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日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。両隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆で描く長編小説。
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Posted by ブクログ
日露戦争前夜の八甲田山での日本陸軍の遭難事件。あまりにも有名な事件だけれど、ほぼ全滅した連隊とは別に、無事生還した連隊があったことがどこまで世間に知られているのか。第五連隊の準備不足、指揮命令系統の混乱、組織論理の優越から来る非合理的な判断、劣等感から意見の飲み込みなど。現代社会において組織に生きる...続きを読む私たち自身も振り返るべき問いが多々ある。合理的な判断でないと思っているにも関わらず、それにいい諾々と従うことは逆に罪深い。 また生還した第三十一連隊の徳島大尉の平民への差別意識も甚だしく、加えて、軍隊が駐屯することになった村・集落の負担も相当なものだったろう。寒村で自らの食糧でさえままならないだろうに無理やり拠出されているわけで、かなりつらいものだったのではと想像される。 それにつけても、そもそも、なぜ真冬の青森県八甲田山に軍隊が行軍する必要があったのか。序章で第八師団参謀長の中林大佐の口から告げられる、その軽々しさたるや。こんな軽挙妄動のために何人、何千人の人生を狂わせることになったのか。 組織の上に立つ人は必ず読むべき作品。
まず、ここまで克明にリアルな表現で書いてくださった著者新田氏に感謝したい。 この小説に出会わなければ、八甲田山の雪中行軍の悲劇をしらずに生きていただろう。 人間模様まで聡明にイメージできた。 新田氏、有難うございます。
八甲田山遭難のあまりの過酷さに食い入るよう読みました。当時の粗末な装備と、知識や情報もない中のでの彷徨は考えるだけで恐ろしい。凍傷で服のボタンが外せずに用も足せず失禁した衣服が凍って凍え死ぬとか想像を絶する。
小説とは言いつつも、史実に即した内容は興味深く読めた。 指示系統の曖昧さが起こす悲劇は、今の社会も変わらない気がする。
「人の不幸は蜜の味」などというが、まあ読書好きなんて人種は下世話なもので様々なカタチの他人様の不幸を自室でゆったりまったりと楽しんでやろう、なんて連中ばかりである。そういう意味で本書はその不幸の度合いが桁違い。なんせ世界最大レベルの山岳遭難事故なのだから。 弘前歩兵第31連隊と青森歩兵第5連隊の並列...続きを読む構造で進んでいく物語が希望と絶望のグラデーションとなり、ぐいぐいと真冬の地獄のような八甲田山の中に引き込まれる。しかしこの本の最も重要な点は案内人の記述である。雪山行軍を成功させた第31連隊を英雄の如く描写し第5連隊をある種の反面教師化させれば簡単なのだが、本書は第31連隊を率いる徳島大尉の案内人に対する冷酷な扱いをしつこく何度も書いている。そこにははっきりとした批判的意図が見て取れる。生き残った軍人と死んだ軍人、それだけの話ではなく、軍人と民間人、そこにスポットを当てた作品でもあるのだ。私は増沢から田茂木野まで案内人を務めた7人にこそ最も感情移入をしてしまう。
「坂の上の雲」を読んだときは明治はチャンスに満ちて明るい時代だったのかなと思ったけど、この本を読むとまた見方が変わる。今と比べて根性論の方が科学よりも優位で階級社会や差別意識が強く残っている世の中の窮屈さみたいなもの感じた。無謀に挑まされることを強いられて途方もなく辛い思いをして気が狂って苦しくも無...続きを読む惨に死ぬようなことは、自分はもちろん家族にも絶対に経験させたくないと思った。今の時代でよかったと思った。 それと、寒さとか辛さとか自然の恐怖とか理不尽さとか人間の愚かさとかいろんなものをたった300頁あまりの文庫本でリアルに想像し擬似体験できる読書という行為の奥深さを改めて実感した。
何ですか、この既視感というか、無能さというか、自意識の欠如は。 うろ覚えの映画のイメージとはかけ離れていて、あまりに酷過ぎる話を濃厚に飲み込まされる。 色々な立場からの見方はあるんでしょうが、とにかくどんなことがあろうと謙虚さは不可欠ですなぁ。
組織論やリスク管理などのビジネスの視点でも興味深い本でした。 参加者ほぼ全滅という結果になってしまった無謀な八甲田山の冬季軍事訓練。 メディアで見たことがある「ほぼ全滅」したのは青森の5聯隊であり、5聯隊と逆ルートで八甲田山越えを目指した弘前の31聯隊は「全員生還」したといいます。 この事実を知っ...続きを読むている人は少ないのかもしれません。 最近読んでいた『ゴールデンカムイ』で、八甲田山の生存者といわれるアイヌの兵士が出てくるのですが、きっと31聯隊だったんだなあ... この本は、八甲田山越えを成功させた31聯隊のストーリーのあとに5聯隊が描かれており、いわゆる「成功と失敗」の対比のようでわかりやすかったです。とはいえ31聯隊の徳島大尉の傲慢とも思える行動に違和感を感じることもあり、成功と言われている31聯隊にも組織の体質など問題があることがわかります。 5聯隊は、読者としては結末を知っていることもあり、読んでいて感情を揺さぶられます。 この遭難事件の失敗の原因は複数あるけれど、どうしても感じてしまうのは階級型組織の闇。 『失敗の本質』を読んで、日本の組織の体質は現代にも色濃く残っていると感じましたが、それ以前に八甲田山の失敗は大東亜戦争で生かされなかったということに虚しさを感じてしまいました。
新田次郎氏の特長が活かされたノンフィクションの傑作。雪中彷徨の表現の迫力に引き込まれた。事実と描写のマッチに圧倒された。
感想
指揮官はどうあるべきかを学びました。
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八甲田山死の彷徨
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新田次郎
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