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Posted by ブクログ
金原ひとみ3冊目。この本を読んで、私は金原さんと友達になりたい、仲良くなれそうと思った。(おこがましい)
結婚とは?愛するとは?をすごく考えさせられる小説。運命の人と結婚して幸せになりました!みたいな点と点を1本で繋げたクリアな話とは真逆。いろんな感情と思考が複雑に絡み合いそれをそのまま模写するような、写実的な捉え方でこの命題を考えている気がする。
周りの人間をよく観察し、よく分析している。その解像度がめちゃくちゃ高い。私が他人や自分に対して抱いてる感想をドンピシャで的確に表現してくれる感じが読んでいて爽快だ。超気持ちいい。
自分自身や親しい友人のことであっても、どこか感情が乖離しているような、遠くから眺めて箱で捉えているような。私は友人のこの面が好きだけど、この面は好きじゃない。恋人のこの面だけを愛して欲していて、でもその満たされない部分を浮気相手で満たしたい、みたいな。行動だけを見ると感情的にも見えるが、そこに行き着くまでの過程は理性的と思える。この小説からみえる一貫したその姿勢が、私と私の周りの人間との関わり方に似ている気がして嬉しくなった。
Posted by ブクログ
私は既婚して子どももいるけど、やっぱり結婚は希望ではないなと再認識した。
元から浮気性、浮気性って言葉もあまり好きではないけど、その人だけというのが難しいひとも普通にいる。私もそうだし。
第一誰かに希望を与えよう与えてもらおうだなんて驕りも過ぎてる。でも皆んな一生懸命生きてる。自分一人で生きるには退屈すぎるから結婚したりする。私は危害を与えてくる人と同じ空間にいるということが本当に理解出来ないから真奈美のことはずっと分からなかった。英美は救いがなくて可哀想だった。怒りっていちばんエネルギー消費する感情だと思うから余計辛かった。
…とここまで書いて、文系ステーションの金原ひとみのインタビュー記事を読んだら、また物語の印象が変わった。平穏になりたいようななりたくないような。
決してスッキリしないし、明日から頑張ろうという気持ちになるわけじゃないけど、これでいいんだと受け止めてくれる優しさはあると思う。
荒木はいいやつでいてほしかったから、それが残念。
Posted by ブクログ
文庫化したので再読。ほぼ四年ぶりで忘れている箇所も多かったけど、当時とまったく変わらず振り切れるほどの共感度。ラスト5ページで物語の様相がガラッと変わる展開もたまらない。
共感、という個人的な一点に関してなら本作を超える小説が今後でてくることはないんじゃなかろうか?と思うほどに、私が常日頃から抱えている思考のブラックボックスをすべて開示して明るみの下に並べられたかのような心地がする。
タイトル『アタラクシア』とは古代ギリシア哲学の専門用語であり、「心の平静不動なる状態、乱されない心の状態。激しい情熱や欲望から自由な、平静な心のさま。」という意味だが、本作の読書中は台風に只中にのみ込まれたかのように心に暴風雨が吹き荒れる。もちろん猛烈に楽しい。
旧知の間柄である知人に、とくに詳細は述べずに本作を薦めたところ読んでくれたようで、その感想が「これつづきさんのまんまじゃん」なのがおもしろ&嬉しかった。
読者として俯瞰して眺めていると、彼らはままならない結婚生活の中で助けを求めて、波乱に満ちた日々をもがいて生きているように見える。
でも、本当に心からその一人一人になりきってみた時、もしかしたら彼らの中には何者にも触れられない静謐で禁断の聖域が沈んでいるのではないか、と直感する。
私にはそれこそが、どれほど激しかろうがその生き方に従うことこそが、本物の安寧のように思えてしかたがない。
Posted by ブクログ
金原ひとみの圧倒的筆力を感じさせる、渡辺淳一文学賞受賞の小説。
最初の章「由依」で描かれる、いま・この一瞬を味わう由依の甘美な多幸感、続く「英美」でのどうしようもない閉塞感と世界への呪詛に、金原ひとみの初読者として、たいへんに惹かれた。その後は、ゆっくり一章ずつ読み進め、楽しんだ。
上記の通り、タイトルの登場人物の視点で各章は描かれるので主役はいないのだけれど、ほぼ主役であろう由依というキャラクターは、恐ろしくも魅力的で。サイコパス的だと言えばわかりやすいのだけれど、そうではないのだろうと留保したくなる、そういう感触をもった。
彼女ほか、登場人物たちの織りなす人間関係の均衡が、ドミノのように繊細に崩壊することを予感させて終わるラストも絶妙。
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