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慶応四年、西軍・長州藩の間諜・物部春介は修験僧に扮していた。木戸孝允から新発田藩での一揆使嗾の命を受けて、成功。次に武器商人スネル兄弟経営の商館を潰すため新潟へ。長岡の元博徒・布袋の寅蔵は、家老の河井継之助に信服して組を解散。以降、継之助のために動いている。会津藩政務担当家老・梶原平馬は、奥羽越列藩同盟結成を機に、北方政権樹立を夢みる…。
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Posted by ブクログ
世に明治維新と褒めそやさるが実際にはそんなたいそうなものではなく、 単なる権力闘争に過ぎないことがこの本でも示されている。 薩摩、長州の田舎侍が江戸では、否、全国では馬鹿にされるため、 幼い天皇を担ぎ出し、この錦の御旗をもとに東日本の幕府勢力を潰しにかかった。 それが証拠には西軍(筆者は官軍とは呼ん...続きを読むでいない)が天下をとると、 慌てふためいて政治とはどうすべきものか欧州に勉強に行った。 それまでは政治に対するビジョンなんてものは無く、 ただ自分たちが天下をとることのみ専念した。 しかし、この成功、自信が後に薩長独裁政権へと移行し、 天皇を頂点とした軍事国家が出来上がったのである。 そのあたりを船戸与一は『満州国演義』で端的に示している。 江戸幕府そして戦前の軍国主義国家においては 農民や市民は単なる納税者で一兵卒でしかなかった。 いわんや全人口の半分を占める女性の参政権など目にもくれなかった。
余りというか殆んど歴史小説は読まないのだが、船戸与一の作品ならば読まずにはいれない。長州藩の間諜・物部春介が木戸孝允の密命を受け、新政府軍の北進に暗躍し、元博徒の寅蔵、会津藩の梶原平馬が新政府軍に対抗して行く。あの『山猫の夏』のような船戸与一作品独特の味わいもあり、力強さを感じる歴史小説。
記憶が定かではないが、蝦夷地別件からの久しぶりの本邦歴史ものではあるが、蝦夷地別件の様な、いつもの虐げられた民族や人々のレジスタンスとしての蜂起と、その哀れなまでの末路をカタルシスを持って描く、いつもの船戸節を期待したものの、やはり幕府や会津の様な武士では座りが悪い。武士から一般民が武器を手に取ると...続きを読むいうあたりと、その武器を取り人を動かすという一種の権力に目覚めた農民を描く部分に、多少の片鱗は見られるものの、主役ではないので、今のところ物語の主軸とはなっていない。主人公と思しきものは、長州の密偵と長岡の元博徒、会津の武士。彼らがニアミスを犯しながら物語の収斂に向けてどう動いていくのかが今後の展開で語られるのだろう。いつものパターンでは、武士ではない博徒が生き残る様に思われるが、どうだろうか。
<上>2013.9.3~17 <中>2013.9.17~25 <下>2013.9.25~10.7 「正史」に対して「叛史」という視点で幕末の奥羽越戦争が描かれている。密偵、間諜を使った情報戦や北方政権構想、幕府御金蔵、略奪・凌辱の描写が”当然、あっただろう”と思わせて新しい。特に北方政権構想が実...続きを読む現していれば日本の南北戦争になったはずで、歴史が変わっていたのは確実と思われる。しかし奥羽越には西郷・大久保・岩倉がいなかった・・・
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