あらすじ
死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
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Posted by ブクログ
一度に大量に摂取するものじゃないね、彼の作品は。
頼むから人生を楽しんでいないでくれ、朝井リョウは。楽しみながらこんなの書かれたらおれは生きていられなくなっちゃうのよ。
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貧乏くじを引いたってどうしたって生きていくしかない
泥臭く何かをつかんて立ち上がれ
この小説は心の隅をつついてくる
そして問いを投げかけてくる
今は答えを出せないけれど
問いを心のなかに持つことができる
答えを探しながら生きることができる
最後の「籤」で光を見せてくれた所も良かった
Posted by ブクログ
短編集を読みたい気持ちと、SNSでの紹介があったなということで購入。朝井先生の本は2冊目だけど、生々しいという表現が今のところ1番しっくりくる気がする。共感できるけど、なんか痛くて、わからなくて、モヤモヤする。でもすごく身近なストーリーに感じる。うまく言葉にできないのがもどかしいけど、もどかしいと感じるこの気持ちで今はいいのかなと思う。難しい〜!笑
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『健やかな論理』
〇〇だから〇〇のようにはっきりと境界線が引かれた健やかな論理に何でもかんでも当てはめたがるのは安心したいから。こわいから。けど全てを当てはめられるわけはなく曖昧な境界がほとんど。
>いつだって少しだけ死にたいように、きっかけなんてなくたって消え失せられるように、いつだって少しだけ生きていたい自分がいる、きっかけなんてなくなって暴力的に誰かを大切に想いたい自分がいる。
さまざまな感情が入り乱れた境界のない自己の中に突然生まれる健やかな論理に則った感情。その稀有性に胸が震えた。
『流転』
嘘をついてでも変わらないものに自分を託してしまう。嘘をつかず直線で進んだ先は誰も保証してくれない。豊川の行動は何ら責められるものではない。それでも後ろめたさが感じられてしまうのは誰しもこの経験があるからだろうか。
『七分二十四秒目へ』
生き抜くために大切なこととされていないものに触れている間、罪悪感を感じてしまうのはなぜだろうか。それで生きていけるならそれで十分なはずなのに。そういったものを切り捨てない世の中がいいなと思う。
『風が吹いたとて』
そうするしかなかったことってある気がするし何なら今も周りにあるかもしれない。考えなければならないことを身の回りだけに狭めたくても徐々に広げられていく瞬間がある。何もできないのに何もできないことがほとんどなのになぜ巻き込まれなければならないのか。大小関わらずそうした無力感を抱えながら毎日を生き抜いてることに気付かされる話だった。
『そんなの痛いに決まってる』
大人になればなるほど思ったことをそのまま言える時間・人は限られてくる。誰かのどこにも消化できない思いを受け止められるように、そして少しでも吐き出せるように生きていきたい。
『籤』
外れ籤を引かされたことがある人、引かされたことがない人。そうだ、引かされても受け入れる、受け入れないは選べない。やるしかない、やるしかなかった。生きづらかった。これからもきっと引かされることはある。それでもやってきたことは自分を強くしてくれているはず。希望を持てた。
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浅井リョウの人の心を言語化する力にはいつも感嘆する。
健やかな論理
こういう事する人だからああいう事する。という風に論理付けしたくなる気持ちは健やか。たいがい間違えてるけど。
流転
独立する明石はその後どうなったのか気になった。豊川は会社に残るしか道はないがまた余計な荷物を背負ってこの先も生きていかなければいけないのだな。
七分二十四秒めへ
「男のユーチューバーが別にやらなくてもいいことばっかりやるのって、男ってだけで生きていける世の中だからですよね」
という一文が同じ男として生まれた身には、正直優越感を覚えた。
風が吹いたとて
なぜこんなに物語の中で風が吹いているのか分からなかった。
そんなの痛いに決まってる
ありながずっといいこと言ってる。人の気持ちを上手に言語化して、ムカつくけどこの人も大変なんだろうなって言える心のゆとりが素敵だった。
籤
確率が1/249なんだと初めて知った。今だとヤングケアラーとして保護されそうな学生時代だか、社会人になってもその経験が生きていると思うとハズレ籤なんてないのかなと思う。
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現実はフィクションのようにはいかない、そう思わされる作品だった。
「実」と「虚」
誰かが好き放題できるのは、誰かが我慢しているからなのかもしれない。
皆、痛みを隠しながら社会で生存しているのだろう。
「想像力」が大切だと思ったが、それはあくまで第3者の視点だからこそ思えることで、その物語の当事者達は、想像力が限定されるのだろうと思った。
だからこそ、「想像力」が大切なのかもれしないが。
Posted by ブクログ
短編集の中で、「籤」という作品は私のバイブルみたいな作品です。
「選んだ籤をあたりにするかはずれにするかはあなた次第」というようなキレイなパッケージされた言葉じゃない、人間の嫌な部分とともに紡ぎ出された言葉は、キレイにパッケージされた言葉の何倍も「ハズレクジ」と向き合う勇気をくれます。
「受け入れる、受け入れないを選べたわけじゃないんだよ、これまでもずっと」
理不尽、不平等、報われなさ。
隣の芝生は青く見えるし、どうして私ばっかりと思ってしまうこともあるけれど、それでも。
「何を引き当てたって、どんな場所に置かれたって、そのたびどうにか根を張り直してここまできた」人たちの背中を全力で押してくれる、そんな作品です。
Posted by ブクログ
Audibleにて
聴き終えたばかりで最後の章が印象に残っているので感想を書きます
ハズレ籤を引いても置かれた場所で頑張る
長い目で見ると納得の行く答え合わせができる
反対にその時は当たりくじを引いたように見えても、置かれた場所で歯を食いしばれず、言い訳ばかりしていれば、堕ちた人生になる
最後、一見当たりくじを引いたかに見えた男達が、堕ちた人生を歩んでいたのが爽快だった
Posted by ブクログ
健やかな理論
別に死にたいわけじゃない。でも「もういっか」って思うことはある。そんなとき、手軽に死ねるツールがすぐ側にあれば、自殺も不思議じゃない。
七分二十四秒めへ
音楽を聴いていても映画を見ていても、何をしていても現実が迫ってくる。もう希望も何もないのなら、一時でもいいから現実から目を背けたい。だから中身のないくだらない動画を、今日も見るのだ。そのときだけは、救われるから。
流転
「好きなように生きる」ことと「嫌なことから逃げる」ことは違う。投げ出して逃げ出してばかりの人生では、どうしたって自分自身に対しての後ろめたさが付きまとう。
遠い自分のために、時には信念を曲げ、絶対に譲れないと思っていたものすら差し出し、自分が対峙しているものと「向き合う」ことが必要になる。
籤
救いようのない話。絶望。醜い人間の本性を暴くこと。朝井リョウの本質だと思っていたものについて、自己言及的な批判をしていた。だが我々は知っている。いつだって最後には、消え入りそうな希望を残してくれていることを。だから、今日もまた生きるしかないのだ。
受け入れがたい現実を目の前に「こうなったことにも意味はある」とは思えなくとも、それでも生きるしかない。生きればそれが次の「生きる術」に繋がる。乗り越えた試練を繋げて、次の試練に挑むのだ。
Posted by ブクログ
六つの短編。主人公のそれぞれ、バツイチ女性、契約社員、子育て介護で悩む主婦など‥‥。
自分の夢、感情、正義を押し殺し、生き続ける。納得出来ない、凶のおみくじを受け入れ、自分自身に大丈夫って言い聞かせながら、
どうしても生きてる
朝井リョウ、現代社会をぶった斬る〜、いろいろ考えさせられました。
Posted by ブクログ
記述にリアリティがあって、そのリアルさから読んでいてしんどくなってくるが、そうした想像力を読者にもたらすことは、小説の良さだろう。
「どうしても生きてる」ってこういうことだよね、あるいはこういうことでもあるんだな、って思う。
Posted by ブクログ
好きな一節を抜粋
痛いときに痛いって大きな声で言えることが、気持ちいいんだよ
(中略)
心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は、生きていけるのかもしれない
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自分が子どもと関わる仕事を選んだ理由ってコレだなぁ。コレをする子どもの姿を見ると、羨ましさも混じりつつスカッとする感じが好きなんだな〜
Posted by ブクログ
生きていれば自分ではどうにもできないことに陥ることがある。それは、はずれくじのように起こることも少なくないからやるせないし、辛くて救いようがない。自分では間違っているとわかっていても、簡単には抗えない大きな存在に従い、飲まざるを得ないことまである。
この短編の物語のような状況のみならず、もっと様々な八方塞がりなケースが存在していて、それには誰もが陥る可能性があるが、人によって本当にあらゆる受け止め方があるのだろう。ただ、人が苦しさをあまり感じずに生きていくには、呼吸をするように素直に本音を吐き出すことができるような存在がそばにいてくれることが必要なのではないだろうか。それを見つけられない私たちはもがき苦しみ、それを見つけたとしてもなお、どうしても生きていかないといけないのだろう。
Posted by ブクログ
様々な『どうしようもなさ』を抱えながら、それでも、生きている主人公たちを見ていると胸が締め付けられそうだった。多かれ少なかれ、現代を生きている人たちには共感できるところがありそう。
特に最後の話は、なんて辛い状況なんだ、、と思ったが それでも実際長い目で見ないとなにがよかったかどうかなんてわからないなと、少し勇気づけられた
Posted by ブクログ
朝井リョウの作品はかなり好きでいくつか読んでるが、今作もやっぱり好き。
朝井リョウって、複数人から成る小説家軍団なんじゃない?って思う。1人の人間がなんでここまで色んな角度からものが見られるの?
それぞれに苦しい現実があっても、私から他の人の苦しみは見えない。何が救いになるかも、またそれぞれに違う。正しさのなかで溺れそうになる人がいること、正しさだけじゃ掬い上げられないものがあることを、ここに書いてくれている。私が掬われたわけじゃないのに、掬ってくれてありがとうって言いたくなる。
Posted by ブクログ
うわあやっぱり男性作家だなあ〜と思う部分が多々あったりしたけど、どこに出てくる登場人物も近くにいそうだし、何より最後のみのりの章が女の目を通しているとしか思えない人生だった。
Posted by ブクログ
衣食住に困るわけでも生死の危険があるわけでも無い日本。それなのに苦しみを感じるリアルで繊細な心理描写に、自分の心が影響を受けてしまった。
少し気持ちが落ちている時に読んでしまったのが良くなかったかもしれない。
劇的な展開や明るい希望が感じられるわけではない。それでも生きていく登場人物達の静かな強さが感じられた。特に最後に「くじ」を入れたのは作者の優しさというのか願いのようなものが感じられた。
Posted by ブクログ
どうしようもなく生きるしかない。
逃げることもできない。そんな時の気持ちがドバッと押し寄せてくる。
しょうがないと言っている側、言われた側どちらも言い分はある。
だけど、言われた側はその相手の気持ちまで抱えなきゃいけない。
言えたら楽なこと、そんなことはわかっている。
だけど、言えない。どうしても言えない。時がある。
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社会のやるせなさというか、ハッピーエンドにはならないよねという短編集。東海オンエア見るのやめよ。バカみたいなことをやって生きられのは男だけ?嘘をつかなければいいの?
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読んでて、すんごいしんどくて重くなってしまうけど読みたくなる
なんでこんなに人の嫌な部分とか相手に対するモヤッとした思いを言語化するのが上手なんだろ
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読み終わったあと何とも言えない複雑な気分になる
でも読む手が止まらない
生きるってこんな感じだよね
最後の短編は、ちょっと前向きになれた最後向きの短編
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自分の生の轍や人との関わり、考え方へ疑問や後悔や悩みを募らせている人々の短編集。
ただ、物語的なハッピーエンドや救いが必ずある訳ではなく、その人にとっての解を何となく見つけたり、それが人生だと諦めにも似た終わり方であったり。メンタルが終わっている時に読むと、大人は辛いかもしれないなと思いました。
最後の「籤」という話はかなり前向きな終わり方。
今までの人生どれだけハズレを引いただたろう?あの時、あっちを選んでいたら。こうしていたら。ああしていなかったら。たられば、あの時の私。
ただ、ハズレと思っていたことが実はそうではなかった、ということも多い。というかハズレをハズレたらしめるのは、ハズレだと思っている自分の考え方だけなのであって、それは他人から見たら当たりかもしれない最高にベストな選択の可能性もある。ハズレと思っていた選択。でも、だからこそ今こうである。そんな考え方をしていくべきですね。
最後の文章。「明転した。私の舞台。私の人生。」全ての登場人物と、自分自身の人生に思い悩む全ての人々が、いつかこのように思える日が来ますように。
Posted by ブクログ
短編集。
朝井リョウらしい文面。
物語とは思えないリアルな展開や感情はどうやって書いているのだろうといつも感じる。
少し気持ちが暗くなるが、世の中そんなハッピーに包まれてないぞとも思うし、みんな頑張ってんだなって俯瞰して見れるところもあり、面白かった。
ただ、暗い。とにかく。
Posted by ブクログ
まさにタイトル通り「どうしても生きてる」。なにか目的があったり、明日が楽しみで生きているわけじゃない。苦しみながら、ただその時間を「生きてる」。主人公たちの感情は共感できるものが多くてリアルだった。でも共感したからこそ、辛い気持ちになってしまい、あまり楽しくない読書体験になってしまった。
Posted by ブクログ
時間を空けながら読んでしまったのでもう一度読み直したい作品。
フィクションでありながらもノンフィクションのような短編集。
最後の「籤」が1番好きだった。ハズレくじばかり引いてきた主人公と、今まで順風満帆に生きてきて急にハズレくじを与えられた男たちの対比が見事だった。
Posted by ブクログ
朝井リョウさん、結構希望に満ち溢れた本を書く勝手な偏見があり、個人的にあまり読まない作家さんだったんだけど、結構絶望のままで終わる短編集だったのが良き。思ったより良き。
みんな絶望のなかで生きてるよね。死ぬ勇気も死ぬ理由もないもんね。とりあえず前を進む少しの力しかないよね。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの現実の切り取り方、理解の深さには毎回ハッとさせられる。
身近にいるけど何考えているのかわからない人って、実際は多分こんなこと考えているのかな。
と思わせてくる。
最後の、引き当てるというテーマが誰しも共感できるだろうし、私も刺さった。
なんで私がこんな目に、という不運を肯定的に捉えようという自己啓発本とかはたくさんあるけれど、この話は結論としては似たようなところに落ち着いているんだけど、そこまでのプロセスが人間味をすごく感じた。
下を見ることで世の中の理不尽さを肯定するような。
生きているなと突きつけてくる解像度の高さが朝井リョウ全開で読み応えがありました。