阿部暁子のレビュー一覧
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人気作家さんたちの原点となった作品。どの短編も個性的で、とても楽しめた。
短編を書くのってとても難しいのだろうなと、読んでいるだけの私も思う。限られたページの中で、物語を作る。この本の短編はそれぞれ、全く違う良さを持っている。書き方はそれぞれもちろん違うし、少し変わった設定があったり、どこか自分と似たような境遇が描かれていたりする。
作家さんの数だけその色があって、短い物語に込められた熱意や感情がとても伝わってきた。
今までよく読んでいた作家さんはもちろん、この本で初めて出会った作家さんがこの後、どのような本を書いているのだろうと気になり、読んでみたくなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ車いすエンジニアをフォーカスしたお話は珍しいと思い手に取りました。
百花サイドのお話は、車いすを利用する人とその家族、エンジニアとしての百花の葛藤や成長が中心です。
中途障がい者の方は特に車いすユーザーになることで当たり前の人生が変わってしまい、障がいを受け入れたいと思っても絶望と受容が繰り返し、本当に障害受容することは難しいと聞いたことがあります。
それでも競技用車いすを、ユーザーがさらに自由に自分らしく生きるため、スポーツで世界を目指せるようにという想いで開発した藤沢社長は作中ずっとかっこいいです。
「車いすなんかいらないから、歩ける自分の足がほしい」と吐露するみちるちゃんと、テニスで -
Posted by ブクログ
audibleで。世の中の明暗をあやふやにするような小説に思えた。ストーリー自体は面白くて、次々に露わになる事実関係に引き込まれる。単純に元気な大学生と思われた春風の過去の事件や、高校生の錬の秘めた思いが、このひったくり犯探しのストーリーに緊迫感を添えていく。
読み終えて思ったのは、子どもが家族を守ろうと、身を削って必死になるようなことはあってはならないなと。そして、あちら側とこちら側の境目は、実はそんなに高い塀で区切られているわけではないのだなと。お金は必要だが、毒でもある。お金がないと辛いな。
ストーリーに引き込まれる朗読だったが、本で読んだら、自分の春風のイメージは少し違ったかもしれない -
Posted by ブクログ
阿部暁子さん著「金環日食」
著者の作品は2025年本屋大賞「カフネ」以来2作品目。文庫化されていたので購読。
物語は振り込み詐欺絡みの人情物語。
設定はベタでよくある設定ではあるものの面白さは最後まで途切れなかった。
引っ掛かったのが高校生設定の錬、これは流石にないだろう…ちょっと無理があるかな?という設定でどうも馴染めない。
主人公が高校生や舞台が学園ベースの物語が好みではないため途中から詐欺事件絡みの進行はよかったのだが、彼の行動力がどうしても高校生の範疇を越えた立ち振舞いに思えてしまう。こんな高校生いないだろう?とどうしてもリアルさが自分には感じられず引っ掛かってばかりだった。
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Posted by ブクログ
ひったくり事件を追う大学生の 春風 と高校生の 錬、そしてもう一人の主人公ともいえる 理緒 の物語。最初は「ちょっと変わった探偵コンビものかな?」と思って読み始めましたが、進むほどに、犯罪が人の人生と家族をどう壊していくのかが見えてきて、どんどん重くなっていきます。
錬の父・加々谷潤 は、家族にとっては優しい父親でありながら、裏では詐欺に関わった人物です。世間から見れば「詐欺師」ですが、家族からすればただの“お父さん”でもある。そのギャップに、「親は選べない」「犯罪者の家族というだけで、世間から偏見の目で見られてしまう」という理不尽さを強く感じました。
一方、理緒 は、家族を支えるヤングケア