他人の顔(新潮文庫)

他人の顔(新潮文庫)

781円 (税込)

3pt

液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。特異な着想の中に執拗なまでに精緻な科学的記載をも交えて、“顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。(解説・大江健三郎)

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他人の顔(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    読み始めと、途中と、読み終わってからとでは
    印象が違って、すごく疲れた
    そしてもう一度読みたくなった
    顔が仕事上の事故でケロイド状になってしまった主人公
    妻から拒否されていると悲観する
    そこから始まった計画
    完璧な仮面を作り、それを被ることによって
    仮面に乗っ取られていく
    それははたして他人なのか?

    0
    2025年02月16日

    Posted by ブクログ

    主人公の行動一つ一つが世界の不幸と照らし合わせて合理化しているのが怖い。けれどその言葉が一瞬一理あると見せてるのがさらに恐怖心を煽る。
    原爆の件も自分は原爆経験者の彼女のように顔や心を傷つけられ白鳥のように飛び立った気になってる、他人の顔して演じたゆえに裏切られただけなのに飛躍してひたすらみんなの同

    0
    2025年02月05日

    Posted by ブクログ

    現代(令和)におけるVtuberとかにも応用できる、予見してるなぁとか思った。

    自分の行動の動機や選びとる選択、何に起因し何に向けてるのか、日々の自分を内省せざるをえなかった。

    0
    2023年05月09日

    Posted by ブクログ


    失踪シリーズに挙げられるが、個人的に安部公房作品でも砂の女と並び傑作。
    顔を失った男の自閉した内省・思考の流れが滑稽で面白い。読んでいくうち主人公と同化し沈み込んでいく引力がある。
    作品世界が非常に狭く、読後は疲労も残り要体力。

    0
    2023年01月13日

    Posted by ブクログ

    顔を失くした男の自己回復と、
    他者との交流の窓を回復する目的であったはずの仮面が、
    いつしかただ別の素顔を得るだけになる。

    執拗に繰り返される自問自答と顔に纏わる考察が、
    必死になればなるほど迫害的で妄想的な意味合いを強め、
    ひどく歪んだ自己愛的な主観へと埋没していく様が怖いが、
    それは蛭の巣窟に

    0
    2020年10月31日

    Posted by ブクログ

    良くも悪くも男性はこういう思考に陥りやすいのではなかろうか。しかし妻の気持ちもわからぬではない。一度刺さったハリネズミのトゲはそう簡単には抜けない。ならいっそもっと深く差し込んで見る必要があったのではないか?

    0
    2020年04月20日

    Posted by ブクログ

    顔は通路。

    覆面は他人との関係を、素顔のとき以上に普遍的なものに高めてくれるのではあるまいか…

    顔なんかで人は判断されない と思いつつも、おまえのことを考える時にいつも浮かぶのは顔。その表情。

    匿名性と、その実存と、それもまた本人に過ぎないと言う事実。
    夫婦には仮面が必要…?
    主題はとてもおも

    0
    2024年08月10日

    Posted by ブクログ

    人はみな他人の顔を求めるものだと思う。 SNSで友人を作るのが当たり前になっている現代は、出版された時代と比べてもかなり「自分とは別の顔」が普及した世の中になっている。
    のみならず、コスプレやメタバース、ゲームのアバターなど「自分以外の自分」で自己表現ができる機会は多い。
    化粧や整形の普及もあって、

    0
    2024年02月08日

    Posted by ブクログ

    ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。
    本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。
    文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。
    人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているの

    0
    2022年10月31日

    Posted by ブクログ

    安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。
    フランスでも高い評価を得た作品で、
    日本では映画化もされているそう。

    顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい
    "顔"を失った男が、
    妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという
    ストーリー。

    科学者である主人公が研究を重ねて

    0
    2022年08月18日

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