あらすじ
知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが──いったい春風は何に巻き込まれたのか? 『パラ・スター』『カフネ』の俊英が、〈犯罪と私たち〉を切実に描き上げた、いま読まれるべき傑作長編。/解説=瀧井朝世
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Posted by ブクログ
オーディブルにて
最初の心が痛くなる出来事があり、もう聴くのをやめようかと思った
でもコメントや感想を読んで、心を奮い立たせて最後まで聴きました
途中からは一気に読み進めることができました(現金だなー)
印象にのこったところ
ラスト、春風がタクティカルペンを川に投げ捨てるかと思った
そうだとちょっと興醒めだ、と思っていたらそのまままたポケットへ
この部分の動作に人の心の弱さ、でも少しづつでも前に進んでいる、葛藤のようなものを感じることができた
そうなんだ、簡単になんでも割り切れるはずはない
りおも強気な顔を見せてはいるが、きっと奥にはいろんな感情が決心が、揺らぎが隠れているのだろう
錬くんもそうだ、彼こそもっと複雑にいろんなものを抱えているんだろう
金環日蝕、4文字めが「食」ではなく「蝕」だったのを読み終わって気がついた!
なるほど、蝕んでいるのか
Posted by ブクログ
第1章では、偶然居合わせた強盗現場をきっかけに二人がバディを組み、事件解決へと乗り出す――一見オーソドックスな探偵ものかと思いきや、第2章では一転、少女が犯罪に加担する場面が差し込まれ、物語は不穏な混沌へと踏み込んでいく。
現代社会で横行する詐欺犯罪がリアルに描かれ、人々の生活苦と絡み合うことで、物語に確かな深みと切実な共感が生まれている。
次々と謎が解き明かされていく目まぐるしいテンポの中に、ミステリならではの醍醐味があった。
Posted by ブクログ
正直ひったくりからここまで面白い展開になるとは思わなかった。前半は海外小説のAI翻訳かと思うくらい臭いセリフのオンパレードでフェードアウトしようかと本気で思ったが、加賀谷と里緒の登場でガラッと雰囲気が変わる。登場人物全員、根が善人で真の悪人が登場しない点に少し物足りなさは感じたが。春風の強い覚悟と深い愛情を感じさせる三章最後「大丈夫。そんな顔を、しないで。」は珍しく震えた。句読点って大事な表現方法だね。
Posted by ブクログ
未成年の学生たちが特殊詐欺に切り込んでいくところが上手く描かれていて面白いミステリー作品でした。
初めの章で「春風」と「練」がタッグを組んでひったくり犯を捕まえようとするのですが、第2章から経済的な事情で特殊詐欺に手を出さざるを得ない女性を書いてました。
また、この本の解説がわかりやすく書いてました。タイトルの「金環日蝕」はまさにふさわしいと思います。円の円周にあたる被害は明らかになるのですが、円の中心であるの犯人は暗くて判明しないということを表現しているのでしょう。
最近は自分の周りでも特殊詐欺のニュースを見たり聞いたりするので、より気をつけなければ、と思いました。また知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまう事例も聞くので、「楽してお金を稼ぐ方法はないんだよ」と諭されている感じがしました。非常に勉強になりました。
Posted by ブクログ
地元が舞台ということもあり、情景を鮮明に思い描きながら読めた。探偵パートではラノベみたいな大学生がどんどん出てきて、こんな作風なのか…?と思ったら詐欺パートからどんどん話が転がっていくので引き込まれた。二人の背景が重すぎる。
人類で最初の仕事は詐欺師って、あながち間違ってなさそうでこわい。この時代でもどんどん手法を変えて永遠になくならない。