【感想・ネタバレ】箱男(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。(解説・平岡篤頼)

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映画がベルリン国際映画祭へ招かれたと耳にし、十数年振りの再読。段ボール箱を被って町中を徘徊する時点で奇異。そして贋箱男や看護婦との目まぐるしい遣り取り。いや、遣り取りはシンプルだが構成が躍動的でラストは置き去りにされる。読者置き去り小説であり、命題に至っては難題としか言い様のないテーマ。40年近く前に出版された当時はもう少し現代より監視の目も緩く生きやすかった筈だが、箱男にならざるを得ない程の窮屈さ。箱男になったからこその解放感や孤立感。理解するには至らぬが断片だけでも初読より触れたかな。

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2024年11月04日

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今月、、、今年、、、、、、人生一面白かった小説だった。
「安部公房」という作家や「箱男」という作品の存在は知っており気になっていた。映画化するということを本屋でふと思い出し手に取り、購入してみた。

昔の作品だから面白いと思えるか不安と思っていたのも束の間、新聞記事!最高の書き出し!!箱の製法!!の3コンボで完璧に心を掴まれてしまった。
そこから更に、断片的な場面の描写がずっと続いていき、書いているのか、書かれているのか、その人は存在しているのか、想像か、嘘か、小説世界の話なのか、現実世界の話なのか、すべてが曖昧になっていく感覚がとても気持ちが良かった。
文体も美しく、読みやすく、それのお陰で余計にのめり込んでいき、1文、1文しゃぶりつくように読んでしまった。(こんな感覚『煙か土か食い物』ぶり、、、)
きっと、この小説を10%ぐらいしか理解が出来ていないのだと思うが、それでも素晴らしい作品だったと思える作品だった。
この先もまた、何回も何回もこの小説を読むだろうと確信ができる。

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2024年09月07日

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ネタバレ

今作『箱男』は何とも形容しがたい刺激的な作品です。

まず、そもそもタイトルが謎です。『箱男』って何?

私は阿部公房の『箱男』という作品について、これまで名前だけは知ってはいたのでありますが今回いよいよ実際に読んでみることになりました。

私はてっきりチェーホフの『箱にはいった男』のイメージで、何か観念的な物語かと思っていたのですが読んでみてびっくり、物理的に本当に箱をかぶった男の話だったとは!

ぜひぜひおすすめしたい作品です。三島由紀夫を学ぶ流れで読んでみた作品でしたが、その作風の違いなども感じられてとても楽しい読書になりました。

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2024年08月28日

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「ぼく」って、誰?

見ることと、見られること。
見られずに見ることと、見ずに見られること。

見ることは、相手への優越性であり、支配欲であり、それが相手からは自分が見えないとなると、危険な中毒症状を引き起こす。
箱の内側が覗き屋の領分ならば、逆転して、箱の外側が内側ということも有り得る。
ダンボール一枚を隔てて、どちらを内側と見るか、外側と見るかの違いだけだろう。

「箱」という安全装置は、箱に書かれた落書き(=ノート=遺書)であり、実際の「箱」という物質がなくても作用するのかもしれない。
見えているのに、見ていない。
それが、黙殺。
箱男も、言わば黙殺されている。

ところで、結局、本物の箱男は誰だったのか?
少年Dが出てきたあたりで、女教師=奈奈ならば、軍医殿という線が濃くなってきた気がするけれども。
しかし、まだ開幕のベルが鳴っていないのなら…。
箱男は書き手であり、読み手であり、…私だ。

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2024年08月20日

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ダンボール箱を頭からすっぽりと被り都市を徘徊する男。
新聞記事、AからDの挿入文、白黒の写真、そして箱男を名乗る語り手の「ぼく」
様々な表現で様々な物語を語り、その先にあるのは嘘か誠か。
意味がわからないのに惹きつけられ、気づけば読み終わった衝撃の一冊→

読み終わってからだいぶん経つけど、今読み返してもやっぱりわからない。
安部公房氏が目指す先がわからない。語り手が「元カメラマン」というのが意味あるのか、贋箱男とのやり取りが大事なのか、それとも看護婦か。

クライマックスで本当に意味がわからなくなり、最後の1行を読んだ瞬間、脳内が→

「?」で埋まった(笑)
全ては嘘?幻?いや、でも確かにそこにあるはず……いやいやでも?

この、夢と現を行き交う物語が安部公房氏の描く世界だったり、する?(砂の女もそんな感じだし)いや、違うか。違うよな。

難しい……でも読み切らせる安部公房氏の文章はマジですごい。他も読みたい。

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2024年06月16日

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久しぶりに再読したが。エキサイティングすぎる。後半の視点が変わりまくるあたりのついていけなさすごい。

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2024年04月01日

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映画化のため、観に行く手前で再読。
学生時代に偏読した安部公房、いろんな人に貸したりしていたので「箱男」はどこかに行ってしまっていました。
なので再購入。

入れ替わる。
贋医者
贋箱男………
そして、ノート

匿名性で「覗き見る」行為と一方的にせまい箱のなかで評価分析を繰り返す。
よく、書評にインターネットの匿名性に類似していると指摘されるけれど、ホント50年前によくこんな小説ができたなぁと驚く。

あるいは、匿名になりたい願望は昔からあったのかな。
民主主義の究極って…共同体を放棄したその先には…
モヤモヤします。


2015.08.16
初めの出だしに衝撃を受け、
誰が誰だか分からくなる・・・(壁もそうであった)

それを「ぞっとする」「不気味に感じる」のは日頃いかにアイデンティティを無意識に依存しているかということなのかな、なんて思いつつ・・・。

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2024年09月23日

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ネタバレ

ダンボールを被ってまちにでる?
箱男が家の前に住み着く?
隣の家のトイレを覗き見?
箱の下ははだか?

突飛なようだけど、安楽死やら路上生活者の記事やらなにやら社会問題がちりばめられていて。

死んだ僕のしたいを打合せ通り醤油工場のうらにすてる?

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2024年12月10日

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前半から中盤までは面白く読んだ
後半は安部公房の実験的?文章に困惑される。
部屋の隣は路地だったりのパラレルワールドで、すっかり、まんまと迷子になる。
面白いけど難解。難解だけど面白い。非常に引力は感じる。箱男のフィギュアがあったら欲しいなと思う私はもう箱に囚われてるのか?(箱自体はまだいらないけども)
匿名性を纏い無遠慮に箱の中から世の中を見る箱男と顔出しで見られる事を意識する女。読んでてネット社会(特にSNS)と重なりハッとした。
だとしたら安部公房凄いな!と思う。

あと何だか無性につげ義春を読みなくなった
とくに「ねじ式」ね。

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2024年09月22日

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ただいま映画『箱男〜The Box Man〜』が上映中である。公開日以降、最初の日曜日に観に行った。僕の個人的な事情なのだけれど、今年は、かつてないほど映画を観ている。俳優さんの演技というものについて理解を深めたいと思ったからだ。というのも僕の好きだった俳優さんは、演技について“天才”とすら称されることもあるほどに、演技について評判が良かった。にも関わらず、僕は素直に彼女の演技の評価を受け入れることができなかなった。実際、TVドラマや映画などで彼女の演技を観ても、彼女と、他の役者さんの演技の違いについて明確な“天才”たる理由や根拠を見出すには、いまだ至っていないのだ。僕は彼女の演技は好きなのだけれども、それは彼女の存在自体が好きだから、演技についても手放しで褒めているのだと、僕自身について、そう思われるのは不本意でしかない。彼女の演技は、演技としての確実な裏付けをもって堂々と評価したい。それには僕の、演技に対する理解を深める必要がある。僕は、僕自身の言葉で彼女の演技を賞賛したい。

さて。なにやら大幅に脱線しております。申し訳ございません。せっかくなので脱線ついでに、もう少しだけ映画版『箱男』について。
難解といわれる安部公房の物語だからこそ、俳優さんの、生き生きとした演技のぶつかり合いが発揮されていて、心ゆくまで堪能できた。この映画については、考察などは不要だろう。なにせ安部公房『箱男』の映画化なのだから。今年観た映画では、これまでで一番よかった。

『箱男』
箱の中の男の物語には違いはないのだけれど“箱男”が“箱男”として世界を覗き見る行為に終始するのかと思いきや、“箱男”は意外にも、あっさり“箱”を脱いで現実と向き合う“箱男”の物語だった。やっぱそうだよな、いかにも安部公房の物語らしいと思った。
“箱”に入る行為は一見、現実逃避のようだけれども“箱男”の真の“箱男”たる所以は、圧倒的な彼の主観のリアリティにあったと思う。一方、現実逃避として“箱男”に執着した“贋箱男”もまた、そこに彼なりのリアルを見出したのだろう。きっと“箱男”ってそういうものでしょ?

映画館にて。『箱男』の観客は、いつもの映画よりオジさんが圧倒的に多かった。きっと皆さん、安部公房の読者なのだろうな、と思った。

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2024年09月02日

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映画公開と知って急遽読んでみた。
覗き見の秘密的なゾクゾク感、高揚感、罪悪感
それだけではないなにか
なかなか難しい。ダンボールを被ることで常に覗き見している自分がいて、周りからはただのゴミとなる。わかるようなわからないような、いったいこの話しの語りてはどこに行きつきたいのか?
真実がどこで、あるいは妄想なのか?
語りては、いま誰なのか?
混乱!
はたして映像化されたらどうなるのか?怖くもあり、のぞいてみたくもある。

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2024年08月22日

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映画の予習のつもりで読んだがよくわからん。
本物の箱男は軍医殿?
冒頭から登場するAは贋医者の贋者となって女と暮らした?

見る、見られるの関係性がテーマとしてあるようだがそれを突き詰めたようなDの場合を読むと変態的なオチになりそうに思える。

匿名性を保ったまま一方的に対象を観察する箱男はSNS隆盛の現代とも重なるか。そういう見方は薄っぺらいような気もする。

終わり近くの女との別れのシーンが切なくて感傷的になってしまった。情緒的な小説ではないのに。

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2024年08月04日

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安部公房って…文豪みたいな立ち位置なのにこんな変態なんだーと下世話な感想を抱いてしまった。
これを現代のハラスメントだらけの世界に発信したらまた炎上するのかしら。。
てか箱男、ちょっと魅力的。やってみたい。女だから箱女か。
映画化ってどうやるの?完全に監督だかの解釈によりますよね。
読んでる間、つげ義春や小林泰三はこの人の影響を受けたのかなぁと気になりました。

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2024年07月30日

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文章はめちゃくちゃ面白い!
ストーリーが面白いかと言われると分からない。ノートの書き手だれや?みたいな感じになってからは完全に理解はできなかった。けど混乱を楽しめた気はするから良しか?もう少し読書上級者になってから読み直したい。

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2024年06月20日

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高熱でうなされた夜の夢のような、筒井康隆『パプリカ』の映画版のような、はたまた『ボーはおそれている』のような、ふわふわと掴みどころのないまま言葉の渦に巻き取られていく気持ちよさ。
中学生のころ読み切れなかった箱男ですが、新装版&安部公房生誕100年とのことで再挑戦しました。とても面白かった!

論理的に詰めて理解するというよりも、読んだときの感情や文章のテンポを楽しむ作品のように感じます。
言葉選びが好みで、何度も読み返したくなるような比喩(p46.その微笑は固めた空気を彫って、光の刷毛で色をつけたように淡くしかも無防備で...)や官能的な表現も魅力的。

必ず再読します。

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2024年04月20日

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背伸びして安部公房氏を読んでいる。
映画化になり、積読から手に取った。混乱する。難しい。
何方か書いていらしたが、最後まで読ませてしまうのが安部公房氏。次が気になってしょうがなかった。
人の数だけ、内側(心の中)の世界がある。でも内側の世界だけでは生きていけなくて外側(世間、世の中)と接するけれど、心を安全なところに置いておくには、諦めたり、傷を負ったりする。
内側も外側もバランスを保ちながら。平均値を演じながら。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

見事なほどの予想外の展開に、
ついていくのが大変だったけど………

何故か惹かれる箱男。
いや、私はあの箱、五万円で買おうと申し出がでるほどのあの箱に惹かれている。
入ってみたい。
そして覗き窓から世間を見てみたい。


話は単純ではなく、登場人物も少なくない上に裸になる事が多いし怪しい事も繰り広げられるので、話が複雑怪奇?でややこしくありながら、摩訶不思議な世界にどんどん引き摺り込まれていく感じ………。
これがある種の快感になる。

作品中にモノクロの写真が何枚か挿入されている。文庫の表紙もそれだ。
安部公房本人の撮影のようだ。
時代は違うが、森山大道を思い出す。

石井岳龍監督により映画化の運びとなり、長い時を経て2024年公開へ。
楽しみ。

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2024年03月01日

Posted by ブクログ

箱を被り生活する男、設定が最高に面白かった。内容は意外に複雑で噛み締めて読まないとなかなか理解できなかった。
永瀬正敏主演で映画もやるので絶対に観たい。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

ある日、箱をかぶることによって別の存在になれると思った男が、箱男のなり方から、のぞき窓から見る世界について独白調に書いたし小説風の物語。
何度も見るを多用しているように、一方的に見る、注視する、覗き見ることに意識を向けていて、描写もとても細かくズームしていくが、よく読むとそこまで見えるはずもなく、音や匂い、又は妄想を実際にみえているように書いている。
とすれば、この箱男も男が箱を被りその中で妄想しているのではないかとさえ思う。
自分は見ているが相手はこちらを見ない、何かを挟んでみる、または意識されないような存在になる。
文中でも箱男の変装とあるので、気にされない、又は気にしてはいけないと思わせる存在になる、それから見られているという被害妄想のようでもあって、自分から向いた矢印が実は自分に向いていた。みたいな読後感を味わう。

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2023年12月06日

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どこまでが現実で
どこからが空想?
読みやすいんだけど
虚を突かれる
なんだか長い間夢の中を
さまよっているような感じ

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2024年12月09日

Posted by ブクログ

安部公房の小説を読むのは学生時代以来〇十年振り。安部公房も今年(2024年)で生誕100年になるのか。

 最後まで読んでも、混乱と言うか、不思議な気持ちで一杯。
 ダンボールの空箱を頭からすっぽりかぶって、箱男の側からは覗き窓を通して外が見えるが、外の人間からは箱をかぶった者がどんな人間なのか分からない存在。見るー見られる、覗くー覗かれるの関係、現代社会における匿名性の存在といった内容面においてもいろいろ考えさせられる作品だが、本書を特長付けるのは何と言っても複層した語りの問題であろう。
 主な登場人物は、元カメラマンの「箱男」。彼の前に現れる看護婦と医者の「贋箱男」。医者は実は贋医者で、自分が世話をしていた軍医殿に代わって医療行為を行っていたという。
 本作では、まず箱男が書いているノートから始まる。そして箱男と贋箱男との会話があるのだが、それを読んでいると、本当にこのノートの内容を書いているのは誰なのか、良く分からなくなってくる。また別の話として、変死した軍医殿に関する贋箱男の供述書があり、軍医殿の語りが続く。さらに《ここに再び そして最後の挿入文》とのタイトルのもと「そろそろ真相を明かすべきときがきたようだ。箱を脱いで、ぼくの素顔を見せ、このノートの真の筆者が誰であったのか、真の目的は何であったのかを、君だけは正確に知らせておきたいと思う。」(184頁)とあるのだが、そこを読んでも正直分からない。

 おそらく作者は綿密に計算してこれらの語りを構成し、読み手に対する書き手=作者として現れてきているのだろうが、一読したくらいでは歯が立たなかった。
 しかし、メインストーリーは釈然としないながらとても面白く、それに加えて印象深い挿話が挿まれていて、いろいろなイメージを喚起することができた。

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2024年11月24日

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1924年3月7日生まれの安部公房は
今年生誕100年
遺作「飛ぶ男」文庫新刊
本屋で新潮文庫安部公房平積でアピール中
ただし、それほど盛り上がっていないのではと
私としては、どうせ理解できないのであれば
「百年の孤独」より 安部公房を推したい
そして、今年「箱男」まさかの映画化
ーそれは、人間が望む最終形態ー

「壁」で芥川賞、「砂の女」で読売文学賞
戦後派の代表的な一人となる
非現実的な世界の中に現実の不条理を浮かびあがらせる超現実主義的手法をとり
社会の中での人間の実存を追求した
(国語便覧より この文章の具体的な解説が欲しいけど その具体化が箱男かとも思う)

持っている文庫は、奥様の安部真知さんデザインの古いもの
ご夫婦とっても仲良しだったみたい

小説の中に何枚かの写真が入る
それらは 作者が自分で撮ったもの
カメラもお好きだったようで
なかなかのコレクターだった様子

ダンボールの箱を頭からかぶり、
都市を彷徨する箱男
一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで、彼は何を求めたのか
主には箱男のものとされる記録で語られるが
偽箱男が登場して 存在が一層曖昧になる
また 後半には 突然の独立したエピソードの挿入があり 時間場所とほぼ理解できなくなる

箱の中での生活
自ら情報の遮断
他社の視線からの隔離
にもかかわらず、他者への関心は残る
全くの孤独は望んでいないのかもしれない

経済成長が終焉となる時代の変わり目
上野でダンボールをかぶったホンモノの箱男を見たことで この作品を書いたらしい
だから、自由に読めばいいの
だってホンモノが居たのだもの

テーマは徐々に見出していくというところかな


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2024年10月17日

Posted by ブクログ

全然わからなかった。
でも、ずっと読み続けてしまった。
なんと言葉で表すのが最適なのかはわからないが、この意味のわからなさがわかるかもしれないもいう不思議なワクワク感がずっとあった。でも、最後までわからないまま終わってしまった。
俺も箱を被ればわかるようになるのだろうか。

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

『箱男』
映画化により、購入。

段ボールをかぶり、その中に生活の一切を仕込んで歩き回る『箱男』。

覗くことに魅せられ、箱の前面にあけた窓から外の世界を覗き、その限定された世界に魅せられる。

見ること、見られること…
『贋箱男』が現れ…『贋医者』も…
途中から何が現実で、何が幻想なのかが…

作のアングルスコープで、女教師のトイレを覗く少年D。たが、見つかってしまい、罰として、女教師から『覗かれる』…

『箱男』イコール『覗く』なのか…
『覗く』ことによって見える世界。
限定的で、『覗く』ものにとって、中毒性があるのだろう。
『箱男』から見た世界、を想像していたが…
そんな単純なものではなかった…

とにかく難解…

これをどう映画化するのだろう…



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2024年08月17日

Posted by ブクログ

 書き手がどういう心情で本内容を記載しているのか、何が真実であるのか、そういった全てが読者に委ねられている作品であり、私の実力不足で内容を十分に理解できていないように感じます。
 見ることと見られることの関係性について、人は主体的に覗く側でありたい、そのために地位や財産を捨てても構わない、という箱男の価値観。こちらにはつい賛同してしまいそうに思いました。
 作者の独特な比喩表現は惹きつけられるものがあり、また、箱男は誰にでもなれるような描写が少し怖かったです。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

映画の公開に先駆けて読んでみた、安部公房の作品は「砂の女」に続き2冊目。

うーーん、難しい話だった。
書き手がコロコロ変わるから、今は誰目線のどの話なのか(それもどこからが現実でどこまでが妄想なのか)が分からない。分かりづらいじゃなくて全く分からない、如何様にも解釈し得るように見える。
文章の主体はAなのかBなのかCなのかはたまたDなのか、カメラマンなのか軍医殿なのか贋医者なのか、文中の「ぼく」は本当に書き手なのか、「きみ」は誰を指すのか、箱男なのか贋箱男なのか、そもそも誰が本物の箱男だったのか。
何も分からないまま映画「複製された男」を観終わった時のような読後感に包まれた。

「見られずに相手を見る」に固執した究極形態が箱男。覗き見の最上級。「ニュースを追いかける」ことに固執していた箱男が出て来るけど、「ニュースを見る」という行為もある種「見られずに(世界を)見る」の一つなのかもしれない。

作品冒頭の箱男の描写はとても細かく巧みで具体性に富んでいて、箱男になることの麻薬的な魅力が伝わって来る文章だった。もし手元に適当なサイズの段ボール箱があったら、試しに被ってしまっていたかもしれない。危なかった。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

見ることと見られることに、恐ろしいほどに敏感。
現代の匿名SNS時代にも何か通じるものがありそうだと感じる。

また落ち着いて読み直して、ゆっくり咀嚼したい

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

正直途中からこんがらがって良く分からなくなってしまったけれど、良く分からないからギブアップとはならず最後まで一気に読めてしまった。
映画どうなるんだろうか、D少年の下りとかやるの?

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2024年03月02日

Posted by ブクログ

ストーリーを楽しむものではなかった。実験的というか、前衛的というか。見られることと見ることが入れ替わり、本物と贋物が入れ替わり、書き手と書かれる側が入れ替わる。ものすごーくかみ砕かないと、もしくは箱に入った男というところだけを取り上げないと、映画にならないのではなかろうか?

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

読んでいて迷路に迷いこんでいく感じで、それに関して難しいとかよりも面白いという気持ちが勝ってどんどん先を読んでしまう。それも明確な解決に向かうというよりは、どんどん迷宮の深部に入り込むような感じで抜け出せなくなっていく。
解説を読んでなるほどなるほどとはなりました。
誰が語り手で誰が語られていて、誰が見ていて見られているのか。もっと言えば誰が書いていて誰が書かれているのか。主が明確でいて不明確。メタ系のような違うような不思議な読書体験でした…!江戸川乱歩が好きなので、所々にフェティシズムや奇々怪々な感じが漂っていて個人的には好きでした。

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2023年12月02日

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