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ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
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Posted by ブクログ
極めて美しい名作。 「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアブラクサスという」という有名な一節は、本作の核心であり、文章としても圧倒的な美しさを持っている。 友人デミアンは、単なる理想的な友人ではな...続きを読むく、主人公シンクレールの内なる「本当の自分(明るい世界に生きる自分)」が擬人化された存在なのではないかと考えた。最後の描写も、彼自身の中に統合されて消えていったということではないだろうか。 デミアンの母であるエヴァ夫人については、人が真に願う「運命」や「願い」そのものの擬人化であると考えた。 哲学的で学びが多く、もっと早くに読んでおきたかった。何度でも立ち返るべきとして、生涯大切にしたい一冊。
のっけから 「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」 と書かれ、ちょっとさせられる。本編は戦争中に執筆された。 「...続きを読むわれわれはみんな同じ深淵から出ているのだ。しかし、みんな、その深みからの一つの試みとして一投として、自己の目標に向かって努力している。われわれはたがいに理解することはできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。」 タイトルの少年が主人公かと思われるが、主人公はエーミール・シンクレールという別の少年だ。子供社会にもいじめっ子といじめられっ子がいる。些細な嘘をついてしまったシンクレールは、絵に描いたような悪ガキクローマーから、わかりやすく金をせびられ、「姉を連れてこい」などと無理な要求をされる。両親にも相談できず困っていたシンクレールは、転校生のダミアンに救われる。ここでシンクレールは、これまで両親と共に暮らしていた善だけの世界とはちがう、もう一つの世界がある事に気づく。 ダミアンはシンクレールにカインとアベルの逸話や、明と暗の両者が存在している二つの世界について語る。つまり、彼は主人公に、気づきを与える存在である。最後に戦争という、個人の力ではいかんともし難い出来事が登場するが、それでも自己形成により、自分を保ち、常に新たな自分を作り出していくことによって、自身の人生を形成していく。
教科書以外で古典の作家さんを読んだのは初めてだったが、それが『デミアン』で良かったなと思う。 元々翻訳小説は苦手なのだが、『デミアン』はなんだか読んでいて楽しかった。翻訳小説特有の日本語の難しさがあったので、読み切るのに1ヶ月ちょっとかかったが、その分たっぷり小説の世界を楽しめたように思う。 しかし...続きを読む、聖書の内容がかなり出てくるため、その辺りの知識があまりない私としては、物語の根幹の部分を恐らく理解できてないんだろうな、と思う。聖書の知識をつけてから、再読したい。
文学国語の問題集にあって、気になって読んだ。 後半になるにつれて難しい言葉は増えるが共感できる内容が多かった。 人間関係、考え方の差異など私達が生きる中で通る道を別の視点から追体験できる本。
Demian Hermann Hesse, 1919 ヘッセの「デミアン」は誰もが聞いたことのある一冊、意外と短いので同じような少年、青年にも読んでほしい。読みたかった。 じっくり、急がず成長する。100年経っても普遍的な物語。
こんなにも心を動かす本は稀で、 古典と呼ばれるような一冊からどれだけ未知に触れたのか、 若いうち、発育の真っ只中でこの本に触れられて本当に良かったと思える本だった、 少なくとも個人的には。 シンクレアの魂の成長というものを俯瞰して眺めたその中で、 自分の道に従う人生を知った、道からは逃れられないとい...続きを読むう残酷さも。
かなり哲学的であり、宗教的でもあった。集中して読む必要がある。自分にはやや難しく感じたので、数年後また読みたい。ヘッセの描く思春期の少年の葛藤や苦難がやはり好きだと思った また、ヘッセ自身はこんなにも自己と向き合っていたのかと驚かされる。 2回目 また読んでよかった p191 肝要なのは、任意な運...続きを読む命ではなくて、自己の運命を見いだし、それを完全にくじけずに生きぬくことだった。ほかのことはすべて中途半端であり、逃げる試みであり、大衆の理想への退却であり、順応であり、自己の内心に対する不安であった。
『われわれは互いに理解する事はできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。』 本書を読んだ動機はアニメ「Ave Mujica」で主人公の豊川祥子が、社会の歯車に狂わされ、選択を迫られた際に本書を読んでいた描写が存在したからです。 本書では、はしがきに書かれている、冒頭に書いた...続きを読む一文が全てを物語っています。『アプラクサス』という神、すなわち自分自身の心に存在する意志に従え、さすれば何事にも覚悟を持って挑めるだろう、というところでしょうか。 キリスト教圏の絶対的な世界で、密かに神は居ない、自身の内から湧き出る衝動こそが従うべきものだという反キリスト思想に目覚めた主人公シンクレールの物語で、多くの物語が聖書から引用されます。(偶然キリスト教についてある程度知見を持っていたのでついていけましたが、何も知らないと度々調べることになりそうです) 物語が進む中で、シンクレールはデミアンとピストーリウスという友人と出会い、その中で内なる意志である『アプラクサス』を知るに至ります。この境地に至った人のみぞ知る『アプラクサス』という存在が神秘的かつ異端にならなければ知ることの無いワードという中二感溢れる存在でとてもわくわくしました。 『鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという』 そして、内なる衝動を知り、それに従うことはそれ即ち形骸化した社会の変化を望み、また時代の変遷における覚悟を持ち得ることだと知り、最後には時代の転換点である戦争に赴くところで物語は終わります。 自身を知ることが社会を知ることに繋がり、そしてそれを変える覚悟を持つものこそが、時代を進めるにふさわしい。とても力になる話で大変面白かったです。 最後に余談ですが、冒頭で述べたAve Mujicaのキャッチフレーズは『信じられるのは、我が身ひとつ。』 苦しい時こそ、自分を信じて覚悟を持つことが世界を変える為のきっかけとなるのです。
感想を書くのが難しい。哲学書寄りだが、小説の域を超えていないのがこの作品の魅力のように感じる。やはり少年時代特有の複雑な心情を描き出すのが抜群にうまい。読者は主人公と一緒にそれをなぞりつつ、各物語を共に体験し、共に考えることで、一緒に成長しているような気分になってくる。そういったさまざまな自己形成の...続きを読む段階を重ね、最後は生きていくことに対して一つの自信、指標のようなものを得られる。これは小説の読書体験として不思議で、そこがとてもユニークで魅力的に感じた。 どうしてこんなに巧いんだと、恐ろしく感じるくらい繊細かつ的確な心理描写で、没入感がすごい。
「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない」 この一文は、 『デミアン』という作品を象徴する言葉だと感じた。 物語は、 主人公シンクレールが旧約聖書の 「カインとアベル」の解釈や、 善と悪を併せ持つ存在「アプラクサス」 といった象徴...続きを読む的な思想に触れながら、 自分自身とは何者なのかを問い続け、 精神的に成長していく姿を描いている。 読み始めは少し難解に感じたものの、 物語が進むにつれて、 その難しさが作品の魅力へと変わっていった。 特に印象的だったのは、 「善」と「悪」を単純に切り分けるのではなく、 人間はその両方を抱えながら生きていく存在なのだという視点である。 自分の中にある光だけでなく、 影までも受け入れて初めて、 本当の意味で自分自身になれる。 そのメッセージが全編を通して流れているように感じた。 また、 読んでいる最中には、 心理学者カール・ユングの 「シンクロニシティ」や「集合的無意識」 を思わせる場面が何度もあり、 夢や象徴、 偶然とは思えない出来事が一つの意味を持って結びついていく感覚に強く惹かれた。 ユング心理学に興味を持ち始めた今だからこそ、 この作品をより深く味わえた気がする。 『デミアン』という小説は、 「自分らしく生きるとは何か」「本当の自己とは何か」という問いを読者自身に投げかけてくる作品だったと感じる。
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