あらすじ
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
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Posted by ブクログ
マイノリティにも普通に生きていく権利をみたいな運動の詭弁っぷりに警鐘を鳴らす1冊。
肌の色や宗教や同性愛者も生きていいんだよ…と、白人キリスト教徒の異性愛者が認めてあげるという、マジョリティが正義の許容心で主張するダイバーシティという矛盾。
マイノリティもマジョリティも関係なく、お互い仲良く生きていくばいいやんと単純に思っていたんだが、「そうはいかへんねんて」と突きつけてくるこの本の内容、確かに読む前に戻れない。
解説がまた、理解のために掘り下げているようで、新たな問題を積み上げてくれる。正しくありたい、マジョリティでありたいと思うことの土台の危うさ。
正しさの集団の中で正しさくらべがあって落ちこぼれていくことも怖いし、急にひっくり返る正しさなんてなんぼでもある。
寛容こそ正しいと非寛容な人を許さない矛盾。多様性は認めるけど人に迷惑かけるなよという無茶。自由主義の軍隊…
これから何をどう生きて行けばいいのか分からなくなるが、諦めて考えることを拒否すると生きることの否定にすら繋がるし、じゃぁ理解できずとも対話しよう寄り添う努力をしようとゴリ押しすることの違和感は作中でとある女性が見せてくれてるし…。
やっかいすぎる
Posted by ブクログ
この本の感想としてはおかしいかもしれませんが、非常にスッキリしました。一番共感できる登場人物が、寺井検事の息子さんだったからかもしれません。
物語中盤まで、正直寺井検事の考え方が好きではありませんでした。一辺倒というか、極端というか。
そこで奥さんである由美さんの「あなたの大きくまとめようとする考え方、不安になる」(ニュアンス)という発言で、「そう!それ!」と心の中で大きく同意しました。
そして物語終盤、夏月さんと話すシーンで、やっと気づく、というよりも認め始めた寺井検事のようすが、気持ち良くてたまりませんでした。
そう思う私も、何かしらのイデオロギーであり、「疑い続けるという正しさ」を述べているのだと思います。東畑さんのあとがきにも、大変共感いたしました。
Posted by ブクログ
多様性という言葉に覚えていたうっすらとした気持ち悪さが言語化されていて、気持ちよく読めた。
八重子が気持ち悪く感じたが、大也と罵倒し合うシーンは確かに言っていることも理解できて、一つの部分だけでその人を判断してはいけないと思った。最後まで八重子は好きになれなかったが。結局私も自分の正欲に突き動かされているだけなのだと思う。
Posted by ブクログ
再読。私は正欲を読んでから、気軽に多様性という言葉を言えなくなった。読んだ人みんな分かると思うけど。
帯にあったけど、読む前の自分には戻れないよねぇ。暴力的に自分の中に入り込んでくるよねぇ。
私は共感できるような登場人物はいない。最初傍観しながら第三者目線で読んでた、マイノリティの気持ちも分かりますよって気持ちで。そしたら、殴られたねぇ。なんで気持ちを理解する側なんだって。
2回目読んで、八重子と諸橋くんは最後分かり合えそうだったんだと初めて気付いた。途中から八重子のことちょっと引きながら読んでたけど、大事な登場人物だった。あぁ〜面白かった!
どうして朝井リョウさんはこんな本も書けるんだろう。まじで何者なんだろう。同じ時代で、この人の新作を読めるのは最高だ。
読めば読むほど正欲がわからない
違う世界線の人たちが読み進めていくうちに交じり合い、夢中で読み進めた。
多様性から外れる人たち…
この本を読むまでいかに自分の考える多様性が狭いものだったか思い知らされる。
読み終わっても多様性とは?正欲とは?わからない。もやもやが残る。
そのもやもやこそが正しい理解なのかもしれない。
最後の解説がこのもやもやを上手に言語化してくれてとてもよかった。
Posted by ブクログ
正しい欲とは何か。
自分にとって普通と思っている感覚が他人と同じなのか。
本来この自分の感覚が誰かに合ってるとか、間違ってるとか判断される必要のないものであり、自分自身も他人の気持ちを受け入れてあげなければいけないと感じた。法律に反する場合を除くが。
Posted by ブクログ
これは難しい内容ですね。。
こんなにもレビューが難しいとは思ってなかったです。
多様性、、
マジョリティ側が作った「多様性」という言葉にどれほどの意味があるのでしょうか。
マイノリティ側が欲してすらいない(そっとしておいてほしい)多様性という枠組みはマジョリティ側が想像しうる範囲でしか機能しいないのだと思います。
そう考えると結局、少数派のためじゃなくて多数側、自分のためですよね。
少し話の主軸とはズレますが、不登校の息子とどう向き合うかってめっちゃ難しくないですか?
寺井啓喜の気持ちも分かるんです。古臭い考えかもしれないですが、父親ってそんな感じじゃないですか?
自分の「正欲」にすごい自信があるというか、現実主義というか。。
自分の「正欲」が明日死なないことに結びつかないとき、社会から排斥されるのだと思います。
「明日死にたくないと思いながらこの世界を歩いたらどう見えるか知りたい。
本当は、ただそれだけなのかもしれません。」
無自覚ながら、明日死にたくないと思っている自分自身はなぜか無性に寂しいです。
手を取り合えない人間がいるということを当然のように突きつけられるから。
Posted by ブクログ
朝井リョウの作品を初めて読みました。
描写がリアルで、生々しさを感じました。
校舎裏で蛇口を蹴り合うシーンがとても印象的でした。
いわゆる少数派の性的嗜好について考えさせられました。現実このような人もいるのでしょうし、満たしようがないものもたくさんありますよね。
他の作品も独特なものが多いようなので、読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
例えば街を歩くとします。この一文から引き込まれた。ぐっと読者に何か普通の小説じゃないぞと思われる文章力に感嘆した。
多様性、つながり、他人に対してわかった気になるな、多数派、少数派。問題提起が様々な角度からなされていて、考えさせられました。