阿部暁子のレビュー一覧
-
-
-
Posted by ブクログ
終わりの2行目
薫子の髪に触れたー
ん?そっち?
読み取れなかったのか?私は…
見えている部分だけから理解するのでは、確かに見誤る。自分なりの解釈は、事実とは異なる、ということを常に心に留め置いて人と関わろう。
さて、薫子にはようやくわかった。遺言書は決意表明だったのだ。春彦の決意表明が、春彦自身も予想だにしない形で薫子達に届いた。真相がわかり、年の離れた弟の意志が、「その時」の薫子には受け止められた。
もしも生きて告げられたならば、同じようにわかってあげられただろうか…
公隆との関係もそう
今だから、うじゃうじゃあっての今だから、受け入れられる。受け止められるんだろうなぁと思う。
人 -
Posted by ブクログ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」「また君と出会う未来のために」につながる物語。
その二冊、1年半前に読んでいるので、だいぶ話の内容を忘れていたが、読んでいる内に少しずつ思い出してきた。
表題作は、中学生の高津が入り江で2079年から来たと言う女性を助けたところから始まる2001年の話と、高津が入院した七緒から彫刻の制作を依頼された2015年前後の話、それらが交互に語られる。
「どこきみ」で語られなかった隙間を埋める、「どこきみ」を読んでいた人への特典みたいなお話。高岡という町、ちょっと気になる。
それ以外にも番外編4作。命が尽きる前の七緒、卒業前夜の和希、2030年にいた爽太、2069年の -
Posted by ブクログ
ケアの物語。
夫に去られ、弟も失った女性が、弟の元恋人の手料理によって少しずつ癒されていく。やがて彼女自身も家事代行の仕事を通して、助けを必要としている人々を支える側となり、その感謝の言葉によってさらに救われていく。与えることと与えられることがつながる、「ケアの循環」を描いた作品だと感じた。
「食べることは生きること」という、生の根幹に関わる営みだからこそ、食を通じたケアには人を立ち直らせる力があるのだろう。近年、このテーマを扱う作品をよく目にするのは、その土台となる日々の暮らしを維持することさえ難しい人が増えている時代を映しているのかもしれない。
生活の基盤を立て直すことは、生きる力を -
Posted by ブクログ
ネタバレ病気で車いすユーザーになった少女と怪我でスプリンターを挫折した少年の爽やかボーイミーツガールな話
高校でのイベントを中心に、”障害”についての周囲の生々しい言葉や当人から発せられる言葉にハッとさせられる場面が多い
ある時から障碍者であることを受け入れるしかなかった少女と、娘の辛い思いを一身に受け止め続けて壊れてしまった母親との修復不可能に思われた関係も、物語終盤では少し改善に向けて前進してホッとした
障碍者に対応する際の”正解”があるわけではなく(健常者と同じように)、各個人に寄り添って接していく必要があるのだと、当たり前のことに気付かされた -
Posted by ブクログ
「鎌倉香房メモリーズ」の5冊目、にして最終巻。
前巻でなんとか雪弥が工房に戻ってきたこともあってからまたゆるゆると日常の謎を絡めながら香乃の顔の困った機能が発動されるお約束の展開に。
第1話は贈り物の香木を題材に進むお話。
語られる茶事の段取りは面白く、香木に無傷で健康だった木はないというのも興味深い。
第2話は行方不明の仏像を発端に深められたチヨちゃんとその兄・理久、曽祖父・伊助さんのちょっといい関係。
2巻に“戦時中だけでなく戦争が終わった後も続く悲劇”の話があったが、今回も伊助さんがシベリアで抑留されていた際の辛い話が出てきて、この作者さんの反戦に対する強い思いを改めて知る。
第3 -
Posted by ブクログ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」の続編。続編というより2冊でひとつの作品といっても良いのでは?
今回は、9歳の時に震災に遭い両親を亡くし未来へ迷い込んだ経験を持つ支倉爽太を中心に物語が展開していく。
前作の和希や幹也も成長して登場し、爽太を支えていく姿が温かかった。
泣き虫爽太が五鈴に会うため情熱を注ぐシーンは少しハラハラもした。
ぶっきらぼうだけど頼りになる高津さんも前作に続き、いい存在感だった。
和希の「もう会うことはできないなら、おれたちができるのは、今ここで生きることだと思う。今ここに自分がいることで何ができるのかって、一生懸命考えることだと思うよ」の言葉が心に残った。 -
Posted by ブクログ
大学での人探し編、レンの家にお邪魔編では記号的なキャラクターが賑々しく、おまけにレンが品行方正でイケメンで人望い人格者と持ち上げられ過ぎており、作者の偏愛と寵愛を感じるようで、更にオーディブルの効果も相まって、キャラクター小説が読みたかったわけじゃないんだけどな、正直失敗したかなと思った。リオ編との温度差にも風邪引くわとも思った。
たが目的が変わってからレンへの印象が変わった。捻くれた生意気さも年相応の危うさもちゃんと持ち合わせていた。しっかり手綱を握ってくれたハルカが頼もしくて好感が持てた。
ストーリーはトクリュウを思わせる電話詐欺を軸に指令役に迫る運びになっており、この指令役の冷徹になりき -
Posted by ブクログ
いわゆるジャケ買い。作品の舞台や雰囲気感は好みだけど、内容は瑞々しい中学生や高校生向けという感じで自分にはちょっと合わなかったかな…。
読者を裏切るための「まさか…!?」を狙った展開が後半にあるんですが、そんな素振りをおくびにも出していなかったので驚きというより困惑が勝ってしまったのと、ネタバレを避けつつも感想として吐き出しておきたいのは最後に出てくる小道具。この手の展開は自分も大好きなんですが、伝えたい想いがたくさんあるからこそ、大事な言葉は短ければ短いほどグッとくるシーンになると思ってます。募る想いをある程度文字にして伝えようとすること自体はいいとしても、後半の大事なところ、作品を通じて届 -
Posted by ブクログ
老人が家から出てきてすぐ、若者に手にした荷物を引ったくられ突き倒された。
たまたまその瞬間を目にした、近所の大学生がすかさずその男の後を追いかける。
そんなありふれたひったくり事件から始まる。
2025年本屋大賞受賞作「カフネ」の作者が物した犯罪小説。
カフネの優しい雰囲気とは全く異なる、現実の特殊詐欺の姿をリアルに描く。犯罪小説ではあるが、犯罪は本書の主題ではない。
全ての登場人物の背景を克明に描き、なぜそのストーリーが書かれ、紡がれていくかという理由が明確に綴られていく。
いくつかに別れて描かれていくストーリーが、織りこまれ、結末に向かって伏線が丹念に回収されていく。
カフネとは全く違