。

    新聞記事からの抜粋
    廃駅の構内で死体が発見された。脛にカミソリを当てたらしい傷跡が多数見られ一見ためらい傷を思わせたが、死因とは認めがたいとのこと。事故と事件の両面から調査をすすめ、身元の確認を急いでいる。(p236)

    脛にカミソリを当てたらしい傷跡は、脛に生えた「かいわれ大根」に対する拒否の象徴だろう。死因とは認めがたいとされつつも、脛の傷=「かいわれ大根」の拒否こそ、彼の死にとって致命的だったのではないかと思わせる。
    この物語は、自分を他者と結びつけてくれる可能性を拒否することで、自滅していく一人の人間の物語なのだと思う。

    0
    2025年12月11日

カンガルー・ノート(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    カンガルー・ノート(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1527048
  • 電子版発売日
    :
    2024年03月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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