【感想・ネタバレ】アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。(解説・朝井リョウ)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

そうそうそうそう、これこれ。
こういう極端でじわじわと悪い方向へどんどんどんどん進んで出口が見えなくなって救いようのないような作品、大好きなんだな。中庸とか、平衡とか、バランスとか、効率とか、要領良くとか、出来ればそうありたいところではあるけれど、私が本当に本当に大好きなのは、極端であること。

当に人に勧められないような、自分で何でこれがいいんだろうと思っていてもどうしてもたまらなく欲してしまうのは、こういう作品なんだよな。

どうしてそんなに悪い方向にしか考えられないの?どうしてそんなに依存してしまうの?どうしてそんなに過剰なの?よくないよくないよくないよくないよ……悪循環だよ、とハラハラしながら読み進める。こういった作品がたまらなく好きな自分は一体何だ?

でもいいもん。少なくとも一人、朝井リョウはこんなズブズブのいけすかない作品を評価している一人だし、言いたいことはほとんど朝井リョウが解説で言語化してくれてるんだから、いいもん。

1
2024年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〜1周目〜
2024.04.29
女の小説という感じ。
女の人はどこかしらに、何かしらに依存していて、それが人なのか、モノなのかは人それぞれ。
心の拠り所を失うときには他にも綻びが出て、生きていけなくなる。
生きていくのが怖くもなる、身の回りの物語なのだという感覚になった。

0
2025年11月04日

Posted by ブクログ

始まりはみんな普通
自分で自分を狭量に定義付けて、自ら剣山の仕込まれている穴に向かっていくような女性たち
過激な行動と思想だけど、身に覚えがあるものばかり
そうなりそうだったから子供を産んだのかもしれないなと思う自分に気付く
最高でした

0
2025年09月26日

Posted by ブクログ

短編集ですらすら読めた!
とにかく過激で鬱鬱鬱な色々なことを抱えている女の人たち!
依存するってやっぱり恐ろしいなって思った。
ストロングゼロもこうやって人ってアル中になっていくんだなってすごく感じた。
共感できない部分も多かったけどどれもついつい読んじゃう話だった。

0
2025年08月31日

Posted by ブクログ

どの登場人物たちにも共感できるところがある。アンソーシャルディスタンスが個人的に刺さった。厭世的でいながら、抗うほどの燃料も積んでない、生きているのか死んでいるのか分からなくてそんな自分が嫌いで。それでも生きなきゃいけなくて辛いなー。
自分のことが嫌いだとか、死にたいみたいな気持ちを著者は否定しないし、肯定もしない。読んでる時は心がザワザワしてすごく苦しいけど1番救われる。めちゃくちゃ面白かった!

0
2024年12月15日

Posted by ブクログ

「ソーシャルディスタンス」って、今やもう懐かしい言葉だ。
未知のウイルスに世の中が怯えていたあの頃、基準を設けられた社会的な距離は、ある程度他人が決めてくれたからある意味で分かりやすかった。今思えば異常だったと思う面もあるけれど、当時は怖かったのだからしょうがない。
だけどこれは、アンソーシャル。確かにあの頃も、親しい間柄での距離感は社会の基準よりずっと近かったし、信用できたのはほぼ100%心理作用によるものだったと思う。ウイルスなんて、目には見えないのに。

5篇の短篇集。金原ひとみ作品らしく、すべて主人公は女性で、そして様々なかたちで病んでいる。
表題作はまさしくコロナウイルスが猛威をふるっていた頃。コロナ禍でも「適切な距離」なんて保たず、心も身体も濃厚接触(この言葉も懐かしい…)を続けて突っ走る沙南と幸希の物語。
元々厭世的で、10代のときにリスカや脱法ドラッグなどで一度社会からフェードアウトしたものの、大検を受けどうにか大学生になった沙南と、対照的に様々なことを上手くすり抜け切り抜けてきた同じく大学生の幸希。幸希は一見真っ当に見えるけれど、実は沙南と似たような魂の持ち主であったことで、2人は惹かれ合う。

他には、私生活(主に恋愛)が上手くいかずストロングゼロで気を紛らすのが癖になり、ついには仕事中でも飲むようになって破滅に向かう主人公や、若くして夫とセックスレスになったのがきっかけで不倫を始めたがその相手が病んで執着心を強めていき…という物語、10歳以上歳下の後輩と恋愛関係になった途端自分の老いが気になりだし美容医療のドツボにはまっていく35歳の女性など、いろんなかたちで自分を追い詰めていく女性たちの物語群。
ラストの「Technobrake」は、コロナ前には良好に付き合っていた1組のカップルがコロナをきっかけにだんだんと関係性を変えていくお話。主人公の芽衣がウイルスに敏感になりすぎて恋人の蓮二にまで要求を強くしてしまったことから…という。
こういうことは実際あったかもしれないな、思う。私自身、コロナ禍当時飲食店を経営していたし高齢の母もいるから普通より気をつけなきゃいけない立場だったけれど、その頃付き合っていた彼は無頓着で飲みや集まりを頻繁にしていたから、それを責めはしなかったけれど一時的に距離を置かざるを得なくなった。その直後くらいに結局別れてしまったのは、コロナが直接的な原因ではなかったけれど、意識の違いが浮き彫りになったことも一因としてあったと思う。
そういう意味でコロナって、色んな関係性の意識の差を浮き上がらせた出来事だったと思うし、試される場面も多かった。混沌としていて、振り回されて、おかしな時期だった。

…ということを、読みながら思い出していた。病んだり、執着したり、破滅に向かったりなんて、何がきっかけか分からない。他人から見たら順風満帆に見えても、実はどうなのかなんて本当のところはその人にしか分からない。
またあんな風に大々的に試されるような出来事が起きたりするのだろうか。普段からもっと些細な出来事で、試されてはいるのだけど。

0
2025年10月13日

Posted by ブクログ

あまりにもな言語化の嵐で、共感とか理解はなくても、沈むように引きづり込まれた。身に覚えがない体験に相乗りした気分。

0
2025年06月26日

Posted by ブクログ

おもしろかった!!

ストロングゼロ、整形、不倫、、
このままでいいわけないのに、どんどん深みにハマっていく。
一人称の女性たちの疾走感がたまらない。

暗く、辛い話と思いきや、
テンポよく、どんどん読める。

0
2025年06月07日

Posted by ブクログ

短編集。どの話も上手くいってない女性の心情の吐露が秀逸。アルコール依存、整形、不倫…あまり共感したくはなかったけど、何か歯車が狂うとこうなるし、秩序だてて生きていても、人の欲とか焦燥感はそう簡単に抑えられるものではないことが泥沼にはまっていく登場人物の様子から強く感じた。

0
2025年06月05日

Posted by ブクログ

文章がえぐるように鋭くて深い。特に最初の3つは当事者になった気分が味わえるのでおすすめ。最後の2つはちょっと常軌を逸していてあまり共感はせず。

0
2025年05月14日

Posted by ブクログ


現代、といっても昭和からの現代じゃなくって、本当に「今=現在」という意味での現代の文学、といった感じ。

そんな意味での現代文学に触れられて嬉しい。年齢のせいなのか、人生の経験値のせいなのか、性格のせいなのか、私には分からない&刺さらないことも多々あった。

でも客観的に読んで、女性的な鬱をとてもうまく、巧みな文章力で表現されていて、「すごい!」と本当に心から感動。

辛い環境をなんとか生き抜くために、他人からは理解不能な行動をとること、でもそこまでそれによって周りに迷惑をかけていない範囲なら、第三者がジャッジすることではないなと痛感。乗り越えるも、乗り越えないも、その人の勝手。

「私だったらそんなことはしない」ほど余計な発言はない。

最後の章の、性加害者になりうる瞬間の描写にはかなりハッとされされる。本当にひやっとした。自分には1番心に残るシーンだった。

そしてハルキ的でない、女性目線からの性描写もとても良かった!!(笑)

0
2025年04月30日

Posted by ブクログ

3話目を読み終わった時に、これ以上読めない(いい意味で)と思い、一回本を置いた。それくらい吸引力というか自分の暗い深い部分を引きずり出される感覚。

0
2025年04月21日

Posted by ブクログ

5編からなる短編集

どの短編も、ほぼ主人公の一人称で語られており、危なかしくて、ハラハラする。
だからついつい読んでしまう。

どの主人公も、いろいろなパターンで落ちるところまで落ちてゆく。
文章が本当に上手くて、言葉選びは絶妙。

☆ストロングゼロ☆
鬱病の彼に振り回され、はけ口にストロングゼロを飲み続け、仕事中も容器を移して飲みまくり、仕事もままならなくなる。

☆デバッガー☆
同じ会社の10歳年下の彼に、間近で顔を見られる事を気にして、整形依存に走る。

☆コンスキエンティア☆
夫とうまくゆかず、不倫を繰り返すがどの相手にも納得がいかない。

☆アンソーシャルディスタンス☆
生きているのが辛い大学生。
自分を好きな彼を道連れにしようとするが…

☆テクノブレイク☆
コロナ禍、自分の思うように、手洗い、マスク、消毒をしてくれない為に、上手くいかなくなった彼の位置情報見続けている、セックス依存の主人公。

この本を読んでみたいと思ったキッカケは、
山本文緒さんの「無人島のふたり」を読んでいた時、
「もう直ぐ死ぬとわかっていても、読みかけの本が気になって読んだ。金原ひとみさんのアンソーシャルディスタンスは、死ぬ事を忘れるほど面白い。」
とあったから、いつか、とずっと思っていた。

自分とは全く違う世界の人々……
と思いたいけど、ほんとにそうだろうか。

0
2025年03月15日

Posted by ブクログ

様々なストレスにより、何かに依存していく女性を描く五編。

読んでいる間は苦しいし、
社会通念上、幸せやまともと言える状態じゃないけど
なんとなく突き抜けたような爽快感を憶えてしまうラストが多かった。
これが朝井リョウさんが解説で言うところの「とにかくキマる!」なのかな。

表題作の2人の厭世観のようなものに少し共感できた。

0
2025年03月10日

Posted by ブクログ

登場人物の誰にも共感出来なかったけど、奈落の底に落ちていくようなドロドロの依存の行末が気になってグイグイ読める。
欲望に溺れ狂気じみていくのが痛々しいけど、メンヘラ的なこういう感じ結構好み。

0
2025年02月20日

Posted by ブクログ

2021年 『谷崎潤一郎賞』受賞作品
5編からなる短編集。
金原ひとみさんの作品は本書が初読みでした。

帯にも書いてあるように、
整形や不倫、共依存とアルコール依存に性的依存…
内容はとても生々しく、読んでいて辛い場面もあったが、どのお話も現実味のある物語でとても読みやすかった。

「ストロングゼロ」「コンスキエンティア」は、
読みながら あー!⤴︎︎あぁ!⤵ ︎⤵︎ ︎うわあ…なんでぇ⤵︎ ︎
と感情に揺さぶられ、自分の心の中の感情と本書と会話してしまうほど没頭して読みました。

「デバッカー」はただただ切なくなり…
「テクノブレイク」は内容がスっと入ってきて
主人公の気持ちが分かる部分だったり、現実にありそうなお話だと思った。

どのお話も好きだけど個人的に、
「デバッカー」「アンソーシャル ディスタンス」が好み

0
2025年01月31日

Posted by ブクログ

著者の作品はなぜか初読だったけど、とてもよかった。
特に「ストロングゼロ」「デバッガー」の2作。
主人公の女目線で、生きづらい現代を描いてる。
著者は現代の無頼派作家と言えるんじゃないかな。

妄想キャスティング
「ストロングゼロ」
桝本美奈(私)  夏帆
彼氏 行成    藤ヶ谷太輔(暫定)

成はもう少しカラッポっぽい人がいいかも。
読みながら「私(美奈)」は頭の中で夏帆さんがしゃべってた。  

0
2024年11月12日

Posted by ブクログ

金原ひとみさんの小説を初めて読んでみた。
朝井リョウさんの言うとおり、とてもキマッた!!
ストロングゼロ、不倫、美容整形、セックス、希死念慮等々、あらゆるものに溺れていく女性が主人公である短編が5つ入っていた。
みんな溺れていくことで生活にとんでもない支障をきたしているのに、そこから抜け出せないし、抜け出せない状態自体をどこか心地よく感じている部分もあり、こちらとしても読みながら脳が痺れる感覚がありました。
完全に共感できるわけではないですが、なんとなく分からなくもない、といったところです。
男の自分でもとても痺れましたが、女性にならもっと響いているかもしれないです。
一番好きだったのは、「アンソーシャルディスタンス」でした。

0
2024年11月02日

Posted by ブクログ

中編5作品。仕事中にストロングゼロを飲むその名もストロングゼロって話が読みたくて買ってみた。面白かったが読むのに大変疲弊する一冊だった。読んでてヒリヒリと痛いんだよね。心が。登場人物たちの赤裸々すぎる行動や心情の描写がめちゃくちゃ痛い。巧みすぎる。しかし後半のセックスばかりしてるカップルの会話や思考が高度すぎて違和感がとても強かったな。乖離とか擬態というのが一つのテーマになってたけど、なんとなくそれが陳腐に感じもした。だってそうしてない人なんているかよ?って話なんだけど、作中には全く乖離がなくてむしろモンスターだって言う人物も出てきて面白い視点だと思った。最も過激で最も抵抗を感じたのがラストのテクノブレイクなんだけど、抵抗を感じながらも最も強い共感を覚えた描写が出てきたのもこれだった。セックスがエンターテイメントだって言うのは一理ある。読者の心をざわつかせるのが金原ひとみはとってもうまい。しかし彼氏が鬱になる描写連続したり過剰とも言えるセックス描写が連続したりと作者の当時の心境を邪推しそうになったな。

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

朝井リョウ氏による文庫解説が好評とのこと、読んでみたいと願っていた一冊。朝井氏曰く「オリンピック新競技“文庫解説”」ですって‼︎
パリ五輪の最中にね、五輪とか新競技とか、そんな記述など知り得ない、予想だにすらすることなく、この本を手にした“偶然”、この手の偶然みたいなことって、じつは僕にはありがちで、軽々しくも“運命”だなんて言葉でもって話題にする機会も時々ある。現在の僕は、これまでにないペースで読書を続けている。筋金入りの読書家の皆様方から御覧になれば、僕のごときの読書量など取るに足らないものではございましょうが、そんな僕ですら読書を通じて“偶然”や“運命”など、見出すたびに読書の奥深さの一端に触れた気持ちになります。
読書って、ほんとうに面白い。
 
“現在”というのは、どれくらいの鮮度を示すのだろうか。記憶に新しい、これくらいの過去は“現在”に含まれるのかな。それともすでに過去は、時を経ると同時に過去なのだろうか。厳密には過去であるに違いないのだろうけれども“過去”と割り切るには生々し過ぎるパンデミックを連想させるタイトル、それでも“現在”、現時点では?言われてみれば、ああそうだった程度の認識しか、もう僕には残っていなくて、いささか軽薄では、と自戒の念がふと浮かんだ。あくまでも僕は、パンデミックに関して傍観者に過ぎなかった。どうなることやら、と気を揉むこともあったけれど、切実さの度合いで言ったら、ワクチン接種の効果や意義に懐疑的だったとか、その程度しかなかった。僕には、そもそも潔癖性の傾向があり、マスク着用も消毒も抵抗が無かったし、うがい手洗いなどは、生涯における習慣だった。
ちなみに現在でもマスク着用は言うに及ばず、外出時に電車に乗る機会があるならば手袋を携行している。ニトリル素材の薄手のものではなく、軽作業向けの、比較的しっかりとした手袋を。吊り革や手すりを素手で掴むことを避けるために…余談でした。
現状ではウイルス感染云々、僕の周囲ではどんな場面でも話題にならないけれど、喉元を過ぎれば、とはいわないまでも、一時の過熱ぶりが何事も無かったように冷めていく、そんな状況を見聞きして思い出したことがある。似たような経験が過去にもあったな、と。
それは原発事故の放射能漏れの件である。
当時の僕は地元の「心配しすぎ」「騒ぎすぎ」と“まとめられた”方々と連携していた。僕は放射線云々というよりも、それら危惧に対する行政の姿勢に疑問を抱いていた。「問題無い」と一点張りの行政の応えに納得がいかなかった。低線量の長期被曝は、経験が無いことだから「問題無い」ではなく「わからない」というのが正しいと思っていた。たぶん僕の考えは間違っていなかったと今でも思っている。
原発事故は2011年で、以降現在に至るまで生活圏内における放射線被曝による直接の被害などは見聞きすることがなかったけれども、イコール「安全」ではなくて、たまたま「運が良かった」だけだった、と捉えている。自らの周囲に何ら影響が無かったのなら、それまで感じていた脅威などは鮮度を失い、じきに風化してしまう。この、いわば“時の作用”をいったい誰が責められようか。
パンデミックも、いずれこんなふうに扱われていくのだろう。すでにそんな状況に片足どころか両足を踏み込んだとすら感じる。危惧の声然り、政府の対応然り、賛同と反対の対立もまた然り、諸々まとめて無かったことにされてしまうだろう。それを望むのも人の思いだけれど、無かったことにはできない思いも、決して消し去ることができないだろう。
『アンソーシャル ディスタンス』
最後まで読んでみて、何が良くて何がダメで、なんて一向に答えが見出せないのは人の世の定めと思った。「なるようになる」とはいえ、それすら確信には至らない。おそらく人生には正解はないのだろう。きっと、それぞれの主観を根拠にした“現実”があるだけなのだ。それら“現実”に苛まれ続ける物語だった。徹底的な切実さに胸がつまった。

0
2024年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『テクノブレイク』が面白すぎる。コロナ禍の神経質さに絡む狂気。母親へのスタンプ5回送信。ゴキブリの出現。プルダックポックンミョン連呼しすぎ。ぶっ飛びすぎて笑うしかない。小説を読みながら爆笑したのは初めてかも。最後は切ない。

#金原ひとみ
#プルダックポックンミョン

0
2025年05月04日

Posted by ブクログ

初めて読んだ作家さん。女子の描く性描写のリアルさを感じました。短編集でしたが、内容はどれも重めでした。一人称で語られる感情の表現も繊細でした。星3つかな?

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

思考を巡らせてもどうせ何か見覚えのあるストーリーにのせてベルトコンベアの上を運ばれていくだけなら、ドパミン放出を道標に、何をどうしたいのかわからないけど何かをしている状態で生きていてもいいよなあとは思うのだけど、
実際はわたしみたいな社会不適合人間は社会に適合する形で守られないとダメだなという思いが強まった
退屈で演技くさくて茶番だけど、これが1番の安全策
結局やりたいこともやりたくないことも自分の意思の本物らしさを信じきれないのであれば、世間に伺いを立てながら飼い慣らされる方が楽
下手に抗おうとすると、その抵抗するスタンスが自分の意思らしきものの形成に大きく関与してしまって逆に支配される構造になる気すらする
主人公たちが自分のことを分析しようとしているけど結局よくわからず放置して、コントロール不能感に身を任せているのがいい
解説が面白い
アルコールでブラックアウト、二日酔いで頭が宙に浮いた状態での勤務、辛いもの依存、思い当たる節ありすぎてひやひや、セックスはまだ大丈夫。
死ぬという行為に踏み出さない限り、生きるのをやめないでいるという状態がそれなりに持続するから、大事な連絡や警告も混ざっているであろうメールボックスに未読を溜め込んだままぎりぎりまで通知が増えるのを放置しておく
たまに、思い切って整理した方が楽なんだろうなと思い立って未読開封の儀式、社会適応に精を出す、そのルーティンをちまちまと繰り返す、こうした一連の退屈さに耐えきれなくなってまた刺激を追い求める

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2025年10月12日

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金原さんの作品は「蛇にピアス」以来だったが、リアルで露骨すぎて、ある意味新鮮だった。ストーリーや内容はオブラートに包むことなく、どストレートで、時に不快感を覚える時もあるが、感情に波を起こさせてくれるところが昔と変わらない良さなのかなと思った。言葉の使い方や選び方などが印象的で、共感できることが多い。読む人を選ぶ作品かもしれないが、私はこういう忖度のない、妥協のない、人間の本質をえぐる作品を描く作者のことをこれからも応援したい。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◾️record memo

小さい小さい嘘を重ねて少しずつ自分のイメージ操作をする彼といる間、彼の作り上げた虚構の世界に付き合わされ、ずっとディズニーランドに生きているような気分だった。最初の一ヶ月は楽しくて仕方なかったけれど、半年経つと疲弊が蓄積し、一年も経つとハリボテの裏を知り尽くし、その虚構性に嫌悪しか抱かなくなった。

皆は一体他のどこにそんな要素を見出せるのだろう。何が彼らの足場となり、普通に立っていられるのだろう。それとも足場などなく、普通に地面に立っているのだろうか。だとしたら私が直接地面に立てず足場を必要としているのは何故なのだろう。

結局のところ、明日死ぬかもしれない世界で、何歳で結婚何歳で出産何歳でマイホーム何歳で昇進何歳までに幾ら稼いで老後資金コンプリート、みたいなことを考えている人は、私にはコントロール・フリークにしか見えないのだ。広告代理店的な受け売りの欲望の奴隷である彼らは、もし着実にその欲望を叶え続けたとしても永遠に自由を手に入れることはないだろう。

本当の理由は「なんか」だ。「なんか好きじゃない」の「なんか」が重大な理由だ。人は「なんか」好きになるし、「なんか」好きじゃなくなるし、「なんか」セックスをしなくなる生き物なのだ。確固とした意志、信念、理想がありそれに則って生きている人間が果たしてどれくらいいるだろう。憶測でしかないがだいたい人口の五パーセント程度だろう。

「俺は茜音ちゃんと結婚したいよ。それが最上。結婚が無理なら、ずっと一緒にいたい、それが無理なら、定期的にセックスし続けたい、セックスが無理ならただ会い続けたい、それが無理なら連絡とり続けたい、とにかく茜音ちゃんと繋がってたい。繋がり方は茜音ちゃんの望む形でいい。でも本当は結婚したい」

頭の中に何があろうと、今の私は夫に全てを捧げているようでもある。私は夫のことが好きなようでもある。そういうものだから、セックスはそれ自体が暴力なのだろう。

人は自分の内面をさらけ出せば出すほど、その大したものの出て来なさによって、底の浅さを認識する。でも元々大したものでもない自分に何かあると妄想してしまうことの方がよっぽど恐ろしいことであるはずだ。

今の会社に転職して三年、どこかで馴染めていない気がしていた。いや、私は最初にBAとして働き始めた時から一度も、自分が職場に馴染んでいると思ったことはなかった。イベントや企画を成功させても、上司に評価されても、後輩に慕われても、どこかで疎外感を抱いていた。

自分の趣味でないものを頭ごなしに否定するのは、若い男にありがちな傾向ではあるが、そういう子供っぽい面を見せても大丈夫な相手と思われているのかと思うと情けなくなる。

この人に全てを差し出したいと願った。私はなぜこんな願いを持つのだろう。全てを差し出したら私はなくなってしまうし、向こうだって全てを差し出されても困るだろうに。

全ての恋愛は洗脳的な側面を持っている。それは宗教が恋愛に似ていることによって証明されている。

「子供を欲しいと思ったことがない」「自分のことが嫌いだから、そういう人間を再生産してしまうのかもと思うと子供を持つことに前向きになれない」

嫌だな。行き交うサラリーマンたちを見つめながら思う。だっさいスーツ着てだっさい鞄持ってだっさい仕事すんのか。

激しくとっ散らかった火花をバチバチ弾け飛ばしてふっと消える花火。沙南のことを思う時、いつもそんなイメージが浮かぶから、ずっと彼女の周りに風除けの手を差し伸べ、強い風から守ってきたつもりだった。彼女の火を絶やしたくなくて、風が当たらないように雨が降らないように生き急がないように、守り続けてきたつもりだった。

左手で浴衣の袖を内側から握り、沙南の頬の涙を拭っていく。次から次へと溢れてくる涙を拭い続けながら、沙南の涙を拭う仕事があればいいのにと思う。

0
2025年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の章が1番好きだった。全能感に打ちひしがれていた無敵の二人はコロナウイルスの蔓延によって信頼を失い、芽衣はシェルターに閉じ籠るようにして生きるようになった。それは生きていると言えるのかはわからないけど、誰にも迷惑をかけないしコロナに罹ったり誰かを感染させたりする心配もなく、ひどく自己完結的な生き方だと思った。喘息持ちの芽衣に心から向き合っていない蓮二と、同じく蓮二そのものに向き合う気のなかった芽衣。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

人は辛い経験や環境を乗り越えるために、時に他人には理解できない行動もするんだなと感じた。ただ、その善し悪しを第三者がジャッチしてはいけないし、乗り越えるかどうかは本人次第だと思った。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

まさに「イマドキ」な生きざま!
相手を傷つけないように嫌われないように
人との距離感にびくつきながら生きる感じ
そして突然コップの水が溢れ出す感じ

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ禍の話が1番私に近かったかも。恥
結構、性描写が露骨なので大分読み飛ばした。

自分の楽しみ(欲)のために嫌な事(社会的にさせられること、やらなあかんこと、やりたくないけど無我の境地でしたこと)を無理して頑張ったのに、その楽しみが無くなってしまい、パリンと心が壊れたりピンと張っていた糸が切れたような感覚に陥るっていうのが今回の短編集の共通項のひとつ、なんだけど、コレ分かりみが過ぎる!!

一個一個積み上げてきた、と思ってたのに、今までやってきたことに意味は無かったのかな、とかがやるせなさ、に繋がるのかな。

鬱っぽさ。もテーマ。そして、その原因もはっきりせず、なんかなのも、なんか分かる!言語化してしまえないまんまなのが更に頷く要素。

逆にえ?なのはアウトゾーンにいっちゃうというか、モラル内に全然とどまれてなくて逸脱しないと生きてけない、とかダメな人に優しくしちゃう、とか連絡取り続けちゃうところ。現実じゃありえない。

なんかね、生きづらさ、をハツラツと書いてて、でもそんなダメなやつを自愛するでもなく流されちゃってるんです、でも終わりにしないといけないの分かってて。ただそこまで執着して行き着いた先に待ってるのは他人に迷惑かけてないし、罰せられるようなこともしてないよね。で、話が終わるのが、正しさを読者に押しつけてなくてほぉ、てなった。作家として10代の頃から活動されていたら上から物を言いたくなりそうなものなのに、そういう説教めいたものを感じないのが凄いところだと思う。

すがるってあんまり分かんなかったけど、こういうことかー。私だいぶ旦那さんにすがった発言日常的にかましてるけど、こう客観的に読むと、自身のことが白けてくるなーってなった。

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2024年12月19日

Posted by ブクログ

コロナ禍の不安を思い出した。独特な本だなぁ。
ものの捉え方とか人と違うんだろうな、金原さん。他の本も読んでみたいな。オススメ教えて下さい。

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2024年11月20日

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