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日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。両隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆で描く長編小説。
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Posted by ブクログ
124年前に起きたこの事件を、今の感覚で、誰が悪かったのかと断じることはできないと思った。 極寒の中、前例のない雪中行軍で、正しい判断を下すことが無謀にも程がある。 雪山という自然界の厳しさと、個人の意思では抗えない縦社会の権力。 その両方から逃れられない状況は、残酷でしかなかった。 権力を持...続きを読むつ者が、立場の弱い者の命を軽く扱ってしまうこと。 それは過去の出来事ではなく、今も繰り返されている人間の怖さだと思う。
映画に感化されて八甲田山観光、その前に予習。 よかった!おそろしかった! 映画を見ているので、雪地獄がビジュアルで浮かぶ。 映画と違い、徳島隊が三本木にたどり着くまでの過酷な道のりを示し、神田隊が来ていないことを知りぞっとする。そして死へ行進が幕を開ける…素晴らしい構成で、青森隊出立からは最後まで...続きを読む止まらない勢い。 1番のハイライトはさわの道案内。吹雪にもかかわらず、ワクワクするような爽やかで明るい行軍となった。 日露戦争に向けた、当時の空気をひしひしと感じる。たかだか数十年前に誕生し、急速に力を持った支配階級・軍人を、市井の人々はどう見ていたのか。 最後の立川中将の「軍兵増強と知名度を勝ち得た五連隊の勝ち」判定には甚だ遺憾ではあるが、「両方が勝つ戦争というのはがあるのですか」は日露戦争を思わせて興味深い。日本は勝ったが得るものがなく、好戦の道へ突き進んだ。ロシアは負けたが、この戦争はむしろ革命を後押ししたかもしれない。 最もこれだけの犠牲を出して雪山の恐ろしさを知り、せっかく生存した頑健で有能な将兵たちを失なってまで臨んだのだから勝てないと報われなかったが… 映画ならではのドラマチックな脚色も良かったと振り返って思う。 筆者の思惑通り健さんを通した『徳島大尉』は極限まで美化され、第三十一連隊ここにありと八甲田踏破をアピール。小難しくなる銃の話など後日談はカット。可哀想だけど案内人の受難もカット。神田大尉は若く立場の弱さを強調し、顔を観るだけで苦味がするような三國の山田大佐とキャラクターの凹凸をはっきり。田茂木野での、遺体となった神田大尉との再会。厳冬の雪地獄の合間に、幻覚として美しく優しい秋までの八甲田をはさむ。 というか1世紀前にはこんな過酷な行軍をやってのける軍隊という組織があったなんて。現代、同じような環境に置かれてどれだけの人がチーム行動を保てるのか…?無謀と盲信ではあるけれど、軍という不思議な強制力と信頼を生む組織への興味が湧く。
初秋、雨が時折降る曇天、適温の週末に一気読み。それに相応しい1日だった。 これは、静かに読む環境が必要だった。 将の器。リーダーは1人ではならぬ。 生き延びるために必要な準備。準備が結果を決める。 極限の状態下も、想像力と事前の準備、そのときに向けた対策がものをいう。 人として見失ってはいけない...続きを読むこと。 将、リーダー、組織を率いるものとしての資質と行動。人を巻き込み、味方につけるためには、何が必要か。 読んでて、息苦しい。。
200名近い犠牲者を出した旧帝国陸軍青森部隊の雪中行軍。長らくタブーだった事件に切り込んだ、丁寧な取材に基づく小説。「失敗の本質」などでも散々書かれている、リーダーの資質、準備不足、事なかれ主義、油断、責任放棄など、ダメな組織、ダメなリーダーの特徴みたいなものが随所に現れる。ダメなリーダーのおかげで...続きを読む亡くなるのは下々のものであり、これは現代でも同じ。現在、現地には慰霊塔が立っているのだが、これも階級ごとに造りが異なるという。こういうところからも、学んでいかなければならない。
会長と社長が好きな本ということで積ん読になっていたこちらをやっと読んだけど、人生で読んだ本ベスト3に入るくらいには面白かった。 過去にこんな事があったということを全く知らず、自分の知識を増やすことができたのもよかったけれど、敵を知ることや前準備がいかに重要かをこの本を読んで再認識出来て本当に為にな...続きを読むった。 自信を持って人にすすめられる一冊でした。
実際に起きた明治の遭難事件を元に作者の新田氏が小説として描いているが、雪山という自然の中での行軍の様子、戦争で死が隣であった軍人たちでも狂ってしまう恐ろしさ、また軍人であるという精神や忍耐論の限界、階級社会の悪いところなどが詰め込まれておりあっという間に読破してしまいました。
リーダーとはなんぞや、のヒントがないかと思って読み始めました。結果として、こんなに最適な本はなかったと思いました。読んだ後人生観が変わる。行動に移せればと思う。準備は大事。劣等感は持ちすぎると毒。 誰かにアドバイスされるより、過去にあった事件の本を読んだ方が納得できた。
遭難した青森第5聯隊と、競わせる為に別の隊・弘前第31聯隊がいた事、第31聯隊は全行程の踏破に成功していた事は知らなかった。 その二つの隊の生死を分けたものは何だったのか。天候、隊を率いるリーダーのあり方、出自による差別意識など、色んな事が重なってしまったからか。 急激な天候の変化、前を行く人の姿も...続きを読む見えないくらいの猛吹雪の中、雪・風・闇・寒さ・空腹等と闘いながら行軍を続ける隊員たちの描写の切迫感は、実際にあった出来事というのも相まって凄まじいものがあった。
日露戦争前夜、雪中での行軍を想定した演習で発生した未曾有の大遭難という史実をベースとした作品。 「Wikipedia三大文学」の一角ということと、大まかなストーリーは知っていたのですが、実際に読んでみて圧倒されました。 一目で「あっ、この瞬間に歯車が狂ったな」と分かるシーンもあれば、「これ、最終的...続きを読むにどっちのチームが遭難するんだ…?」と感じてしまう不穏な描写が散りばめられており、サスペンス作品としても楽しめると思います。 また、演習とはいえ軍事行動における「英雄」という偶像についても考えさせられました。 この演習で生き残った人々のその後や、考え方によっては「本番」と言える日露戦争での結末を知ると…。
感想
指揮官はどうあるべきかを学びました。
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八甲田山死の彷徨
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