作品一覧 2024/02/26更新 小説版 アオハライド 試し読み フォロー 読んで旅する鎌倉時代 試し読み フォロー 鎌倉香房メモリーズ 試し読み フォロー カラフル 試し読み フォロー 金環日蝕 試し読み フォロー 小説版 ストロボ・エッジ 試し読み フォロー 戦国恋歌 眠れる覇王 試し読み フォロー とっておきのおやつ。 5つのおやつアンソロジー 試し読み フォロー どこよりも遠い場所にいる君へ 試し読み フォロー パラ・スター 試し読み フォロー また君と出会う未来のために 試し読み フォロー 室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 試し読み フォロー 1~12件目 / 12件<<<1・・・・・・・・・>>> 阿部暁子の作品をすべて見る
ユーザーレビュー カラフル 阿部暁子 昨年読んだ「金環日蝕」が意外と面白かった阿部暁子氏の最新作。本書も期待以上に面白かった。 「金環日蝕」は社会派ミステリだったが、本書は高校生が主役の青春小説。車いすユーザーの少女・渡辺六花と夢を追い続けられなくなった少年・荒谷伊澄を主役に据え、障がい者と健常者の関わり方や障がい者から見た公共インフ...続きを読むラや学校行事のリアルとその是非を問う社会的テーマも内包。 「障がいを個性とは言わないで」 「本当は誰にも迷惑なんてかけたくない」 六花も友人達も本音でぶつかり合う。ぶつかり合いは軋轢を生むリスクがある一方で、互いを理解する気づきにもなる。特に六花とのやりとりを通して、伊澄がポジティブシンキングに変わっていくのが印象的。 《精いっぱいの力と誠意を尽くすことは、たとえ骨に食いこむ痛みを負うことになっても、きっと何かを残す》うんうん、わかる。 何をもって差別というのか?考えさせられたし、多様な相手の立場に立って物事を考える大切さを改めて学んだ。 心に残ったセンテンスもちらほら。登場人物も読者も前向きな気持ちになれる名言だ。 《神様は扉を閉める時、別のどこかで窓を開けてくださる》 《過去のことを思い返してもそれはもう絶対修正できないし、まだ来てもない未来のことを考えても絶対にそこに手は届かない。今からの一秒間だけが自分でどうにかできるものだ》 私は世代的に駅員の長谷川や家事代行の町子目線で読んだが、主人公ら青春真っ盛りの高校生達が織りなすやりとりが時に面映く、甘酸っぱさもあってよきかな。六花と伊澄の率直な会話のキャッチボールは直球勝負で気持ち良い。脇を固める友人達も個性派揃いでキャラクター造形も巧み。映像化しても映えそう。 文章で言えば、比喩表現も素晴らしかった。 《カッターできれいに切り抜いたような鮮明な言葉を紡ぐ》 《彼女の虹彩は赤みを含んだ薄茶で、氷をたくさん入れたグラスに注がれた上等な紅茶のような色をしている》 こういったセンスあふれる言い回しは、情景が目に浮かぶし、心地よい読後感にも寄与する。 おそらく老若男女問わず多くの読者のハートに響く小説だろう。ちょっと気が早いけど、来年の本屋大賞にノミネートされるのではなかろうかと勝手に予測。 Posted by ブクログ カラフル 阿部暁子 最初の出会いから衝撃的。 何かを感じる予感…それは良い意味での。 高校の入学式の日、駅のホームでひったくり犯を足止めしようとした車いすユーザーの渡辺六花とそれに気づき走り出した荒谷伊澄。 中学時代は走る事に全てを賭けていた伊澄が、足の故障で推薦高校も取り消しになり、自暴自棄の状態のなかで、気の進...続きを読むまない高校生活になるだろうなと… だが、中学2年で病気のため車いすユーザーとなった六花の存在が出会った日から気になりだして…。 彼女と接するうちに閉ざしていた心の扉が開いたようで、徐々に自分の思いにふたをすることがなくなる。 車いすユーザーだということで、学校行事は制限されるのかという問題。 物事を問題なく進めるために、誰かが犠牲になっていることを『仕方ない』で済ませようとすることが差別ではないか、という意見。 大人が自信満々に言うことでも間違っていることが往々にしてあること。 情報があふれるこの世の中で、それについて自分はどんな立場を取るか、どう行動するのか、あるいは何をしないのか、自分で考えて選択しなければならない。 何気ない言葉で傷つき、傷つけてしまうこともあって、それでも意見を言ったり、聞いたりすることで改善していけば何かが変わるはず…だと。 挫折を知ったものは、その後どうするかでそれ以降の生き方も大きく変わるだろうと思う。 単に高校生の恋バナというよりもそれ以上に若者たちの夢と希望を応援したくなるような物語だった。 Posted by ブクログ カラフル 阿部暁子 登場人物の言葉がストレートに響いて、とっても清々しい読後感。 障がいや差別という重たいテーマだけど、それぞれの立場での考えや思いを、みんながしっかり考えてそれを相手に伝えていて、すごくいい。 個人的には 「障がいというジャンルでくくるのではなく、前にいる人がどう思っているか聞いて、話して、よく考える...続きを読む」という伊澄の言葉が心に残った。 知らず知らずのうちに先入観で人を見てしまうことはあるけど、ちゃんとその人と対話して理解するって大事なことだなと改めて思った。 好きな映画「サウンドオブミュージック」から引用された言葉通り、新しい窓が開いてよかった! Posted by ブクログ カラフル 阿部暁子 いやー!青春だ! これは良い本を読んだ!中高生の教材にしたらいいのでは? 読んでいて、気づかせれることがとても多かった。 強くみえていた六花にも当然、悩んで苦しんでどうにもならい時期があり、母親ともこじれてしまってそれでも自分を意見を意思を伝えようとする姿に泣けた。 母親に思いを伝えたときは泣いてし...続きを読むまった。 荒谷がまた良い。 六花がどー考えてるのか、何をすべきか、クラスメイトに対してもきちんと向き合ってすごい。 想いが通じて良かった! 担任の矢地が最初どうかなと思ったけど、いい先生でよかった! おすすめ!! Posted by ブクログ 金環日蝕 阿部暁子 波に呑み込まれるように詐欺グループの一員になってしまっていた理緒。 自分から詐欺グループに突っ込んでいった錬。 対照的なようで他人からの暴力によって、さらに家族を守る正義感からこの道へ進んでしまった事を思うと似た者同士なのだろう。 一般人に見えた人にも裏の顔があり、人の顔は一面ではない事を思い知る。...続きを読む 2つの物語が重なった時よくあるパターンは、残り数ページで色々諸々が種明かしされ『あれはこれだったのか』とスッキリしてエンディングとなるのだが、この小説はその種明かしは早めに訪れる。しかしそこからの展開はエンディングに向かうというより第二章が始まったような濃さでまた引き込まれる。ものすごく長いエンディングと捉える事も出来るが。 最後の種明かしも明言はしてないが、確実にそれと分かる表現で伝え方が上手いと思う。 とにかく最後まで面白かった。 好きな作家さんがまた一人増えました。 Posted by ブクログ 阿部暁子のレビューをもっと見る