けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

小説・文芸
737円 (税込)

3pt

ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州。敵か味方か、国籍さえも判然とせぬ男とともに、久木久三は南をめざす。氷雪に閉ざされた満州からの逃走は困難を極めた。日本という故郷から根を断ち切られ、抗いがたい政治の渦に巻き込まれた人間にとっての、“自由”とは何なのか? 牧歌的神話は地に堕ち、峻厳たる現実が裸形の姿を顕現する。人間の生の尊厳を描ききった傑作長編。(解説・磯田光一)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1527034
  • 電子版発売日
    :
    2024年03月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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けものたちは故郷をめざす(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    敗戦を迎え混乱する満州。
    満州で生まれ育った青年・久三は両親を亡くし、戦争を経てロシア兵にかくまわれている。
    ロシア兵たちとは穏やかに過ごしているけど、故郷日本への想いに次第に焦燥感を募らせていく。
    ある日、南へ向かう列車が出る事を知った彼は脱出を決意するが…
    そこからは最後まで息がつけない。寒さと飢え、疲労と恐怖。共に南を目指すことになった謎の男・汪(高)は、敵か味方かもわからずずっと疑心暗鬼。
    いつまで読んでも極寒の大地が続き、状況は過酷になるばかり。
    日本を知らない久三。だけど彼を突き動かしてきたのは「自分は日本人だ」という強い想い。厳しい道程を経てきたからこその、あのラストにはクラクラ…

    自身も満州からの引揚げを経験している安部公房。父を発疹チフスで亡くし、市内を転々とし苦労してやっと乗れた引揚げの船中でもコレラが流行していたとのことで、その過酷さは想像がつきません。
    「終りし道の標べに」と併せて、安部公房自身の引揚体験談もどこかで読めないかなぁ。探してみよう。

    0
    2026年01月11日

    Posted by ブクログ

    けものたちは故郷をめざす
    著:安部 公房
    新潮文庫 あ-4-3

    ヤマザキマリの「国境のない生き方」にお薦めがあったので、一読させていただきました

    逃げ遅れた日本人久木久三と、日系中国人高との、満州からの逃避行

    八路軍を巻くように、都市を避ける南下路
    眠ることすら難しい凍土の旅程
    野犬、狼がうろうろとする、身を隠すことができない原野
    氷はあるが、水を飲むことがなかなか許されない
    ピストルをもち、なかば脅されながら進む
    疲労困憊でわずかな坂を上ることすら時間がかかってしまう

    敵とも味方とも分からない連れにも神経を研ぎ澄ませ、久三の生への挑戦が続く

    凍傷でボロボロとなる皮膚、パンをもうけつけなくなった胃や、どす黒い血、極限の状態でたよるものは自分ただひとりである

    目次

    第1章 錆びた鉄路
    第2章 旗
    第3章 罠
    第4章 扉

    ISBN:9784101121031
    出版社:新潮社
    判型:文庫
    ページ数:320ページ
    定価:670円(本体)
    1970年05月25日発行
    2018年02月15日23刷改版
    2024年02月20日27刷

    0
    2024年07月08日

    Posted by ブクログ

    ◯名著。表現力が際立って良いと感じる。情景と心情が一瞬で頭に入ってくる。荒野で彷徨い続けるあたりは迫真。彼らが何故生きているのか不思議なほど、自分のイメージもボロボロに追い込まれていた。
    ◯ストーリーも意外に面白い。かなりひっくり返り、展開していくので、描写との相乗効果で読後感はぐったりする。しかしそのこと自体をもってやはりすごいと思う。砂の女に馴染めない人はこちらを読んでみてもいいのではないか。
    ◯久しぶりに本を読んだが、全ての本がこのようなものだと良いと思う。

    0
    2022年04月23日

    Posted by ブクログ

    順調に思えた故郷への逃避行は、はじめの一日を頂点に地獄へと急降下していく。
    銃撃、衝突、凍傷、飢え、裏切り、ありとあらゆる死の淵に立たされながらも、日本に帰れるという希望が何度もちらつく。が、その希望の光は見えたと思った次の瞬間には消え、暗闇を彷徨い歩いていると再び光り、またすぐに消える。消えるたびに絶望が殴る蹴るの暴行を加えてくる。幻の光であると、どこかで知っていながら、それでもすがりつくものがないよりましだと、裏に絶望が隠された希望という扉の取手を回す。

    久三の感情、情景描写、ひとつひとつの表現が、鈍い鐘の音のような重さをもって心臓に響いてくる。
    すべてが事実にしか思えないほど残酷なまでに現実的でかつ壮大な冒険活劇でもあった。

    0
    2019年11月07日

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦敗戦の噂を聞いて、診断書を満州から偽造し、逃げて?きたという公房の、半分くらいの体験記だそうです。
    敗戦と共に襲われる屈辱、苦悶、苦痛…そして無政府状態に対する怒りと疑問が、この作品には生きることを諦めないというテーマで描かれています。
    元々、公房のなかにある

    考えることを諦めなければ、必ず閃きがある

    というモットーのなか、主人公はひたすら考え抜いて窮地を渡っていくのですが、このモットーは個人的にも好きで、文学に嵌るきっかけにもなりました。
    高の指を切断するシーンは、流石、医学部卒なだけあり生々しいですが、生きることを優先させると…と、ひたすら生に貪欲な内容でした。
    人間は、いざとなったら案外、生きることに貪欲になるのだということを教わりました。

    0
    2019年11月03日

    Posted by ブクログ

    満州で育ち、引き揚げ時に苦労したらしい著者。
    どこかで「満州は非常に近代的だった、云々」と満州について語っていたインタビューを、目にしたことがある。
    物語はフィクションではあるが、当時の著者自身の体験が潜んでいるような気はする。
    そう思わせる生々しさが所々に散見される。

    逃げ出しても逃げ出しても……ラストも壁が立ちはだかる。
    ぐるぐると荒野を堂々巡りする。
    生への執着と、根なし草の孤独。

    0
    2026年01月02日

    Posted by ブクログ

    戦争、敗戦、極寒という最悪の状況で満州から日本を目指す少年。
    飢える、だまされる、襲われる、失うという極限で、人間の本性はどのように現れるのか、どんどん読み進んでしまう。
    絶望的な世界で現れる人間の獣性を味わいたい方は、是非。

    0
    2024年12月08日

    Posted by ブクログ

     1957(昭和32)年作。
     シュールレアリスムのスタイルに依らない、一応リアリスティックな書法の作品。もっとも、極度の飢えに晒されながら荒野をさまよう主人公の状況は、それ自体がどこかシュールでもある。
     安部公房自身が少年時代を満州で過ごし、敗戦後は家を追われ放浪したらしいので、ある程度このリアルな体験、当時目にした情景などが本作に反映されているに違いない。
     永遠と思われるような放浪が、なんとも印象に残る作品だった。

    0
    2024年07月12日

    Posted by ブクログ

    氏の他の作品と比べて心理描写より写実的な記述が多い印象。その為か、大陸の荒野を彷徨う様が目に浮かぶ。
    国家に翻弄される久三が気の毒過ぎる…

    0
    2024年05月15日

    Posted by ブクログ

    満州から日本日の逃避行を描く。理想化された日本を求めるほどに遠くなり幾多の困難が立ちはだかる。『砂の女』が塀の中からの視点を描いたのと対比的に、本作では塀の外からの原始的、野蛮な世界から塀の中の社会秩序の世界を希求する男の物語だった。

    0
    2024年05月01日

けものたちは故郷をめざす(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1527034
  • 電子版発売日
    :
    2024年03月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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