Posted by ブクログ
2017年05月13日
久しぶりにハードボイルドの本格派に出会った。
ハードボイルドといえば、大沢在昌の「新宿鮫」が頭にあって
刑事とヤクザという関係が頭から離れない。
今回の疫病神シリーズは違う。
主人公が2人のコンビだ。
二宮は建設コンサルタント。
建設現場にはヤクザがまとわりつく。
毒を以って毒を制すため、建...続きを読む設業界ではヤクザを使ってヤクザを
抑える対策を「ザバキ」とよび、二宮は建設会社からサバキの依頼を
受けて組関係を斡旋してその仲介料を主な収入にしている。
堅気とヤクザの中間位の位置にいる。
一方、相棒の桑原は現役のヤクザ。
二蝶会の幹部。
彼の収入手段(シノギ)は倒産整理と建設現場のサバキ。
その点で二宮と絡んでいる。
他には愛人にカラオケボックスを経営させている。
このシリーズはこれから読むので、どんなサバキの以来が有るかが
楽しみの一つになると思うが、
1作目は「産業廃棄物処理場」をめぐるドロドロした巨額の利権と
悪党どもの関係が複雑に絡み合って、
図式化しないと分からない関係が出てきて、頭がパニックになるが、
そこはまあ適当にイメージして読み進めていこう。
読み進めて感じるのは、二人の絡みのテンポの良さと
会話が面白い。これがこのシリーズの楽しいところ。
そして、著者のこだわりもチラチラと出てくる。
例えば、産業廃棄物処理法とかの条例とか細かな点を
二宮に語らせたり、本を沢山読んで調べている所を
小説の中でも出しつつ、著者本人も徹底的に調べて
分かり易く書いている点がこだわっている。
本作だけでは判断できないが、
2作目、3作目を読むにつれてコンビの絡みも面白くなり
さらに色んな業種の裏事情を絡ませながらの物語が
今後読む楽しみになってきた。
ブログ「沖縄面白本棚」より