Posted by ブクログ
2020年05月07日
大阪を舞台にした“事件モノ”なのだが、本作は「非常によく出来た“映画”のノベライズ」という感じで、画や音が思い浮かぶような、複数の視点人物で次々と綴られるパートがテンポよく展開している…
冒頭、禍々しい凶行に及ぶ者の目線で犯行を実行する様子が描かれ、場面が転じてみるとその凶行の結果である猟奇的事件が...続きを読む明らかになっている。そして府警の刑事達が捜査に着手である。
捜査員達の動きの傍らに、新製品のモニターというようなことで近付いたセールスの男と懇意になったという高校教師の女性が出て来る。物語は、凶行に及ぶ者のパート、捜査員達のパート、女性高校教師のパートと、複雑に折り重なって、同時にテンポよく展開する。
やがてこうした各パートが折り重なり、禍々しい凶行の真相が明らかになって行くのだ…
本作は1993年頃に登場しているモノで、今般改めて文庫本化されたということだ。近年の作品であればスマホを使いそうな場面で使っていないので「少し前の作品?」と気付かないでもないのだが、それは些事というもので、ワンテンポ遅れて思い至った。夢中にさせてしまうモノが在る…非常に面白かった!
全般に酷く「映画的…」と感じた。御薦め!逆に、本作を原案にする映画等が未だ無いのが不思議な気さえする…