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液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。特異な着想の中に執拗なまでに精緻な科学的記載をも交えて、“顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。(解説・大江健三郎)
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Posted by ブクログ
読み始めと、途中と、読み終わってからとでは 印象が違って、すごく疲れた そしてもう一度読みたくなった 顔が仕事上の事故でケロイド状になってしまった主人公 妻から拒否されていると悲観する そこから始まった計画 完璧な仮面を作り、それを被ることによって 仮面に乗っ取られていく それははたして他人なのか?...続きを読む そして妻への計画は成功するのか? 主人公がみた映画の内容がまたなんともいえず 主人公と重なり、さらに切なさを重ねる 主人公も妻も、不器用で、人間らしく いじらしい
主人公の行動一つ一つが世界の不幸と照らし合わせて合理化しているのが怖い。けれどその言葉が一瞬一理あると見せてるのがさらに恐怖心を煽る。 原爆の件も自分は原爆経験者の彼女のように顔や心を傷つけられ白鳥のように飛び立った気になってる、他人の顔して演じたゆえに裏切られただけなのに飛躍してひたすらみんなの同...続きを読む情と喝采が欲しいゆえに複雑に空回りながらそうだと言わせようとしている。 しかし、どんな顔してもしたらダメなこともあるって気付かされた。 この本を読むに辺り、少し前の友人の言葉を思い出した。 「人間は物事を簡潔に導く」 けれどその中は深淵で顔もなくてでも複雑。簡単に導き出した逃げのようなもの、或いは意志みたいものを無下にした結果は深淵のなかでは複雑に永遠に絡まっていて殻になって空っぽになりながらのたうち回ってる。必死に言い訳した言葉を自分では投げかけ簡潔にしている。行動すらも簡潔にして無下にする。 それがこの本の顔と言えよう
現代(令和)におけるVtuberとかにも応用できる、予見してるなぁとか思った。 自分の行動の動機や選びとる選択、何に起因し何に向けてるのか、日々の自分を内省せざるをえなかった。
失踪シリーズに挙げられるが、個人的に安部公房作品でも砂の女と並び傑作。 顔を失った男の自閉した内省・思考の流れが滑稽で面白い。読んでいくうち主人公と同化し沈み込んでいく引力がある。 作品世界が非常に狭く、読後は疲労も残り要体力。
顔を失くした男の自己回復と、 他者との交流の窓を回復する目的であったはずの仮面が、 いつしかただ別の素顔を得るだけになる。 執拗に繰り返される自問自答と顔に纏わる考察が、 必死になればなるほど迫害的で妄想的な意味合いを強め、 ひどく歪んだ自己愛的な主観へと埋没していく様が怖いが、 それは蛭の巣窟に...続きを読むなったからなのか。 それとも妻が指摘することが真実なのか。 男とその妻という形式を借りた、 これまた安部公房が描き続ける普遍的な人間の実存をめぐる物語に仕上がっている。
良くも悪くも男性はこういう思考に陥りやすいのではなかろうか。しかし妻の気持ちもわからぬではない。一度刺さったハリネズミのトゲはそう簡単には抜けない。ならいっそもっと深く差し込んで見る必要があったのではないか?
顔は通路。 覆面は他人との関係を、素顔のとき以上に普遍的なものに高めてくれるのではあるまいか… 顔なんかで人は判断されない と思いつつも、おまえのことを考える時にいつも浮かぶのは顔。その表情。 匿名性と、その実存と、それもまた本人に過ぎないと言う事実。 夫婦には仮面が必要…? 主題はとてもおも...続きを読むしろく好きなものだったけど、読むのに時間かかったなぁぁ
人はみな他人の顔を求めるものだと思う。 SNSで友人を作るのが当たり前になっている現代は、出版された時代と比べてもかなり「自分とは別の顔」が普及した世の中になっている。 のみならず、コスプレやメタバース、ゲームのアバターなど「自分以外の自分」で自己表現ができる機会は多い。 化粧や整形の普及もあって、...続きを読む顔がもたらすアイコン的特性自体も強くなったかなとも思う。 本書の主人公は、他人の感情などまるで見ていない。妻・同僚の感情や思いやりに無頓着で、被害者意識で利己的な屁理屈と哲学をこねながら延々と同じ場所をぐるぐる回っている。結果として仮面と自己の同一性は歪み、現実との通気口となるはずの仮面は現実逃避の道具となってしまう。 現実の抑圧を発散するためにSNSで認証欲求を満たすのも大概にしておけと、60年前には既に警告されていたのかもしれない。 他者の存在なくして自己はあり得ない。他者の存在を無視した仮面もまた空疎なものに成り果ててしまう。
ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。 本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。 文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。 人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているの...続きを読むが読んでいて痛々しい。 もし自分だったら、、こんなくどくどと言い訳せず 整形技術も上がっている時代なので整形するだろう。 ただ、仮面を作っている過程が具体的でなおかつゾワゾワするような感覚になった。 また読んでもっと深く理解したいと思った
安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。 フランスでも高い評価を得た作品で、 日本では映画化もされているそう。 顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい "顔"を失った男が、 妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという ストーリー。 科学者である主人公が研究を重ねて ...続きを読む"他人の顔"である仮面を作り上げていく過程が とても興味深く、面白い。 またその中で彼が自身に問い続ける "顔"というものの意味、概念について 深く深く考えさせられる。
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他人の顔(新潮文庫)
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