けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

737円 (税込)

3pt

ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州。敵か味方か、国籍さえも判然とせぬ男とともに、久木久三は南をめざす。氷雪に閉ざされた満州からの逃走は困難を極めた。日本という故郷から根を断ち切られ、抗いがたい政治の渦に巻き込まれた人間にとっての、“自由”とは何なのか? 牧歌的神話は地に堕ち、峻厳たる現実が裸形の姿を顕現する。人間の生の尊厳を描ききった傑作長編。(解説・磯田光一)

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けものたちは故郷をめざす(新潮文庫) のユーザーレビュー

4.1
Rated 4.1 stars out of 5
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    Posted by ブクログ

    けものたちは故郷をめざす
    著:安部 公房
    新潮文庫 あ-4-3

    ヤマザキマリの「国境のない生き方」にお薦めがあったので、一読させていただきました

    逃げ遅れた日本人久木久三と、日系中国人高との、満州からの逃避行

    八路軍を巻くように、都市を避ける南下路
    眠ることすら難しい凍土の旅程
    野犬、狼がうろ

    0
    2024年07月08日

    Posted by ブクログ

    ◯名著。表現力が際立って良いと感じる。情景と心情が一瞬で頭に入ってくる。荒野で彷徨い続けるあたりは迫真。彼らが何故生きているのか不思議なほど、自分のイメージもボロボロに追い込まれていた。
    ◯ストーリーも意外に面白い。かなりひっくり返り、展開していくので、描写との相乗効果で読後感はぐったりする。しかし

    0
    2022年04月23日

    Posted by ブクログ

    順調に思えた故郷への逃避行は、はじめの一日を頂点に地獄へと急降下していく。
    銃撃、衝突、凍傷、飢え、裏切り、ありとあらゆる死の淵に立たされながらも、日本に帰れるという希望が何度もちらつく。が、その希望の光は見えたと思った次の瞬間には消え、暗闇を彷徨い歩いていると再び光り、またすぐに消える。消えるたび

    0
    2019年11月07日

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦敗戦の噂を聞いて、診断書を満州から偽造し、逃げて?きたという公房の、半分くらいの体験記だそうです。
    敗戦と共に襲われる屈辱、苦悶、苦痛…そして無政府状態に対する怒りと疑問が、この作品には生きることを諦めないというテーマで描かれています。
    元々、公房のなかにある

    考えることを諦めなけれ

    0
    2019年11月03日

    Posted by ブクログ

    戦争、敗戦、極寒という最悪の状況で満州から日本を目指す少年。
    飢える、だまされる、襲われる、失うという極限で、人間の本性はどのように現れるのか、どんどん読み進んでしまう。
    絶望的な世界で現れる人間の獣性を味わいたい方は、是非。

    0
    2024年12月08日

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