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最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごしている翻訳者の由依。恋人の夫の存在を意識しながら、彼女と会い続けているシェフの瑛人。浮気で帰らない夫に、文句ばかりの母親に、反抗的な息子に、限界まで苛立っているパティシエの英美。妻に強く惹かれながら、何をしたら彼女が幸せになるのかずっと分からない作家の桂……。望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――「心の平穏」(アタラクシア)を求めながら欲望に振り回され、ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女の姿を圧倒的熱量で描き切る。第5回渡辺淳一文学賞受賞作。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年10月30日
結婚・離婚・不倫....男女の複雑に入り混じった群像劇とでもいうのだろうか。きっと共感できるような部分やそういう人いた気がする的な感覚。とにかく想像が追いつかない部分や謎を感じるところも含めてまるで生きている人間と接しているような文章が響いた。人物が全て描かれるのではなく過程で少しずつみえてくる感じ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月17日
様々な状況に置かれた男女視点の話。
登場人物が皆、自己分析と言語化が上手く、聡明で、そのため感情論の部分が少なく、とても「文学を読んでいる」という感覚を強く感じた一冊だった。
金原ひとみさんの本を読むといつも思うが、あと数年を経、男性経験を重ねたらたどり着く思想の境地なのだろうなと。それがこの作...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月10日
金原ひとみの圧倒的筆力を感じさせる、渡辺淳一文学賞受賞の小説。
最初の章「由依」で描かれる、いま・この一瞬を味わう由依の甘美な多幸感、続く「英美」でのどうしようもない閉塞感と世界への呪詛に、金原ひとみの初読者として、たいへんに惹かれた。その後は、ゆっくり一章ずつ読み進め、楽しんだ。
上記の通り、タイ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月31日
アタラクシアとは、心の平静・不動の状態をいい、ヘレニズム時代のギリシア人の倫理観、特にエピクロスの処世哲学では幸福の必須条件とされたとのこと。
心の平静・不動のために、ある種の痛みが必要な人たちを描いた連作短編集、と言ったところか…
金原さんの小説は、なんというか中毒性があるんだよな…非常に危...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月11日
アタラクシアとは、「心の平穏」という意味だという。(解説P360)
わたしは特にこの言葉の意味を調べることもなく読み始め、「なんかフランス語なのかなぁ」くらいの感じで読み進めていった。
この言葉の意味を知っていて読むのと知らないで読むのとで、大きな違いがあったようには思わない。
いずれにせよ、この...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月06日
昔に「蛇とピアス」を読んだ時に全く合わず、ずっと敬遠してた作家。
テレビ番組で「デクリネゾン」を紹介していて本屋に買いに行ったが無くてこの本に興味が沸いて衝動買い。
年を重ねたせいか人生経験を積んだせいかとても心に響いた。
全ての人物に共感するとこは無いが、全否定は出来ない。
色んな人の心の...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月23日
アタラクシア。心の平穏。
誰ひとり平穏じゃなくて、みんな情緒不安定すぎる。
”望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう”
「誰も愛してなくても、誰からも愛されなくても、普通に生きていける人間になった方がいい。」
私は、普通に生きていける人間になって、そのうえで、ちゃんと...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月16日
アタラクシアとは、哲学で「心の平静・不動の状態」を指し、古代ギリシャの哲学者エピクロスは、この境地の実現が哲学の目標と説いたという。
そんな言葉とは真逆な内容。
最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごす翻訳者の由依。浮気する夫や文句ばかりの母親、反抗的な息子に、限界まで苛立つパティシエの英美。妻に...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月17日
6人の男女による、章ごとに語り手が変わる物語。男が2人に女が4人。年齢の幅はそこまでないものの、立場も性格も何もかも違う登場人物たちだけど、誰かに共感したり肩入れしたりするタイプの物語では個人的にはなかった。
社会の中に紛れて普通に生きる人たちの極端な部分だとかある種の異常性のようなものを、これでも...続きを読む
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