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Posted by ブクログ
私は酒も飲まないし、主人公たちとは年代が違うので、30代の初めの頃に読んでたら共感してたかなぁと思って距離を置いて読んでましたが、そのうちに小説の内容よりも、この作家の文章、特に比喩の言葉の使い方とかに凄くうなってしまい、その才能に感心してしまいました。自分の経験ではないだろうに、ここまで小説の女性たちの頭の中のつぶやきを表現できるのは凄い。
きっと若いんだろうな、美容業界か出版関係でで働いたことがある?と作者を見て見たら、なんと20歳で「蛇とピアス」で賞を取っていたとは!
でも「蛇とピアス」映画見たけど全然面白くなくて内容も覚えていませんでした。この本で言えば、彼女たちの頭のつぶやきが多いので映像化は難しいだろうなと思いました。ストーリーというより彼女の文章がとにかく味なので。
山本文緒が死ぬことを忘れるくらい面白がったのも理解できると思います。この文章は同じ小説家にとったら凄く興味深く魅力的に感じるでしょうね。でも、共感を求める軽い若者にはウケないかもしれない。闇がある子は別にして。
作品そのものよりも、作者のバックグラウンドの方が遥かに気になり、それを知るとなるほどこの本の主人公のぎりぎり感の表現が理解できた気がします。
Posted by ブクログ
◎ストロングゼロ
苦しい苦しい。
ソーシャルディスタンス、マジでない。
どうか、主人公に干渉しないでほしい。
1人にしてあげてほしい。
でも、人間、何かに誰かに頼りたいんだよね。だからこうなる。
物語の終盤、54ページからは主人公の魂の悲鳴が聞こえた。そして結末はなんとも、惨め。あー。苦しい。
◎デバッガー
これも苦しい。
自分を見てるみたいだった。私も毎日仕事中、常に鏡を見てしまう醜形恐怖症。
ずっと自分は病気だなぁと思ってたけど、小説で他人の生活を客観的に見ると、共感できるところと、助けてあげたい気持ち、自分が1番言われてきた「気にしなくていいんだよ」という言葉をかけてあげたくなる。。 好きな人の前で自分が納得した綺麗で痛いから整形を重ねる主人公。
これはねえ、、、分かる。本当に。
他人がどうこうじゃなくて、自分が納得したいんだよね、、、。
それができないから、永遠と終わらないんだよね、、、。
自分と距離を置いてほしいお話でした。
◎コンスキエンティア
これは痛い。
典型的なダメ男製造機の主人公。
自分を正しくあたかも自分がなりたい自分でいるために磨き上げてるように見えるが実際は自分を求める男たちの為に身体が自然に動いている。
あらゆることから、逃げ出したいのに逃げられない。逃げたいと心の底から思っておらず、誰かに求められることで自分の生存価値を、見出していくタイプ。。
どんなに外見が綺麗でも中身のない空虚な人間の様を表していて切ない。
◎アンソーシャル ディスタンス
シンプルに共依存のお話。
でも最後のセックスシーンは儚くて綺麗で昔の燃え上がる盲目な恋をしてた時のことが思い出せた。
自分にはこの人しかいない、この人じゃないとダメなんだと、他人に依存してしまうその感覚。懐かしいというか、羨ましいというか。一定数こういう人は世の中に存在すると思う。
多分いつか、気づいた時には散ってるこの恋愛が俯瞰すると純粋でピュアなもんなんだなと。
◎テクノブレイク
抑えられない性欲と食欲が絡み合う金原ひとみ先生らしい作品。人間の「欲」が分かりやすく、詳細に描かれていて、ゾワゾワした。文体全体から伝わるこの疾走感が堪らなかった。これを5話目に持ってきたのは正解。こういう話を順序立てて、ひとつの物語として、経験していない人間が作り出すってものすごい想像力なんだろなと思う。
解説で朝井リョウ先生がおっしゃるように、「とにかくキマるから読め!!!!!」
はい、読みました。
ありがとうございました。
最高です。笑
Posted by ブクログ
▼ストロングゼロ
中学生のときに「蛇にピアス」を読んで以来の金原ひとみ。落ち込んでるときに読むにはあまりにも救いがなかったうえに、うつ病の人と同じ屋根の下で生活していた時期もあったし、依存症も身近なため、いろいろ思い出してやられた。
うつ病の人にはある種の引力がある。その引力は明るい出口もそこへ至る道もまったく見えない状況のただなかに、当事者でない人間さえも引き込んでしまう。でも引き込まれた側は決して当事者ではないので、その渦中で同じものを見ることはできないまま(そして共倒れになってしまうから見るべきでもない)、当事者へのいたわりと苛立ちを行きつ戻りつし、無力感と自己嫌悪に苛まれ、そしてそういう感情の無意味な循環と押し合いへし合いそのものに疲れ果ててしまう。そういうどうにもならない状況を短編一本の紙幅の物語で(あるいはどれだけ言葉を費やしたとしても)どうにかすることなんて、逆に不誠実だよなとは思うけれど、キツいはキツい。あんまり具体的な感想が出てこない。ただただ気の毒な気持ち。
▼デバッガー
11歳年下の男の子と恋愛関係になったことをきっかけに、整形に取り憑かれていく35歳の女性の物語。ストロングゼロと比べると直接的には実体験と重ならないので喰らわないかと思ったけど、これも読んでる間ひりひりして仕方なく、つらい気持ちになる。なんなんだこの短編集は……。
年齢を重ねるつらさもさることながら、もっと根本的な問題として、コンプレックスとか、それに端を発する、通じ合いたい相手との乖離のつらさに、大いに思い当たる節があった。
▼コンスキエンティア
面白い。かなり夢中になって一気読みしてしまった。男の内面の底知れなさが怖いというのは、具体的なレベルではよくわからない。が、恋愛において他人を求めるときには、通常他人と接するときよりも相手の精神のあらゆる面にぶちあたってしまうわけで、それが怖いという話ならよくわかると思った。その意味では、僕は男と恋愛関係になろうとは思わないし、男友達との関係もあっさりしたものなので、男の内面はまったく怖くない。だが、女性の内面の底知れなさは本当に怖い。
その話のつながりでいくと、抽象的な思考を排している即物性が魅力だが、それが受け入れがたさにも通じ、それはそれでやはり奏や夫とは違う底知れなさがあるという龍太の人物造形はなんだかまるで三島由紀夫の小説の登場人物みたいだなと思う。なんか禁色とか豊饒の海に出てこなかったっけ、こういう感じの人(また違うタイプだとは思うけど)。
そしてそういう茜音の批評はいちいち面白いけど、その批評を読むたびに人間って本当にわがままだよなとも思わされる。男性たちに対するそういったジャッジのひとつひとつはわかるし妥当だとも思うのだけれど、その果てにあるのは、だからやはり相手を受け容れきれない、という結論で、それがおそらくは彼女がどうしても満たされない理由でもあるのだけれど、それは同時に、弁解しようのない本人自身のエゴに端を発する空白だからどうしようもない……。これはたぶん、夫婦だろうが恋人だろうが他人は他人だと、自分では割り切ってる気になってる人だって完全には逃れられない空白だろう。とくに恋愛とかそれをめぐる承認の問題にひとたびとりつかれると、そういう割り切りの感覚がいかに後付けのテクニックでしかないかを痛感する(その後付けこそが大事でもあるのだけれど)。
▼アンソーシャルディスタンス
メンヘラ率が高くないかこの短編集……こういう小説を金原さんは無限に書けるのかもしれないと思った。
こういう弱さを抱えた人たち同士にしかわからない世界の見え方というのは確実にあり、そして恋人とか夫婦とかの紐帯にはできればその共感は欲しいのかもしれない。しかしそもそもこういう感性を弱さと呼びたくはない(かといって誇らしげに繊細さなどと呼ぶのも唾棄すべきだ)。この感性をしっかり抱えて、他者への深い共感を捨て去らないままに、孤立せず、そしてなにより強くなる方法はないものなのだろうかと思う。でもまわりを見渡すとなんだかその弱さと強さは多くの場合トレードオフの関係にあるようで、ままならない。作品の内容の感想から乖離してる気はしてるけど、読んでいてそういう切なさを感じた。
▼テクノブレイク
存分にセックスを楽しんでいた恋人との心の距離がコロナ禍をきっかけにかけ離れていき、激辛料理とオナニーに依存する荒廃した生活へと転がり落ちていく女性の話。コロナ禍に限らずだけど、人の生活はほかと隔離され、あるいは自ら孤立し、あまりに個人的になりすぎると、加速度的にその傾向が強くなっていくものだと思う。それを特に象徴するのが部屋の荒れようで、激辛料理やオナニー依存よりはむしろその結果としての部屋の荒れ具合に主人公の生活のキツさを感じた。位置情報アプリが云々みたいな話はピンと来ず、かなり変な読み方をした気がする……。
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小説・文芸
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