阿部暁子のレビュー一覧
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カフネの阿部暁子さんの作品。
大学生の春風が、ご近所のおばあさんのひったくり現場を目撃して犯人を追いかけるも取り逃してしまう。
そこで知り合った高校生の錬とともに、にわか探偵コンビを組んで2日間だけ犯人を追う。
というストーリーのはずが…。
探偵コンビの話はほのぼのとしているのに、交互に出てくる理緒の話がまぁ重い。辛い…。
この話、どこで繋がるんだろう?
と気になって読み耽ってしまった。
面白いことは面白いんだけど、とにかく話が重くて、ままならない状況も含めて辛くなった。
カフネの温かさはないかな…。
春風がなぜそんなに無鉄砲なほどの行動力を発揮するのか。
色々なエピソードに『そういうことだったのか』という驚きがあり、でももう少し何か欲しかったような気もする、そんな作品だった。 -
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「どこよりも遠い場所にいる君へ」「また君と出会う未来のために」につながる物語。
その二冊、1年半前に読んでいるので、だいぶ話の内容を忘れていたが、読んでいる内に少しずつ思い出してきた。
表題作は、中学生の高津が入り江で2079年から来たと言う女性を助けたところから始まる2001年の話と、高津が入院した七緒から彫刻の制作を依頼された2015年前後の話、それらが交互に語られる。
「どこきみ」で語られなかった隙間を埋める、「どこきみ」を読んでいた人への特典みたいなお話。高岡という町、ちょっと気になる。
それ以外にも番外編4作。命が尽きる前の七緒、卒業前夜の和希、2030年にいた爽太、2069年のみずき、それぞれのエピソード。
「どこきみ」では七緒が1974年から2017年に来た話、「またきみ」は爽太が2011年から2070年に行って帰ってきた後の2021年の話で、「まだきみ」はみずきが2079年から2001年に来た話なのだが、そこで語られなかった番外編のお話に、私の頭の中は登場人物と時系列がごっちゃごちゃ。
まあ、細かいことは気にせずに、登場人物との再会を楽しんだら良いのだろうけどね。
館長の八宮って誰だと思ったが、和希だったな。この本では「月ヶ瀬」だったので、すぐに思い出せなかったわ。 -
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ネタバレ病気で車いすユーザーになった少女と怪我でスプリンターを挫折した少年の爽やかボーイミーツガールな話
高校でのイベントを中心に、”障害”についての周囲の生々しい言葉や当人から発せられる言葉にハッとさせられる場面が多い
ある時から障碍者であることを受け入れるしかなかった少女と、娘の辛い思いを一身に受け止め続けて壊れてしまった母親との修復不可能に思われた関係も、物語終盤では少し改善に向けて前進してホッとした
障碍者に対応する際の”正解”があるわけではなく(健常者と同じように)、各個人に寄り添って接していく必要があるのだと、当たり前のことに気付かされた -
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「鎌倉香房メモリーズ」の5冊目、にして最終巻。
前巻でなんとか雪弥が工房に戻ってきたこともあってからまたゆるゆると日常の謎を絡めながら香乃の顔の困った機能が発動されるお約束の展開に。
第1話は贈り物の香木を題材に進むお話。
語られる茶事の段取りは面白く、香木に無傷で健康だった木はないというのも興味深い。
第2話は行方不明の仏像を発端に深められたチヨちゃんとその兄・理久、曽祖父・伊助さんのちょっといい関係。
2巻に“戦時中だけでなく戦争が終わった後も続く悲劇”の話があったが、今回も伊助さんがシベリアで抑留されていた際の辛い話が出てきて、この作者さんの反戦に対する強い思いを改めて知る。
第3話は送り主不明のひな人形を巡って明らかになる響己さん兄弟の仲。
赤ん坊が苦手に見える雪弥に対してナナさんが語る言葉に、「子どもはいつでも守られるべき存在だ」という、これまでも色んな本で読んできたことを思い出す。
最期は高橋くんやらみずきさんやら和馬やら最終話らしく賑々しく登場。初顔のシノヤくんが持ち込んだ「源氏香図」を巡る謎解きに雪弥の父が絡む。
決着がついたのかつかなかったのかいささか分かり難い終わり方だったが、終わってみればこのお話、香乃と手をつなげるようになり、生んでくれてありがとうと言えるようになった、雪弥の成長の物語だったように思えた。 -
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「どこよりも遠い場所にいる君へ」の続編。続編というより2冊でひとつの作品といっても良いのでは?
今回は、9歳の時に震災に遭い両親を亡くし未来へ迷い込んだ経験を持つ支倉爽太を中心に物語が展開していく。
前作の和希や幹也も成長して登場し、爽太を支えていく姿が温かかった。
泣き虫爽太が五鈴に会うため情熱を注ぐシーンは少しハラハラもした。
ぶっきらぼうだけど頼りになる高津さんも前作に続き、いい存在感だった。
和希の「もう会うことはできないなら、おれたちができるのは、今ここで生きることだと思う。今ここに自分がいることで何ができるのかって、一生懸命考えることだと思うよ」の言葉が心に残った。
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いわゆるジャケ買い。作品の舞台や雰囲気感は好みだけど、内容は瑞々しい中学生や高校生向けという感じで自分にはちょっと合わなかったかな…。
読者を裏切るための「まさか…!?」を狙った展開が後半にあるんですが、そんな素振りをおくびにも出していなかったので驚きというより困惑が勝ってしまったのと、ネタバレを避けつつも感想として吐き出しておきたいのは最後に出てくる小道具。この手の展開は自分も大好きなんですが、伝えたい想いがたくさんあるからこそ、大事な言葉は短ければ短いほどグッとくるシーンになると思ってます。募る想いをある程度文字にして伝えようとすること自体はいいとしても、後半の大事なところ、作品を通じて届けたいテーマのところこそ、文字でざーっと羅列するんじゃなく、この作品全体を通して読み手に響かせてこそ、じゃないすか…!不安にならないでくれよ作者さん…!頼むぜ…!と思ってしまった。
セットでオススメされていた「また君と出会う未来のために」も買ってあるので、そっちも読みます。 -
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「鎌倉香房メモリーズ」の4冊目。
前巻の残り10頁くらいになってからの急展開にとても驚かされ、『次の巻、気になる』と書いてから3カ月、やっと手にする。
いやあ、どうなることかと思っていたが、雪弥と連絡が取れずにイジイジイライラする香乃の話が続き、あの急展開から再びまったりとした通常運転の展開に、思っていたのと違いちょっと肩透かしを喰らう。
並行して、同級生の殿岡くんの母で学校の茶道部を指導してくれているふみ先生のちょっとした変調や殿岡家であるお寺で催されるクリスマス会の様子が描かれては、こちらも、まあいつもの調子。
雪弥と香乃の関係は前巻の距離の縮まり方から振出しに戻った感じで、再びどうにもじれったい。
クリスマス会の後のふみ先生のアクシデントの話になってから、香乃の家族との関係や雪弥リターンズ含めて、最後にようやく持ち直した。
何より自分が泥をかぶってまでも他人の親子のつながりをも守ろうとしたふみ先生の心情やそんな彼女を包み込む夫の政史さんの優しさにはじんと来た。
今回は全体としてはちょっと物足りなかったが、シリーズは次の「5」で終わるらしいので、最後までお付き合いしてみるとする。 -
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新人賞に通る作品って何だろうか。『はじめに』を書かれた三浦しをんさん(選考委員)の答えは「情熱の総量が決め手になることも多い」。「これが好きだ。これを書きたい」という気持ちが籠った作品のほうが、荒削りでちょっとわけがわからなくても、読むひとの胸を打つ。。。のだそう。個性的で「その人にしか書けない小説」。
コバルトという、少女小説というくくりのため、ほとんど読んだことのない、中華ファンタジーとか、王国とかが出てくる話もあった。が、どれも読みやすくて、感情の動きもよくわかり、この短さで、十分伝わるほどの世界観を作り上げていた。ライト文芸と呼ばれるもののほうが、凝った設定、凝った文体で、書くのがよっぽど難しいような気がするのだが、どうだろう。そして、一般小説との違いは。本当に、最近はwebでも、無名の方による、ぐっと惹き込まれる小説があって、新人賞受賞が、並大抵の努力では敵わないものだと思い知らされ、どんどん憂鬱になってしまう。それでも自分の書くものを信じられる人だけが、栄光に辿り着けるのでしょうか。もう、ほんとしんどい。
今大活躍中の、佐原ひかりさんも宮島未奈さんも、原点が垣間見れてよかったけど、心に残ったのは、「夕方の団地って大きな墓石みたいだ」で、始まる『みずいろサナギの伝説』(久賀理世さん)。団地の公園の、水色のおわん型の遊具が、まずよかったし、一つ年上の先輩のあだ名、レジェンドもよかった。