【感想・ネタバレ】正欲(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

八重子のような、自分の狭い枠組みで正義を構築してしまうような決めつけ人間にはなりたくないと思いました。

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2026年04月12日

ネタバレ 購入済み

読めば読むほど正欲がわからない

違う世界線の人たちが読み進めていくうちに交じり合い、夢中で読み進めた。

多様性から外れる人たち…
この本を読むまでいかに自分の考える多様性が狭いものだったか思い知らされる。
読み終わっても多様性とは?正欲とは?わからない。もやもやが残る。
そのもやもやこそが正しい理解なのかもしれない。
最後の解説がこのもやもやを上手に言語化してくれてとてもよかった。

#泣ける #切ない #深い

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。」という部分がとても印象的だった。
それ以外の部分も、わたし自身が日々考えてしまうようなことが、浅井さんの表現力で繊細に書かれいた。「正しい」「普通」とはなんなのか、私たちは一体どうするべきなのだろうか、という問いは、答えがないように思えある種の絶望感覚えた。けれど、「多様性」という言葉を、誰かが決めた一つの形として受け取るのではなく、「想像もできない、理解が及ばないこともあるだろうけれど、そうであることを知っています。人によっては受け入れられないこともあるはずだけど、私個人の視点でそれと対峙します」という言葉として受け取ろうと思った。間違いかもしれないけど‥
もどかしいけど、そんな気持ちを探りながらどんどん読み進められました。

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2026年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっとこさ、読み終わりました。ちまちま読み進めて一か月間くらいこの作品と向き合っておりました( ´∀` )
いやー、難しい。思想書、みたいな本ですわ。

確かに、「多様性」って難しいよなー、「正義」って何なんだろう、と考えさせられる本。
大好きな作品である「進撃の巨人」を思い出す内容だった。

なんで、星3の評価かというと、世間から見て「特殊」な性欲を持つ人たちが、社会との対話を拒絶しているように感じられたから。きっと話してみても、気持ち悪いって思われてしまうだろう・・・私たちは「普通」とは違う存在だ、と自ら殻に入りすぎなのではないか、と。
勿論、その殻から出ることが一番勇気の必要なところなのだろうけど。
少なくとも私は、仮に「水」が性欲の対象だったとして、人と違うことに対して生きにくさを感じていたとしても、母に相談すると思う。相談できる人がいるか、居ないかは大事だな、と思う。
でも、今思い返してみたら、私自身人には言いたくない自分のコンプレックスを母に話しても、軽くあしらわれて結局自分で苦しんで、という経験はある。誰だって人に対して言いたくない自分の悩み・秘密はあるものだと思う。私も確かに自分が抱えている悩みについて、たとえ親友や家族であったとしても、あとどれくらい時間がたったとしても言えない。人については些細なことに思えても気になって仕方がなくなる。
でも、結局他人って自分に興味ない、って思うんだ。だって自分を見つめることで精いっぱいだから。だから他人が干渉してきたときも、それは相手の自己満なのかも。
私自身、周りと自分を比べて劣等感や優越感に浸るときがあるけど、「私は」楽しいからこれでいい、っていうブレない芯があると思う。
だから、私は自分が傷つけられる前に、人の急所を突こうとする。進撃の巨人の戦槌の巨人さながらに、自分の急所を守るために、相手の急所を突き刺すことをいとわない。相当好きじゃないと自分のテリトリーに入れたくないし、邪魔な奴はさっさと私の人生から退場していってくれればいいと思う。

結局さ、この世界は弱肉強食なの。勝者が歴史を作ってきたから、敗者がどういった理由で負けたかなんて、後世には受け継がれないわけ。マイノリティは進化の過程でたくさん絶滅してきたんだと思う。
多様性、多様性っていうけれど、法を越えてしまったものは、「犯罪」と扱われる。なぜなら、それはマジョリティの生活にとって害をなすものと受け取られるから。
この世界はマジョリティに生きやすいように作られている。トロッコ問題と同じ。マイノリティの気持ちに寄り添った施策なんて、世界はなかなか受け入れられない。
じゃあ、マイノリティは隠れていけないといけないのか。そんなわけない。私たちが長くて短い地球の歴史の中で、どうしてこんなにも急速なスピードで進化し、発展したのか。それが我々が知能を持ち、言葉をしゃべりコミュニケーションが取れる生物だからだと思う。対話を放棄することは自らが滅びゆく運命なのを認めるようなもの。人間だれしも戦わなくてはならぬときがある。人よりもつらいハンデを抱えている人も、生まれ持って運がいい人もいるだろう。
私たちはお互いを分かり合えない。だけど、だからこそ、口があるのだ。お互いを分かり合うために。理解できないものがあるなら分かればいい。対話をしてみることが何よりも大切だと思う。全て自分の弱点を晒したとしても、差し違える覚悟で。あきらめずに何度でも。その勇気が今目の前に見えない他の誰かを救うかもしれないから。
それでも分かり合えないのなら、どちらかが相手を駆逐しないといけないのかもしれない(笑)
↑私は「進撃の巨人」が好きなので(笑)

自分がマジョリティだからか、他人に興味ないからなのか、「水」に興奮する、ということが分からない。
というか、「性欲」ってそんなに大事なの?って感じ。
周りの人みんな「性欲」について話してるって、周りの人みんなおサルさんなんじゃない?って感じ。
多分自分が気にしてるから、その話題がすごく頻繁に出現するように感じるんだろうね。自分の欠点にしか目がいかない、というか。
他者から見ると意外とどーでもいいことだったりするんだろうね、自分の欠点って。

難しいね、この世界って。いろんな人がいて面白い、のと同時に、いろんな人がいて苦しい世界だよね。
ただ自分の理解しあえる大切な人とだけつながっていたいって思っちゃうこともよくあるけど(笑)
もっと広い世界に出てみたら、考えも変わるかもしれない。自分に「限界」を定めちゃだめだと思う。自分の潜在的な可能性をいつまでも信じ続けて、人と関わり続けないといけないんだと思う。
人と関わるから、人間はこんなにも楽しく生きていると思うから。

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2026年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何を書くか困る。
理解出来たとは思えないし、理解できないものなんだろうなと思う。理解しようとする自分の心こそ、「理解者」側に自分を置こうとする傲慢さ、というか、上手く言えないが、多数派にいようとする心のような感じ。

読んでいて惹かれたのが夏月と佳道
一番印象が変わったのが八重子
拒否感(まではいかないが)、嫌だったのが啓喜

時々、自分自身の恋愛だったり、生き方に悩む。理解されないと卑屈になることもある。
それすら正欲、というか「普通」でいようとする自分がいることなんだなと感じた。

人間、社会は本当に恐ろしい
この本を読むと、「多様性」という言葉がとても怖いと感じる。
人は自分を多数派に置きたがり、「理解するよ」と受け入れの姿勢を示しておきながら、理解できる範囲は決まっている。そこから外れるものには容赦がない。
私自身、マジョリティ側にいる(と思いたい)自分に安心感を得てこれまでも生きてきたし、マイノリティ側に寄った時に危機感を覚えた自覚もある。
そういう生き物で、そういう社会なんだと思う。

その社会のなかでも、どうにかして皆が希望を持って生きれる世界であってほしいと思う(これすら正欲なんだろうが)

あの世界で、出来るだけ長く夏月と佳道が一緒にいてくれると嬉しい

佳道と大也は言うなれば巻き込まれた側。それでも、世間は許してくれない。理不尽に腹が立った。大也は初めて出来ると希望を持ったところで、許されなかった。夏月、佳道、大也が諦めに口を閉ざしたところで、世界はやっぱり「多数派」の正義によって作られ、そこから弾かれる者には容赦ないんだなと感じた。この後、大也がどうやって生きるのか気になる。夏月と佳道は互いの存在があれば、常に危うさは隣り合わせだと思うけど、それでも何とか生きていけそう。大也にも何かしら救いがあって欲しいと感じた。
テレビやSNSで見る事件の犯人に一方的に想像をふくらませて罵倒するのは簡単で、多数派の都合の良いように解釈されて否定されてきた人達が実際にいるんだろうな、と思うと、悲しいというか、やるせない気持ちになった。

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2026年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夏月や佳道がとにかく社会への恨み言ばかりで鬱屈としている様子に辟易としながら読んでいたので、終盤の八重子と大也のシーンがあって安心した。

「そうやって不幸でいるほうが、楽なんだよ」
私自身、自分の性格や環境の難を語る人を目にする度にこう思ってきた。
性癖であっても、性格でも環境でもなんでも、自分の不幸に甘んじて、自分が一番不幸なんだって嘆いていれば何の努力もしないでいられる。
「そうやって全部生まれ持ったもののせいにして、自分が一番不幸って言ってればいいよ」
だけど、朝井リョウ氏がこの作品を通して描きたかったことはきっとこんな身も蓋もない言葉ではない。
物語は次々と視点を変えて、細かくブロック分けされている。そのブロックの継ぎ目では、前の語り手が最後に見たり聞いたり感じたりしたものから、次の語り手にバトンタッチされていく仕組みになっている。
この仕組みは、作中で何度も出てきた「繋がり」とも捉えられる。
夏月達と夏月達が憎んでいた社会、啓喜と啓喜が忌み嫌っていた社会のレールから外れた者たちも、結局みんなどこかで繋がっていることの表現なのかもしれない。
「繋がり」からは逃れられないし、八重子が大也に言ったように、人と人は繋がって話し合っていくことでしか生きていけない。
そういう構造を描いた作品なのかなと受け取った。

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2026年04月12日

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