阿部暁子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「春風」と書いて「ハルカ」という名前が素敵だなと思ったのが最初の感想だった。
春風を見ているとよく自分の言われる「正論と正解は違う」と言われる理由が何となくわかるが、春風が言ったように最初からしていたら、こんなことにはならなかったのではないかという気持ちもずっと抱えながら読んだ。
この人は救われて、この人は救われないという不平等も気になったが、何も無くなってしまった時でさえ、この人は寄り添ってくれるという事実に早いうちに気づけた人がいたのは幸いだった。
最初から何もかもが繋がっていたのに、途中でようやくわかるというのは見事だった。
最後の写真のことはちょっと不完全燃焼だったが、全体的に優し -
Posted by ブクログ
阿部暁子さんの文章は、時に本筋を追い越してしまうほど人物描写に重きが置かれる。前作『カフネ』でも感じたその独特の筆致は、本作においても健在だ。
登場する大人の女性の描き方に自分なりの違和感を覚える部分はありつつも、読み進めるうちに物語の世界へ深く没頭させられていた。
人を傷つけようとする者もいれば、助けようとする者もいる。「人間という生き物のわからなさ」を描き出す著者の視点に、静かに引き込まれていく感覚がある。
そんな混沌とした人間模様の果てに待っていた結末は、意外にもスッキリとしたものだった。
随所に散りばめられていた種明かしには、それぞれの場面で驚かされた。重苦しさが漂う物語の中で、 -
-
Posted by ブクログ
『私は車いすじゃなくて人間です』
車いすユーザーの六花が伊澄に言った言葉。
相手を気遣ったつもりの言動でも、受け手にとっては迷惑だったり、傷ついたりもする。
障害者と特別扱いすると差別になるし、
かといって手助けをしなければ無視になるし、
手を貸すのもユーザーの気持ちを確認しなければいけない。…人付き合いは難しい。
---------------
物語は表紙のイメージ通りの青春物語。
中学時代に挫折経験をした主人公二人が
高校スタートで出会い、さまざまな問題にぶつかり成長していくストーリー。
他の登場人物もそれぞれ個性的で、根っからの腹黒が1人もいないので綺麗にまとまっている。
よく -
Posted by ブクログ
ちょうど今、冬季パラリンピックが開催されていた。
画面越しに観る選手たちは、障害をものともせず、力強く、いきいきとして輝いている。しかし、その舞台に到達するまでには、どれほど想像を絶する努力と葛藤があったのか私達には計り知れない。
もし、ある日突然、事故や病気で歩けなくなったら?宝良やみちるが直面した「なぜ自分が?」という呪いたくなるような現実は想像するだけで胸が締め付けられる。
だけど支える側の家族や友人もつらい。支えたい、力になりたいと願うほど自分の無力さに絶望してしまう。
みちるの「車椅子なんかいらない、それより足がほしい。ちゃんと歩ける足」が心に残る。
この言葉は誰もが思う本音だよね