壁(新潮文庫)

壁(新潮文庫)

737円 (税込)

3pt

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った野心作。(解説・佐々木基一)

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壁(新潮文庫) のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2024年03月09日

    この本は、三部で構成されていた。第一部の「S・カルマ氏の犯罪」が第25回芥川賞を受賞したとのこと。

    『壁 第ー部 S・カルマ氏の犯罪』
    ある日、自分の名前が想出す(原文ママ)ことができなくなった主人公に次々と起こる非現実的な出来事。よくわからなくて何度も読み返すうちに、こにシュールレアリスムの世...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年12月11日

    第一部「S・カマル氏の犯罪」と第二部「バベルの塔の狸」を読んだとき、まるでピカソの絵のようだと思った。どこまでもどこまでも突き進む想像力が紡ぐ奇々怪々な世界。その「なんじゃこりゃ」と叫びたくなるような世界は、ピカソの絵がそうであったように、演繹という論理的な思考の展開によって極めて理性的に導出されて...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年05月15日

    登場する主人公はどれも、日常から非日常に放り出される。
    次から次へと変化するめまぐるしい展開を漫然と楽しむのもおもしろいし、作者の展開する非日常の論理を考察するのもおもしろい。
    ぼく→彼→ぼくの変化はどうにも難解だった。

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    Posted by ブクログ 2023年04月23日

    魔法のチョークが好きです。

    あと人間がみんな水になる話も好き。

    不思議な文章ですね、世代がものすごく違うのに、描かれている物語は現代にも通じるような、不条理で不思議で、自然の摂理に反しており、概念がそのまま文章化されているような…主人公が壁になる理由はなんだったんだろう…とか、ある名前が消失して...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年10月29日

    ノーベル文学賞候補とも噂された安部公房の芥川賞受賞作品である。

    中編と短編の計6編で構成されている。
    どの作品もカフカの影響を強く受けており、『S•カルマ氏の犯罪』では主人公が名前を失い、『バベルの塔の狸』では目を除く身体を失うなど、不条理との腐心が描かれる。

    しかし、カフカと違う点は、解説者が...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年07月31日

    きっと、これはこれを意味しているんだろう…
    そう思って読み進めるも、どこかで違うような気がしてくる。安部公房のお話はそこが良い。
    正解を見つけようと挑む人もいれば、なんとなく読んで終わる人もいること自体は他の小説と変わらないけれど、「読みといてくれ」という著者のメッセージをこの人からは感じない。(私...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年07月26日

    夢か現か、現実的なのにどこか超現実で、夢を見ているよう。頭の中でイメージはできるのに言葉より強くはならない。
    他作品で言うなら映画の『パプリカ』なんかが似たテイストだと思う。滑稽で愉快でどこか不安定で怖い。

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    Posted by ブクログ 2022年05月08日

    国際的にノーベル賞に最も近い作家と呼ばれた「安部公房」の初期の代表作です。
    『壁』は、作家デビューした安部公房の最初の短編集のタイトルで、収録作が芥川賞を受賞しました。

    安部公房は、大岡昇平や三島由紀夫と同じく、第二次戦後派と呼ばれます。
    第二次戦後派は戦後に登場し、戦前の小説技工を昇華、あるいは...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年04月02日

    壁を隔てた向こう側に行ったら、そんなに理不尽なことに合うんだろうか、というような物語。
    それは、夜中と未明の間にある壁であり、地面と空中の間にある壁かもしれない。
    実態と影の間にある壁もあるかもしれない。
    壁のこちら側でよかったな、あちら側には行きたくないな、という感想。
    でも行きたいとか行きたくな...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年02月12日

    常人が生み出せる作品ではない。人間をあらゆる視点から定義づける試み。彼の思考が物語に息を吹き込むことで、読み手の五感に強烈な後味を残す。

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