あらすじ
仙台の大学に通う爽太には秘密があった。9歳のころに海で溺れ、遠い未来――2070年の世界へと時を超えて迷い込んだことがあるのだ。現代に戻ったあとも、未来で助けてくれた女性を忘れられずにいたが、アルバイトがきっかけで知り合った八宮和希という青年に「おれは過去から来た人に会ったことがある」と告げられて…? 出会いと願いを描いた感動作!
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Posted by ブクログ
例えば映画などでは、続編が面白くないことが多いのですが、この小説はどっちも本当に面白かった…! あんなにいっぱい涙腺を刺激されたのは初めてだし、やっぱり阿部暁子さんが書く文章も、キャラクターも大好きです。
登場人物たちは、みんな自分のことだけじゃなくて、ほかの人のことも想える素敵な子たちばっかりで、みんなのその後の物語をもっと見たいと思いました。
同じ言葉でも、その言葉を発した時の登場人物の心情を知ってから見ると、もっと違う深い意味がある言葉に感じられました。
登場人物それぞれが自分の想いを吐き出すところで、どれも理解できるからこそどれが正しいのかが私も分からなくて、ものすごく考えさせられました。いろんな感情に振り回されたけれど、なんだか視野が広がった気がします。
また、爽太たちの未来には希望があるのに対して、時折ちらつく和希の七緒への想いが本当に綺麗なのにとても切なくて、それがすごく残酷で、胸がきゅっと苦しくなります。
謎だった部分が少しずつ繋がっていくごとに、もっと先を読みたいという焦って読み進めようとする気持ちと、隅から隅まで全部の言葉をじっくりと読みたいという気持ちがぶつかって辛かったです。
ちょっとした違和感があるなあと思っていた部分が何気に伏線になっていたりしてびっくりしました。だけど、謎のまま終わった部分もいくつかあるのでちょっぴり残念。
Posted by ブクログ
どこよりも遠い場所〜の続編です!
和希の物語の続きかと思ったら
また違う青年 爽太の物語でした。
爽太も秘密を抱えています
悲しみも抱えています
少しずつ解き明かされる秘密を楽しんでください(^^)
前作の和希も4年後の姿で出てきます(*´-`)
どんな青年になっているのか、、、♡
他にも馴染みあるキャラが出てきます!
最高╰(*´︶`*)╯♡
前作よりもよく練られた内容で展開も面白かったです!
最後まで読むと、あの時は、、、そういうことか!と答え合わせをしたくてもう一度読みたくなります(^^)
表紙にも今回は気づけました。゚(゚´ω`゚)゚。
素敵や、、、♡
阿部暁子さん、面白いですー!
残るは鎌倉香房シリーズ、、(ノベライズはあるけど)
リクエストしてみようかな、、、5作もありまっせʕʘ‿ʘʔ
読むなら続けて読みたい!
けどリクエスト枠が足りない_:(´ཀ`」 ∠):
Posted by ブクログ
再々読です
再読する度に胸が締め付けられます
未来の五鈴が幼い爽太にヴァイオリンを優しく教えている時、彼女はどんな想いで彼に向き合っていたのだろうか。少し憂いを帯びた優しい眼差しだったろう。ありがとうとか。今度はわたしが救う番だと記憶がフラッシュバックしたに違いない。
未来の五鈴は高校生の時に大学生の爽太から聴いて救われた演奏を何も知らない爽太に聴かせて、震災孤児で人生のどん底だった爽太の心を救った。未来から戻り大学生になった爽太はヴァイオリンを諦めようか煩悶している高校生の五鈴に、未来で自分の心を救ってもらったのと同じ曲を弾いて聴かせて五鈴の心を救った。そして時が経ち二千三十年の五鈴が…と繰り返す。
俺は入れ替わりで戻ってきたと信じたい
爽太と五鈴には幸せになってほしい
また再読します
Posted by ブクログ
上回ってきたー
タイムリープ✕ボーイミーツガール✕阿部暁子さんで前作上回ってきたー!
あ、忘れないうちに言っとこう
前作『どこよりも遠い場所にいる君へ』は絶対に先に読んでないとダメです
感動半分以下になるからね
約束な!
はい、前作はヒロイン過去から来ました
本作は主人公(前作とは別)が未来に行きます
あっ、どっちもベクトルは一緒か
いやーちょっとね前作のレビューではめんどうだったんで書かなかったんですが、タイムリープと言えば伏線回収ですよね
確か高ニの物理だったかな?教科書に書いてあったと思います
物理、選択科目なんで馴染みのない人も多いかもしれませんが、とにかくタイムリープと言えば過去あるいは未来での出来事がここでこんな風に繋がるのかー!の伏線回収です
きれいに決まってます
やるなー!
そしてもう。゚(゚´Д`゚)゚。
Posted by ブクログ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」と時系列が繋がっているけど物語の見方が変わって見える本。
「どこよりも遠い場所にいる君へ」と続けて読んでみてほしい
Posted by ブクログ
過去と未来の交差するタイムスリップで恋愛モノです。どこよりも遠い場所にいる君へ、と登場人物も出てきました。どこよりも遠い場所にいる君への後日が読めてさらに良かった。
めちゃくちゃ読みやすい文章で紡がれる、成就する恋と悩みと爽やかなオチで読後感は最高ですね。
Posted by ブクログ
あなたは、こんな話を聞いたらどう思うでしょうか?
『今から九年前、小学三年の夏、俺は未来にいた』
う〜ん、どうでしょう。「ドラえもん」の見過ぎですね!と笑って返したいところですが、本人が大真面目で言っていたとしたらそういうわけにもいきません。そもそも時間を超えるという考え方を日本人が違和感なく認識できるのは2123年という未来から来た「ドラえもん」あってのことだと思います。
そんな「ドラえもん」のいた世界は今からまだ100年も先のことです。私たちが生きる現代から100年前を考えれば、スマホは当然ありませんし、人が月に到着できるなどとは夢にも思わなかったでしょう。となれば「ドラえもん」がいた100年先の未来の姿を私たちが予想することは限りなく困難です。では、その半分近く未来ならどうでしょう?『二〇七〇年』です。そんな未来世界はどんな世界なのでしょうか?
さてここに、『二〇一一年六月十七日、時間を超えて二〇七〇年六月十七日を訪れ、それから一カ月半を彼女とすごした』と語る一人の大学生が主人公となる物語があります。小学三年生の時に体験した未来世界を語る主人公を見るこの作品。そんな主人公の複雑な想いを見るこの作品。そしてそれは、『あの一カ月半のことは誰にも話したくない』という思いの先に、ある人物との出会いが主人公の未来を勇気づける物語です。
『支倉って、支倉常長と同じ名字?へー、かっこいいな。俺は尾崎幹也です、今日からよろしく』と『先輩アルバイト』の尾崎幹也に『魅力的な笑顔で挨拶』されたのは主人公の支倉爽太(はせくら そうた)。『東北最大の歓楽街、仙台国分町にある高級クラブ「アルファルド」』で裏方のボーイとして働き始めた大学生の爽太は、『バイトを始めて一カ月もたつ頃』、『東北で一番有名な難関国立大学に通っている』という尾崎にピアノが弾ける『同棲相手』がいることを知ります。ある日、そんな『同棲相手』のことを訊く爽太に『同棲じゃなくて同居。ルームシェアしてる』と話し始めた尾崎は『俺、高校時代はずっと離島で寮生活してた』、その相手とは『寮で三年間同じ部屋』と説明します。そして、別の日、クラブのピアニストが『電撃退職』する中にピンチヒッターとして尾崎の『同棲相手』である和希が呼ばれました。そして始まった和希の演奏。そんな場に『会話も酒も忘れたようにステージを見つめる』客を見て『心をふるわせる、どこまでも透きとおった演奏だ』と思う爽太。
場面は変わり、九歳からヴァイオリンを弾いてきた爽太は大学の『室内楽サークル』に所属します。しかし、『腕前はサークル内では断トツ』なものの、他の者を激しく見下す三年生の高泉とぶつかり退部してしまいます。そんな中、仙台駅で『アマチュア音楽家の演奏』が披露される『駅コン』にサークルで仲間になった千晴と圭が四重奏で出演することを聞いた爽太。しかし、二人は『ファーストヴァイオリンの女の子』が爽太と同じく高泉のことで辞めてしまい困っていると話します。そして、『メンバーが欠けた以上、駅コンの出演は取りやめ』と高泉に言われていると続ける二人。そんなところに高泉本人が現れます。そんな場で『俺がこいつらと出るんで』と勢いで言ってしまった爽太。そして、練習を始めた四人ですが『セカンドヴァイオリン』で出演するはずだった林までもが高泉からの嫌がらせを受け再度ピンチに陥ります。そんな時、尾崎から連絡を受けた爽太は現状を説明します。そして電話を代わった和希の『ピアノ四重奏はどうかな』という提案を受け、和希がピアノを弾く中に『ピアノ四重奏』として本番を迎えた面々。そして、始まった『駅コン』の場で『和希さんは何というか ー 次元が違う』と感じる爽太。演奏は『惜しみない拍手』の中、成功裡に終わりました。その後の打ち上げの場で和希と二人っきりで話す場が訪れる中で、『小学三年生の時、行方不明になったことがある』という爽太の話を聞いたと和希は話します。そして『一カ月半も行方不明だった』顛末を聞かれた爽太はその話を他の人からも散々にされてきたことに辟易していたこともあり『もう覚えてません。全部忘れました』と話したくない意思を表します。そんな爽太に『おれは、過去から来た人に会ったことがある』と話し始めた和希。『おれは高校一年の時に、その人と知り合った。彼女は一九七四年から来た。一九七四年から、二〇一七年に』という言葉に『ドクドク響く自分の心臓の音を聞きながら』和希を凝視する爽太。『今から九年前、小学三年の夏、俺は未来にいた』という過去に思いを馳せる爽太が、未来を見つめる姿が描かれていきます。
“仙台の大学に通う青年・支倉爽太は、人には秘密にしている過去があった。失意の底にいた小学校三年生の頃、幽霊が出ると噂のある海で溺れたことをきっかけに、遠い未来 ー 2070年 ー へと時間を超えたことがあったのだ”と内容紹介にうたわれるこの作品。そんな本の帯には”どこよりも遠い場所にいる君へ 姉妹編”という記述があります。そうです。この作品は2017年10月に刊行された阿部暁子さんの感動作「どこよりも遠い場所にいる君へ」の続編とも言える作品なのです。同作で主人公を務める月ヶ瀬和希が、本作の物語を動かしていくキーマンとして再登場しています。そして、本作の物語は、「どこよりも…」の物語を知っている前提で書かれている一方で、2018年10月刊行の本作の内容は前作には全く登場しません。このことを踏まえると、”姉妹編”という記述はミスリードの危険性があり、読む順番は「どこよりも…」→「まだ君と…」一択であるべきだと思います。ということで、これからこの作品を読まれる方はここから先のレビューはお読みになられずに、まずは「どこよりも…」を先に手にされてください。両作ともに文句ない感動作です。決して遠回りではありません。
では、まずは前作である「どこよりも…」の内容に簡単に触れておきたいと思います。詳細は私の同作のレビューをご覧いただければと思いますが、その内容紹介はこんな風に記されています。
“ある秘密を抱えた月ヶ瀬和希は、知り合いのいない環境を求め離島の采岐島高校に進学した。采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、夏の初め、和希は神隠しの入り江で少女が倒れているのを発見する。病院で意識をとり戻した少女の名は七緒、16歳。そして、身元不明。入り江で七緒がつぶやいた「1974年」という言葉は?”
なんとも意味深な記述が並びます。このレビューは「どこよりも…」のレビューではないのでハッキリ書かせていただきますが、同作は上記の和希の台詞にもある通り、『一九七四年から、二〇一七年に』やってきた女性と和希との出会いの先の物語が描かれていきます。そうです。時間を超える物語=”タイムスリップもの”な物語がそこには描かれているのです。私は今までに800冊の小説ばかりを読んできました。そのレビューの中でも何度か書いてきましたが、私はすべての小説のジャンルの中で”タイムスリップもの”が最も好きであり、小説ばかりを読み続けているのは一冊でも多くの”タイムスリップもの”に出会うためです。実際に今まで10冊程度の作品に出会ってきました。「どこよりも…」もその一冊になりますが、その感動的な作りに熱いものが込み上げるのを堪える読書となったことをハッキリと記憶しています。そんな物語は、過去からやってきた七緒が確実に過去に戻ったことを主人公の和希が結末に描かれる事実によって知るという涙なくしては読めない物語でした。
そして、この作品はその続編となり、主人公として支倉爽太という大学生を登場させます。そして、爽太と前作の主人公である和希の運命の出会いから物語は展開していきます。そんな物語は前作と異なり未来に目が向かいます。それこそが内容紹介にある通り、”小学校三年生の頃”、“遠い未来 ー 2070年 ー へと時間を超えたことがあった”という爽太の過去の経験がキーになるものです。そうです。前作で過去から現代に時を超えるのは主人公・和希が出会った少女・七緒でしたが、本作では主人公自身、爽太が現代から未来へと時を超えることになります。そして、”遠い未来 ー 2070年 ー”に一人の女性・五鈴(いすず)と出会ったことがそこに語られていきます。これが両作の相違点です。
そして、そんな物語の概要を知った私は興奮を抑えられなくなりました。上記したとおり”タイムスリップもの”をこよなく愛する私ですが、今まで読んできた作品はことごとく現代から過去へと時間を遡るものばかりでした。そもそも未来へ”タイムスリップ”する作品自体読んだ記憶がありません。ただし、実は数多の小説の中には”タイムスリップもの”ではないのにしれっと未来社会を描く作品があるのです。この視点からまとめられた資料はあまり見ないのでご参考までここにご紹介しておきます。
● “タイムスリップなし”で、さりげなく未来を描く作品
・山本文緒さん「落花流水」:『町と都心を結ぶリニアモーターカーの路線が建設中』という2027年を描く(1999年刊)
・一穂ミチさん「きょうの日はさようなら」:『最高気温30度超えの日が下手すると十月まで続く』という2025年を描く(2015年刊)
・森絵都さん「カザアナ」:『いじめの問題って今はないんだよね』、『はい。学校もセンサーだらけですぐにバレます』という2040年を描く(2019年刊)
・瀬尾まいこさん「私たちの世代は」: コロナ禍が過去のものとなり『マスク世代』という言葉が登場する2035年を描く(2023年刊)
それぞれの作家さんがそれぞれの刊行年にどのような未来を見ていたのか、なかなかに興味深いものがあります。一方で本作の”遠い未来 ー 2070年 ー”はあまりにも先のことです。「ドラえもん」とまではいきませんがそれでもこんな未来世界を描くハードルは極めて高く、相当な力量が問われると思います。では、阿部さんが描くそんな未来世界を少しだけご紹介しておきましょう。まずは乗り物です。
『エンジン音がほとんど聞こえないからふしぎに思って五鈴に言ったら「電気自動車だからね」と返された。電気自動車?そんなのに乗っている人を俺は見たことがなかった』
ここ数年、『電気自動車』は街中でもそれなりに見かけるようになりましたのでこれはまあこんなものかなと思います。次は時代感を表す時には必ず登場するアレです。
『ポケットから携帯端末 ー 二〇二一年の俺が使ってるスマホよりもずっと薄くて軽そうな ー をとり出して「ほら」と俺に液晶画面を見せた』
すでに液晶ではなく有機EL製のディスプレイも登場していますし、そもそも今の携帯端末のあの一般的な形は個人的にはそう遠くなく終わりを告げるような気もしますが、さてどうでしょう?…あまり斬新さがないような…と油断しそうになったところでこれは未来!が登場します。
『あれは、MR電話…電話だから離れた場所にいる人と話ができるし、カメラを使って姿も見えるようにしてあるから、まるでそこに一緒にいるような感覚でやり取りができる…体につけた装置から筋肉に電気信号が伝わって、私がホログラムにさわると実体にさわったような手ざわりが再現されるし、逆にあの人にも私に本当にさわられたような感覚が再現される…』
これはまさに未来世界ですね。『MR電話』というこの発想はすごいです。遠隔地にいる人がホログラムを使って目の前に実体として表示される仕組み。昨今、オンライン会議が一般的になりましたが、あと一歩感があります。この『MR電話』は早く実現して欲しいですね。
さて、そんな”遠い未来 ー 2070年 ー”へと小学三年生の時に時を超え、一カ月半の後に戻ってきたという衝撃的な体験をした主人公の爽太。当時九歳という子どもが語るそんな内容を大人が易々と認めるほどに大人世界は柔軟ではありません。やがて口を閉ざし大学生となった爽太は、『おれは、過去から来た人に会ったことがある』と語る和希と運命の出会いを果たします。”時間を超え”ることができるというそれぞれの経験に基づく事実を共通項に関係を築いていく爽太と和希。過去と未来という違いこそあれど他人が一笑にふすような内容を信じ合える二人の絆の強さが支えとなって物語は展開していきます。
また、「どこよりも…」は、1974年から現代へと”時間を超えた”少女・七緒の印象が主人公・和希の心の中に強い印象を残したからこその物語でした。そして、続編となるこの作品では”遠い未来 ー 2070年 ー へと時間を超えた”爽太の心に、そこで出会った五鈴の印象が強く刻まれたからこそ展開する物語です。一見シチュエーションの似た両作ですが過去と未来ではその先に展開する物語が根本的に異なることに気付かされます。過去は結果である一方で、未来はこれから変化しうるものであるからです。物語は、この点に焦点を当て、そんな現実に苦しむ主人公・爽太の心の揺れをリアルに描いてもいきます。
『未来は長い長いトンネルの向こう側みたいに、何が待っているのか見ることができない。だからそこに暗い予感や、かなしい結末を思い描いて恐れたりする』。
そう、私たちが未来を想う時、『何が待っているのか見ることができない』が故に悲観することも多いと思います。これは、確定した過去への思いにはないものです。
『けれど、そこには同じ強さで、かがやく可能性だってあるはずだ』。
『見ることができない』ということは、そこには反対の可能性だってあるはずです。私たちも日々生きていく中で、さまざまな不安に押し潰されそうな気持ちの先に、ホッとする結果を見る、このような経験は決して少なくないはずです。『かがやく可能性』は誰にだって、どんな時だってあるはずです。だからこそ、私たちはこんな思いを持つことができるのです。
『絶望も希望も等しくはらんだ未来を、自分たちの望むものにするために努力することだけは、誰にだってゆるされるはずだ』。
この作品では、そんな思いの先に、葛藤を続けながらも前に向かって突き進んでいく主人公・爽太の力強い姿が描かれていきます。そして、「どこよりも…」の物語をも総括する形で物語は納得感のある結末を迎えます。「どこよりも…」と、「まだ君に…」の二つの作品でひとつの世界観を描き出す物語。阿部さんの描かれる神秘的な世界観の物語の中に、人の心の機微に触れる極めて繊細な物語がこの作品には描かれていました。
『どうか、あなた自身と、あなたが歩んでゆく未来を信じてください』
小学三年生の時に”遠い未来 ー 2070年 ー へと時間を超えた”主人公の爽太。この作品では、そんな爽太が、前作「どこよりも…」の主人公・和希と心を通じ合わせていく先に『信じよう、未来を』とその先に続いていく自身の未来を見据える姿が描かれていました。未来の描写が興味深く登場するこの作品。「どこよりも…」→「まだ君に…」の順に読むことで物語の奥行きが何倍にも深まるこの作品。
切なさ募る物語の結末に、書名に込められた阿部暁子さんの深い想いが浮かび上がる傑作だと思いました。
Posted by ブクログ
どこよりも遠い場所にいる君へ続編。
東日本大震災で家族を亡くし、一人生き残った爽太には、秘密がある。親戚に引き取られ、寂しさを堪えて暮らしていた9歳のとき、2070年の未來へ行っていたのだ。
前作の和希は大学生、バイト先で爽太と知り合い、物語は進行していく。
出逢い、相手への想い、グッとくる感動作です。
Posted by ブクログ
『どこよりも遠い場所にいる君へ』に続いて、
言葉選び、展開などやっぱり綺麗な内容だという印象。
前作の登場人物たちもでてくるけど、
必ずしも2冊を繋げる必要はない。
それぞれ1冊の独立した物語として十分楽しめる。
Posted by ブクログ
幼少期、爽太は海で溺れて2070年にタイムスリップしたと言う過去を持っていた。当然それを信じてくれた人は居なかったが、バイト先で知り合った和希と言う青年から、過去から来た人に会った事があると告げられ…
前作の和希が登場してちょっと嬉しかったです。
幼少期の爽太の震災体験が切なく、引き取られた家の人も悪気はないのが何とも言えず…
ずっと探していた五十鈴と現在で会えたのが嬉しかったです。これからの未来がどうなるか判らないけど、未来を変えてくれると信じたいです。
Posted by ブクログ
面白かったです。物語の展開にどんどん引き込まれていきました。ハッピーな未来になることを祈りたいです。
「どこよりも遠い場所にいる君へ」を読んでから読むとより楽しく読めると思います。
Posted by ブクログ
「おまえはそういうことを全然考えないのか。それとも自分が満足できれば、誰がどんな思いをしたってどうでもいいのか。おまえは、自分のまわりにいる人たちをその程度にしか思ってなかったのか」
Posted by ブクログ
どこよりも遠い場所にいる君へ
を読んだあとに、また君と出会う未来のために
を読みました。
最初から、知ってる名前が出てきて、キャラクターも
知っていたので、とても読みやすかったです。
読みながら、わたしも葛藤しました。
どうするべきなのか。
でも、わたしも主人公の彼と同じ選択をすると思います。
過去や未来にとらわれないこと。
今を大切に生きること。
でも、その過去や未来も大切にすること。
いろんな感情が芽生えました。
とてもいい本に出会えました。
Posted by ブクログ
前作『どこ君』(若いふりして略語?)の続編です。こういう系の表紙‥まだ恥ずかしいですが、少し慣れました。寧ろきれいかも? ただ、「TikTokで話題の〜」という帯のデカ文字には慣れません‥。
前作の4年後の設定です。主人公も変わり、本作単独でも楽しめそうですが、可能な限り前作と続けて読んだ方が、物語の深みが伝わる気がします。
タイムリープもの、ピュアな恋愛ものは共通項として、前作は神隠しに遭った少女を受け入れる側の物語でしたが、本作は過去に神隠しに遭った側が主人公という設定です。この逆パターンが新鮮で、前作の登場人物も大事な役割を果たしています。
おじさんでもいいなと思ったのは、恋愛の胸キュンパートにだけページを割いているわけではなく、鬱屈した主人公の心情が、じんわりと氷解していく部分を重視する展開になっている点です。
さらに、主人公(前作とは別)が大学生でもあり、初々しさよりも切なさが漂います。前作と本作の主人公2人とも、浄化され前に進む展開に、人を想う心の純粋さがひしひしと感じられ胸に迫ります。
背負っているものを無理に忘れようとしたり、大切にしてきたものを手放したり、自分を諦めるのではなく、今いる場所で精一杯生き、今関わっている人を大切にすることが、関わった過去や未来を尊重するのだという気付きが、失われかけた絆が強固に再生され、清々しさと勇気を与えてくれます。
決して軽々しいYA作品ではありませんでした。人の心の優しさと夏の海のきらめきが、脳裏に印象深く残る作品でした。
Posted by ブクログ
青春SF恋愛小説ってな所でしょうか?
東日本大震災が根底に有り、所々悲しい過去があるのですが、元気を貰える青春物語です。
最近どちらかと言うと重い話の小説を読む事が多かったので、読み終えてホッコリいい気分になれました。準主役的な登場人物にも主人公と同じタイムスリップの経験があり、その登場人物が主役の小説が先にある事を知ってしまったので、読むしかない!
Posted by ブクログ
このシリーズ好き
前作の「どこよりも遠い場所にいる君へ」の続編
和希や幹也が出てくるんだけども思ってたよりもガッツリ登場する。
東日本大震災で両親を亡くし、息子を亡くした叔父叔母に引き取られ、自分は息子の代わりにされてるんじゃないかと自分という存在に疑問を持つ。幼い颯汰の抱く怒り、寂しさ、恐怖そんなものに酷く共感してしまう。そしてそれを優しく包んでくれる五鈴に安心する。でも五鈴にも秘密はあって……
感情が見える小説が大好きだからこの作品も本当に好き。もっと読みたい
「どこよりも遠い場所にいる君へ」があるからこそ、和希の想いや気持ちを知ってるからこそ和希や七緒のひとつ一つの言葉が重く深く鋭くそして綺麗で残酷に見える。2冊で完成すると言ってもいいと思う。
Posted by ブクログ
どこよりも遠い場所にいる君へ、の続編。前作のキャラクターが出てくるが、知らなくても特に問題ない。
むしろ前作を読んですでに重要な設定のことを知っていると、驚きが薄れるかもしれない。
個人的には前作がとても好きだったのでまたあの世界観に没入できたのは嬉しかった。
Posted by ブクログ
The future can be built with our own hands, who continue to make efforts and wish.
未来は、努力をし続け、願い続ける自分たちの手で築いていけるのだ。
Posted by ブクログ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」の4年後。
主人公は違うが、前作の人物たちも出てくる。
続編だけれどこちらから読んでも問題ない。むしろ前作の切なさが増すかもしれない。
震災で生き残った罪悪感と生きる意味を失ってしまった少年が迷い込んだのは未来。そこで出会った女性とまた会うことができたとしたら。
高津邸のような立派な家ならいざ知らず、普通の家が60年後も同じように住めるのかと疑問だったが、その違和感の意味が分かった時は目が覚めるような思いがした。
同時に前作の主人公である和希には得られない未来がある爽太がどういう選択をするのか目が離せなくなった。
爽太が選んだ先の未来が本当はどうなるのかは誰にもわからない。でも希望がある終わり方だったと思う。
遠い未来のマレビトと出会った高津の物語も読んでみたい。
Posted by ブクログ
支倉爽太は、震災で両親を亡くし、同じく震災で子供を亡くした親戚に引き取られる。
現在19歳の爽太は義父母の元を離れ、義姉の家から大学に通いつつ、アルバイトをしている。
そんな、爽太には9歳の時2070年にタイムスリップした過去があり、そこで出会った女性五鈴を忘れられずにいる。
「どこよりも遠い場所にいる君へ」の姉妹作品。前回のキャラも出てきて、よりストーリーが重層的になっている。
最後は綺麗に終わっているが、色々謎が終結しないまま終わってしまい、不完全燃焼でマイナス1点です。
Posted by ブクログ
子供の頃に2070年の世界へタイムワープした主人公が、そこで出会った女性にもう一度出会うために頑張るストーリー。
前作の『どこよりも遠い場所にいる君へ』が面白かったので買いました。
続きものなので、前作を読んでから読んだ方が面白いと思います。でも、今作だけでも一応話は分かるようになっています。
タイムリープものってほどSF要素が強いわけではない。どちらかというと恋愛青春小説って感じ。
導入部分のイベントが一番好きかもしれない。人物紹介をしつつ登場人物全員が出会う感じが自然で良かった。
Posted by ブクログ
前作もすごく好きでしたが、今回も素敵な話でした。
前回の登場人物も出てきてくれて嬉しいし新しい登場人物も皆とにかく魅力的。
ただし高泉を除く。
改めて震災からそんなに経つんだなということ、爽太やおじさんおばさんのような体験をした人もいるんだと、改めて気づかせてくれる小説でもありました。
高校生の五鈴ちゃんかわいいなー
これは惚れる!
Posted by ブクログ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」の続編なのかな。
和樹の辛さはわかる。けどソウタはなんでそんなに未来の女性のことを忘れられないのかが、よくわからなかった。
和樹の空気感とても好きだけど、心配になるな。友人と支え合って生きていて欲しい。
Posted by ブクログ
東日本大震災
タイムスリップして恋愛が始まる
だけど9年後に二人は死別する未来
それでも主人公は二人で生きて運命を変えられる可能性を信じて前へと進む
Posted by ブクログ
『どこよりも遠い場所にいる君へ』から設定やキャラを引き継いでいるので順に読むのがよい。前作が切ない感じ、今作は前向きな感じ、と思ったら時間軸の向きと同じって事で納得。過去は変わらないけど、未来はね。