あらすじ
死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。
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Posted by ブクログ
浅井リョウさん、今年度(2026年)の本屋大賞受賞されましたね~。私は、ノミネートされて結局2位だった?熟柿を読んでいて、とっても良かったのですが、もちろんインザ・メガ・チャーチも読むつもりです!
で、こちらは少し前の作品で文庫になっていて、友だちからおススメされたのでので読みました!
まず、タイトルがいいよね。私も、どうしても生きてるって感じが日々してるし。
6つの短編が入っているのですが、どれも良かったです。
1つ目「健やかな論理」
「・・・だから、○○に違いない」「~~な人が、自殺なんてするわけがない」などの、健やかな論理に反感をもっている女性のストーリー。人から見たら、何の問題もなく健やかに生きていて、悩みなんてなさそうでも、人って、突然死にたくなったりすることもあるやん。衝動的に飛び降りてしまう、とか考えられる。
2つ目「流転」
ストーリーテリングを考える自分と、漫画を描く友達とコンビを組んで、本気で漫画を作り続けた主人公。しかし実際にはそんなに世の中は甘くなく、新人賞を1つとったところから、伸び悩む二人。主人公は、恋人が妊娠したことでその道をあきらめ、就職した。相方は絵を描き続け、最近になってイラストレーターとして知名度が上がってきた。夢をあきらめるきっかけは、恋人の妊娠だったが、その胎児は生まれることなく、流産してしまう。そして就職先も傾いていく…。一緒に苦労して仕事をしてきた、信頼できる同僚から、一緒に独立することをもちかけられ、今度こそ、信じた道を進もう!と思うが、独立の話もまた、うまくいかず、同僚を裏切る結果になってしまう。人生って、なんて、大変なんだろう…。夢を追い続ければいい、あきらめなければ夢はかなう、なんて、その通りなんだけど、でも…。
3つ目「七分二十四秒目へ」
派遣社員・パートと、正社員の格差の現実を描いた物語。大手企業の中で、派遣社員として働く主人公は、一緒に働く同じく非正規雇用の人たちと、入れ替わったりしていくわけだが、正社員の人が異動や退職の際に盛大に送別会などを催される一方で、自分たちは契約が切れて辞めていくときも見えてない人みたいな扱いをされる。その哀しみを、同僚と共有もしないし、次はどこで働く、なんてことも話さない。ただ、口では「本当になんのためにもならない、バカな男たちがアップしているバカな内容の動画」とバカにしているYouTubeを七分二十三秒見て、次に進もうとしている…。
4つ目「風が吹いたとて」
夫と子ども二人がいて、クリーニング会社でパートで働く主婦の物語。夫は会社で順調に出世し、正しく生きてきたが、正しく生きることが正しいとは言えない。正しく生きようとするがために、苦しくなる人生…。
5つ目「そんなの痛いに決まってる」
キャリアアップを重ねる、子どものいないカップルの物語。夫側の目線で描かれているのだが、妻が順調にキャリアアップし、キラキラしているのに気づきつつ、自分の仕事の成長に陰りが見え始め、勝手にコンプレックスを抱いて妻に勃起しなくなってしまう、っていう、身もふたもない展開なのだが、なかなかシュールで良かった。夫婦関係のどうにもならなさが、深い。
6つ目「籤」
2分の1の確率で女に生まれた主人公。演劇が好きで、今は立派な劇場のホールスタッフの責任者として生き生きと働いているわけだが、中学生のころに母親が突然死し、そこからは苦労しながら自分の人生を築いてきた。
妊娠してから、なぜか、母がいないのに自分はちゃんと子供を産んで育てられるのか、という不安にさいなまれるようになる。そんなとき、夫から、出生前診断を受けよう、安心材料として、と持ちかけられる。
なかなか重いテーマだ。
結果、80パーセント?とかの確立で、染色体異常…みたいな結果を突き付けられる。そこで見せる、夫の弱さ。ハズレ籤をひいたことのない男。
この物語は、生まれてくる子供に本当に障害があったかどうかは書かれていないのだが、私としては、障害児を育てる自信がないからおろしてくれ、と夫に頼まれるけど、それを拒絶して出産した結果、子どもは健常児で、夫はほっとして喜ぶけどもう手遅れ、君の人としての信頼は完全に失われたよ?っていう展開がいいな、と思ったけど、やっぱりそこまで書かないのがいいんだろうな。そこまで書く小説家が凡人なのだろう。
Posted by ブクログ
短編集だが、どの話も最後にどんでん返しで
ハッピーエンド!…とはならない
勧善懲悪で読んでスッキリとはならないし
また明日も同じ日常がやってくるんだろうけれど
針先であけた穴のように
ほんのわずかな希望?
違う、生きなければいけないという感情がみえた
主人公は年齢、性別、環境すべて違うのに
なぜかすごく共感できて
まるで自分の話かのようにリアルだった