【感想・ネタバレ】正欲(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)

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Posted by ブクログ

特殊な性的嗜好と多様性を題材にした小説。近年の性的マイノリティを受け入れようという多様性の風潮を正面からぶん殴っていく。
お前らが想像もできないような人間が世の中にはいっぱいいるっていう言葉には少々面食らってしまった。
確かに同性愛者や性の不一致は、理解が広まってきて、昔よりは確実に良い方向に進んでいると思うけれども、それ以上特殊な性的嗜好については誰も考えてもいなかったと思う。
私も恥ずかしながら、多少理解がある気になっていたけど、全然何もわかっていなかった。

少々衝撃を受けた小説だった。確かに少し見える世界が変わるかも知れない。是非一度読んでみてほしい。

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2025年12月22日

Posted by ブクログ

 何がふつうかとか、現実的だとか、もう何も言えない。無意識のうちに自分は大きいほうに収まろうとしていたと気付かされた。「みんな不安」だから、同じ流れに沿って生きたくなってしまうんだな。
 多様性という言葉だけで、想像もせず知ったかぶりしていた。知ったかぶりや無自覚は相手を傷つけうる。この本を読んでいるとき、どの登場人物になっても「お願いだからほっといてあげてよ!」と叫びたくなった。
 でもそれじゃ生きていけない。繋がらないと…。

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

良かった。
正しいってなんなんやろな。

朝井先生の本は、生殖器しか読んだことなくて
あれ、、?笑 合わへんかも、、って思ってたんやけど
んーと思いながらも、この本を手に取って
レジに並んだあの時の私を褒めてあげたい。笑

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

“正的な欲動は訓練することができず、その訓練もあるいは過剰になったり、あるいは不足しすぎたりする。”

正欲が支配する社会に適応できずに孤独になった学生時代を思い出しました。 何が間違いで正しいかは誰にも分からない。 あらゆる事象は事実とは異なり歪曲して解釈されてしまったりするし、自分も含め決めつけで人を判断してしまったりすることがあるし、ますます世界には正解なんてないんじゃないか、、と思い知らされました。

文庫になったのでようやく読んでみましたが、文章も美しく時間を忘れるほど読み入ってしまいました!
最後の、現在の世間から見れば“異常”とされる関係である佳道と夏月の歪だけど美しい絆に心揺さぶられました。

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

理解されない欲

世の中ではあり得ないと思われる欲を抱えるという、普段生きてるだけじゃ到底思い付かない、思考に驚きです。それを表現する文章がやけに刺さるから面白い。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

「多様性ってなんだろう?本当に必要?」
この本は、多様性が無条件に善として捉えられている社会に対して、ものすごい課題提起をした小説だと思う。

私も日系大企業でグローバル組織に属しているため、日々感じていた違和感。私たちの言うダイバーシティって本当の全体からみたらものすごく限られたエリアの多様を語ってるに過ぎないよね。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

多様性ってなんだろう。正しいってなんだろう。
悶々としながら読んでました。

私には少し重く、読むことにすごく時間がかかったけどとても面白かったです。

けれどあまりに自分の中で複雑な気持ちが溢れてしまって終盤は泣きながら読んでました。

私の中で正解はまだ見つかってないけど、
視野が少しだけ広がった気がします。

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2025年12月10日

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おもしろかった
正しく思うことで否定して大事な人を傷つけてしまって関わることができなくなってしまったと思う…先に読んでいたら傷つけなかったかもしれないけど、変わらなかったかなとも思う
根幹に関わるけど間違ってると言われるようなことは言えずに抱えてしまうなと思う

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

満願からの欲望繋がりで正欲を読んでみました!朝井リョウさんは「何者」以来の2作品目。

最初、元号が変わるまでに何が起きるんだろう?ってずっともやもやした気持ち悪い空気が漂っているなーというかんじでした。元号が変わることで、何か今まで抱えていたものが新しい価値観や新しい考え方が変わるというそういうニュアンスなんですかね?→実際変わりませんでした……

視聴者の要望に応えたい子供YouTuberと自分の欲を満たしたいのかもしれないコメント投稿者。お互いの欲が満たされていると考えると…難しいですね。

人間の数だけそれぞれ考え方や欲望があるのだと思います。ただ、それを分類したときにマジョリティに当たる部分の人たちは、ただマジョリティに属しているだけで強い?と勘違いしている?そこに居座ることで不安な気持ちを払拭している?日本人は無宗教が多いけど、それぞれに宗教を持っている、というのはしっくりきました。明確な指針、例えば神のような、そういうものがない日本では、特にマジョリティに属しているという感覚だけで満たされる人が多くて、マイノリティの人たちを排斥することで、自らの地位を確固たるものにしているような、そんな感じなのでしょうか?まだまだ読み終わった後もモヤモヤでまとまっていません。

ショッピングモールの勘違いエピソードは、何回も強い言葉を読んで吸収していると、なんだか自分に言われているようで辛くなりました(泣)

途中から今まで二人称だった対象の人たちの視点になるの面白いけど、啓喜はずっと啓喜のまま。何か意味あるのかな?→啓喜は最後まで啓喜視点でした……

大也のことを思って言っている八重子は大也側からすると本当に身勝手で押しつけなかんじがしてて、途中までは目を背けたくなるほど噛み合っていませんでした。悲しかった……

みんな不安だから、自分がおかしくないかを確かめ合うようにしている!というのは納得しました。行動原理としては色々あると思いますが、自分の不安を解消するために、マジョリティである立場を守るために、他の人を攻撃してしまうのが人間社会なのかなと思いました。うん、まだ上手く言葉にできません。

面白かったので、他の朝井リョウさんの作品にも触れたいと思いました!!!

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2025年12月10日

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「多様性」とは結局のところ社会が包摂(角を削って丸くして社会に溶け込ませるようなイメージ)できる限りの多様性でしかない。包摂しきれない多様性は社会から排除され、なかったものとされる。「多様性」という耳触りの良い言葉が孕む欺瞞を鋭く描いた作品。

特殊性癖とは違うが、私はアロマンティック(他者に恋愛的に惹かれない)を自認しており、恋愛とは無縁でありたいと思っている。なんでも恋愛に結びつけられ、なぜ恋愛しないのかと問い詰められ、恋愛していない者は劣等であるとジャッジされる異性愛至上主義社会にほとほと疲れている。そのような私にとって、この作品は「多様性」批判でありつつ異性愛至上主義批判でもあると感じられ、救われたような気持ちを抱いた。

居場所のないこの世界でなんとか生き延びたいという切実な願いから戦略的結婚に至るところがおもしろい。主人公夫婦が恋愛感情ではない特殊な絆で結ばれていく一方で、恋愛結婚をした寺井夫婦の絆がほどけていく様は対照的。

(原作にハマった人はぜひ映画も見てほしい。神戸八重子役の東野絢香さんの男性に怯えて日常を過ごす演技が絶妙で好き。)

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

“多様性”についての価値観が変わる一冊。
今の時代だからこそみんなに読んでほしい!
多様性とはなんぞや?という内容ではなく、マイノリティの人がどのような人生を歩んできたかという内容。
ただ作品中の登場人物は、LGBTQをマイノリティの中のマジョリティと定義づけるなら、マイノリティの中でもさらにマイノリティな嗜好を持っている人たち。

誰にも理解されない悩みをもつ人たちが、ある事件をきっかけに人生が触れ合いだす。

浅井リョウは心情表現が非常に豊かで、読んでいて性に合う。違う作品も楽しみ

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

比べるのはお門違いかもしれないけど、私も特殊フォビアを持っているからか特に夏月に共感した。
自分がおかしいという自覚、孤独や諦め、それでもやっぱり卑屈でいることにも飽きてきて、人生が底を打ったときに初めてありのままでいることを肯定できるようになった気がする。 
今やっている仲間探しも、世間体だのプライドだの色んな鎧を脱げたから前に進み出している感覚があり、そんな自分で出逢うご縁だからこそ深く繋がれるんじゃないかなと思った。
私のこれまでに輪郭をつけてもらった気分だ。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の視野の狭さを、想像力の低さを責められているような気分になる。正欲というタイトルの意味がわかったとき、その窮屈さに嫌気がした。正しい欲。社会にとってマジョリティにとって普通で正しい欲。
なぜこの本を読もうと思ったのかを思い出していた。帯にあった「読む前の自分には戻れない」というキャッチコピーだ。確かに自分はもう「多様性」という言葉を気軽に使えなくなってしまった。「多様性」という言葉の持つ"正しさ"に気づいてしまった。
「多様性」とは、どこかの誰かが定めた"正しさ"にみんな従えって上からもの言ってるのと同じなんだと思う。"正しさ"とは人を縛る鎖なんだ。
みんな孤独で不安だから確かめ合いたい。分かってもらおうと話しかけて分かってもらえたらそれはお互いにとって普通で正しいんだと思う。
分かってもらおうと話しかけても分かってくれなかったとき、どちらかが間違っている。そのどちらかはこの世には決して分かり合えない人たちや社会が存在するという諦めを心に抱えて絶望するんじゃないか。重力に負けた顔をして。
正しいか間違っているか、ただそれだけで世界が変わってしまう。
人は想像できる範囲内でしか物事を考えられないという当たり前を思い出した。だからこそもっと知識を吸収たいと思った。もっと本を読んで世界を広げたいと思った。そうすれば分かり合える世界が増えるかもしれない。

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2025年12月10日

ネタバレ 購入済み

読めば読むほど正欲がわからない

違う世界線の人たちが読み進めていくうちに交じり合い、夢中で読み進めた。

多様性から外れる人たち…
この本を読むまでいかに自分の考える多様性が狭いものだったか思い知らされる。
読み終わっても多様性とは?正欲とは?わからない。もやもやが残る。
そのもやもやこそが正しい理解なのかもしれない。
最後の解説がこのもやもやを上手に言語化してくれてとてもよかった。

#泣ける #切ない #深い

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2025年02月08日

購入済み

朝井リョウさんの書く文章が好きで新作が出る度に買っていますが、この作品は1位2位を争うくらいに好きです。LGBTQという言葉が世の中に知れ渡ってきた昨今、言葉を知っていると言うだけで本当の意味では理解出来ていないのでは?と考えさせられる作品でした。

#タメになる

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2025年01月19日

QM

購入済み

SNSで話題になっていたので読んでみた。
それぞれの人にとっての正欲とはなにか、考えさせられる。
多様性とは何か、についても。
もう時間空きすぎてほぼ忘れてるからまた読みたい。

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2024年09月25日

cnm

購入済み

多様性という言葉は、魔法のように全てを見通すことのできる美しい言葉ではない。けして交わることができない他者がすぐ隣にいるという絶望を突きつけるための、恐ろしい言葉だ。

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2024年07月18日

購入済み

正しさについて

自分の中で正しいと思っていたことが
周りから見てそうではないこともある。
過去の自分と重なる部分があり時間を忘れて読んでいました。

#ダーク #共感する

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2024年05月02日

購入済み

想像していた以上に面白かった。
個人的には八重子が一番好きでした。
彼女の視点があるのとないのとでは大違いだと思います。

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2023年12月18日

購入済み

多様性という名の暴力

普通の家庭を営んでる自分でも、あまり大っぴらにできない性的(嗜好)志向があったりする。
それは、家族に話しても理解されないし、たまに酒の席で漏らしても奇異の目で見られるだけだったりする。
世の中には、そういうモヤモヤを抱え続けて生きてる人も少なく無いんだと思う。
そういう人からは、そんな目新しい内容ではないのだけど、わかりやすいルートを辿ってきた人たちからしたら新鮮なんだろうな…と(と、書いてる自分も久々に★5をつけているのだけども)

近年、多様性のもとに、市民権を得てきた様々なマイノリティの人
それは、歓迎すべき事なんだろうけど、どこかで疑問を抱き続けてきた自分にとって、朝井リョウさんの本作は答えの1つになると思う。
ただ、本書で描かれるマイノリティの人は、そこまで唾棄すべきものではないと思うが、〇〇のようなものに性的興奮を覚える人もいるんだなぁ…というのは驚いた。まぁ、木の枝に興奮する人もいるし、世の中には想像もつかない人も沢山いるのは知っているのだけど。

分かりやすい例でいえば、小児性愛。たとえば近親相姦。
これを多様性と認めるか、それとも唾棄すべき性癖として嫌悪するか。
これらには否定される理由がある。それも理解した上で、創作物を楽しんでいる人たちを安全な場所から叩く人はどうなのか。

これは良し、これはダメと、多様性という言葉に条件をつけている現在に一石を投じてくれた本書は良い問題提起をしてくれたと思う。
本作を通じて、自身の考えてる多様性を、一人一人が真剣に向き合うキッカケになっているのは喜ばしいし、多くの人に考えてほしいテーマだと思う。

#深い #共感する

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2023年11月16日

購入済み

多様性の外側にある多様性を知る

他者を理解するって本当に難しいことですね…

多様性に含まれる多様性の中でしか生きて来なかったのだと思い知らされました
他者を知る知見を広げるために全人類に読んでほしい……
夏月の最後の言葉大好きです。

#泣ける #切ない

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2023年09月13日

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ネタバレ

私にはこの文章がとても合っていて、スルスルと読んでしまいました。文章が綺麗な上に比喩表現の多さ、読み応えがありました。

八重子と大也が罵倒し合うシーンが一番好きです。結局八重子は大也のことを何も知らず、そしてもしかしたら誤解してるまま…大也と離れることになってしまいました。
けれど、多分八重子は一度でも異性と心をぶつけ合うことができてそこだけは悔いはないのかなとも思いました。

逆に児童ポ◯ノについては、かなり考えさせられました。
そして、水フェチでそこまで悩むか?とも思いましたが、登場人物を水フェチにしないと、(他の挙げられてる例だと逆に)一般的には嫌悪感が勝って読者は話に入れないのだろうと思いました。
水フェチにせざるを得ない、そういう点でもある意味とても複雑です。

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2025年12月19日

Posted by ブクログ

自分のものさしだけで話をしてはいけないんだな
って強く思わされた。

多様性ってよく言われる時代だけど
都合のいい言葉なだけなのかもしれない。

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2025年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2冊目 言葉は難しいからまだ自分の感情を言葉にできない。

いろんな立場の人の言葉を見て、ほとんどの人の言葉に納得した。寺井啓喜の感覚はわたしは理解できていて、息子の新しいことをするという不安定な状態の考えだけで小学校を休んでYouTubeをやるとか心配でしかなく、言葉の端々に嫌な雰囲気を出してしまう。寺井啓喜はわたしの母とも似ていて、でもその感覚はちゃんと私に継がれていることを改めて実感させられた。
佐々木佳道や桐生夏月、諸橋大也、のパートは知らない性の世界でずっと不思議な気持ちがしてた。嫌悪感はなく、理解はできず、でも孤独な気持ちが晴らされる夏月と佳道のセックスのシーンと大也と八重子が正欲をぶつけあうシーンはなんかよかった。嬉しいという感情が出てきた。心がにこにこした。佳道の同僚がよく知りもしないのに自分の知ってる世界の中での外れた性の道に勝手に佳道をいれてぺらぺらと喋ってるパートはむかむかして、腹が立った。


結局大半のパートで納得し、自分の環境、感覚、性癖を重ねて、感情を沸き上がらせたけど、読み終えたあと全部が相殺して脳がふわーっとなってしまった。私には正欲がないのかもしれない

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2025年12月18日

Posted by ブクログ


多様性、正しさとは何ぞやと。きっと永遠に答えは出ないのでしょう。エンタメ小説として消化はできず。骨太。
自分が抱えている歪んだ性癖、性欲も、誰かに迷惑をかけない範囲で自己消化できているなら否定する必要はないと、勇気をもらいました。解説も好き。

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2025年12月14日

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ネタバレ

1.水フェチってなんやそれ?!となるけど、おそらく読んでいる人に不快感を与えないフェチとして出してきてたギリギリの線だったのかな?
2.他人の性志向ってそんなにみんな気にするものなのかな?家族とか好きな人とかならギリ関係あるけどそうじゃない人は普段が普通なら関係なくない?(犯罪にならないならば)
3.なんだかんだ八重子が一番エグい。あれだけ大也に関わってきて、あっさり平穏な生活に帰っていく。自分の抱えてる闇、みたいな描写あったけどそれだって所詮は他人のこと。その対象としてみられた嫌悪感だけ。あ、そうか性欲の対象として見られた人間の描写っていう立ち位置でもあるのか。一般人としての立ち位置だけではなかったのか、このキャラは。
4.ゆうても自分は普通の人間なので寺井(検事)の言っていることが一番共感できる。人生のレール、ハズレないに越したことはない。

多様性を描いた話?それだけではないんじゃないかなぁ。もっとなにかあるはず。数年後にもう一度読んでみたい。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【きっかけ】
生殖記を読み、ちょっと衝撃だったので、以前から気になっていて、評価も高め、映画化もされたということで、暗い気持ちになりそうな予感を押し殺して、Audibleで聴くことに。
【読後】
なんだろう、この救われない感じ…。作中の誰にも共感できず、最初から最後まで、とにかく苦痛でした。しかし、マイノリティをテーマに、ここまで重く、苦しい気持ちにさせられるというのは、やはり、凄い小説なのか。
コメントも書きづらい。作中の誰を、私が不快に思ったとして、それを言葉にすれは、知らずに誰かを傷つけてしまうのか?と、言葉を飲み込まざるを得ないような風潮が、「多様性」を許容する理想の世界なのかなぁ?だとしたら、悲しいし、皆が楽しくないよなぁ。生殖記の方が、まだ、救われない感は、少なかった。(語り手のせいか)むむむ…と、考えさせられた。特に、後半の八重子と大也のやり取りは、とても苦痛なやりとりなのに、引き込まれちゃったなぁ。なんなんだ。
【敢えて考察】
なんというか、「マイノリティ」を描くのに、やはり「性」からは逃れられないのだろうな。必然的に重くなるなぁ。「命」が生まれる営みに関わるから?特殊性癖を持つと、こんなに辛いことになってしまうのでしょうか。
「性」から離れれば、集団の中で「マイノリティ」を感じることは、比較的、誰もが経験したことがあるのではなかろうか?例えば「価値観」は、本当に多様と感じる。異なる「価値観」を否定しないという「多様性」なら、大賛成なんだよな。とにかく、異なる価値観を否定しないだけで良いのよ。「自分の価値観しか認めない人」とか「少数派の人を、あいつ変わっているよなー」とかいうのが、良くないのだろうね。それくらいのレベルなら、多くの人が、日常的に経験していることじゃないかな。「異なる価値観」を恐れる気持ち、それは、自分が「異端(マイノリティ)」かもしれないという不安につながる。確かに。でも、50過ぎたらむしろ、「変わった価値観」の方が、面白いじゃん!と前向きに受け止められるんだけどなぁ。若い頃だったら、決して、そうは思わなかったんだろうな。
小説としての構成や作りは素晴らしいのですが、あくまでも好みで★3にさせてもらいました。
【追記】解説を読んで…
臨床心理士さんの解説がメチャクチャ良かった。
八重子と大也の罵倒しあうシーンを、「正交渉」だと。人は、繋がりあうために、傷つきあいながらも、何度も何度も話し合う、終わらない「正交渉」を繰り返す。それが愛なのでは?と。
「正欲」と「性欲」の対比を考えて振り返ると、とても面白い。いかに、自分自身が「正欲」にとらわれ、時に相手を傷つけることを恐れているか、分かる。しかし、繋がるためにも、「性欲」と同様に、相手を認め、コントロールできるよう、「正熟」しなければならないと。うまいなぁ。
ということで、解説含め、★4に修正です。
解説読んでない人は、読んでみては?お勧めです。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

啓喜、八重子、夏月の順でそれぞれのエピソードが綴られていく本で、読み進めるうちに徐々に3人が繋がっていくのが分かる
次の人に移るときは必ず前のエピソードのキーワードを受け継いでいくので、全く関係がないように読める前半部でもなにか3人に共通の関係があるのか疑ってしまう
最後は全員繋がるんだけど、めっちゃおもろい終わり方するわけじゃないし「世界への諦め」って感じ

マジョリティで居続けるってことは不可能でどっかの70%の人がまた別の場所で70%になるなんて、半分くらいの確率でそれを何回もくぐり抜けることに意味なんてないって気付かされる

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

「マイノリティ(それも、かなり特殊な)」と「ダイバーシティ」をテーマにした作品。
マイノリティにはマイノリティの悩みや苦悩があるなんて、考えたこともなかった。
例えば、小児性愛者。
小児性愛者=気持ち悪い、とか、変態、とか、そういう見方しか持っていなかった。
もちろん、子どもを性の対象にして己の欲望を満たそうとすることには不快感しかないし1㎜も許せないが、幼い子にしか興奮しない、すなわち幼い子でなけれぱ欲情できない、というのは見方を変えれば気の毒でもある。

自分は特殊性癖を持っていないので完全に理解することは出来ないし、作中で大也が「理解してもらおうだなんて思っちゃいない」と言っていたように、おそらくそういう人達は皆一様にそう思っているんだと思う。
けど、そのような「マイノリティの中のマイノリティ」である人達は、自分には想像も出来ないような底知れぬ苦悩を抱えているかも知れないし、それでも生きていかなければならない絶望を常に背負っているのかも知れないということは、忘れてはいけないと思った。



『誰もが、昨日から見た対岸で目覚める可能性がある。まとも側にいた昨日の自分が禁じた項目に、今の自分が苦しめられる可能性がある。
 自分とは違う人が生きやすくなる世界とはつまり、明日の自分が生きやすくなる世界でもあるのだ。』


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2025年12月11日

Posted by ブクログ

朝井リョウ作品でこれは読んでおかないといけないような気がして拝読。
プロローグ?から不穏すぎて心がざわついたまま読み進めました。
多様性を鋭くめった刺しするぐらいの感覚、恐怖さえ覚えました。
多様性のシンボルとして新元号を軸にして、それぞれの登場人物の話が展開していく様は圧巻。
面白かったです。


もう少し救いも欲しかった…

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2025年12月09日

購入済み

自覚

自分になかった考えを、この本を通して知ることが出来た。

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2024年12月23日

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人種や性別、LGBTQだけが多様性の中身全てではない。綺麗事で済ますなよって話だけど、少しづつでも生きやすい世界に変わってきているとは思うよ。

朝井リョウさんはホントに人間の嫌なところをグイグイ引っ張り出して晒しまくるよね。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

誰にも理解されない「正欲」を抱えた人々の物語。
「多様性を認め、差別のない社会へ」と簡単に言われる時代だけれど、その“多様性”を本当に理解している人は、どれほどいるのだろうと思わされる。完全に理解することは難しい。それでも、もし当事者に出会ったとき、この読後に胸に残った感覚だけは忘れずにいたい。

なかでも強く印象に残ったのは、大也と八重子が自宅前で言葉をぶつけ合う場面。すっきりしたようでもあり、どこかモヤモヤも残る、不思議な余韻があった。その曖昧さこそが、この物語の核心なのかもしれない。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

本を読んでここまで思考させられたのは久しぶりだった。この本について何を書いても角が立ってしまうような、自らツッコミを入れたくなってしまうような気がして書けない
無理にでも嫌でもしんどくても話し合うしかないのかもしれないが、それがそう簡単じゃないから難しい

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2025年12月22日

Posted by ブクログ

これは、本当そう。
マイノリティを想像する時、マイノリティの中のマジョリティが真っ先に思い浮かぶ。その部類に名前がついてる人。
こういう環境で生きてきたらこういう人になるはずだとかそういう考え方をしたがる。なぜこの人はこういうことをするのか、なぜこの人はこういう嗜好なのか、何か自分が理解できる理由がないと安心できないんだよね。名前のない人種って不安要素になる得るから勝手に排除される。これが言葉の恐ろしさだと思う。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

世間の多くの人には理解されない欲求を抱えた彼、彼女らのストーリー。
欲求なんて、人の数ほどあって当然なのに、多数派の人たちは少数派の人たちを排除しようとする。欲求は曖昧なもので、自分がもつ欲求が"正しい"ものなのか不安になる。不安だからこそ、自分が多数派に属すことで安心を得て、正当化し、そうでない人を排除する。それでは"正しい欲“とは誰にとっての正欲なのだろうか。多数派の人たち?世間?多数派が正しいとも言い切れないし。多数派の人たちだって、簡単に覆されうるほど欲求は曖昧なものなのに。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

読む前の自分に戻れない、というほどではないかなぁ。朝井氏の小説は、だいたいこんな結末になるよなーって予想したら、まぁそうだった。
最初、八重子は嫌だったけども、結局、八重子の言ってることが真っ当だった気がする。結局のところ、お互いに話さないと分かり合えないと思うので。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

性的嗜好の多様性についての小説。
結局のところ、多様性も地政学と国家の関係と同じなのではないだろうか。
各国家が覇権国家、さらには世界統一を目指すのと同じように、数多くの種類がある個々の性的嗜好も争い続け、表面上は理解を示しても本質的に共感することはない。実際のところ統一国家なぞごめんなので、個々が違うことを理解し、争いを避けながら自国が栄える道を探すという方向性でいいのではないだろうか。そんなことを考えさせられた。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校卒業したとき?に初めて読んだきり、あんまりしっくりこんくてなかなか手を出してこなかった朝井リョウさん。22年の本屋大賞か。この表紙はよう見てましたよ本屋では。
ほんまはさ、桐島買うつもりやったのに、まさかの本屋に置いてないからどーしようと思って手に取ったのが今回の『正欲』
久しぶりによむ朝井リョウでちょっとビビってたけど、これは読みやすい。テーマは重かったけれど。
最近のご時世でみんなが良かれと思ってつかっている「多様性」。それってそんなに便利な言葉か?
正直そこまで考えを巡らせられてなかったなと思い知らされた。
ヨーロッパに留学してた経験から、LGBTQとか、ヴィーガン、ぺスカトリアンとかの食の嗜好性については、ある程度寛容やと思ってたけど、この本でスポットライトが当たるのは、もっと深いところ。異常性癖の人たちはどうしているのか?
水に興奮する とかいま考えても分からんし、分からんくて当然のものなんやろと。この作品の中でも、正常(とされる)人は、最後まで見当違いなままで終わっていったし、世間から見た肩身の狭さは変わらんままやったと思う。
わからんものはわからんくても対話は必要。かと、まさかの八重子にあんな熱量持って語られるとは
正直、「お前がそんな言えるんかよ」ってビックリ。

作家の扱うテーマって、ほんまによくそこまで話がふくらませられるなって
この話も、振り返ると、冒頭部分にもう事件の記事は載せられてて、向かう結末が分かってるのが、面白いところなのかも。
いろんな登場人物の視点から描かれるっていうところでは伊坂幸太郎味がある気もしたけどこれはまた別物と気付かされた。
面白かったね

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2025年12月10日

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