感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「多様性」がテーマの本作品。ある類似の悩みを抱える数名の主人公たちの視点をオーバーラップさせながら物語は進んでいきます。
クライマックスでは、児ポ法で数名が逮捕されるある事件を中心に物語が展開されます。
本作品の見どころは、名前も付かない(人から認識されていない)性癖・悩みを抱え、社会と線を引きながら生きるその生き様だと思います。
今ある多様性というのは、マイノリティの中のマジョリティ(名前があるような悩み)のためのものではないのか?多様性というのは想像の限界までしか及ばず、名前も付かないような性癖・悩みを持った人々は社会から隔絶されてしまうのでは?という問いかけがあります。
また、本作品は、起承転結の「結」をあえてきちんと描き切っていません。そのため少し気持ち悪い終わり方ではありますが、自分たちで考えることが大切な本作品としては、それはそれで良い終わりなのかな〜と思います。
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自分が今まで感じていた「生きづらさ」がどれほど狭く浅いものだったのか思い知らされた。
そういう意味で、とても前向きになれた本です。
自分は、ありふれた言葉で説明できるような悩みに生きている。
この意識を持ち続けるために、常に傍に置いておきたい一冊だと思いました。
あと、「読む前の自分には戻れない」という帯、本当にその通りでした。
全ての人に読んで欲しい作品ではないけど、少なくとも自分には読む意味があったと思います。
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多様性という、マジョリティの想像しうる許容範囲を示した言葉。その範囲外のキチガイは排除。はっとした。
多くの人間はあらゆる場面でマジョリティゆえの多くの選択肢から不安定な自分の答えを導き出し、その不安を取り除くべく、向こう岸の人間を仲間たちと糾弾する。自分もそうだったと気付いた。
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自分にとって都合のいいことを見ようとする
自分にとって都合の悪いことは見ない、見えない
全てを許容してもしなくても困難が生じる
集団でしか生きるとことのできない状況で必要になる線引き
問題なのは線引きの仕方か、それ自体か
許容、線引きそれぞれに公共のもの、個人的なものがある。『わかるんだけど、とは言えね』というときはそれらが混同されているのかも
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小説を読むのはかなり久しぶりでこんなに長いの読めるかなーと不安だったけど、面白すぎて一気読みできた。
最近やたらと生活の中で聞く多様性という言葉。
特に自分は深く考えたこともなかったけど、それでも心になにかグサッと刺さった気がする。
この本を読んで多様性という言葉を気軽に使うに気にはなれなくなった。
読んでよかった。
Posted by ブクログ
令和というこの時代、多様性について考える機会が多いこの時代、様々な人々が抱える心の底の悩みが語られる物語だった。
難しいテーマだけに、慎重に描写されており、気付けばどんどん読み進めることができた。
「この世の全ては、明日死なないことを前提に作られている」という言葉が印象的だった。
当たり前に明日死なないと思いながら生きてきた私にとって、その発想は無かった。
自分は当たり前に思ってることも、相手にとっては当たり前ではないこと。それを気づかさせてくれる作品だった。
小説の中で、いくつかの問題提起があったものの、正解はない。
脳で考えることはみんな平等だし、自由だ。
ただ、「少数派の人を受け入れよう!」と、理解した気になり、善意ぶるのは果たしてどうなのか?と考えさせられた。
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自分が多数派にいることに無意識に安心を感じていることを強く感じさせられた。
何が正しくて何が正しくないかてはなく、相手を尊重する気持ちを常に持てるようにしたい。
自分の嗜好を素直に理解し合えたときの結びつきの強さも印象的であった。
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自分が正しいと思っていることは他人が正しくないと思っていることもある。どっちが正しいなんてことはない。わかり合うにはコミュニケーションをとるしかない。
正しさについて
自分の中で正しいと思っていたことが
周りから見てそうではないこともある。
過去の自分と重なる部分があり時間を忘れて読んでいました。
多様性という名の暴力
普通の家庭を営んでる自分でも、あまり大っぴらにできない性的(嗜好)志向があったりする。
それは、家族に話しても理解されないし、たまに酒の席で漏らしても奇異の目で見られるだけだったりする。
世の中には、そういうモヤモヤを抱え続けて生きてる人も少なく無いんだと思う。
そういう人からは、そんな目新しい内容ではないのだけど、わかりやすいルートを辿ってきた人たちからしたら新鮮なんだろうな…と(と、書いてる自分も久々に★5をつけているのだけども)
近年、多様性のもとに、市民権を得てきた様々なマイノリティの人
それは、歓迎すべき事なんだろうけど、どこかで疑問を抱き続けてきた自分にとって、朝井リョウさんの本作は答えの1つになると思う。
ただ、本書で描かれるマイノリティの人は、そこまで唾棄すべきものではないと思うが、〇〇のようなものに性的興奮を覚える人もいるんだなぁ…というのは驚いた。まぁ、木の枝に興奮する人もいるし、世の中には想像もつかない人も沢山いるのは知っているのだけど。
分かりやすい例でいえば、小児性愛。たとえば近親相姦。
これを多様性と認めるか、それとも唾棄すべき性癖として嫌悪するか。
これらには否定される理由がある。それも理解した上で、創作物を楽しんでいる人たちを安全な場所から叩く人はどうなのか。
これは良し、これはダメと、多様性という言葉に条件をつけている現在に一石を投じてくれた本書は良い問題提起をしてくれたと思う。
本作を通じて、自身の考えてる多様性を、一人一人が真剣に向き合うキッカケになっているのは喜ばしいし、多くの人に考えてほしいテーマだと思う。
多様性の外側にある多様性を知る
他者を理解するって本当に難しいことですね…
多様性に含まれる多様性の中でしか生きて来なかったのだと思い知らされました
他者を知る知見を広げるために全人類に読んでほしい……
夏月の最後の言葉大好きです。
Posted by ブクログ
親戚の家にあったので拝借し一読。出版、映画化される時から気になっていたが、裏面記載の通り、気迫のこもった一冊だった。読んでいて人間としての深いところをえぐられる感じがあり、今後の価値観•人との接し方に多少なりとも影響があるような気がする。
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太宰治のような脳の底を舐められるような作品。
「水」に設定したから社会的な大問題作にならなかっただけで、「水」ではない性癖なんて掃いて捨てるほどあるし、そんな中でも社会はいろんな癖を持った構成員で成り立ってるし、同時に排除してるし。さらには癖のないことに違和感のある宇宙人もいる。
自分の好き、と、周りの好き、に上手く向き合うことが楽しく生きるコツなんだと思った。
Posted by ブクログ
面白かった!
ドキドキしながら読んだ。
2019.5.1は何が起きたのか、、、
それが分からない、、、
最後は静かに扉が閉まるように終わった。
分かった!
令和になったのか!
令和になったけど、結局何も変わっていないってことか!
Posted by ブクログ
水が吹き出す様子に性的興奮を感じる、という特殊性癖を持った人々を通して、多様性について考えるきっかけを与えてくれる小説。児童ポルノ(のように見える)事件を中心に、それに至るまでの経緯とその後を、数人の視点に分けて描かれている。話の展開そのものはあまり面白いと感じなかったが、「多様性」とか「マイノリティ」といった言葉を安易に使うことに警鐘を鳴らすような内容で、その点では少し突き刺さるものがあった。
特に印象に残ったのは、特殊性癖を持つ者同士で初めて集まる日(=事件の日)の朝、諸橋大也が神戸八重子に多様性の在り方を語るシーン。
「自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
「自分はあくまで理解する側だって思ってる奴らが一番嫌いだ」
「お前らが想像できないような人間はこの世界にいっぱいいる。理解されることを望んでない人間だっていっぱいいる」
彼のこれらの主張が、この本の主張なのではないかと感じた。
現代の我々は「多様性を尊重しよう」という意識のもとに、どんなマイノリティの人も受け入れ、理解し、明日を共に生きようと試みる。しかし、そのような考えはマジョリティの傲慢であって、マイノリティの人がそれを望んでいるとは限らない。口当たりのいい言葉を並べて、人の気持ちに寄り添ったつもりになって、「理解者」であることに自己満足しているだけなのではないか。この本はそういう自分を見つめ直すきっかけを与えてくれていると思う。
Posted by ブクログ
「衝撃」
この一言に尽きます。
LGBTQの生き辛さは、触れる機会が多く、理解しているつもりですが、特殊性癖については知らないことばかりでした。
目に見える不自由さと違い、性に関することは目に見えず他者とも話す機会があまりないので、周囲から理解されにくいと思います。
最初に「目に見える情報は全て"死なないこと"に繋がっている」の文章を読んだ時に、この考え方には全く共感が出来ないと思いました。しかし完読して読み返した時に、その感情が手に取るように分かりました。
そして私はどうやったら特殊性癖を持つ人を救うことが出来るのだろうと考えました。私が理解を示したところで、その人達の本当の苦悩はそんな共感で和らぐものではなく、もっと奥深くにあると思います。
作中でも出てきた「繋がり」が、やはり大切だと考えました。自分と同じ種類の特殊性癖を持つ人がいると分かるだけでも、心の拠り所になると思います。ネット上だけでなく公共の場で、そのような場所が作れたら、更にLGBTQのように徐々に、特殊性癖を持つ人への理解が広がれば、少しは生きやすい社会になるのかなと思いました。
綺麗ごとですが、生きている人全員が幸せになれたら良いな、と心の底から思いました。
Posted by ブクログ
読んでいて、八重子のトラウマには同情する一方で、多様性を押し付けているような言動は鬱陶しく感じた。
特に大也から見た八重子の描写は、私もウッと思うくらい重たかったし、この2人は絶対に折り合えないと思っていた。
だからこそ、終盤の八重子と大也のやりとりは意外だった。
それぞれの思いがある一点でも交差していく様子していく瞬間が、この本を読んでいて一番印象に残った箇所でした。
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マイノリティの人たちの気持ちを理解できる(理解し切れることはない)内容だった
自分はマジョリティ側にいるので、不用意にマイノリティの人たちの居場所をなくさないように、また受け止めることができるとも思わないように接していきたい
自分がマジョリティなのは幸せなんだとより強く思えるようになった
「性的対象は思考、哲学、人間関係、世界の見つめ方、生涯の全ての根」
「素直でオープンな性格。わからないことがあれば後輩にでも聞けて、知識を吸収できる性格」
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この本を読んで、某有名YouTuberの個人チャンネルのラジオのコメント欄を思い出した。
異状性癖は普通の性癖の人よりも満たされない苦しみがあること、社会的に適合した正しい性癖をもって生まれたのは素敵なことだと。
読む前は色んな人がいるものだなと思ったし、異状性癖ってなんだ?と野暮なことを聞きたい気持ちにもなった。でも読んだ後は、このコメントをした人の苦しみも理解も自分にはできないのだと思った。
誰もがもっている欲も、誰ももっていない欲も、自分しかもっていない欲も、自分だけがもっていない欲も、全部多様性の時代だとか普通がなんだとか語ってしまいそうになるけれど、それだってその人の想像する範囲内のことなのだと感じた。
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この本を読み終わってから、普通ってなんだろうと考えることが多い。自分の人間性の小ささ、価値観の未熟さを感じさせられた本。
まだまだ自分の知らない世界があるからこそ相手と関わるって難しいなと思った。
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自分以外の人のことは、わからないものだと思った。
なんでも自分が、そして社会通念(形があるんだかないんだかわからないものだが)が基準になっている。
違うからこそ、おもしろい。人の価値観を知りたいと思うけれど、それが自分の想像を越えていたとき、果たして受け止められるかどうか。少し怖くも感じた。
絶賛子育て中なので、子供の人生への関わり方を考えさせられた。
子供といえども、違う人間であるから、こちらの考えを押し付けることはできない。その子供なりの幸せの形を探してほしい。自分はそれを導くわけではなく、困ったときに心の支えになれるような存在になっていきたいものだ。
いろんな人がいるということを改めて胸に刻んだ1冊。
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水を出しっぱなしにするのがうれしかった。
この一言に教室は笑いに包まれた。
多様性が叫ばれる今、マイノリティに対してマジョリティは理解した気になっているようで、結局のところ完全に理解することは難しいのだと感じた。自分の理解の範疇を超えた時、この本でいうところの「キチガイは迷惑じゃなあ」と遠ざけて、まるで自分には関係ない、関わらないでほしいという反応をする。そんな時に、いなくならないでいてくれる人との繋がりが人を人らしく生かしてくれるのだろう。
パーティの真相を知るのは読者と夏月だけ。話したところでどうせ理解されないと口をつぐむ佳道や大也の心情を思うと、どうにもやるせない気持ちになる。
Posted by ブクログ
読みながら所々ショックというか何度も本閉じては時間置いてから読むを繰り返してた
登場人物で好きになれた人全然いなかったな
でも夏月と佳道の関係はなんか好きかも
お互い本当に必要として繋がってるの
恋愛感情ではないけどお互いの言動行動に愛があるのが良い
結局みんな自分の触れられたくない部分は触れてほしくないし基本ほっといては欲しいけど孤独は嫌でどこか仲間は探してて繋がりは欲しい
誰かと自分の気持ちを共有して理解してもらえて共感してもらえて認めて貰えるって日常で当たり前のように繰り返してたけど全然当たり前なんかじゃなかった
自分には分からない、想像できないようなことがこの世界にはいっぱいある
これは1回読んだだけじゃうちのおつむじゃだめかも
もっかい忘れたたらよも
Posted by ブクログ
近年さまざまな形で取り上げられている多様性という言葉。今作では主に人間の「性的欲求」について実際的な事柄を併せて物語が進んでいく。
つい一昔前までは拒絶の色が濃かった性の認識で
今で持ってLGBTQが主に挙げられるがこの線引きも当人かまた当事者すらも答えが曖昧な状態も
あるので難しいと思った。
作中の性的動向が異性に関心がなく物の現象が挙げられていて、その断片が法に触れメディアもマスコミも怪奇的な事件としてだけ取り上げ視聴者に届く。僅かな情報だけで真相を明かすのは難しいし俗世間が使う一般論だけでは簡単には分かり得ない問題だと思った。
自分で想像して考えるのは自分でしか出来ないが
せめて自分の範疇だけで判断するのもいかがな
ものだと考えさせられるものでした。
Posted by ブクログ
ここ数年、多様性を認めてあらゆる性癖や性自認などが話題になるたびに「放っておけば&そっとしておけばいいのに」と思ってしまう
もし自分が特殊な性癖だったら同じ嗜好の人や正欲の強い人はデモやSNSで話題にせず放っておいて欲しい
話題になる事で触れてしまう批判的なコメントに潰されてしまうと思う
そんな考えなので八重子の言動にイライラした
これも正欲ですかね笑
こんな事書きながら一方で過去の凄惨な児ポ犯罪は許せないし野放しして欲しく無い訳で‥
自分の考えが矛盾だらけなのがよくわかりました
Posted by ブクログ
ハッとさせられるセリフがとても多く勉強になる。
こんな永遠のテーマにオチがつくのかってめっちゃ期待してしまったせいで、終盤ちょっとがっかりしちゃった。好きなセリフは多い。
読み返したらもっと面白いと感じるかもしれん。
Posted by ブクログ
欲とは、一人一人が持つ「正しくありたい」という欲の事。しかし、自分の正しさと他人の正しさは一致しない事も多々ある。それ故、良かれと思って他人に対し正しさをぶつける行為が攻撃になることもある。しかし、正しさをぶつけ合い、会話をする事で初めて他人と"繋がる"事ができる。流浪の月に似たテーマにも感じる。