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Posted by ブクログ
まず、こんな史実があったことに衝撃を受けた。
戦争は1945年の玉音放送で終わったが、そこからが本当の戦いだったことは誰も教えてくれない。
どころか、当時も隠蔽していた事実がたくさんあったからこそ後世に知られることもない。
それだけでなく、当時の女性に対する、貞淑な妻であるべき、とか、男に3歩後ろを歩け、とか、そんな思想に疑問を感じつつも自分を殺していた人達も多かったことだろう。鈴子の母はそんなタイプだったわけだ。
変わってしまった時代背景を糧に、今までの国作りをしたすべてに恨みを晴らすべく強く生きる母と、そんな母に戸惑う鈴子。
リアルに時代を描写しており、とても考えさせられた。この本をきっかけに、RAAについて調べたが、史跡などとしては残されていなくとも、名残は今でも残っている。こんな史実を知らずに平和に生きている今の人々を見てるとなんともいえない気持ちになる。
Posted by ブクログ
戦争は戦争中はもとより戦後も国民に多大な苦しみを与え続けた。戦後、残された女、子供は様々な生き方を選ばなければならなかった。鈴子の母つたゑは自分と娘が生き抜いていくために今までとはがらりと違うしたたかに生きていく道を選ぶ。つたゑにはそんな才能も強さもあった。14歳という多感な時期であった鈴子はそんな母に反感を覚えながら次第に母を理解し、一人で強く生きていくことを教える母に感謝するようになる。
鈴子の友人勝子の母は焼け野原となった東京にとどまり、爆発で腕を失った勝子を看ながら貧乏な苦しい生活を送るが鈴子との出会いをきっかけに熱海に行きまもなく事故で亡くなる。
まだ自立していない子供の人生は親の考え方、生き方によって左右されてしまう。成長とともに二人が新たな自分の人生を生きていけることを願った。
Posted by ブクログ
戦時下、父やきょうだいを亡くし、母親と2人で東京で暮らす二宮鈴子。彼女の14歳の誕生日、昭和20年8月15日水曜日、戦争は終わり、日本は敗戦国となった。混乱する社会の中で、母子2人のサバイバルがはじまる。
戦争以前、女は家庭に入り、男たちを陰で支えるだけだった。しかし、敗戦国となり、多くの男手を失った日本では女たちも自立しなければならない。在日米軍の手足となる者、性を商売にする者、小料理屋、女中、キャバレー。男は女を守れなくなった日本で、奮闘する女たち。その一方で女が働くことを嫌悪する古い価値観を持つ男女もいる。
鈴子の母は英語を知っていたおかげでアメリカ軍の慰安婦施設の通訳として働くことができた。十分な報酬もらい、めぐまれた衣食住の提供を受ける鈴子と母。しかし、鈴子にとって、キャリアウーマンとして高みを目指し、米軍将校と付き合う母は昔の母ではなかった。そして、周りを見れば、その日をどうにか暮らしている貧しい女たちがいる。
豊かな暮らしをさせてもらっているのは、母のおかげ。しかし、そんな母にやりきれない気持ちを抱えつつ、自分ひとりで生きていくことにも臆病な鈴子。当時の日本は家にこもっておとなしくしている戦前の女性像と1人で生きて社会に向き合う女性像をめぐって、女たちが戸惑う時代だった。
敗戦から約1年後の水曜日、女性にとって新たな歴史的出来事によって、本作品は終結する。
Posted by ブクログ
再読。
14歳の多感な時期の女の子鈴子の目線で描かれる戦後の日本。
負けた国の女達のそれぞれの生き方に、複雑な思いを感じながらも、大変興味深く読み直しました。
鈴子が嫌悪感を感じてしまう母つたゑの生き方も、この時代にはやむを得ないもので、ある意味逞しく、羨ましくすら感じました。
勝子ちゃんとの再会のシーンには、涙が止まりませんでした。
勝子ちゃんと鈴子の会話、これこそが戦争で失われてしまっていた大切なものだったと思います。
慰安所をテーマにしている部分で、語られることの少ない作品かもしれませんが、素晴らしい作品。
またいつか手に取りたいと思います。
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