無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
極めて美しい名作。
「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアブラクサスという」という有名な一節は、本作の核心であり、文章としても圧倒的な美しさを持っている。
友人デミアンは、単なる理想的な友人ではなく、主人公シンクレールの内なる「本当の自分(明るい世界に生きる自分)」が擬人化された存在なのではないかと考えた。最後の描写も、彼自身の中に統合されて消えていったということではないだろうか。
デミアンの母であるエヴァ夫人については、人が真に願う「運命」や「願い」そのものの擬人化であると考えた。
哲学的で学びが多く、もっと早くに読んでおきたかった。何度でも立ち返るべきとして、生涯大切にしたい一冊。
Posted by ブクログ
のっけから
「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」
と書かれ、ちょっとさせられる。本編は戦争中に執筆された。
「われわれはみんな同じ深淵から出ているのだ。しかし、みんな、その深みからの一つの試みとして一投として、自己の目標に向かって努力している。われわれはたがいに理解することはできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。」
タイトルの少年が主人公かと思われるが、主人公はエーミール・シンクレールという別の少年だ。子供社会にもいじめっ子といじめられっ子がいる。些細な嘘をついてしまったシンクレールは、絵に描いたような悪ガキクローマーから、わかりやすく金をせびられ、「姉を連れてこい」などと無理な要求をされる。両親にも相談できず困っていたシンクレールは、転校生のダミアンに救われる。ここでシンクレールは、これまで両親と共に暮らしていた善だけの世界とはちがう、もう一つの世界がある事に気づく。
ダミアンはシンクレールにカインとアベルの逸話や、明と暗の両者が存在している二つの世界について語る。つまり、彼は主人公に、気づきを与える存在である。最後に戦争という、個人の力ではいかんともし難い出来事が登場するが、それでも自己形成により、自分を保ち、常に新たな自分を作り出していくことによって、自身の人生を形成していく。
Posted by ブクログ
裕福で光しかない世界に産まれた少年が密かに闇に憧れを抱く。嘘の悪さ自慢をしたらシンクレールに脅されて1時不幸に陥ったが転校生の年長者で神学校にいながらも聖書の内容を先生が教えるものと反した解釈をする不思議なデミアンに救われた。その後主人公はデミアンに惹かれっぱなしだったがある日デミアンが思考の深みに入った時から話さなくなり高校生になった。高校生になってから主人公は酒を飲んだり途中デミアンと出会ったもずっと堕落していたが途中自分にとって神と言えるような少女を見つけ絵を描き神と名付けピアノ奏者に出会い別れてからまた元に戻った。その頃にデミアンと再開し、デミアンの母と出会えた。母は主人公が信仰してた絵の女性そのものだった。そこからゆるやかに3人の生活が始まるがある日デミアンがまた深みに入りその数日後に戦争が始まることになる。シンクレールももちろん徴兵されて弱った状態で爆撃にあい土の中で暫く放置されていた。テントに帰り治療を受けていると隣にデミアンがいて母がデミアンにしてくれたキスを新クレールにもしてくれたが寝て起きるとデミアンではなく知らない兵士だった。
一つ一つの描写が綺麗で、導く者、導かれるもの、悪と善の対比、デミアンの神聖さ、読心術、爆撃の時の幻覚、読んでて楽しい。最後はシンクレールの幻覚でデミアンもシンクレールも死んでしまったのかな。
Posted by ブクログ
『われわれは互いに理解する事はできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。』
本書を読んだ動機はアニメ「Ave Mujica」で主人公の豊川祥子が、社会の歯車に狂わされ、選択を迫られた際に本書を読んでいた描写が存在したからです。
本書では、はしがきに書かれている、冒頭に書いた一文が全てを物語っています。『アプラクサス』という神、すなわち自分自身の心に存在する意志に従え、さすれば何事にも覚悟を持って挑めるだろう、というところでしょうか。
キリスト教圏の絶対的な世界で、密かに神は居ない、自身の内から湧き出る衝動こそが従うべきものだという反キリスト思想に目覚めた主人公シンクレールの物語で、多くの物語が聖書から引用されます。(偶然キリスト教についてある程度知見を持っていたのでついていけましたが、何も知らないと度々調べることになりそうです)
物語が進む中で、シンクレールはデミアンとピストーリウスという友人と出会い、その中で内なる意志である『アプラクサス』を知るに至ります。この境地に至った人のみぞ知る『アプラクサス』という存在が神秘的かつ異端にならなければ知ることの無いワードという中二感溢れる存在でとてもわくわくしました。
『鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという』
そして、内なる衝動を知り、それに従うことはそれ即ち形骸化した社会の変化を望み、また時代の変遷における覚悟を持ち得ることだと知り、最後には時代の転換点である戦争に赴くところで物語は終わります。
自身を知ることが社会を知ることに繋がり、そしてそれを変える覚悟を持つものこそが、時代を進めるにふさわしい。とても力になる話で大変面白かったです。
最後に余談ですが、冒頭で述べたAve Mujicaのキャッチフレーズは『信じられるのは、我が身ひとつ。』
苦しい時こそ、自分を信じて覚悟を持つことが世界を変える為のきっかけとなるのです。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸