阿部暁子のレビュー一覧
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“弟を亡くした姉と元恋人の再生の物語”という端的なあらすじから想像するものとは全然違った物語だった。
悲しみに沈む〈静〉というより、そこから立ち上がろうとする〈動〉を強く感じる。
「死」を通して「生」を描いた、生命の躍動感のある物語で、笑ったり泣いたりと忙しかった。
不屈という言葉が何度も出てきて、逞しく本来の自分を取り戻す薫子に笑ってしまい、こっちまで元気づけられてしまった。
自分を認められず、価値を感じられずに生きるのは辛い。
そんなときにかけられる「ありがとう」はどれほど枯れた心を潤すだろう。
助けることで助けられることがある。
人を頼ることで心に余裕ができ、人に頼られることで心 -
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ネタバレ非常に好きな作品だった。ラストの場面では涙腺を刺激され泣きそうになった。読後感がとにかく良い。
インターネットやSNSが発達し、対面での人間関係が希薄になりつつある現代において、本作が描いているのは、人と人との深い交流である。相手の内面に踏み込み、時に拒絶されるリスクを引き受けながらも関係を築こうとする姿が描かれている。そうした関わりの根底には、「失いたくない」という思いがあり、その感情は決して利他的なものだけではなく、自分のためでもあるのだと感じた。一方で、向き合われる側もまた、心のガードを張りながらも、その奥底では自分を必要としてくれる存在を求めているのではないかとも思う。だからこそ、そ -
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ネタバレ感動した。このひとことに尽きる。
個人的に修治のくまさん感がすごく良かった。本当に社長の息子だったのはびっくり笑
心に残った言葉は
P213“本当に笑えるかどうかではなく、思いやりを向けてくれる人にそうやって思う応えたかった。”
P315
“大好きでした。
ありがとう。
どうか世界一しあわせになって。
あなたが笑っていてくれたら、もう、ほかに望むものはない。”
本当に遠い場所は過去。どれほど手を伸ばしても届くことはない。伝えたい言葉があっても届けることができない。それを強く感じていた和希に残してくれた七緒言葉はどれほどのものだっただろう。 -
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ネタバレ食べたくなる描写ランキング
第3位 スーパーで買った菓子パン
p132
サクサクのデニッシュ生地にこれでもかと盛られた生クリームはミルクの匂いがして、
チョコレートと一緒に舌の上で溶ける。
チョコレートの上にまぶされたクランチのザクザクした食感も快感だ。
だが何よりも甘い。
脳がぐずぐずになるくらい甘くて、快楽物質がものすごい勢いで脳内に分泌されていく。
「これ悪魔の食べ物ね」
第2位 せつながアレンジした苺パフェ
p66
グラスの底にはスライスされた赤い苺、次に真っ白なクリームと、サイコロ状にカットされた淡い黄色のスポンジケーキが交互に重ねられている。
その上層には、 -
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話題になっていたので手に取りましたが、納得です。
春風と錬コンビの第一章から一転、第二章は色んな事情で詐欺に加担してしまう理緒の話に。春風と錬の話が明るい探偵小説のような雰囲気もあってか、理緒サイドになるととても辛くて苦しい…。ミステリーなので、きっとどこかで繋がるんだろうなぁとは思っていましたが、予想外の展開に最後まで驚かされっぱなしでした!
誰しも皆、何かしらの事情があり、明るい部分もあれば暗い部分も併せ持っている。いつだって闇に堕ちることは簡単にできてしまう。だからこそ、自分を戒めながらも前を向いて歩き続ける。勇気づけてもらえる素敵な作品に出会えました。