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死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
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Posted by ブクログ
みんな何かを背負って、我慢して、ちょっとずつ生きてるんだな。 辛いときに辛いと、悲しいときに悲しいと、助けて欲しいときに助けてと、大人になっても言える場所があるといいな。 明日に向かって頑張って生きてみようと思う。
他人は幸せそうに暮らしているのに、自分だけが苦しみながら日々を送っている、そんなふうに感じてしまう時に自身を戒めるために本書を繰り返し読みたい。みんなそれぞれ心の中にはドス黒いものを抱えているという現実を突きつけてくれる作品。決して自分だけがしんどい思いをしているわけではない。みんな苦しみながら悩み...続きを読むながら、なんとか、どうにかして生活をしている。SNSで見るキラキラした生活の裏には、きっと想像を絶する苦悩があるのだろう。六編すべての登場人物を嫌いになることはできないと感じた小説だった。
決して幸せなことばかりではない世の中を受け入れて、なんとか歩みを進めていく方法を教えてくれる本でした。 「全部繋げて、リボンにするのだ。そうすれば、辛い時には包帯としても使える。人生を美しく包むのも、たくましく補強するのも、いつしかこの手でつかみ取っていた。だからきっと、大丈夫。これまでみたいに、...続きを読む不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。」 はずれくじをひいてしまっても、リボンのようにむすんで神様へのプレゼントにすればいい。月並みな感想だけど、やはり捉え方次第で世界は変えられる。
何かが分かったからといって、事態が大きく動くわけでも、物語のような劇的な結末が待っているわけでもない。そんな現実の重みを、静かに思い知らされる。
面白かった! やっぱり短編集は最初の話が一番面白い気がする 登場人物の精神描写がとにかくリアルで良い 病んでる人は読んだほうがいい、共感できるところがたくさんあると思う
うわーーーーーもう最高すぎる。 朝井リョウ、やっぱり好き。 6話の短編集でした。 最初に読み始めた話は、前に読んだ「イン・ザ・メガチャーチ」と似たテーマやタッチの感じで、あぁ、ちょっと飽きるかも、つまらないかもと思ったんだけど だんだん引き込まれて、共感できる表現があり、 6話中特に後半の3話がす...続きを読むごく面白かった。で、やっぱり6話目が1番面白かった。 短編集ってやっぱり1番面白いのを最後に持ってくるの?
『健やかな論理』 かなり短い話なのに、読後にずっと残るタイプだった。 主人公は、自殺した人のSNSを遡り、死にたくなる前触れを探すのではなく、むしろそこに因果関係が存在しないことを確認して安心している。 普通に投稿し、再配達を頼み、日常を続けていた人が、ある時突然死を選ぶ。 その不安定さを確認するこ...続きを読むとで、「人間はそもそも説明できない存在なんだ」という感覚に安心しているようにも見えた。 この話の面白さは、「死にたい理由」だけではなく、最後に「生きたい理由」も同じように説明できないものとして描いているところ。 人は大義名分や明確な理由だけで生きているわけじゃない。 読みかけの本、明日の予定、何気ないSNS、些細な楽しみ。 そんな曖昧で非論理的なものに、いつの間にか繋ぎ止められている。健やかという言葉の安心感と、論理という冷たさが、最後まで静かに不気味な短編だった。 『流転』 妻の妊娠をきっかけに夢を諦めた男が、 その選択をずっと心のどこかで引きずり続けている話。 ただ、この短編が上手いのは、単純な「夢を諦めた後悔」で終わらないところ。 主人公は後になって、新しく会社を立ち上げるという別の夢にも惹かれるが、今度は安定や継続との間で揺れ続ける。 結局、人はどんな選択をしても、選ばなかった人生をどこかで美化してしまう。 夢を追った人生。安定を選んだ人生。家庭を優先した人生。 どれを選んでも、別の可能性は失われなかった未来として残り続ける。 だから人生は、後悔を完全になくすことではなく、 自分が選んだ選択と、どう折り合いをつけていくかの連続なのかもしれない。 「あの時違う道を選んでいたら」という感情を抱えたまま、 それでも今の生活を続けていく。 静かな話なのに、年齢を重ねるほど刺さる短編だった。 『七分二十四秒めへ』 派遣切りに遭い、将来への不安を抱えながら生活する女性が、唯一心待ちにしているもの。 それは、世の中的には何の役にも立たず、 学びも感動もなく、「無駄」とすら言えるような時間だった。 でも、この短編が鋭いのは、 その無駄こそが、彼女にとって生きるために必要なものとして描かれているところ。 今の社会は、何を見るにも、 「意味」「成長」「学び」「自己投資」 を求められる。 SNSも動画も読書も、何かを得なければいけない空気がある。 だからこそ、何の評価軸にも乗らないもの、何の役にも立たない時間が、逆に人を救うことがある。 バラエティ番組をぼんやり見る時間。くだらない会話。何も残らないコンテンツ。 本来なら無駄とされるものが、張り詰めた現実から、ほんの少しだけ人を解放してくれる。 「生きる理由」みたいな大きな話ではなく、人は案外、そんな小さくて説明のつかないもので、ギリギリ生き延びているのかもしれない。 静かな話なのに、現代社会の息苦しさをかなり鋭く突いた短編だった。 『風が吹いたとて』 タイトルは「風が吹けば桶屋が儲かる」を踏まえているが、この短編に込められているのはむしろ逆の感覚だ。 「風が吹いたとて、だから何なんだ。」 そんな乾いた現実感が全体に流れている。 物語の中心にいるのは、誠実で真面目な夫と、その妻。 夫は、自分の行動や正しさ、社会との関わりを深く考え、自責し続ける。一方で妻は、そんな大きな正しさよりも、今日の夕飯や明日の生活、半径5m以内の現実を回さなければならない。 この対比がとても苦しい。 夫の誠実さは決して間違いではない。 でも、生きるということは、理想や倫理だけでは回らない。 結局は、「今日をどう乗り切るか」「目の前の生活をどう続けるか」の方が、よほど切実で重要だったりする。 だからこの作品は、正しさを否定しているわけではなく「正しさだけでは生活は守れない」という現実を描いているように感じた。 最近、自分自身も折り合いについて考えることが多い。 理想、誠実さ、責任感、自己満足、生活。 どれか一つだけを選べるわけではなく、人はその全部を抱えながら、なんとか折り合いをつけて生きていくしかない。 静かな話なのに、読後にじわじわと現実の重さが残る短編だった。 『そんなの痛いに決まってる』 尊敬していた上司のSM動画流出をきっかけに、自分自身の性の悩みについて改めて向き合おうとする話。 題材自体はかなり興味深かった。常に低姿勢で責任感が強く、誰からも信頼されている上司が、なぜSMという行為に向かっていたのか。表の人格とのギャップには惹かれるものがあったし、優しい人の裏側”を覗き見るような不穏さも面白かった。 ただ、個人的には短編集の中では一番響かなかったかもしれない。主人公の性の悩みも興味深かったが、比較的理解しやすい地点に着地していて、テーマの危うさに対して、読後の感情は少し整理されすぎている印象もあった。 『籤』 短編とは思えないほど濃厚で、長編を読んだ後のような疲労感と読後感が残る作品だった。 その反面、扱っているテーマや要素がかなり多く、個人的にはもっと長い尺でじっくり読みたかった気持ちもある。 「どうしても生きてる」の中でも、読み進めるのが一番苦しかった話かもしれない。 ただ、その苦しさがあるからこそ、逆に一番希望を感じた。 人生を「当たり」「外れ」の籤みたいに考えてしまう瞬間はある。 何を選んだか、選ばなかったか、どの道を引いたか、そんなことで人生が決まるように感じてしまう。 でもこの作品を読んで、人生は確率や正解の問題ではないのだと思った。 どんな道でも、どんな人生でも、その先にしかない景色や続きがある。 「どうしても生きてる」というタイトルの意味が、静かに胸に残る作品だった。
いま、私すごくすごく心が弱っていて。 そんな時に読んでしまったから、評価が星5になってしまいました。苦しくて苦しくて。共感できる喜びがあって。この本のお陰で、言語化してくれたお陰で、流せる涙があって。 苦しい時にはこの本を読もうと思います。 私の舞台も明るくなってくれたらいいな。
どの話も、自分が今抱えていることの何かしらのヒントになるような感じがした。 〇健やかな論理 自分に見えないものがずっと積もってるんだよ。最後の1滴が何なのかは、誰にも分からない ・・・ストレスに感じることが積もり積もって、最後爆発することってよくある あるとき何の前触れもなく世界から消えてしまいた...続きを読むくなる時があるように、なんの前触れもなく、この世界にいる誰かを想う自分の存在を強烈に感じることがある ・・・人の気持ちって色んな感情が混ざりあっているし、死にたいと生きたいも混ざりあってて良いんだなって思えた。どんな感情も混ざりあってていいんだなって 〇籤 昔の自分を見ているようだった。相手のことを見てこれまで人生でなんもなく過ごせて幸せだねって思っちゃってた自分。でも、みんなそれぞれ事情があるんだなって今は思えるようになったなって自分の成長を感じられた。 私もこれまで色んなハズレ籤を引いた気がするけれど、だからこそ色んな学びを得られたり、自分が今選んだ仕事につけたり、工夫を身につけられたなって感じた。これまでの人生で自分でしか経験できなかったことがあったからこそ今の自分に繋がってるんだろうなとも思えた。印象に残ったフレーズ・・・全部繋げて、リボンにするのだ。そうすれば、つらいときには包帯としても使える。人生を美しく包むのも、たくましく補強するのも、いつしかこの手でつかみ取っていた。だからきっと大丈夫。これまでみたいに、不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。
全てには共感できなくても、誰もが感じたことがあるなんとも言えない感情が絶対に一つは見つかる本だと思う。解像度が高すぎて、逆に読み返すのが辛い作品。
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朝井リョウ
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