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地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた元カメラマン「モグラ」。[生きのびるための切符]を手に入れた三人の男女とモグラとの奇妙な共同生活が始まった。だが、洞窟に侵入者が現れた時、モグラの計画は崩れ始める。その上、便器に片足を吸い込まれ、身動きがとれなくなってしまったモグラは――。核時代の方舟に乗ることができる者は、誰なのか。現代文学の金字塔。(解説・J・W・カーペンター)
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Posted by ブクログ
面白かった。安部公房の中では比較的理解しやすい内容だったのでは。主人公の肥満男モグラは核戦争に備えた方舟を作り、ノアさながら乗船させる人間を選別していく。 肥満男のモグラのせいで昆虫屋がかたまりに思えてしまい、ずっと空気階段のコントを見てるような気持ちになってしまった。
性の威力 便器を中心に生活する滑稽さ 対しユープケッチャは自分のフンで生きる 人は大きな流れのユープケッチャとも言えるし正反対とも言える 政治的な側面や民主主義に関する疑問提唱でもあり、核戦争に対する皮肉でもある。自分が作った王国を危機に瀕死させて自分が脱出する。 そして、サクラ。サクラを題名に使い...続きを読む、それをわざと説明する安部公房は読者に対して何を言いたかったのか。 人は皆ある種のサクラであると伝えながら、サクラでいることも美しさの一つなのかもしれないと思わせた。
初めての阿部公房。読んではいないが映画やその他の情報からの「砂の女」の暗くて重いイメージで読む気になれなかった。しかしそのイメージ撤回。複雑で深く、喜劇的でもあっておもしろかった。世界が滅びても自分は生き延びるってどういうことだろう。
個人的には名作。 『密室』は苦手だったが、こちらは後期安部公房の寓話性とダンジョンの面白さが噛み合って先がとにかく気になった。 ラストの静寂と、もの寂しさは次作『カンガルーノート』に引き継がれる新鮮さでとても良かった。
次はどうなるの?どうなるの?と読書が止まらない作品でした。読み終わらない間のわくわく感と、自分もその場に居るようなスリル感。楽しくてしかたありませんでした。安部公房さんの本また読みたいと思う。
学生時代以来の安部公房。 BOOKOFFで購入。 「砂の女」を読んで新婚旅行で鳥取砂丘に行ったくらいだから、学生時代にはわりと熱心に読んでいたと思う。 安部公房はくせがあり、最初にスッと入れないとなかなか読み通すのが難しいが、これはスッと入れた。 スマホもパソコンもほとんど普及していない時代、想像力...続きを読むの豊かすぎる主人公が核戦争に備えて巨大なシェルターを作り、「生き残るに値する人々」をスカウトする筈だったのだが…という話。 主人公を始め、出てくるのはいびつな人たちだ。いびつさが奇妙に誇張されグロテスクでさえある。 しかし、読後感はわりと爽やかだった。
放置された地下採石場跡の広大な洞窟に、モグラこと〈ぼく〉は核シェルター設備を作り住み込んだ。近づく核投下の日までにこの方舟に乗れる資格のある人を見つけて乗船切符を渡そうとするが、ひょんなことで3人の男女とシェルター内での共同生活が始まる。しかし洞窟に侵入者が現れ、仇敵とも言える父親からの連絡、さらに...続きを読むは便器に片足を吸い込まれて身動きが取れなくなり〈ぼく〉の計画は崩れ始める。核による人類滅亡、シェルターにより生き延びる人たち、生き残った人たちによる新しい社会と平和、そうした一連の想像はすべて幻想であり現実逃避でしかない。逃避した先の世界もまた現実と変わらない。 冒頭で〈ぼく〉は自分の糞を食べて同じ場所をぐるぐる回って生きるユープケチャという昆虫をデパートの屋上で買う。先に購入していったカップルに釣られて買ったのだがその男女がサクラだったことが後でわかる。このサクラの男女と昆虫屋と一緒に共同生活を始めるのだ。虚構に虚構を重ねて第三者をその気にさせるサクラ。さくら丸の名前はそこから来ているのだろう。世の中はすべて幻であり虚構である。どの世界にも真実はあり、パラレルワールドのようにそれらはすべて一人ひとりの頭の中に作られる。つまり、人の頭の中は誰の力を借りなくても、ユープケチャのように自分が排泄したものを食べて同じ場所をぐるぐると生き続けている。昭和59年の作品である。核の時代、核があまりに遠い存在すぎて人はデストピアとユートピアの両方を想像していたが、それどころか時には核そのものが本当は存在しないのではないか、心配すること自体が無駄ではないかという気さえしていた。核があるから安全という人たちの世界と核がなければ安心と言う人たちの世界のどちらが真実なのか。そんな不安の時代に人は何を信じていたのか。あの頃、自分だけは無傷で生き延びるのではないかという根拠のない世界観の中で、誰もがユープケチャのように自分だけの理屈を勝手に吐き出しそれを咀嚼して自己満足していた気がする。いや、人生とはそんなものなのかもしれない
安部公房で一番好き。この作者は、閉塞的な環境の人間模様を書かせたらピカイチですね。 話変わるけど、ノーベル賞は安部公房に取ってほしかったなあ。あと数年生きていれば……。
ふと読み返したくなり再読。3年ぶりくらいに読んだが、印象が変わった。 安部公房後期の長編。この小説の見所は「登場人物全員悪役」ということだろう。しかも小悪党。それらの登場人物が騙し合い、出し抜き合い、物語は進む。 まず笑ったのが「デブ」の頻出具合。主人公のもぐら君がデブなんだけどデブやブタと言われた...続きを読むらキレる。ブタと呼ばれないために自らもぐらを名乗っているくらいだ。このもぐら君、なかなかスケベで女の尻を触ろうとしたりひっぱたこうとしたりする。笑いどころが意外に多い。 この小説は壮大な「かくれんぼ小説」だ。みなさんもかくれんぼの経験があるだろうが、そんなワクワク感がある。偽物という意味の「さくら」をタイトルに据えたのもいい。安部公房は「偽物」という響きが好きらしく、全集についてくる月報も「贋月報」の名前を冠している。けっこう分厚い小説ですがすぐに読めます。おすすめです。
読む本がなくなってしまったので、BooksKiosk新大阪店で買いました。 (2013年9/28) 男は、砂の穴からは逃げなかったけれど、 岩の穴からは逃げ出したんですね。 (2013年10月5日)
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方舟さくら丸(新潮文庫)
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安部公房
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