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心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。(解説・朝井リョウ)
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Posted by ブクログ
短編より長編派だけど、これはおもしろい!! 人間の心の中の有象無象をここまで言語化できるのは、金原ひとみだけだ 登場人物たちはみな何かしらの中毒に溺れているが、この小説自体も中毒性ありすぎた
男性である自分には知りうることができない、女性特有のダークな部分の感情に直で触れられる稀有な作品だと思う。自分はよく女心が分かっていないといわれるが、これは絶対わかりようがない。
5篇ある短編のすべてで、はたから見るとヤバいやつ、暴走しているやつの内面が一人称視点で描かれているのだけれど、どの主人公もなぜここまでヤバくなってしまったのかという背景や自分の中でのロジックが語られ、そこに切実な説得力が感じられるため、なぜか応援したい気持ちになる。 生きているだけで常に忙しかったり...続きを読む将来に焦りを感じたりする機会が多い今の社会では、この小説が突拍子もない物語では全くなくて、自分のすぐ隣に広がっている世界のようにも感じられた。個人が抱える闇を社会の問題と結びつけて語られていて、その点は朝井リョウの「どうしても生きてる」という短篇集に近しいものを感じた(くしくも本書の文庫版の解説は朝井リョウが担当している)。
金原ひとみさんの人間の感情、心のうちを言語化する力に脱帽。 色々なタイプの本を読んできたけど、この衝撃は朝井リョウさん以来かも。 刺激的な文章、絶対自分では思いつけない表現、まさに天才です。 内容もなにかしらの中毒でもがいている女性達5人が出てきて、面白すぎてすぐに読んでしまった。 こういう方が...続きを読む天才っていうのだなと。 本当にどうやったらこういう表現思いつくんだろう。
2021年第57回谷崎潤一郎賞受賞の短編集。 収録された五編はいずれも文芸誌『新潮』に2019年から2021年にかけて発表された作品です。 コロナ禍を振り返って描いた小説ではなく、その時代の まさに”ライブ”のような短編集でした。 「ストロングゼロ」 アルコールに詳しくない私でも、その商品名だ...続きを読むけは知っていました。 精神的に不安定な同居人に寄り添い続けるうち、自らも共感疲労にも似た状態へと追い込まれ、ストロングゼロに依存していく女性。読んでいて、この息苦しさや閉塞感をどこまで計算されて描かれているのかと考えずにはいられませんでした。 「デバッガー」 年下の恋人との年齢差という”バグ”を修正しようとするかのように、美容整形へと依存していく女性。 若さは、ときにホラーです。思わず「わかる」と頷いてしまう心理描写でした。 ラストはぜひ読んで味わっていただきたいのですが、林真理子のある小説を思い出しました。設定は異なるものの、年齢差への不安がたどり着く結末には、どこか共通するものを感じました。その重なりが、とても印象に残りました。 「コンスキエンティア」 初出時のタイトルは「アンコンシャス」。単行本化にあたり改題されています。 「無意識」から「良心」「自覚」「自己認識」へ。対照的なタイトルの変化が、この作品に何を与えているのか考えさせられました。 夫との関係を存続させるため、不倫という関係性に依存していく女性。 ここまでエネルギーを注ぎ続けられることに、私はただ「元気だな」と思ってしまいました。 「アンソーシャル ディスタンス」 タイトルを見て「どこかで聞いた言葉だな」と思いました。それもそのはず。コロナ禍であれほど耳にした「ソーシャルディスタンス」をもじったタイトルです。 コロナ禍での恋愛、対話、触れ合い。閉塞感に満ちた社会に押しつぶされる前の、必死の逃避にも思えました。 若さと無知は、同罪ではない。そんな気がしました。 「テクノブレイク」 今回、この小説で初めて「テクノブレイク」という言葉の俗語的な意味を知りました。 その意味を知ると、このタイトルが作品そのものを表していることがよくわかります。 今回も 金原さんは攻めていました。
恋愛小説かと思ったらそんなことなかった。 「これでこそ感情だ。人間だ。」というのを嫌というほど感じさせる物語だった。 何のためにこんなことをしているのか、続けているのかもはやよく分からない、けど衝動や無意識が自分を突き動かす。これでこそ人間だ。 主人公の中にはわたしが軽蔑しているようなタイプもいた...続きを読む。そのような行動をする彼女らの一人称で語られることで、喜び、怒り、悲しみ、戸惑い、諦念、虚脱感、葛藤など一つでは言い表すことの出来ない感情について、理解は出来なくとも知ることができた。 私がこれを理解しないというのは、理解するのが怖いということでもあり、本当は理解できるし知っている感情達なのだと思う。 整形沼に陥る主人公も最初は整形する人の気持ちが分からないと言っていたのに、気付いたらその沼にハマってしまっている。後戻りできない世界に飛び込んでしまったんだと言っている。 当事者から見る世界がこれでもかと視野狭窄に描かれていて疾走感や焦燥感がすごい。 人間が隠している、抑えている部分がこれでもかといくほど溢れ出していた。 タイトルの通りコロナの話も出てくるのだけれど、コロナが怖かったのは、個人の考え方や価値観の違いが浮き彫りになるところだったな、と改めて思い出したりもした。 朝井リョウさんが解説の中で主人公達の視野狭窄について触れており、イン・ザ・メガチャーチと通ずるものがあった。
一人称視点で物語が進んでいくから自分の思考と一体化していくような部分もたくさんあって、、辛かった。一言でテーマを言えば醜形恐怖症、アルコール依存症、SNSがもたらす形骸化された人間関係、孤独と片付けられるけど、その渦中にいる人はこんな気持ちです、って小説を通して体験すると、自分もその渦の中に吸い込ま...続きを読むれてしまう感覚があって、、辛すぎました。 でも、朝井さんの解説を読んでふっとその渦の中から救われた気がした。この言語化し難い金原さんの文体を綺麗に抽象化してくれたから。 この解説を読んでから本作を読んだらここまで落ち込まなかっただろうという後悔すら込み上げてくる。 ・脳内を逡巡、疾走した言葉を速度もそのままに完全再現したような文体 これが本当に辛かった。脳内にある言葉をそのまんま、正直に主人公の立場から出た文章をそのまま読者は受け止めないといけないから、自分もその感情に飲まれていくような文体。 ・この視点が捉える世界が狭窄していき、ヒートアップしていく言動を第三者視点から捉えられずに、読者も主人公と一緒に狭窄された世界に落ちていく。 ・でも、この2点によって、新書やニュースなどの「俯瞰的視点」からは絶対に受け取れない、渦中にいる人の気持ちを追体験することができる。 朝井さんの解説を読んで、初めて客観的にこの小説を分析することができて、「あぁーーーだから読んでいるとき辛かったのか、!!」となれたので、作品の意図されたスタイル、それが一貫した短編集、という意味では星5。でも下ネタが多すぎてちょっときつかったので星4。
わかる、めちゃわかる。の連続でした。 でも各登場人物には一定の距離を置いて読むようにしました。あんまりのめり込んだらこのあと現実に立ち向かわなきゃいけないのが、無性に辛くなるような気がして。それくらい危なくてやわい部分を言語化されてる感覚。金原ひとみの中ではいちばん好きかも
カンブリア宮殿の新しいMCとして起用された金原ひとみとは一体何者なのかと、彼女について知りたくなり手に取った1冊目の本。 書店でタイトルに目を奪われた。本書に綴られた5編の短編集に登場する女性たちの必死にもがく様相は読んでいてハラハラした。これまでに独創的な世界観に放り込まれた経験はない。 女性...続きを読む作家だからこその世界観なのでは、と読んでいて思う。登場する全ての女性は一人称視点で語られ、細かい描写に読者も惹き込まれること間違い無い。 金原ひとみの世界観にどっぷりハマるきっかけになった。
・コロナ。つい数年前の出来事なのに結構、あの時の感覚を忘れていると思った。生命の危機がすぐそこにあり、物理的にも文字通り分断されていた時代。 ・めっちゃ金原文学としてコロナの時代を書き上げたな〜、というのが率直な感想。生々しく、あの頃の感情を呼び起こされてしまった。
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アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)
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