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家族が起こした不祥事で故郷を離れ、コロナ禍のなか帰郷した女性。父と離婚した母の実家で、家業の秘密を知った息子。両親を事故で失い、我が家にやってきた不思議な従妹。わかりあえると思ったら遠ざかる。温かいのに怖い。恋があって、愛があって家族になったはずなのにーー。「人間」という最大のミステリーを描き続けてきた作家による、傑作短編を精選した文庫オリジナルアンソロジー。
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Posted by ブクログ
1998年から2020年にかけて書かれた乃南アサさんの短編小説アンソロジー。
最初の作品は普通小説っぽくて、意外とそういう作品が並んでいるのかと思い油断して読んでいると、いきなりホラー小説みたくなったり、ミステリっぽくなったり、なかなか多彩である。読み始めた時はどんな作品なのか分からないので、読んでみてのお楽しみ、というスリルがあった。
しかし、私はこの本に対してちょっと申し訳ないことをした。途中から、ヘンリー・ジェイムズの短編集と同時に、つまりかわりばんこに読んだのである。そうしてしまうと、ジェイムズ作品の文章の味わい深さ、物語世界の(心理的な)深さが際立ってしまい、そうすると本書の諸作はあまりにも薄っぺらく見えてしまうのだ。特に文章は読み安すぎて、音も無く流れ去っていく感じだ。この辺はもう、芸術としての格の違いとしか言いようがない。
そんな比較をしてしまうとかわいそうだが、本書の短編は、現在の日本のエンタメ系作家が書いたものとしてじゅうぶんなレベルに達していると思う。悪くはない。
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