けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

737円 (税込)

3pt

ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州。敵か味方か、国籍さえも判然とせぬ男とともに、久木久三は南をめざす。氷雪に閉ざされた満州からの逃走は困難を極めた。日本という故郷から根を断ち切られ、抗いがたい政治の渦に巻き込まれた人間にとっての、“自由”とは何なのか? 牧歌的神話は地に堕ち、峻厳たる現実が裸形の姿を顕現する。人間の生の尊厳を描ききった傑作長編。(解説・磯田光一)

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けものたちは故郷をめざす(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年04月23日

    ◯名著。表現力が際立って良いと感じる。情景と心情が一瞬で頭に入ってくる。荒野で彷徨い続けるあたりは迫真。彼らが何故生きているのか不思議なほど、自分のイメージもボロボロに追い込まれていた。
    ◯ストーリーも意外に面白い。かなりひっくり返り、展開していくので、描写との相乗効果で読後感はぐったりする。しかし...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年11月07日

    順調に思えた故郷への逃避行は、はじめの一日を頂点に地獄へと急降下していく。
    銃撃、衝突、凍傷、飢え、裏切り、ありとあらゆる死の淵に立たされながらも、日本に帰れるという希望が何度もちらつく。が、その希望の光は見えたと思った次の瞬間には消え、暗闇を彷徨い歩いていると再び光り、またすぐに消える。消えるたび...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年11月03日

    第二次世界大戦敗戦の噂を聞いて、診断書を満州から偽造し、逃げて?きたという公房の、半分くらいの体験記だそうです。
    敗戦と共に襲われる屈辱、苦悶、苦痛…そして無政府状態に対する怒りと疑問が、この作品には生きることを諦めないというテーマで描かれています。
    元々、公房のなかにある

    考えることを諦めなけれ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年11月04日

    舞台は第二次世界大戦終了直後の満洲である。
    主人公の久三は満洲の工場の寮で生まれた。終戦直前、工場の日本人らは皆引き上げていったが、久三は病気の母親とともにこの地に残されてしまう。侵攻してしたソ連兵は、久三が「日本人に騙された」と誤解し、彼を軍の一員として迎え入れるのだった。
    しかし、数年後、久三は...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年04月29日

    ヤマザキマリのオススメ本として紹介されましたので初めての安部公房。終戦直後の満州から日本へ帰国する壮絶な旅。生きることの無条件の渇望に勇気をもらう。

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    Posted by ブクログ 2014年12月04日

    他人を利用し、利用される。戦時中の不幸な話と片付けられるだろうか。平和な生活をしていても、命のやり取りまではしないというだけで、基底にはそういう精神が伏流水のように存在しているのではないだろうか。私たちもまた、けものなのだろうか。

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    Posted by ブクログ 2012年12月11日

    満州時代の経験が生きた佳作。哲学書じみた『終りし道の標べに』に比べると読みやすい。

    本作は、生と死の境目を綱渡りする決死の逃避行劇である。安部公房が生涯追い続けた「疎外」「人格の証明」といったテーマが既に表出している点が興味深い。また、夢や幻覚を用いた前衛的な雰囲気や、ひりひりするような現実的レト...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年10月09日

    人間の本姓を、目を背けずに、具体的かつ重量感のある言葉で描写する。文学の重要な役目であろうが、少し古臭い。

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    Posted by ブクログ 2022年04月15日

    安部工房作品としては、奇想天外さが薄く、テーマが割とはっきりしている(アイデンティティとはどこにあるのか?)。
    面白いが、ちょっと弱い。

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    Posted by ブクログ 2011年05月12日

    あと一歩なのにっ。自身の満州体験を活かした、大陸を渡る冒険の旅。男たちの無骨さと間抜けさをジリジリくる表現で描き、ラストまで気を許させない。ニュアンスでいう国籍の本質に迫った、絶版の佳作。

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