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ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。(解説・平岡篤頼)
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Posted by ブクログ
再読。箱男の手記。 絶対ありえない設定なのに、なぜかとてももっともらしく感じさせるところが、この作者の凄さだと思う。 途中から、あれ?人物が混ざり合ってきていない?と感じるようになり、箱男の役割が入れ替わっている。 その感覚がとても面白い。 箱男になる原因は複数あるように思われる。 見たくないもの...続きを読むは視覚に入っていても認識しないという人間の特性を利用し、箱男になることで誰にも認識されなくなる。その結果、世間が見たくない側面を覗き見ることができる存在になる。 刺々しい現実が、ダンボール越しに見ることで少し丸みを帯びる。 守られているという安心感なのだろうか。 見られる側ではなく、見る側に回ることが重要なのだと思った。 見ることには愛があり、見られることには憎悪がある。 ただ、一度箱男になると、そこから抜け出すには努力が必要になる。 すぐに世の中へ戻れるわけではなく、何かしらのきっかけが要る。 本人もそれを求めている。 気づいていながらも強がってしまうその心境に、なぜか共感してしまう不思議な作品だった。
狂ってるが故の散漫さや視点の目まぐるしい移動を感じつつも、どこか哲学を感じられる程の一貫性があるように思えます。 箱男が何なのか、何が見えてくるのか、その語りによって、異常な行動ではあると理解しつつも、それを上回るほどの魅力を感じずにはいられません。
序盤で物語に引き込まれるが、この展開と結末を予想できる読者はいないだろう 登場人物は自分と看護婦と医者の3人、終盤に女教師が出てきて構成が大転回する
ずっと面白いが、正直言って全体としては意味不明。 以下はなんとか整合をつけようとしたもの。覗くという行為は世界の中の対象に価値づけをすることであり、そうして初めて世間は成立する。つまり、覗かれることなしには世間、ましてや時空間が成立しない。一方、そのような視線で覗かれることは嫌悪を惹起するものでもあ...続きを読むる。覗かれることなく覗くだけの箱男はその意味で人間とは隔絶した存在である。そのため、彼らにとって対象は等価値あるいは一様に無価値なものであり、角が取れたものに映る。彼らの価値は箱の中の手近なものにかぎられている。しかし、覗かれるためであるとも思われる裸をもつ「女」に対しては、箱男は覗かれることに嫌悪を抱かない。そのような「女」に触れているために、箱男の「僕」は箱から抜け出そうとするが、結局それは叶わず、世界全体を箱の内側にしようとする箱男。だが彼は迷宮に迷い込んてしまう。これは世間から一度隔絶されてしまった箱男がもう一度その接点を取り戻そうとするが、それが失敗に終わる物語として読むことができるだろう。
7年ほど前に読んで再読。まったく覚えてなかった。 プロットのしっかりしたストーリーではなく、後半にかけてどんどん崩れていく。前衛的。 感想が難しいけど、とても面白かった。箱男と同じ年に出版されたのが、重力の虹であることに驚いた。
読み終わるのに時間が掛かったけどすっっごかった。 虚実が入り乱れるし、かなり観念的なんだけど、ぐいぐい引き込まれながら読んだ。 何にも縛られない、本当の意味での自由を求めると外に開くのではなく、内に篭もり孤独を選ぶしか無いというやるせなさ。 箱男は浮浪者と違い、社会から離脱した(自ら社会を捨て...続きを読むた)存在であり、社会動物ではない。 つまり人間では無いのに、社会を見つめ続けたいという欲求だけは捨てられないアンバランスさが苦しかった。 学校にも行きたくないし、遊びに行く気にもならないし、誰にも指図されたくないし、誰とも話したくないけど学校で何が起きたかは知りたいし流行も知りたいからTwitterやインスタやテレビをぼーっと見るみたいな日は生産性も無くて、自分で自由にそういう1日を作り上げたはずなのにただただ苦しい感覚があって、それって箱男的生活だなぁと思う。 だからこそ見られることなく覗きたいという狡さが歪んで箱男になっていく彼らは他人事じゃないと強く感じて怖かった。 この本を読んでる間にメンタルがかなり落ちたときがあって、そのときは本当に箱男になりたいと思った。 時間をかけて読んだのと、ぼんやりとしかこの本のすごさを理解できなかったのが悔しい。 解説を読んでからもう一度読み返したくなった。 安部公房が東大理III出身だからか、箱男として生活したとき、視力がどのように変化するのか、発汗作用がどのように変化するのか等々の詳細が生々しかったのが、かなり観念的な内容が含まれているこの本にリアリティを与えていたように感じる。
正直読み終えた直後は、ほとんど意味が分からなかった。 誰が本当の箱男なのか。ノートを書いているのは誰なのか。何が事実で何が嘘なのか。読み進めるほどに全てが曖昧になり、途中からは登場人物の言葉すら信じられなくなってしまった。 しかし不思議なことに、読み終えて数日が経つと、この作品について考える時間...続きを読むが増えていった。理解できなかったはずなのに、気づけば作品のことを考えている。『箱男』は読んでいる最中よりも、読後にこそ真価を発揮する小説なのかもしれない。 この作品で私が最も揺さぶられたのは、「真実とは何か」という問いだった。 物語は、箱男を観察していた男が箱男となり、その記録をノートに綴る形で進んでいく。しかし途中で偽箱男が現れ、ノートの筆者すら曖昧になっていく。読者は当然、「本当の箱男は誰なのか」という真相を求める。しかし、その答えを追えば追うほど、そもそも何を根拠に真実だと判断していたのか分からなくなってしまう。 私はこの小説を通して、主観と客観の境界について考えさせられた。主観を証明するためには客観が必要だ。しかし客観もまた、誰かの主観的な観測の上に成り立っている。そう考えると、主観にも客観にも絶対的な確実性は存在しないように思えてくる。 そんな時、私の頭に浮かんだのが、哲学者ニーチェの 「事実は存在しない。存在するのは解釈だけである」 という言葉だった。 『箱男』には、おそらく唯一の正解は存在しない。本当の箱男が誰だったのかという問いもまた、決定的な答えへ辿り着くことはできないだろう。しかし、それは欠点ではない。むしろ読者それぞれの解釈によって異なる真実が立ち上がることこそ、この作品の魅力なのだと思う。 『箱男』は答えを与える小説ではない。読者の認識を揺さぶり、真実だと思っていたものの不確かさを突きつける小説だと、私は感じた。
いやぁ、複雑すぎるし藤子不二雄すぎる(つまり不思議) いきなりダンボール被った生活。 他にもダンボールを被ったライバル? 欲を解放した姿がダンボール(でも覆われている) 凄く格好いい比喩や表現が出てくるので、おーっ!と感動しつつ、話は藤子不二雄。 翻訳こんにゃく必要。
高校2年生の課題で、7人の文豪の作品を一冊ずつ読むことになった。その7作品の中で一番面白かった。サイコパスや「家族ゲーム」を思い起こさせる。
この小説は、誰しもが持つ隠れた欲望、見たいが見られたくない、を「箱男」を通じて暴くが、誰の視点からこの話を語っているか、箱男か贋箱男の視点なのか不明瞭で定まらない。読者に不安を抱かせる。あとは、坂を目的の家に上がっていくと言うシーンが何度も出てくる。前進しているようで前進していないことを読者に暗示...続きを読むする
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箱男(新潮文庫)
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