阿部暁子のレビュー一覧
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ネタバレどこよりも遠い場所にいる君への続編。
前作もそうでしたが、表紙がとても綺麗な本であると思いました。
今作では、前作に登場した和希に加え、支倉爽太の物語が繰り広げられてますが、前作よりもスケールが大きくなったと感じました。というのも、支倉がタイムスリップするからです。
2030年に、神鳴崎でタイムスリップした支倉は、9歳になってしまいますが、25歳の五鈴と出会い、色々なことを体験していきますが、過去に戻るための方法を探ります。支倉は、もう一度、大学生の時の自分に戻ります。
戻ってから、支倉はもう一度五鈴に出会いたいといたい気持ちが芽生えますが、なかなか出会うことに苦戦します。そして、現実の世界で支倉は出会いますが、出会った彼女は、自分よりも年下の女子高生でした。ヴァイオリンを弾いていた彼女と再び音楽を通して、親睦を深めていく様子の描かれ方が良かったです。
和希の想い人であった七緒は死んでしまっていたことが明らかにされますが、彼女の思いは和希に受け継がれていると思います。 -
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ネタバレ最初は、淡々と物語が進んでいく感じでしたが、物語の中盤で、主人公の月ヶ瀬和希の秘密が明らかになるところから、夢中になって、読んでおりました。
和希の父親が犯罪を犯してしまったということから、犯罪者の息子というレッテルが貼られ、和希は、転校していたという秘密は、苦しくも切なかったです。
犯罪も、相手を死亡させてしまうほどの事故ではありましたが、正当防衛なところもあり、和希が完全に父親を糾弾することができないところも、苦しいものでした。
そんな秘密を抱えた和希は、離島の学校に転校し、あの事件のことを誰も知らない学校に行きたかったのですが、噂は広まってしまいます。そのなかでも、和希を信じてくれていた幹也は優しかったです。
和希の秘密を握っていたたまきと、崖のところで、もみ合いになるシーンはドキドキいたしました。
七緒に隠された秘密や1974年の意味など、もう少し深く読みたくなるような小説でした。 -
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世話になっている老女がひったくりに遭う場面に、ひとりの大学生が偶然行き合わせる。居合わせた高校生とともに犯人を追うが、取り逃がしてしまう。犯人が落とした物を手がかりに正体を探りはじめる、その偶然から物語は動き出す。
ところが読み進めるうちに、その偶然が偶然ではなかったと分かってくる。別々に流れていた出来事がやがて交わり、避けがたい必然として一本の線に結ばれていく。
本作の核心は謎解き以上に、事件に巻き込まれた人々の心の陰影にある。家族を守りたい切実さ、貧しさゆえに犯罪へ引き寄せられる弱さ、過去に負った傷。登場人物が背負うものが的確に描かれ、善悪を単純に割り切れない領域へ読者を導いていく。
最後に明かされる真相は、予想を裏切る形で像を結ぶ。ミステリーとしても完成度が高い。 -
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ネタバレ未成年の学生たちが特殊詐欺に切り込んでいくところが上手く描かれていて面白いミステリー作品でした。
初めの章で「春風」と「練」がタッグを組んでひったくり犯を捕まえようとするのですが、第2章から経済的な事情で特殊詐欺に手を出さざるを得ない女性を書いてました。
また、この本の解説がわかりやすく書いてました。タイトルの「金環日蝕」はまさにふさわしいと思います。円の円周にあたる被害は明らかになるのですが、円の中心であるの犯人は暗くて判明しないということを表現しているのでしょう。
最近は自分の周りでも特殊詐欺のニュースを見たり聞いたりするので、より気をつけなければ、と思いました。また知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまう事例も聞くので、「楽してお金を稼ぐ方法はないんだよ」と諭されている感じがしました。非常に勉強になりました。 -
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ネタバレまず冊子に挟まってた栞が可愛かった(笑)
知っている作家さんは半分もいなかったのですが、オレンジ文庫さん何気に好きなので購入して読んでみました。
最初は題材もよく分からないので、ピンと来ないまま何編か読んでいましたが、「サカナ日和」を読んで私の好みな感じだったのと、そこからもう一度振り返って読んでみたらみんな素敵な作品じゃないか!と改めて思えて、そこからは一気に読めました。もちろん好みの問題なので、しっくりくるものもあれば、そうでないものもあり。個人的には「傾城の美女呂姫」「水恋花」「ままならないきみに」「二位の君」が良かったです!水恋花は私好みの嫌ぁーな終わり方だったし、ままならないきみには最後切ないような悔しいような泣きたくなる感じで、二位の君は恋愛なんだけど、キュンキュンするというよりジワァーと温かくなるような優しい恋を感じれました。好きなテイストだとその方の他の作品も読んでみたくなりましたね。 -
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「春風」と書いて「ハルカ」という名前が素敵だなと思ったのが最初の感想だった。
春風を見ているとよく自分の言われる「正論と正解は違う」と言われる理由が何となくわかるが、春風が言ったように最初からしていたら、こんなことにはならなかったのではないかという気持ちもずっと抱えながら読んだ。
この人は救われて、この人は救われないという不平等も気になったが、何も無くなってしまった時でさえ、この人は寄り添ってくれるという事実に早いうちに気づけた人がいたのは幸いだった。
最初から何もかもが繋がっていたのに、途中でようやくわかるというのは見事だった。
最後の写真のことはちょっと不完全燃焼だったが、全体的に優しい話しだった。 -
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阿部暁子さんの文章は、時に本筋を追い越してしまうほど人物描写に重きが置かれる。前作『カフネ』でも感じたその独特の筆致は、本作においても健在だ。
登場する大人の女性の描き方に自分なりの違和感を覚える部分はありつつも、読み進めるうちに物語の世界へ深く没頭させられていた。
人を傷つけようとする者もいれば、助けようとする者もいる。「人間という生き物のわからなさ」を描き出す著者の視点に、静かに引き込まれていく感覚がある。
そんな混沌とした人間模様の果てに待っていた結末は、意外にもスッキリとしたものだった。
随所に散りばめられていた種明かしには、それぞれの場面で驚かされた。重苦しさが漂う物語の中で、ある登場人物が見せる爽やかな去り際が印象的で、それが物語に一筋の風を通し、確かな救いとなっている。
中心にある闇を、周辺の描写を積み重ねることで浮かび上がらせる。まさにタイトルである『金環日触』を体現したような手法が、最後に見事な収束を見せ、読後の納得感に繋がった。
ミステリーとしての驚きと、ままならない人間ドラマの濃密さを同時に味わえる力作だった。