あらすじ
知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが──いったい春風は何に巻き込まれたのか? 『パラ・スター』『カフネ』の俊英が、〈犯罪と私たち〉を切実に描き上げた、いま読まれるべき傑作長編。/解説=瀧井朝世
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途中から急に面白くなってきて、最後は泣けてしまった。自分はどこからきた何者なのか知りたい時、家族の存在が導いてくれたり迷わせたりする。その中に1つでも愛を見つけられたら、あとは自分で歩いて行くしかない。
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オーディブルにて
最初の心が痛くなる出来事があり、もう聴くのをやめようかと思った
でもコメントや感想を読んで、心を奮い立たせて最後まで聴きました
途中からは一気に読み進めることができました(現金だなー)
印象にのこったところ
ラスト、春風がタクティカルペンを川に投げ捨てるかと思った
そうだとちょっと興醒めだ、と思っていたらそのまままたポケットへ
この部分の動作に人の心の弱さ、でも少しづつでも前に進んでいる、葛藤のようなものを感じることができた
そうなんだ、簡単になんでも割り切れるはずはない
りおも強気な顔を見せてはいるが、きっと奥にはいろんな感情が決心が、揺らぎが隠れているのだろう
錬くんもそうだ、彼こそもっと複雑にいろんなものを抱えているんだろう
金環日蝕、4文字めが「食」ではなく「蝕」だったのを読み終わって気がついた!
なるほど、蝕んでいるのか
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他人から見えているのは輪郭だけで
中心は闇かもしれない。
その闇に呑み込まれないように
みんな必死に前向きに生きている。
自分で自分を諦めない限り
その闇から抜け出し
また立ち上がれると勇気をもらえた作品。
北海道が舞台で
北海道大学,旧北海道庁、北三条広場、札幌テレビ塔などの景色が沢山出て来て旅のお供にしたい。
フジサキ視点から突然の春風登場に始まり
衝撃の展開が続き、夢中になって読み進め
ミステリーとしても読み応え抜群。
・印象に残った部分
人は孤独でそばに誰がいようと
誰にも頼れないことはたくさんある。
むしろそんなことばかりだ。
けれどそれでも、彼には忘れないでほしいのだ。
今まで彼がしていた、闇の底をたったひとりで
歩くような闘い方は、もうしなくていいのだと。
私は弱い。私は囚われている。
私はそれを認める。
けれど弱く脆い人間が、その弱さと脆さによって、
立ち上がることができると私は信じる。
私は学び、努力し、時にゆらぎ、それを克服しようとあがきながら、私が変われるということを証明する。
証明すると決意する時、私の未来はどんな鎖らも
自由になり、無限の可能性を持って広がる。
あなたの切り離せない一部があっても
それはあなたの未来を縛りはしない。
あなたはこれからいくらでも
あなたの願う自分になれる。
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先を知りたくてたまらなくて、昼休みの15分で毎日耐えながら読み続けた。
ハラハラ、ドキドキ、大好物なタイプ、カフネの様な最後はほっこりした終わり方が気分が良かった。
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自分の周りで今まさに起きているかもしれない犯罪を取り扱った、バディもののミステリー。正直ここまで緻密に組み立てられてるとは思わなかった。
容疑がかかった怪しい人物、その裏に隠れた影武者達、そしてそれを包む巨大な闇。ページがめくられるに連れて徐々に徐々に開示されていく情報、妙に現実味を纏った気味悪さ、といった要素は宮部みゆきさんの「火車」を彷彿とさせる。
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一瞬たりとも目が離せない展開。
全てに意味のある流れに、ずっと緊張感を持って読めた。目を離すことすら惜しいような、そんな読み心地になれる本はそうそう出会えない。(お昼になったのに気が付かなかった。良い意味で食欲も削がれてしまった)
犯罪は犯罪。そこに落ちる人の闇は確かにあるけど、だから誰かを傷つけていいのか、と。どうかその闇を照らすのは犯罪ではない救いの光であってほしい。
もっともっと読まれてほしい名作。すごいの一言。
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第1章では、偶然居合わせた強盗現場をきっかけに二人がバディを組み、事件解決へと乗り出す――一見オーソドックスな探偵ものかと思いきや、第2章では一転、少女が犯罪に加担する場面が差し込まれ、物語は不穏な混沌へと踏み込んでいく。
現代社会で横行する詐欺犯罪がリアルに描かれ、人々の生活苦と絡み合うことで、物語に確かな深みと切実な共感が生まれている。
次々と謎が解き明かされていく目まぐるしいテンポの中に、ミステリならではの醍醐味があった。
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叙述トリックが効いていて、あ、そうきたらか、と感じさせられるミステリ要素もあり。
悪いことだとわかっていることを、それが得意かもしれないし、なんなら快すら感じかねないと自覚したあと、どう生きていくか。
自律する気持ちと、闇に引きずり込まれないように繋いでいてくれる手があると信じられたのなら、そんな自分でも強く生きていけるかもしれない。
変に恋愛要素がなくてよかった。
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正直ひったくりからここまで面白い展開になるとは思わなかった。前半は海外小説のAI翻訳かと思うくらい臭いセリフのオンパレードでフェードアウトしようかと本気で思ったが、加賀谷と里緒の登場でガラッと雰囲気が変わる。登場人物全員、根が善人で真の悪人が登場しない点に少し物足りなさは感じたが。春風の強い覚悟と深い愛情を感じさせる三章最後「大丈夫。そんな顔を、しないで。」は珍しく震えた。句読点って大事な表現方法だね。
カフネから
入ってきました
本屋さん大賞はホントにいい企画だと思います。
登場人物はダークなのに全員にそう思わせない
フォローの文面が入り著者さんの優しさが
溢れています
巻末の解説の方も書かれている様に
決して読者を裏切らない安心して読める作品
なのでは?
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人間の心に潜む欲望や執着の怖さを感じた作品。登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、先の展開が気になって一気に読みすすめてしまいました。重さのある物語だけど、強く印象に残る一冊。
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何を感じ、何を思おうと、それは当人の自由であり、それは決して侵害されてはならない。
依存性と愛情、打算と真心、感情はいつも切り分けがたく絡み合って自分自身にも見極められない。
命や人生というものは綱渡りのような偶然の上に成り立っている。
人を害する能力を持っていながらそうはせず、嘘をつく能力を持ちながら真実を語り、他者を押しのけてでも欲望を果たそうとする自分を戒める人々。
真実であってほしいと願うものを信じると決めるしかない。
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本屋で何気なく手に取ってみた小説。札幌の聞き慣れた地名で、位置関係を想像しながら読み進めた。
ジャンルでいうとミステリーなのかもしれないが、人間関係や心情を巧みに描写し、単純なミステリーとは一線を画す。小説ならではの、ここでこうつながるのか、という驚きもあり、ページ数は多いが、あっという間に読めてしまう。
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読み始めは『鎌倉香房メモリーズ』みたいな軽めのミステリー小説っぽいのかなぁと思っていたが、どんどん暗く、ズッシリ重いストーリーになってゆき、逆に引き込まれた。
最後は明るめに終わっていたけど、残ったものはやっぱり重い感触だったな。それも見事。
Posted by ブクログ
TikTokやインスタで読書動画をあげている人たちのを見て、知った作品です。いつか読もうと思ってあたためていました!バディ系探偵小説と思って読んでいったら、第二章からは理緒さんのストーリーへ。ここから話はぐっと深くなり、犯罪に手を出す人、出さない人、その境界線はとても曖昧なんだと考えさせられました。あまり話すとネタバレになるのでここまでにします!ぜひ一度手にとって読んでみてください。
Posted by ブクログ
世話になっている老女がひったくりに遭う場面に、ひとりの大学生が偶然行き合わせる。居合わせた高校生とともに犯人を追うが、取り逃がしてしまう。犯人が落とした物を手がかりに正体を探りはじめる、その偶然から物語は動き出す。
ところが読み進めるうちに、その偶然が偶然ではなかったと分かってくる。別々に流れていた出来事がやがて交わり、避けがたい必然として一本の線に結ばれていく。
本作の核心は謎解き以上に、事件に巻き込まれた人々の心の陰影にある。家族を守りたい切実さ、貧しさゆえに犯罪へ引き寄せられる弱さ、過去に負った傷。登場人物が背負うものが的確に描かれ、善悪を単純に割り切れない領域へ読者を導いていく。
最後に明かされる真相は、予想を裏切る形で像を結ぶ。ミステリーとしても完成度が高い。
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未成年の学生たちが特殊詐欺に切り込んでいくところが上手く描かれていて面白いミステリー作品でした。
初めの章で「春風」と「練」がタッグを組んでひったくり犯を捕まえようとするのですが、第2章から経済的な事情で特殊詐欺に手を出さざるを得ない女性を書いてました。
また、この本の解説がわかりやすく書いてました。タイトルの「金環日蝕」はまさにふさわしいと思います。円の円周にあたる被害は明らかになるのですが、円の中心であるの犯人は暗くて判明しないということを表現しているのでしょう。
最近は自分の周りでも特殊詐欺のニュースを見たり聞いたりするので、より気をつけなければ、と思いました。また知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまう事例も聞くので、「楽してお金を稼ぐ方法はないんだよ」と諭されている感じがしました。非常に勉強になりました。
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「春風」と書いて「ハルカ」という名前が素敵だなと思ったのが最初の感想だった。
春風を見ているとよく自分の言われる「正論と正解は違う」と言われる理由が何となくわかるが、春風が言ったように最初からしていたら、こんなことにはならなかったのではないかという気持ちもずっと抱えながら読んだ。
この人は救われて、この人は救われないという不平等も気になったが、何も無くなってしまった時でさえ、この人は寄り添ってくれるという事実に早いうちに気づけた人がいたのは幸いだった。
最初から何もかもが繋がっていたのに、途中でようやくわかるというのは見事だった。
最後の写真のことはちょっと不完全燃焼だったが、全体的に優しい話しだった。
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ある偶然な出来事が登場人物の思惑から必然的に起きていたと後から種明かしされていくものが好きだと気づいた。少しの出来心から詐欺に吸引されていきながら、振り回されていく物語。現実感がものすごく強いわけでもないが、人物達の思惑は綺麗に抽出されていて、みんなで1つの物語を作っていることを見せられた気がした。とにかく後から必然性が出てくるミステリーが好き。
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阿部暁子さんの文章は、時に本筋を追い越してしまうほど人物描写に重きが置かれる。前作『カフネ』でも感じたその独特の筆致は、本作においても健在だ。
登場する大人の女性の描き方に自分なりの違和感を覚える部分はありつつも、読み進めるうちに物語の世界へ深く没頭させられていた。
人を傷つけようとする者もいれば、助けようとする者もいる。「人間という生き物のわからなさ」を描き出す著者の視点に、静かに引き込まれていく感覚がある。
そんな混沌とした人間模様の果てに待っていた結末は、意外にもスッキリとしたものだった。
随所に散りばめられていた種明かしには、それぞれの場面で驚かされた。重苦しさが漂う物語の中で、ある登場人物が見せる爽やかな去り際が印象的で、それが物語に一筋の風を通し、確かな救いとなっている。
中心にある闇を、周辺の描写を積み重ねることで浮かび上がらせる。まさにタイトルである『金環日触』を体現したような手法が、最後に見事な収束を見せ、読後の納得感に繋がった。
ミステリーとしての驚きと、ままならない人間ドラマの濃密さを同時に味わえる力作だった。
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引ったくり犯を捕まえるだけの日常系ライトミステリかと思って読み始めたが、犯罪の規模も家族の話も大きくなって驚いた。一番驚いたのはフジサキの正体かな。叙述トリックが随所に仕込まれていて種明かしの頻度が高く、終始おもしろかった。金環日蝕の比喩も秀逸。カガヤと錬が実写で見たい。カフネも読みたくなった。
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カフネがとても刺さったのでもう一冊。
やっぱり会話の掛け合いのリズム感がとっても良く春風と錬、陽と翠がぽんぽん進むのが本当に心地よい。
重めの題材なのにその会話に合わせてスラスラ読めた。
決め台詞は北海道万歳!
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地元が舞台ということもあり、情景を鮮明に思い描きながら読めた。探偵パートではラノベみたいな大学生がどんどん出てきて、こんな作風なのか…?と思ったら詐欺パートからどんどん話が転がっていくので引き込まれた。二人の背景が重すぎる。
人類で最初の仕事は詐欺師って、あながち間違ってなさそうでこわい。この時代でもどんどん手法を変えて永遠になくならない。
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ある事件をきっかけに、複数の人物の視点から人間の欲望や社会の歪みが浮かび上がり、隠された真実へと迫っていくミステリー。
人は自分の利益や正義を優先するあまり、知らず知らずのうちに他者を傷つけ、自らの行為を正当化してしまうことがある。
事件の真相を知ることは、犯人を特定するだけでなく、人間の善悪を単純に分けられない現実と向き合うことでもある。
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後半から、ついに真相が明らかに…?という感じで読み進めていたが、オチの部分が私的には尻すぼみ感があった。
作者は、最後に対決して〜みたいな話を書きたかったのではないだろう。
「金環日蝕」のような作品を書きたかったのだなと読み終わって思った。
Posted by ブクログ
罪を犯す側は本当に追い込まれてどうしようもなくなって、善悪の境界がわからなくなって被害者を生み出してしまう。その被害者はトラウマを抱えていく。
いや、犯罪を犯す側が100%悪いんだけど、そこまでに至ってしまった経緯や環境を考えると、みんな被害者。やるせない気持ちにもなる。
なんとなーく外側の枠組みだけを見ていて真ん中の黒い部分を見ていない。見えない。見ようとしない。黒の濃淡や良し悪しはそれぞれ異なるけれど、皆んなにあるもの。
Posted by ブクログ
カフネの阿部暁子さんの作品。
大学生の春風が、ご近所のおばあさんのひったくり現場を目撃して犯人を追いかけるも取り逃してしまう。
そこで知り合った高校生の錬とともに、にわか探偵コンビを組んで2日間だけ犯人を追う。
というストーリーのはずが…。
探偵コンビの話はほのぼのとしているのに、交互に出てくる理緒の話がまぁ重い。辛い…。
この話、どこで繋がるんだろう?
と気になって読み耽ってしまった。
面白いことは面白いんだけど、とにかく話が重くて、ままならない状況も含めて辛くなった。
カフネの温かさはないかな…。
春風がなぜそんなに無鉄砲なほどの行動力を発揮するのか。
色々なエピソードに『そういうことだったのか』という驚きがあり、でももう少し何か欲しかったような気もする、そんな作品だった。
Posted by ブクログ
「カフネ」がとてもよかったので、阿部暁子さんの他の作品も読んでみたいなと思い、こちらを手に取りました。
犯罪が絡む物語で、序盤はなかなか読み進めづらい部分もありましたが、少しずつ事実が明らかになっていく構成は面白く、どのように収束していくのか最後まで想像がつきませんでした。
そして、ラストはどう考えても怪しい人に顔を知られたままの状態で不安が残り、その終わり方でいいの…?と感じてしまいました。物語としての余韻を大切にしているのだと思う一方で、個人的にはもう少し現実味のある着地を見届けたかったです。
Posted by ブクログ
カフネを描いた阿部暁子さんによる小説.ひょんなことから,青年と知り合った春香が謎を追っていくたびにだんだんと全貌が明らかになっていくミステリー小説.カフネと同様に,少しずつ謎が解明されていく感じはサクサクと次が気になる構造になっており,最後まで飽きなく楽しむことができる.人が死なないミステリーであり,人とのつながりを大事にしようと思える形式は阿部さんの得意ジャンルなのかもしれない.ほのぼのとしたミステリーを読みたい人にとっておすすめです.