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自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
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「正欲」
2023年11月10日公開 出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗
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Posted by ブクログ
「多様性」という言葉が溢れる現代社会へ、これは鋭利な刃物のように突きつけられる強烈な問題作である。 物語は、性に対して異質な欲求を持つ二人の男女と、世間の「普通」の中で生きることを強いられる検事や主婦といった複数の視点から展開する。一見、交わることのない彼らの人生が、ある事件をきっかけに絡み合い、読...続きを読む者はその度に、自分が立っている「正しさ」という名の不安定な足場を揺さぶられることになる。 作者が問うのは、社会が承認し称賛する「想像できる範囲の多様性」と、そこから排除される「不都合な多様性」との境界線だ。人は、自分の価値観から外れるものを差別し、排除することで、自分の「普通」や「正しさ」に安心を得ようとする。その無意識の差別意識や同調圧力が、いかに暴力的な「加害者性」を孕んでいるかを、本作は冷徹な筆致で描き出す。 そして、その根源にあるのが人間の「性欲」であるという視点が、この作品を唯一無二のものにしている。性欲が人間の根幹にあり、それが価値観そのものを形成しているならば、価値観は無限に多様であるはずだ。 読後、私たちは、安易に他者を「理解したつもりになること」の傲慢さ、そして想像力の限界を知ることになる。目の前の人間を、自分のものさしで測らず、安易なレッ釈を貼らずに、ただその存在を「積極的な不干渉」として認めること。この難しくも切実なテーマを投げかける、気迫に満ちた傑作である。
本屋大賞ノミネートやタイトルの興味から読んだ。多様性という言葉を推進しながら、暗黙の雰囲気や価値観がある世間を再度認識させられる本だった。 人間として世間一般から「普通」「正しい」と思われている嗜好だけが全てではないよなと自分ではわかっているつもりでいる。マイノリティの嗜好が認められない世界の様子...続きを読むが描かれる。そして自分もその世界の一員になってしまっていることを自覚する。頭をガツンと殴られるような感覚もあった。 個人的には、「普通」のルートから外れることを心配する検事が印象に残った。自分に子どもができたとき、多様性や個人の意思尊重という言葉で、子どもがやりたいことをどこまで認め、応援することができるんだろうか。
再読。”多様性”が注目される時代にまた違う視点を投げかけていて、読む度にモヤモヤした不思議な気持ちになる。読み終えた後、それまでの自分の物の考え方や捉え方に「?」が出てきて、キャッチコピーにあるとおり【読む前の自分に戻れない】気がした。 多様性に寄り添う考えが大切なことは疑わないけど、でもそれが&q...続きを読むuot;正義”で"社会貢献”のように安易にもてはやすような添い方は傲慢なのかもしれない、とも考えさせられる。何が"正しい”のかその尺度は何で決まったのか?、と混乱して、怖くすらなる。
正欲を読み終わって、今までの価値観が少し変わった。 読むまで正しい欲とはどのようなことか全く検討がつかない自分であったからこそ、より価値観の違いについて感じるものが大きかったのだと思った。 蛇口から噴水のように出る水に興奮することが、あまりにも身近に感じることがなかった分程遠い価値観のように感じてい...続きを読むた。しかし、実際に生活している中でも、同性愛者がこんなにも近くに、またこんなにも多くいるということがこの本を読んでいる最中に知った。 そこから、程遠かった価値観がすごく近くにあるようにも感じた。その人にとっては、それは性欲であり、それをあまり理解できていない自分にとってはそんなが無いと決めつけていた正欲であったと感じる。誰しもがそれぞれの性欲と正欲を持っており、それを強引に結びつけることはマイノリティの人達にとってはとても生きづらいことなのだろう。 だからと言って、全員の価値観を合わせることは不可能であり、そんなことは望むものでは無い。 だから、それを知り、理解で収めることだけでそれ以上でそれ以下でもなく、十分なのかもしれないと感じた。
「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突きつけられる言葉のはずだ。」 この表現が凄いしっくり来た。 自分とは違う何かに、自分達を認めろと主張された時、多様性という言葉を盾にして本来の自分を隠している人が多く居ると常々感じていた。 何も考えず、差異を認める事で自身もこの...続きを読む世界の進歩に貢献していると考えているのだろうか。 それとも、新しい価値観に対応していかないといけないと躍起になっているのか。 いずれにせよ、多様性という言葉を使う事で、その人達は自分達が正しいのだと信じて疑わない。 多くの人間が自分の信じる正しさを持ち合わせていることで、正しさ同士が反発するのは自然な事だと私は思う。だからこそ、多様性という言葉で逃げることは正しくないと感じる。 だけれども、こんな考えも自分の正欲の表れであるということに、打ちひしがれる。どう転んだって正欲から抜け出せない。そんな自分も嫌になる。 それでも、こうして悩みに悩んで頭の中が堂々巡りしていく感覚が凄い好き。結論が出なくとも自分の正欲は存在するし、それに従ってこれからも生きていく。正しくあろうとする自分を正しながら生きていく。
すごい、引き込まれた。こんなに色々な人達の話が繋がっていくことにも圧巻だし、内容も今まで考えたことなかったな〜。
岡山に住んだことがあり現在横浜にいる身としては、本作の舞台は非常に身近で、臨場感に溢れさせてくれたように思う。 ページを捲るにつれて全容が見えてくる。早く読み進めたい。でもこのまま読み進めてしまって良いものなのか。そんなことを思ったのは初めてだった。 刺さるかどうかは読めばわかる。まずは読み始めて欲...続きを読むしい。
みんながみんな、この本読んで感化されて、メジャーな考え方になっちゃったら、一体どうなっちゃうんだろう?と、うすら寒くなってしまった…映画化もされて話題にもなっているし、受け売りの御託を並べて自身や社会に言い訳する方も増えるかもね
ただただエグい。 理解出来ていないのに理解したつもりになって「分かるよ」と伝える事の残酷さ、無責任さ。どうしたらこんな小説書けるんだろう。また読みたいと思うのに感情がまた激しく揺さぶられるのが怖くて読めない、、、
リビドー、つまり人間の行動となる根源的欲は人それぞれ。だがしかし行きすぎる欲望は危険だと考え、無秩序な欲は制御される。これが正欲。 多様性の時代が謳われているが、それは正しい側の人間が想像できる範囲内で、マイノリティを受け入れてあげるよと偉そうに謳っているだけ? 自分が想像する範囲にとどまる時点で正...続きを読む欲だ。正欲を批判するのも、受け入れるのもすべて正欲。 難しい。 《自分の想像力の及ばなさを自覚していない狭い狭い視野による公式で、誰かの苦しみを解き明かそうとするな。》 この小説を読んで、特殊性癖の有無に関わらず、他人のことなんか分かるはずがないと思った。分かろうとするなんて傲慢かもしれない。 自分の中の正しさでしかやっぱり私も判断できない。考えられない。 はなからわかり合いたいなんて思わない方が良いのかもしれない。悲しい意味じゃなく。 少し世間の見え方が変わる面白い小説でした。
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朝井リョウ
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