「鎌倉香房メモリーズ」の2冊目。
■第1話 星の川を渡って
ちょうどこの季節にふさわしい旧暦の七夕にまつわる、かつて短冊の飾りの作り方を教えてくれた老婦人の記憶。
彼女の身辺を心配するうちに、そこに秘められた過去が明かされていくが、そこに描かれた、戦時中だけでなく戦争が終わった後も続く悲劇に胸が締めつけられる思いがした。
図らずも先の戦争を描いた話を続けて読むことになったが、終戦を知らずに潜伏を続けた旧日本兵の姿や映画「ひまわり」を思い出させる戦争に引き裂かれた夫婦の話は、これもまたこの夏に出会った話として改めて覚えておくべき話だと思った。
■第2話 あなたとずっと
「香会」の様子がつぶさに描かれ興味を惹く。香りの違いを楽しむというなかなか乙な席であるが、それが台無しになる中で、明らかにされる香乃の祖母・三春さんの過去。
『あの頃自分の行為がどれほど人を傷つけるか想像できなかった』とは時を経てこそ言える言葉ではあるが、その若気の至りを救ってくれた祖父・銀二さんの振る舞いが男前。
それにしても、家元の家に生まれ育つというのは結構面倒くさいのね。
■第3話 祈りのケーキ
いきなり雪弥の叔父という人物が登場。登場の仕方や見かけほど悪い人間ではなさそうだけど、一時はどうなることかと…。
ひと段落した後、話は変わって休みの日の店に母から言いつかって買い物に来た小学生の話になったが、展開としてはやや違和感。(読み終わってみれば、四話とも色んな形の家族の話だったわけで、ここでもそういう話が必要だったわけかね)
■第4話 亡き人に捧げる香り
香乃の祖父と親しかった、そして今でも香房を気にかけてくれている宮大工の貞臣さんのお話。
妻や娘を先に亡くしてしまい、自らも色々と病に冒されていくとしたら、何を生きがいに人生を送っていくだろうかね。
本の中では死ぬ間際までに秘かに父のことを見守っていた娘さんや今でも彼のことを気にかけているご近所さんの存在が救いになったが、現実では一筋縄ではいきそうもない重たい話。
私からすると相変わらず香乃と雪弥の関係は面倒くさいが、これはお約束みたいなもので、まあいいか。その内、次の巻へもいきます。