阿部暁子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私はせつなと似たようで似ていない境遇だが、元恋人を自死でなくしている。せつなの「どうしてあの時気づけなかったんだと」いう叫びが酷く鋭く心に刺さった。全く同じことをずっと思っていた。父も幼い頃に別れ、よく遊びに連れて行って可愛がってくれた母の恋人も離れて行ってしまった。大切な人が自分の元から去って行ってしまう悲しみはよく知っている。せつなの悲しみも薫子の悲しみも自分ごとのように伝わってきた。
せつなが料理を作ることは、その人に好きだよと伝えることであった。味がわからない晴彦に激辛や激甘の料理を食べさせ、見た目でも楽しめる料理を作っていたことは間違いなく愛だった。
今からすごく個人的な話をする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ車いすエンジニアをフォーカスしたお話は珍しいと思い手に取りました。
百花サイドのお話は、車いすを利用する人とその家族、エンジニアとしての百花の葛藤や成長が中心です。
中途障がい者の方は特に車いすユーザーになることで当たり前の人生が変わってしまい、障がいを受け入れたいと思っても絶望と受容が繰り返し、本当に障害受容することは難しいと聞いたことがあります。
それでも競技用車いすを、ユーザーがさらに自由に自分らしく生きるため、スポーツで世界を目指せるようにという想いで開発した藤沢社長は作中ずっとかっこいいです。
「車いすなんかいらないから、歩ける自分の足がほしい」と吐露するみちるちゃんと、テニスで -
Posted by ブクログ
audibleで。世の中の明暗をあやふやにするような小説に思えた。ストーリー自体は面白くて、次々に露わになる事実関係に引き込まれる。単純に元気な大学生と思われた春風の過去の事件や、高校生の錬の秘めた思いが、このひったくり犯探しのストーリーに緊迫感を添えていく。
読み終えて思ったのは、子どもが家族を守ろうと、身を削って必死になるようなことはあってはならないなと。そして、あちら側とこちら側の境目は、実はそんなに高い塀で区切られているわけではないのだなと。お金は必要だが、毒でもある。お金がないと辛いな。
ストーリーに引き込まれる朗読だったが、本で読んだら、自分の春風のイメージは少し違ったかもしれない