他人の顔(新潮文庫)

他人の顔(新潮文庫)

781円 (税込)

3pt

液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。特異な着想の中に執拗なまでに精緻な科学的記載をも交えて、“顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。(解説・大江健三郎)

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他人の顔(新潮文庫) のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2023年05月09日

    現代(令和)におけるVtuberとかにも応用できる、予見してるなぁとか思った。

    自分の行動の動機や選びとる選択、何に起因し何に向けてるのか、日々の自分を内省せざるをえなかった。

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    Posted by ブクログ 2023年01月13日


    失踪シリーズに挙げられるが、個人的に安部公房作品でも砂の女と並び傑作。
    顔を失った男の自閉した内省・思考の流れが滑稽で面白い。読んでいくうち主人公と同化し沈み込んでいく引力がある。
    作品世界が非常に狭く、読後は疲労も残り要体力。

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    Posted by ブクログ 2020年10月31日

    顔を失くした男の自己回復と、
    他者との交流の窓を回復する目的であったはずの仮面が、
    いつしかただ別の素顔を得るだけになる。

    執拗に繰り返される自問自答と顔に纏わる考察が、
    必死になればなるほど迫害的で妄想的な意味合いを強め、
    ひどく歪んだ自己愛的な主観へと埋没していく様が怖いが、
    それは蛭の巣窟に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年04月20日

    良くも悪くも男性はこういう思考に陥りやすいのではなかろうか。しかし妻の気持ちもわからぬではない。一度刺さったハリネズミのトゲはそう簡単には抜けない。ならいっそもっと深く差し込んで見る必要があったのではないか?

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    Posted by ブクログ 2016年10月23日

    安部公房の思考実験小説の金字塔でもあり、ノート等記録型の長編小説の代表でもある作品。

    安部公房の思考実験というと、日本では「箱男」の評価がやたら高いが(安部公房には海外にも小説のニーズが有る)、あれで挫折した人は、こちらを読んでみると良い。

    もしも自分が他人の顔になれる仮面を手に入れたら、一体ど...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年02月08日

    人はみな他人の顔を求めるものだと思う。 SNSで友人を作るのが当たり前になっている現代は、出版された時代と比べてもかなり「自分とは別の顔」が普及した世の中になっている。
    のみならず、コスプレやメタバース、ゲームのアバターなど「自分以外の自分」で自己表現ができる機会は多い。
    化粧や整形の普及もあって、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年10月31日

    ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。
    本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。
    文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。
    人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているの...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年08月18日

    安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。
    フランスでも高い評価を得た作品で、
    日本では映画化もされているそう。

    顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい
    "顔"を失った男が、
    妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという
    ストーリー。

    科学者である主人公が研究を重ねて
    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年03月08日

    中学時代に読んで以来の再読。
    顔にダメージを負うだけで自分が自分でなくなってしまうのには十分なのに、顔を差し替えても自分のままでしか居られない。
    考えてみれば当たり前のことだけどかなり辛いことだとおもった。

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    Posted by ブクログ 2021年11月02日

    研究所に勤務する僕は実験中の爆発事故で顔一面に大やけどを負い、ケロイド瘢痕を隠すため顔全体を包帯で覆う日々を過ごす。人間同士のつながりの窓である「顔」の復元を考え、特殊ゴムを使用した覆面を思いつく。見放されたと感じている妻にも別人として迫るがその結末は意外にそっけない。愛というものは互に仮面を剝がし...続きを読む

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