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Posted by ブクログ
船戸与一の遺作となってしまった大長編小説の第一巻。日本で唯一、異国の砂漠の匂いのする冒険小説を書ける作家が船戸与一だった。冒頭から船戸作品の面白さを十分に堪能出来る歴史冒頭小説である。
昭和三年から四年に掛けての満州を主舞台に雲南坂の名家・敷島家の四兄弟のそれぞれの生き様が描かれる。満州に渡り、馬賊の長となった次郎。奉天総領事館の外交官・太郎。関東軍の陸軍少尉・三郎。早稲田の学生・四郎。四人の兄弟のそれぞれが謎の男、間垣徳蔵と関わり、数奇な運命に翻弄されていく。中でも多く描かれるのは、馬賊の四郎であり、単なる歴史小説ではなく、歴史冒険小説といった味わいになっている。
自分が最初に船戸与一の作品を読んだのは『山猫の夏』だった。砂漠の匂いと強烈な人物像、ワクワクするストーリーにこれまでの日本人作家が描く作品とは全く違う世界に、以後、船戸与一に傾倒することになる。船戸作品の殆んどを読破して来たが、遂にこの作品が最後だと思うと非常に残念であり、何とも淋しい気持ちになる。
Posted by ブクログ
一巻は単行本でも読んだのだが、本作が船戸さんの遺作になってしまったこともあり、もったいなくて途中で読みとどまっていた。よし、読むぞと意気込んで再読。場の情景がありありと浮かび、4兄弟それぞれがその時代の政治に巻き込まれていく序章の一巻。まだ何冊も続きがあるから、まだみんな動いてくれるはず。いろいろな視点で時代の狭間を覗く、しかもその視点は兄弟なので互いに異なる立場でありながらも、気にかけているのがいい。兄弟なので、がないと異なる他者の存在を自分に置き換えづらいのかもしれない。つまり船戸氏の戦略が成功している。完結しているんだということが嬉しくもあり悲しくもあるけれど、自分の中でもようやく完結に向けて動き出した。
Posted by ブクログ
最初の方、あまり話に入り込めなかったし途中で少し中だるみしてしまったものの、全体を通して言えば面白かった。
物語の軸となる敷島四兄弟。
順番にそれぞれの物語が進んでいくが、ごちゃごちゃになることもなく読みやすい。
この兄弟達を通して、当時の日本の情勢がよくわかる。
そしてこの四兄弟の前に順番に現れる謎の男、間垣 徳蔵。
この男の存在が不気味で、物語を面白くさせている。
今後、この男と四兄弟がどう関わっていくのか、楽しみだ。
そして、本文の途中に、印象的な一行がある。
"日本人は理論というものから遠ざかろうとしている。一時的な感情のみが行動の基盤になりつつある。"と。
これ、今も同じ。
現在だって自分たちの目的の為に理論や手段を選ばずに行動し、声を大にしてそれを主張する。
つまり、この昭和三年当時(物語の中では、そうなっている)と変わってない。もしくは一周回って、戻ってきてしまったのか。だとしたら。。。
Posted by ブクログ
船戸与一さんの遺作となってしまった「満州国演義」シリーズ第一作です。
外交官、満州の馬賊の頭領、関東軍、左翼思想に共鳴する学生、異なる道を歩む敷島四兄弟を主人公に、激動の時代を描ききった全九巻に及ぶ超大作。
文庫本になるのを待ってました(^^)
第一作は主な登場人物が出揃い、徐々に戦争へと向かう日本と満州で、その流れに巻き込まれていきます。
まだほんの入り口という感じですが、これぞ船戸与一作品!という雰囲気なので、次巻以降に期待が膨らみます。
この作品は2007年に初版が出たんですが、戦争へと大きく一つ舵を切った今の時代にこそ読まれるべき作品だと思います。さすが船戸与一。
癌との闘病の中で書き上げた執念の大作、じっくり味わって読み進めたいと思います。
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