あらすじ
死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
感情タグBEST3
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生きづらさや葛藤を抱えながら、なんとか生に掴まって、タイトル通りどうしても生きてる人々には、美しさを感じた
非条理や人間の醜さまでもが鮮明に描かれた本作には、生きることの苦しさを訴えかけられた
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解説含め全6編、全て面白くて読む手が止まりませんでした。
「籤」
人生でハズレ籤を引いてきた女性が主人公。自分との共通点が多く、自分に置き換えて読んでいました。優しい人、できる人、女の人が損をする世の中に直面して、読んでて苦しくなりました。
それでも物語最後は、ハズレ籤を引いた人生の中でもがき、工夫し、今の自分を認めてあげる。
亡くなった母の言葉を思い出して、これが自分の人生なのだと受け入れて前に進む姿に救われました。
全体的に出てくる男性がどうしようもない人が多く、「男って…」と思ってしまった…。
男性=弱い、女性=強いというイメージを持ってしまう。
読んでいて、昔バイト先の主婦さんがイライラした雰囲気を纏っている男性店長のことを見て、
「男性って理不尽を受け入れられない人が多い」
と言っていたことを思い出した。
私が女性だからそう思うのかな…。
次読むときは男女の偏見なしで物語を楽しめるようになっていると嬉しい。
Posted by ブクログ
浅井リョウさん、今年度(2026年)の本屋大賞受賞されましたね~。私は、ノミネートされて結局2位だった?熟柿を読んでいて、とっても良かったのですが、もちろんインザ・メガ・チャーチも読むつもりです!
で、こちらは少し前の作品で文庫になっていて、友だちからおススメされたのでので読みました!
まず、タイトルがいいよね。私も、どうしても生きてるって感じが日々してるし。
6つの短編が入っているのですが、どれも良かったです。
1つ目「健やかな論理」
「・・・だから、○○に違いない」「~~な人が、自殺なんてするわけがない」などの、健やかな論理に反感をもっている女性のストーリー。人から見たら、何の問題もなく健やかに生きていて、悩みなんてなさそうでも、人って、突然死にたくなったりすることもあるやん。衝動的に飛び降りてしまう、とか考えられる。
2つ目「流転」
ストーリーテリングを考える自分と、漫画を描く友達とコンビを組んで、本気で漫画を作り続けた主人公。しかし実際にはそんなに世の中は甘くなく、新人賞を1つとったところから、伸び悩む二人。主人公は、恋人が妊娠したことでその道をあきらめ、就職した。相方は絵を描き続け、最近になってイラストレーターとして知名度が上がってきた。夢をあきらめるきっかけは、恋人の妊娠だったが、その胎児は生まれることなく、流産してしまう。そして就職先も傾いていく…。一緒に苦労して仕事をしてきた、信頼できる同僚から、一緒に独立することをもちかけられ、今度こそ、信じた道を進もう!と思うが、独立の話もまた、うまくいかず、同僚を裏切る結果になってしまう。人生って、なんて、大変なんだろう…。夢を追い続ければいい、あきらめなければ夢はかなう、なんて、その通りなんだけど、でも…。
3つ目「七分二十四秒目へ」
派遣社員・パートと、正社員の格差の現実を描いた物語。大手企業の中で、派遣社員として働く主人公は、一緒に働く同じく非正規雇用の人たちと、入れ替わったりしていくわけだが、正社員の人が異動や退職の際に盛大に送別会などを催される一方で、自分たちは契約が切れて辞めていくときも見えてない人みたいな扱いをされる。その哀しみを、同僚と共有もしないし、次はどこで働く、なんてことも話さない。ただ、口では「本当になんのためにもならない、バカな男たちがアップしているバカな内容の動画」とバカにしているYouTubeを七分二十三秒見て、次に進もうとしている…。
4つ目「風が吹いたとて」
夫と子ども二人がいて、クリーニング会社でパートで働く主婦の物語。夫は会社で順調に出世し、正しく生きてきたが、正しく生きることが正しいとは言えない。正しく生きようとするがために、苦しくなる人生…。
5つ目「そんなの痛いに決まってる」
キャリアアップを重ねる、子どものいないカップルの物語。夫側の目線で描かれているのだが、妻が順調にキャリアアップし、キラキラしているのに気づきつつ、自分の仕事の成長に陰りが見え始め、勝手にコンプレックスを抱いて妻に勃起しなくなってしまう、っていう、身もふたもない展開なのだが、なかなかシュールで良かった。夫婦関係のどうにもならなさが、深い。
6つ目「籤」
2分の1の確率で女に生まれた主人公。演劇が好きで、今は立派な劇場のホールスタッフの責任者として生き生きと働いているわけだが、中学生のころに母親が突然死し、そこからは苦労しながら自分の人生を築いてきた。
妊娠してから、なぜか、母がいないのに自分はちゃんと子供を産んで育てられるのか、という不安にさいなまれるようになる。そんなとき、夫から、出生前診断を受けよう、安心材料として、と持ちかけられる。
なかなか重いテーマだ。
結果、80パーセント?とかの確立で、染色体異常…みたいな結果を突き付けられる。そこで見せる、夫の弱さ。ハズレ籤をひいたことのない男。
この物語は、生まれてくる子供に本当に障害があったかどうかは書かれていないのだが、私としては、障害児を育てる自信がないからおろしてくれ、と夫に頼まれるけど、それを拒絶して出産した結果、子どもは健常児で、夫はほっとして喜ぶけどもう手遅れ、君の人としての信頼は完全に失われたよ?っていう展開がいいな、と思ったけど、やっぱりそこまで書かないのがいいんだろうな。そこまで書く小説家が凡人なのだろう。
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人生は痛いことの連続なのだよなぁ。でも「痛い」ことを「痛い」と伝えても、驚かずに全部受け止めてくれる人がいれば、すごく幸せなことなのなぁ。自分にはそのような人がいないので、今後どうやってこの痛みと共に生き、死んでいこうかと考えさせられた。
過去に誰もが羨む超絶美しいお方とお付き合いしていた頃、彼が鼻くそ食べてるのを見た時から、全く性欲が湧かなくなり、ずっと秘部が乾いたままだったことを思い出した。そういう意味では良大くんの気持ちはすっごく理解できる。
語彙力に乏しく、こんなクソな感想しか書けなくて皆様に申し訳ない。
Posted by ブクログ
短編集だが、どの話も最後にどんでん返しで
ハッピーエンド!…とはならない
勧善懲悪で読んでスッキリとはならないし
また明日も同じ日常がやってくるんだろうけれど
針先であけた穴のように
ほんのわずかな希望?
違う、生きなければいけないという感情がみえた
主人公は年齢、性別、環境すべて違うのに
なぜかすごく共感できて
まるで自分の話かのようにリアルだった
Posted by ブクログ
他人は幸せそうに暮らしているのに、自分だけが苦しみながら日々を送っている、そんなふうに感じてしまう時に自身を戒めるために本書を繰り返し読みたい。みんなそれぞれ心の中にはドス黒いものを抱えているという現実を突きつけてくれる作品。決して自分だけがしんどい思いをしているわけではない。みんな苦しみながら悩みながら、なんとか、どうにかして生活をしている。SNSで見るキラキラした生活の裏には、きっと想像を絶する苦悩があるのだろう。六編すべての登場人物を嫌いになることはできないと感じた小説だった。
Posted by ブクログ
決して幸せなことばかりではない世の中を受け入れて、なんとか歩みを進めていく方法を教えてくれる本でした。
「全部繋げて、リボンにするのだ。そうすれば、辛い時には包帯としても使える。人生を美しく包むのも、たくましく補強するのも、いつしかこの手でつかみ取っていた。だからきっと、大丈夫。これまでみたいに、不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。」
はずれくじをひいてしまっても、リボンのようにむすんで神様へのプレゼントにすればいい。月並みな感想だけど、やはり捉え方次第で世界は変えられる。
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何かが分かったからといって、事態が大きく動くわけでも、物語のような劇的な結末が待っているわけでもない。そんな現実の重みを、静かに思い知らされる。
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面白かった!
やっぱり短編集は最初の話が一番面白い気がする
登場人物の精神描写がとにかくリアルで良い
病んでる人は読んだほうがいい、共感できるところがたくさんあると思う
Posted by ブクログ
タイトル通り。複雑と混乱、理不尽、でも生きてる。不条理な世界で心が痛くなります。現実を突きつけられたような感じ、出してくる情報量と描写に引き込まれました。
思い出したのは、世の中はあなたを傷つけないようにはデザインされていない、これはジェーン・スーさんの言葉。
Posted by ブクログ
この作品は、ハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもない、ただただ生きている人の様子を写したものである。
他の朝井リョウの作品にある世間の空気感を切り取ったものでもなく、人を切り取ったものである。
朝井リョウらしくはないし、衝撃も少ない。
それでも、カッコ良くもなく、美しくもなく、誤りを起こし、現実から目を逸らし、反対に現実に目を向ける覚悟のある人々が描かれることによって、どこか寄り添ってくれる温かみのある作品に感じた。
Posted by ブクログ
自分の中で朝井リョウブームが起こって何作か続けて読んでみてる。
なぜこんなにも、現代日本社会を生きる女性の喜びや苦しみ、そして女という生物にうまれて生きるうえでの理不尽が分かるのか?
女性としてしか生きてこなかった私ですらうまく言語化できなかったことがたくさん。
たった今、朝井の小説を読んでいる私からずっと遠い過去の私までが慰めてもらえたような気持ちになる。。
可哀想だったねと慰められるのとは全く違くて、ここまでこうやって生きてきた私を認めてもらえたような?感じ。
私の物語だ!って刺さった人がきっと私以外にもたくさんいるんだろうな〜と思うと、その事実にもまた慰められる。
そんな風にして生きていこう、というかどうしたって生きていくしかないの!
Posted by ブクログ
どの物語も決してハッピーエンドにはならない。
でも、全て現実に起こり得そうなことばかり。
人生って、こんなもんだよなぁ…と思わせられるような、人間の弱い部分や汚い部分、強がりな部分を映し出してくれているお話ばかりだった。
特に最後の「籤」は、強烈だった。
朝井リョウ節の効いた短編集でした。
Posted by ブクログ
どの話も、自分が今抱えていることの何かしらのヒントになるような感じがした。
〇健やかな論理
自分に見えないものがずっと積もってるんだよ。最後の1滴が何なのかは、誰にも分からない
・・・ストレスに感じることが積もり積もって、最後爆発することってよくある
あるとき何の前触れもなく世界から消えてしまいたくなる時があるように、なんの前触れもなく、この世界にいる誰かを想う自分の存在を強烈に感じることがある
・・・人の気持ちって色んな感情が混ざりあっているし、死にたいと生きたいも混ざりあってて良いんだなって思えた。どんな感情も混ざりあってていいんだなって
〇籤
昔の自分を見ているようだった。相手のことを見てこれまで人生でなんもなく過ごせて幸せだねって思っちゃってた自分。でも、みんなそれぞれ事情があるんだなって今は思えるようになったなって自分の成長を感じられた。
私もこれまで色んなハズレ籤を引いた気がするけれど、だからこそ色んな学びを得られたり、自分が今選んだ仕事につけたり、工夫を身につけられたなって感じた。これまでの人生で自分でしか経験できなかったことがあったからこそ今の自分に繋がってるんだろうなとも思えた。印象に残ったフレーズ・・・全部繋げて、リボンにするのだ。そうすれば、つらいときには包帯としても使える。人生を美しく包むのも、たくましく補強するのも、いつしかこの手でつかみ取っていた。だからきっと大丈夫。これまでみたいに、不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。
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全てには共感できなくても、誰もが感じたことがあるなんとも言えない感情が絶対に一つは見つかる本だと思う。解像度が高すぎて、逆に読み返すのが辛い作品。
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こんな状況になっても、どうしようもなくても、生きるしかない。そんな気持ちを抱える物語が、自分の奥底にある感情を上へ上へと押し出してくれるような気がしました。
どうしようもないまま、終わる物語もあるけれど、最後の物語に関しては、自分自身そのものが上を向けるような、ここからどんな形にだって変えていけるような気持ちにさせてくれました。
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どうしても生きていくしかない人たちの人生の一部を切り取った6篇。登場人物が決断を明確にする前に話が終わることもあり「え?!どうしよう!こういう状況になったら、どうする???」と、全設定ネタバレの上で夫に決断を迫ったりもした。
「人生は暗転してくれない」
朝井リョウさんらしい、ポップでキャッチーで鋭く胸に刺さる言葉が散りばめられていて、私はやっぱり同時代を生きているこの人の言葉や物語が好きだな、と思う。
私が「どうしても生きてる」と次に感じるのはいつだろう。絶望の中に少しの希望が混じったタイトル。
毎日太陽が昇るまでパソコンに向かって仕事してた日々とか、産後の身体の痛みとか、つらかった瞬間はたくさんあれど、「どうしても生きてる」と表現するほど、絶望と希望の割合は偏ってなくて、たぶん希望もそれなりにあった。
絶望の割合が濃くなった現実に直面する時、私はこの小説の中の人たちのように、どうにかこうにか、折り合いをつけられるのかな。
Posted by ブクログ
【健やかな論理】
別にもういっか、といきなり風が吹いたみたいになる瞬間。そんな時ですら、1足す1の答えとして真っ先に2を選ぶ瞬間の輝きをもっていたい。
【そんなの痛いに決まっている】
心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は生きていけるのかもしれない。それが、誰にとっても誰でもない存在としてでしか向き合えない人であっても。それでも。
【籤】
ー悪いおみくじでも、あそこに結んじゃえば大丈夫になるから。ー
私、ひとつだけではうまく結べなかったけど、全部を繋げられるような気がしてきたよ。自分で籤を書き換えられるかもしれないなんて思えるほどの希望はないけど、それでも。
それでも、生きてる。どうしても、生きてる。
世界が暗転してしまわないように。
本心が叫べなくても、叫べる場所や人がいるのなら。
Posted by ブクログ
6編共、フィクションでありながら「実」が確かに見えて、読んでいて苦しくなった
現実にある闇や負の部分が生々しく突きつけられるが、一気に読み進んでしまった
抱腹絶倒のエッセイを書く朝井リョウさんと、同じ作家さんの作とは思えない
Posted by ブクログ
生きていく上で不条理なこと、理不尽なことに向き合わなければならないときがある
それでも人は立ち向かって生きていく
そんな現実をリアルに描いた短編集でした
セリフのひとつひとつ、登場人物の考え方が胸に刺さって、抜けない棘のようでした
今のわたしにはちょっと鬱がすぎました
同時に、やっぱり朝井リョウさんは令和という時代を表現させたらピカイチの作家さんだなと思いました
Posted by ブクログ
短編集
どの物語にも言えるが、フィクションに思えない人生のある部分を切り取って物語にしたような話。
盛り上がるような、劇的な場面ではなく、でもその人の人生史に残るような場面でもあり、その人の性格や立ち位置を表す場面だった。
どんでん返しがあるわけでもなく、ただ当たり前のように過ぎていく様子を描かれているが、それがすごくリアリティがあってとても面白かった。
Posted by ブクログ
本のタイトルが、全ての話に共通していることであり、ズシンと心に来る一文だなと思った。
どの話も終わり方はたいしてスッキリしないしハッピーエンドでもない。でもだからこそとてもリアルだと感じた。特に好転もしない、明らかな光が見えるわけでもない。不安も絶望も後ろめたさや後悔も、地続きでこれからも続いていく。でも、それでも。どうしても生きてる。
それぞれの主人公や登場人物に対して、どうしようもないな、共感できないな、クズだなとか思う場面も多かったが、でもなんとなく分かるような。そんなもの悲しさ。
最後の話の最後の二言が好き。私の立つ舞台。私の人生。
朝井リョウはとにかくリアルな話を書くし、衝撃的な事柄や設定の自然な挿入も上手すぎる。そして伝えたいことが分かりやすく伝わってくる。
Posted by ブクログ
人間、生きにくくても生きなきゃいけないんだよなとか、生きにくくても頑張んなきゃいけないんだよなとか、希望というほど輝いてるものじゃないけど、人生を並走してくれるようなあったかさを感じた。
六編の主人公たちの人生をもっと読みたいと思った。それぞれが長編化されても余裕で読めそう
Posted by ブクログ
生きることの複雑さや苦しさを鋭く書いた短編集。再読ですが最初に読んだ時よりも読みやすかったです。他の朝井リョウさんの作品も読んでみようかなと思いました。