【感想・ネタバレ】正欲(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

えぐい小説だった。と思った。

ここまで踏み込んだテーマを扱えるのか。

しかも書き方が普通に上手い。ただそれだけでは人気になりきれない。
この小説が人気であることは、これが時代にとても即しているからというのがひとつの大きな要因だと思う。これを受け入れる人が増えているという時代の変化を感じる。

佳道、夏月、大也たちに感情移入させられる。
そして後半になるにつれ八重子がおめでたくて正義感に浮かされているやつだと思ってしまう。
そうやって印象の高低もコントロールされていたと思う。けれど八重子の人生では八重子が正しいんだと思う。というか、手の上で転がされるように主人公たちを正しい、八重子は浅はかだと思わされるのが癪なだけかもしれない。

人は皆違う。
では、その人の個性、生まれ、そして欲は、どこからは「正」しくて、どこからは「犯罪」なんでしょうか。
社会に「犯罪」だと線を引かれた人は、どうやって生きていき、どうやってその欲を解消すればいいんでしょうか。
多様性、ジェンダー論という言葉を聞くようになった時代で色々な存在がrevealされてきた。そうした人たちと現行の法律の折り合いの悪さ……いや、恐らく昔からその時代に生きていた全ての人が納得できる善悪の定規や法律など無かったはずで、それは時代やメインな価値観が変われば後から悪かったことにされたり可哀想だったことにされたりする(隠れキリシタンや、戦時に平和を願った人など)。

授業で一度だけ聞いたことがあった。
小児性愛者が、自分の欲を叶えるのは社会的にいけないことだから、必死に抑えていて苦しいのだというインタビュー。
でも多分そのインタビューは多くの人は知らなくて、ネットでは「ぺド」と略され絶対的な悪とされている。
でも、そう呼んでいる人たちは、自分が時代の価値観に合わない側になった時にどうするんでしょうか。
そして呼ばれている人は、それを正しいと信じているのか、それとも社会の側と同じく悪だと「把握」しているのか。それを考えたことはあるのでしょうか。

私は幸い大学で触れたことのあるテーマが多少絡んでいたけれど、このような題材と出会いが無かった人が呼んだらショッキングかもしれないね。


追記
「マイノリティの中でもマイノリティ」が主人公だったけど、「マイノリティの中でもマジョリティ」の人だって世界を恨んだり苦しかったりしてるよ。と思ったけど、それは八重子が終盤で似たようなこと言ってたわ。あれは八重子がヘイトキャラで終わらないためだけでなくそういう読者からの非難への予防線だったんだろうか……というメタ推察。

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2026年09月28日

ネタバレ 購入済み

読めば読むほど正欲がわからない

違う世界線の人たちが読み進めていくうちに交じり合い、夢中で読み進めた。

多様性から外れる人たち…
この本を読むまでいかに自分の考える多様性が狭いものだったか思い知らされる。
読み終わっても多様性とは?正欲とは?わからない。もやもやが残る。
そのもやもやこそが正しい理解なのかもしれない。
最後の解説がこのもやもやを上手に言語化してくれてとてもよかった。

#泣ける #切ない #深い

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2025年02月08日

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