阿部暁子のレビュー一覧
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続いて宝良の話に入る。
宝良はSCCトレーディングという企業に所属するプロのテニスプレーヤーとなっているが、障がい者雇用率が来る3月に2.3%に上がる中、世の中の障がい者雇用の状況はまだまだ雇わなければならないから雇うという側面が多い現状。
ここに書かれている宝良の環境はかなり特殊な部類に入るが、とは言え、こういうところにもきちんと言及されているところは良いと思う。
みちるの話を通じて、障がい者もまた障がいがあるだけで同じ人間だということが分かる仕掛けだが、それぞれの人がそれぞれの特性に応じて活躍できる社会にしていこうという、この本のスタンスも好ましい。
物語は、スランプに陥った宝良が不調 -
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ネタバレ「どこよりも遠い場所にいる君へ」の4年後。
主人公は違うが、前作の人物たちも出てくる。
続編だけれどこちらから読んでも問題ない。むしろ前作の切なさが増すかもしれない。
震災で生き残った罪悪感と生きる意味を失ってしまった少年が迷い込んだのは未来。そこで出会った女性とまた会うことができたとしたら。
高津邸のような立派な家ならいざ知らず、普通の家が60年後も同じように住めるのかと疑問だったが、その違和感の意味が分かった時は目が覚めるような思いがした。
同時に前作の主人公である和希には得られない未来がある爽太がどういう選択をするのか目が離せなくなった。
爽太が選んだ先の未来が本当はどうなるのかは -
Posted by ブクログ
『なんて素敵にジャパネスク』を愛読した者としては似たテイストの作品で、ある種の懐かしさを感じながら読み進めた。
背後の歴史的背景を踏まえつつ北朝・南朝方の登場人物がそれぞれ丁寧に描かれており、彼らの信念や想いもきちんと伝わってくるため、皇女が吉野を抜け出して敵地の都に単身乗り込むというラノベ展開ではあるけれど、大人でもエンタテイメントとしてそれなりに楽しく読み進められると思う。
どちらかが絶対的な悪というわけではなく、北朝・南朝共にそれぞれの立場・信念・事情があり、その中でそれぞれが精一杯己の信じるものに従って行く。その過程で多くの人が争い、そしてそれが生み出す悲劇を主人公の皇女は目の当たり -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭の数頁までは室町時代に舞台を借りたライトノベル調の内容が展開されるのかと思ったが、いい意味で予感が外れた。特に中盤以降、犬夜叉(世阿弥)や義満、楠木正儀などの登場人物たちが主人公のおてんば皇女・透子に対して語る内容は、南北朝末期の二朝の対立や陰謀渦巻く幕府の内情、民衆文化の盛り上がりなど、当時の世相を踏まえよく練られているように思う。
北方謙三の楠木正成、北畠顕家(破軍の星)、懐良親王(武王の門)を読んだ後に本作を読んだことで、南北朝時代のおおまかな展開を最初からほぼ最後まで追うことができ、1本の糸がつながったような印象。そして南朝びいきになった(笑)
カバーの可愛いイラストからライト