あらすじ
心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。(解説・朝井リョウ)
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Posted by ブクログ
一言で言うと怖かった。
人間の弱いところを全面に描いている。
どの話もいつか自分がこうなってしまうのではという恐怖心で読み進めた。
特にデバッガーは最近の自分の悩んでいたことだった。森川の感情にはとても共感できた。彼は綺麗だと言ってくれているのにそれを信じることができない自分。
こうやって客観視して読み、大原から想われている現実より自分自身を守ろうとすることに必死な森川を見たことで自分が自分に枷をつけてそれが満足にいかず勝手に傷つき、離れていく恐怖を感じていただけだったのかもと思うようになった。鏡をみて1つ気になるとどんどん気になるところは増えてくる。だが、自分を大切に想ってくれてる人に辛い思いはさせたくないし、綺麗と言ってくれた時は素直にありがとうと言えるようになりたい。
私が歳を重ねていき外見の変化に恐怖を感じてどうしようもない時に読もうと思った。
Posted by ブクログ
起爆剤みたいな小説だった。欲望、愚かさ、醜さに目を瞑りたいけれど、そんなことは出来ない。小説に登場する女性たちに、真正面からそれらの有り様を突きつけられる。私も社会に溶け込みながら生活してるつもりだけど、どこか狂っているところがあるのかもしれないなんて思ったり。
Posted by ブクログ
常々思ってることだけれど(ひとつの属性をとってこうだ、ああだ言うのも良くないと思いつつ)、
女性は辛くても生きながらえてしまいやすい特徴があると思う。この本を読んで改めて思ったし、そう感じてるのは私だけじゃないのかもとも思った。
朝井リョウさんの解説もよかった
この文章を書いているとき、わたしもまた顔色を伺いながら文字を打ち込んでる。
Posted by ブクログ
表現の精度が恐ろしく高い。
併録された作品はいずれも、救いを見出せない男女の話。
人は意識的に選択して生きているようでいて、実際には抗いようのない感情に大きく左右されている。
『「なんか好き」の「なんか」が重大なのだ。』という一文には、特に強くそれを感じた。
人は誰しも、自分の人生を説明できていると思い込んでいるけれど、実際には後付けで物語化しているだけで、その核心には説明不能な“なんか”がある。
もし人の選択がそんなにも儚く頼りないものなのだとしたら、モラルや善悪の観念もまた、偶発性の堆積に過ぎないのではないか。
そう考えると、全てが無意味で空虚なものにも思えてしまう。
本作はまさに、そうした人間の在り方を書いていたように思う。
頭では「こんな関係は無意味だ」と分かっていても、身体は孤独に耐えられない。だから人は接続を求めてしまう。
理性は身体を統治できていない。
そしてその不安定さこそが、本作ではむしろ“人間の本体”として描かれていたのではないだろうか。
随分と観念的な感想になってしまったが、とても充実した読書だった。