阿部暁子のレビュー一覧
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食べることは生きること。
この言葉を思い出した。
人はどん底にいる時でさえ腹が減る。
美味しい料理に心も身体も救われるのかもしれない。
読み始めて、主人公があまりにも自分とリンクする部分が多くて共感の嵐だった。同年代、親のこと、離婚理由、不妊治療....自分の物語かと錯覚するくらいw
ただ、自分がどん底にいたとき、心配&労ってくれる人なんて誰1人居なかったから主人公が羨ましい。
あの時、せつなみたいな人が周りにいたら、どれだけ救われただろう....本音で話したり喧嘩したり。
そして誰かが自分のために作ってくれる料理もそう。
全部が羨ましい。
生きてればいろんなことがあるけど、自分が死ぬまでに、ご飯を食べて美味しいって思えるようになりたいな。 -
Posted by ブクログ
春彦の存在によって周囲の人々が心を温めてもらっていたのだから、もっと春彦自身の心に寄り添う人がいてほしかったと感じた。「春彦といると心が温かくなる」という思いだけで終わらず、「では、春彦の心を温めるために自分には何ができるだろう」と考えることも大切なのではないだろうか。春彦がいなくなってから、周囲の人々はなぜ気づいてあげられなかったのかと後悔しているようだったが、日頃から春彦の明るさだけでなく、その内面にも目を向けて接するべきだったのではないかと考えた。
また、無いものねだりだと感じる場面も多くあった。私自身も、他人の表面的な姿だけを見て、苦労していないのではないかと決めつけてしまうことがある。しかし、相手にも自分には見えない悩みや葛藤があるかもしれないし、反対に、相手から見れば自分も羨ましい存在に映っているかもしれない。
だからこそ、一つの視点だけで物事を判断するのではなく、相手の立場や背景を想像し、さまざまな角度から物事を捉えられる人間でありたいと感じた。
春彦の死について、わからない部分があった。もう一度読み直したいと思った。 -
Posted by ブクログ
とりあえず人気のある本というだけで中身を全く知らずに読み始め、最初の方は正直、やばい重たい本読み始めちゃった…と思ってしまったのだが3ページ目くらいですでに引き込まれた。
真面目で不器用すぎてひかれがちな薫子。反対に誰にも嫌われない、相手に合わせすぎる文化財級の弟、春彦とその彼女だったというせつなを含めた人々を中心に物語は展開。薫子の両親が毒すぎて辟易するが、一見ミステリー的に春彦の謎の急死が中心に据えられつつ、猪突猛進な薫子のコミカルさ、皆を亡くしてしまい「いつか死ぬ」ことだけを切符に生き抜いてきたせつなの危うさ、春彦の恋人ということで現れる港の多様性要素かと思いつつもただのマチズム、という種々多様な要素が折り混ざって面白かった。ややもすると痛い女だけしかないが「痛い昭和な女ですが何か?」の薫子の猪突猛進法務省職員さが軸となり爽快に突っ走り、この後もみんな少しずつ幸せになれるのかもと安心して本を閉じられる。
しかしなあ、みんな親と自分、自分と子供(実際のだったり、架空の)を重ねすぎなのがこの世の悲しみの根源なのでは。期待に沿わない子にイライラする親、期待に添えていないから愛されていないと思う子。これが新人研修だったら、いくらでも理由をつけて諦める箇所も諦めきれない不思議さ。最後の場面の薫子くらいにサバっと割り切れる部分を持てればもしかして少し世の中は改善するのでは?と思った。多少の自戒の念を込めて。 -
Posted by ブクログ
すごくよかった!
そして、著書を拝見してびっくり!
『アオハライド』や『ストロボエッジ』のノベライズをされた方だそう。世代ドンピシャなのでなんだか親近感笑
「生活」や「食事」を大切にするテーマ、好きだなぁ。
基本薫子視点で物語が進んでいくから、薫子に共感しながら読み進めていくんだけど、後半になると薫子が知らなかった他の人たちの抱えているものがわかり、薫子の(=読者自身の)視野の狭さ、決めつけを思い知らされる。
ただ、若干、薫子がせつなにそこまでの感情移入というか、愛を覚えるものなのか、っていうのは少し飛躍というか、共感しきれなかったかも。
薫子の境遇自体がイメージしにくいから、かもしれないけれど。そういう境遇で、そういうタイミングでせつなと出会ったら、大切にしたいと思う気持ちが芽生えるものなのかも?
これはドラマ向きではないと思うけど、映画化される気がする。頭の中で思い描いてたキャスティングは、薫子=吉田羊、春彦=高杉真宙。せつなが難しい!猫っぽさで平手友梨奈?と思ったけど、背が高くて華奢な体型って描写があったから、うーん、、。ご夫婦になってしまうけど、クールな演技もできる波瑠さん?笑
映像化するなら観てみたいな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ弟を亡くした姉[薫子]とその弟の元恋人の[せつな]
薫子から見たせつなの第一印象は最悪。そんな意気投合しないふたりが、家事代行サービス「カフネ」で共に働きながら、訪問先の人物像に触れながら、亡くなった弟を介してお互いの根幹にあるものに触れていく物語。
「おまえはそこにいてもいいのだと、誰かに認めてもらえなければ、自分が生きることを肯定できない。」
弟とは対照的だと認識していたが、実はそんな事無かった、春彦こそ人の痛みに敏感で、無条件の愛を提供し続けた、結局は自分の愛しかたには鈍感である。
「家事代行をしていると何となく人の傾向みたいなものが見えてきますけど、まじめで頑張り屋な人ほど、誰かの力を借りることが苦手です。倒れる寸前か、倒れてからじゃないと、助けてもらうのは怠慢みたいに感じてしまう。自分がどのくらいまいっているのか、自覚ができない人も多いです。」
せつなも同様に人の痛みには敏感で、自分が味わってきた苦しみを他人にはさせまいという執念とか愛情深さを感じた。本人からしたらそんな認識は無いのだろうけど、せつなの優しさに最終的には薫子も生きていくきっかけを見つけたのかな。最終章では薫子は傲慢ともいえるほど、せつなに寄り添おうとしていた、一見お節介だけど、[私はあなたを無条件に愛します、私を頼ってくれてもいいし、そうでなくてもいい貴方が健やかにいることを願っています]という意思表示にもみえた。
恐らくは親から受けた愛を呪いのように感じていたのだろう。提供する愛が呪いにならないような配慮を感じた。愛とは家族とは人間の優しさが美しく、なんとなく恐ろしくも感じる素敵な本だった。
人間は一人では自分を肯定しきれないことがある。だから誰かに触れる。でも誰かに触れることは、その人の人生へ踏み込むことでもある。それでも、人は誰かに「生きていてほしい」と願ってしまう。