あらすじ
心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。(解説・朝井リョウ)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
男性である自分には知りうることができない、女性特有のダークな部分の感情に直で触れられる稀有な作品だと思う。自分はよく女心が分かっていないといわれるが、これは絶対わかりようがない。
Posted by ブクログ
5篇ある短編のすべてで、はたから見るとヤバいやつ、暴走しているやつの内面が一人称視点で描かれているのだけれど、どの主人公もなぜここまでヤバくなってしまったのかという背景や自分の中でのロジックが語られ、そこに切実な説得力が感じられるため、なぜか応援したい気持ちになる。
生きているだけで常に忙しかったり将来に焦りを感じたりする機会が多い今の社会では、この小説が突拍子もない物語では全くなくて、自分のすぐ隣に広がっている世界のようにも感じられた。個人が抱える闇を社会の問題と結びつけて語られていて、その点は朝井リョウの「どうしても生きてる」という短篇集に近しいものを感じた(くしくも本書の文庫版の解説は朝井リョウが担当している)。
Posted by ブクログ
〜1周目〜
2024.04.29
女の小説という感じ。
女の人はどこかしらに、何かしらに依存していて、それが人なのか、モノなのかは人それぞれ。
心の拠り所を失うときには他にも綻びが出て、生きていけなくなる。
生きていくのが怖くもなる、身の回りの物語なのだという感覚になった。
Posted by ブクログ
始まりはみんな普通
自分で自分を狭量に定義付けて、自ら剣山の仕込まれている穴に向かっていくような女性たち
過激な行動と思想だけど、身に覚えがあるものばかり
そうなりそうだったから子供を産んだのかもしれないなと思う自分に気付く
最高でした
Posted by ブクログ
表現の精度が恐ろしく高い。
併録された作品はいずれも、救いを見出せない男女の話。
人は意識的に選択して生きているようでいて、実際には抗いようのない感情に大きく左右されている。
『「なんか好き」の「なんか」が重大なのだ。』という一文には、特に強くそれを感じた。
人は誰しも、自分の人生を説明できていると思い込んでいるけれど、実際には後付けで物語化しているだけで、その核心には説明不能な“なんか”がある。
もし人の選択がそんなにも儚く頼りないものなのだとしたら、モラルや善悪の観念もまた、偶発性の堆積に過ぎないのではないか。
そう考えると、全てが無意味で空虚なものにも思えてしまう。
本作はまさに、そうした人間の在り方を書いていたように思う。
頭では「こんな関係は無意味だ」と分かっていても、身体は孤独に耐えられない。だから人は接続を求めてしまう。
理性は身体を統治できていない。
そしてその不安定さこそが、本作ではむしろ“人間の本体”として描かれていたのではないだろうか。
随分と観念的な感想になってしまったが、とても充実した読書だった。
Posted by ブクログ
・コロナ。つい数年前の出来事なのに結構、あの時の感覚を忘れていると思った。生命の危機がすぐそこにあり、物理的にも文字通り分断されていた時代。
・めっちゃ金原文学としてコロナの時代を書き上げたな〜、というのが率直な感想。生々しく、あの頃の感情を呼び起こされてしまった。
Posted by ブクログ
「とにかくキマるから読め!!!!!」との朝井リョウさんの推薦帯。朝井さんが推薦者になる理由はとてもよくわかる。朝井さんも金原さんも、現代人が日々うっすら思っていること、言葉にしなければいずれ忘れてしまうような些細なことを、その鋭い観察眼と並外れた言語化能力でガッチリと掴んではこれでもかとぶつけてくるタイプだから。
でも少なくともこの作品に関しては、その毒っけは朝井さんの比にならない(ほど高い)と感じた。一度足を取られたら二度とは上がってこられない蟻地獄のように、ただ飲まれていくだけ。どの短編もページを追うごとに、「もう残り数ページしかない、これ救いはあるのか?!」と大変ハラハラしながら読むことになる。
第一編の「ストロングゼロ」が鮮烈でずっと脳裏にこびりついている。
Posted by ブクログ
コロナ禍という社会的テーマを取り扱いながらも人間のドス黒い暗い感情と危うさを感じさせる金原文学の極地点のような作品だった。自分の精神状態が安定していてもドン底に落ちる感覚にキマってしまう。
Posted by ブクログ
コロナ禍の閉塞感を思い出すから嫌、という理由で、
私は5篇中、1〜3が好きだったかな。
全てに置いて苦悩する女子の話で、
完全には共感しないけど、
あらゆるパターンの女子の苦悩と孤独を描いていて、
読んでいて苦しくなったり、呆然としたりした。
全然ハッピーエンドじゃないし、
なんにも解決しないけど、
でも最後の朝井リョウの解説を読んで、
とにかく“管理される”ということに抗っているのが金原作品だ、という見解に、あーだから好きなのかも。
と腑に落ちる自分もいた。
朝井リョウの言う、“よくわからないけれどこれはやめておいたほうがいいんだよ、ね?”という圧、コントロールフリーク社会の圧に耐えられなくなったら、
もう一度読み返そうと思う。
Posted by ブクログ
短編集だがひとつひとつの話の内容が濃い。
清く正しく生きているように見える人でも、何かに縋りつつ生きているのかも。
また、物語の中でコロナに関する描写があったが、あの頃のなんとも言えない閉塞感もほんのり思い出した。
Posted by ブクログ
とにかくキマるから読め!!!!!とは言い得て妙で、自らの価値観を最優先に、生きることも明日をやり過ごすことも、絶望することも、そして死という選択さえも躊躇がない女性たちが全力でぶつかってくる。
綺麗事やモラル、他者からの評価、社会の秩序に適応することに重きを置く現代的な感覚からすれば、登場人物たちは煩わしくて疎ましくて、理解し難いものとして映るかもしれない。
でも立場が違えば、考え方のものさしを変えれば、自分の何かに置き換えれば、少なからず共鳴することはあるはずで。言語化しきれない人間の弱さや、融通の効かない頑固さが、躊躇いなく物語に落とし込まれている。
真意を掴むこと、価値観に固執しないこと、即物的な生き方、本質からの逃避。日常の喧騒のなかで見過ごしがちな人間の思考や振る舞いを、容赦なく呼び起こす。とにかく興奮と激しく波打つ鼓動が伝わる、圧倒的小説であった。
金原ひとみ、凄すぎる。
カンブリア宮殿の新MCおめでとう。
Posted by ブクログ
短編集。彼氏が10歳くらい年下の女性の話すごい共感した。「彼と向き合うたび、老いに怯える自分と直面する。」って書いてあって絶対彼女のほうが年上のカップルは思うよな。しかもこの女性の美容医療そこまで骨切りします!!とかいう派手なものじゃなくてボトックスとかヒアルロン酸とか軽いものなのに、それにも一喜一憂させられるのリアルってなった。
後半はエロ本??ってなった。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんが「ストロングゼロ」の話をしているのを見て読んでみようと思った本。
短編全編読んでみてー
コロナが背景になっている話もあり閉塞感を思い起こす部分もありました。
登場人物の行動は理解しがたい。危険な方を選んでいる時って脳内はこう働くのかー共感というより興味で読んだ本でした。
Posted by ブクログ
闇深い系の短編集。
これこれこれ!こういうのが読みたかった!
依存症とかメンヘラとかとにかく狂ってる人間の闇みたいなやつ!
出てくる登場人物が全部闇抱えててクズで
ある意味爽快です( ´ ▽ ` )
スト缶依存症の話が1番好きやった!
こういう狂った人間の話、定期的に読みたくなるんやけど、読み終わった後意外とスッキリするんよな!笑
Posted by ブクログ
新進気鋭のパティシェが作った濃厚生チョコとキャラメルのテリーヌみたいなずっしりした読み応え。
胸焼けするのに、もう一口もう一口とフォークを刺してしまう感じ。気づいたら1人で一本食べ切っちゃったなぁって感じ。
自分の人生とリンクしすぎて、途中で読むのを放棄しようかと思った話もあったけど、最後まで読んだ今はなんと満たされた読書体験だったんだろうと思っています。
著者の「ミーツ・ザ・ワールド」を先に読んでいたけど、この本の中の「アンソーシャルディスタンス」を長編にした印象がある。
とにかく、どの話も長編にできちゃう面白さ。
3話目のコンスキエンティアの終わり方、なかなかこんなかっこいい終わり方見ないな。好き。
正しさだけが人を救うわけではないよね。この本の女性たちのどうしようもなさに私は救われたし、この先救われたくなったらまたこの本を開こうと思う。
Posted by ブクログ
作品とは無関係ですがカンブリア宮殿のキャスターに抜てきされたとのニュースを見て驚!と思いました。でも、前任の村上龍さんの作品との違いを思い返すと、近いような気がするとも感じました。
それはさておき、本書の感想です。かなりズシリと響く内容でした。いつも読後には自分が受けた印象なのに言語化出来ないもどかしさを巻末の解説がクリアしてくれる。今回も例外なく朝井リョウさんがとても適切にオチもつけて表現してくれました。
皆が同意と解釈する行為はルールの中でリスクを排した干渉なのだ。気にしたことがなかった。ルールは破るもの、などと言って少し外れた行動をとる人は何処にでもいるし誰にでも記憶に残存すると思う。いけない、危ない、奇怪などと評されようが我が道を進むことは不特定の第三者に何の影響も与えなければ何ら卑下される謂れはない。
時の流れとともに隠蔽で見れなかった秘め事もスマートデバイスの所有者全員がレポーターになれる。マジョリティから外れたことも"あり"と捉える変化をつけないとダメなんだと教えてくれているのかもしれない。
冒頭で記した役割では、驚きより期待の方が膨らんだ読後でした。
Posted by ブクログ
もちろん作品に好き嫌いはあったが、作者が人間の非合理的さや矛盾をむき出しに描く言葉たちを浴びることは、読書体験としてとても好きだった。
人間の不条理や抱える矛盾が、誰しも持ち得る陳腐な特徴なのだと思わされる、そんな気持ちにしてくれる小説が好きなのだと、再認識させられた。
アンダーグラウンド感・人間の脆さに私は安心させられるのだろう
Posted by ブクログ
すごくグロテスクで、人間の皮をかぶった動物みたいで、自分とはちがうなって思うのに端々ですんなり共感しちゃってる自分もいて、すごく引っ張られた。
Posted by ブクログ
■はじめに
今年は小説をよく読んだ。押しも押されもせぬおっさんになってからは、社会評論やノンフィクションに手が伸び、小説を買ってもエンタメ系—そんな読書傾向が続いていた。
ところが、なぜか今年は小説、それも所謂「純文学」作品を読む機会が増えた、正しくは復活した。
純文学と書いた途端、そもそも純文学とは何なの?エンタメ作品との違いは? その境目はどこにあるのか?—そんな疑問が頭をもたげてくる。
僕の中での純文学の定義は「物語の“結果(結末)”よりも、人間の“ありよう”そのものを引き受けようとするのが純文学」である。
描かれるのは、人間の業(ごう)そのもの。弱さ、矛盾、欲望、逃避、欠落、そして壊れていく過程。人が“そうなってしまう理由”を、裁かず、説明しすぎず、ただただ見つめる。そこに善悪も教訓も基本的には提示されない。もちろん、「こう生きるべきだ」などという訓示めいた指針も答えもない。
またエンタメ作品に見られる「伏線」も、純文学では未回収や放置も散見する。エピローグに救いがないことは「欠点」ではなく、むしろ作者の姿勢なのだと思う。
思うに、伏線未回収・宙ぶらりんの結末・読後のモヤモヤ—それらって人生そのものなんですな。人生は回収されない伏線だらけで、理不尽に溢れ、納得もできぬまま生き続ける。そのありのままを作品の構造として組み込んでいるのが純文学なんだと思う。(一応、結論めいたものを提示できた)。
せめて小説ぐらいは半沢直樹の痛快な啖呵を聞いてスカッとしたい!という人もいれば、小説のエグさを読んで「俺の人生、小説よりマシやなあ」と思う人もいるわけで。
さて、長い講釈はこのあたりにして、金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』に移ろう。
■内容
本書は5つの短編からなる。
『ストロングゼロ』
一緒に暮らす彼が心を病み、引きこもりとなる。ヒモ同然の関係が引き金となり、口当たりの良さゆえにジュース感覚で飲める高アルコール飲料に溺れ、やがて仕事中にも飲み始めてしまう主人公。
『デバッガー』
職場の後輩から好意を寄せられ交際が始まるも、自身のルックスに自信を持てず、プチ整形依存に陥る。週末の度に美容整形を繰り返す主人公。
『コンスキエンティア』
コミュニケーション不全に陥った夫婦。夫から逃避するかのように不倫を重ねる妻。誰と身体を重ねても、自身の中の空洞は埋まらない主人公。
『アンソーシャル ディスタンス』
推しのLIVEが新型コロナウイルスの流行で中止となり心が折れ、交際中の彼を心中を目的とした旅へと誘う主人公。
『テクノブレイク』
未知のウイルスの蔓延に怯え、彼に会えない孤独な日々。抑えられない性欲と、激辛料理への欲求が絡み合い、暴発へと向かう主人公。
■感想
いずれの作品も、都会で働き、ひとりで暮らす女性が主人公。ある出来事を境に、内面が徐々に侵食され崩れ始めていく過程の一切が、一人称の視点で語られる。
その崩壊の傾斜は加速度を増し、結界を超えた瞬間から著者の筆致はドライブ感を帯び、転落していく様を細やかなカット割り描写で、リアルに仔細に刻み込んでいく。
読んでいる最中、共感とも嫌悪ともつかない感情が、喉の奥に溜まり続ける感覚が何度もあった。赤裸々で、明け透けな描写は人間の業のあり様を容赦なく執拗にエグり出し、後ろから頭をガツンと殴られたような気持ちになった。
■最後に
初めて読んだ…金原ひとみ。恐れ入りました。
一気に読み、しかもじっくり読んだにもかかわらず、眼前を猛烈なスピードで通り過ぎていった列車をただ呆然と眺めていたような奇妙な印象が、今なお残っている。
読む者の足元を揺さぶり、立ち止まる暇も与えない。そんな得難い読書体験をもたらす一冊。
Posted by ブクログ
「ソーシャルディスタンス」って、今やもう懐かしい言葉だ。
未知のウイルスに世の中が怯えていたあの頃、基準を設けられた社会的な距離は、ある程度他人が決めてくれたからある意味で分かりやすかった。今思えば異常だったと思う面もあるけれど、当時は怖かったのだからしょうがない。
だけどこれは、アンソーシャル。確かにあの頃も、親しい間柄での距離感は社会の基準よりずっと近かったし、信用できたのはほぼ100%心理作用によるものだったと思う。ウイルスなんて、目には見えないのに。
5篇の短篇集。金原ひとみ作品らしく、すべて主人公は女性で、そして様々なかたちで病んでいる。
表題作はまさしくコロナウイルスが猛威をふるっていた頃。コロナ禍でも「適切な距離」なんて保たず、心も身体も濃厚接触(この言葉も懐かしい…)を続けて突っ走る沙南と幸希の物語。
元々厭世的で、10代のときにリスカや脱法ドラッグなどで一度社会からフェードアウトしたものの、大検を受けどうにか大学生になった沙南と、対照的に様々なことを上手くすり抜け切り抜けてきた同じく大学生の幸希。幸希は一見真っ当に見えるけれど、実は沙南と似たような魂の持ち主であったことで、2人は惹かれ合う。
他には、私生活(主に恋愛)が上手くいかずストロングゼロで気を紛らすのが癖になり、ついには仕事中でも飲むようになって破滅に向かう主人公や、若くして夫とセックスレスになったのがきっかけで不倫を始めたがその相手が病んで執着心を強めていき…という物語、10歳以上歳下の後輩と恋愛関係になった途端自分の老いが気になりだし美容医療のドツボにはまっていく35歳の女性など、いろんなかたちで自分を追い詰めていく女性たちの物語群。
ラストの「Technobrake」は、コロナ前には良好に付き合っていた1組のカップルがコロナをきっかけにだんだんと関係性を変えていくお話。主人公の芽衣がウイルスに敏感になりすぎて恋人の蓮二にまで要求を強くしてしまったことから…という。
こういうことは実際あったかもしれないな、思う。私自身、コロナ禍当時飲食店を経営していたし高齢の母もいるから普通より気をつけなきゃいけない立場だったけれど、その頃付き合っていた彼は無頓着で飲みや集まりを頻繁にしていたから、それを責めはしなかったけれど一時的に距離を置かざるを得なくなった。その直後くらいに結局別れてしまったのは、コロナが直接的な原因ではなかったけれど、意識の違いが浮き彫りになったことも一因としてあったと思う。
そういう意味でコロナって、色んな関係性の意識の差を浮き上がらせた出来事だったと思うし、試される場面も多かった。混沌としていて、振り回されて、おかしな時期だった。
…ということを、読みながら思い出していた。病んだり、執着したり、破滅に向かったりなんて、何がきっかけか分からない。他人から見たら順風満帆に見えても、実はどうなのかなんて本当のところはその人にしか分からない。
またあんな風に大々的に試されるような出来事が起きたりするのだろうか。普段からもっと些細な出来事で、試されてはいるのだけど。
Posted by ブクログ
金原さんの作品を読むたび、普段の生活では知り得ない単語に出会うことが多い。笑
朝井リョウ好きとしては解説から読みたくなるのを我慢して本編を読んだ。
うん、キマった!!
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの言葉と美しい表紙に惹かれて読みました。
それぞれ悩みや葛藤を抱えた女性たちの短編集です。
「ストロングゼロ」「デバッガー」「コンスキエンティア」「アンソーシャルディスタンス」「テクノブレイク」の5編が収録されています。
文章の疾走感が凄まじく、食い入るように読みました。文体はとても好きですが、性的描写が多いのと、女性の感情の振れ幅が大きすぎて読むのに体力を使いました。あまり共感できる登場人物はいませんでしたが、鮮烈な読書体験ができました。
Posted by ブクログ
『ストロングゼロ』、『デバッガー』ではキマらず合わないのかなと思った矢先、『コンスキエンティア』でキマった。
『コンスキエンティア』の陽の空虚と、『テクノブレイク』の陰の空虚、両方書けるのがすごい。
正しさでは満たされないよね。
Posted by ブクログ
はじめましての金原ひとみさん。
いつか読んでみたいなと思っていたところに、本屋で目にとまって購入。
ひとの内面の解像度が高い。シチュエーションは自分の日常と近いものは無くても、登場人物の心の動きにドキッとさせられる。
自分で選んで進んできたはずの道が急に不安定なものに思えてきて、生きたいわけでもないのに生きなければいけない現実にもがいている自分と、それをどこか客観視している自分の両面が描かれている。
どのお話も、誰がが救ってくれるわけじゃないことに気付かされているところがリアルで、容赦ないけど清々しさすら感じた。
このヒリヒリする感じ、他のお話も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
社会的に適切な行為とされる「ソーシャルディスタンス」という言葉に「アン」をつけて、社会からはちょっと眉をひそめられうる生活を送る主人公たちを描く『アンソーシャルディスタンス』。タイトルが巧みです。
アル中、整形中、コロナ警察…
社会問題としては知っていても共感しにくいテーマですが、当事者の思考を剥き出しで描くことで、同情や共感といった感情を覚える隙もなくただ圧倒されました。
金原さんの作品を読むのは『蛇にピアス』から2作目ですが、著者にしか出せない強さがあり、前作同様読み終わった後はしばらく茫然とさせられました。
Posted by ブクログ
金原さんの文章を読むと心にずっしりとしこりが残る。決してハッピーエンドでも読後感がすっきりとした結末でもない。尻切れトンボ的な、不安の靄を感じながらショートストーリーは終わる。登場人物が資本主義の渦の中でゆっくりと崩壊していきながら、それでも自我を保ち続ける姿には妙にリアル感があって恐ろしい。程度の違いはあれど、私たち全員が体験している空っぽのかなしみを、どうかここまで言語化しないでくれ!と思った。
Posted by ブクログ
思考を巡らせてもどうせ何か見覚えのあるストーリーにのせてベルトコンベアの上を運ばれていくだけなら、ドパミン放出を道標に、何をどうしたいのかわからないけど何かをしている状態で生きていてもいいよなあとは思うのだけど、
実際はわたしみたいな社会不適合人間は社会に適合する形で守られないとダメだなという思いが強まった
退屈で演技くさくて茶番だけど、これが1番の安全策
結局やりたいこともやりたくないことも自分の意思の本物らしさを信じきれないのであれば、世間に伺いを立てながら飼い慣らされる方が楽
下手に抗おうとすると、その抵抗するスタンスが自分の意思らしきものの形成に大きく関与してしまって逆に支配される構造になる気すらする
主人公たちが自分のことを分析しようとしているけど結局よくわからず放置して、コントロール不能感に身を任せているのがいい
解説が面白い
アルコールでブラックアウト、二日酔いで頭が宙に浮いた状態での勤務、辛いもの依存、思い当たる節ありすぎてひやひや、セックスはまだ大丈夫。
死ぬという行為に踏み出さない限り、生きるのをやめないでいるという状態がそれなりに持続するから、大事な連絡や警告も混ざっているであろうメールボックスに未読を溜め込んだままぎりぎりまで通知が増えるのを放置しておく
たまに、思い切って整理した方が楽なんだろうなと思い立って未読開封の儀式、社会適応に精を出す、そのルーティンをちまちまと繰り返す、こうした一連の退屈さに耐えきれなくなってまた刺激を追い求める