あらすじ
☆2025年本屋大賞受賞作☆
【第8回未来屋小説大賞】
【第1回あの本、読みました?大賞】
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。
最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。
食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。
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Posted by ブクログ
心温まる物語。
私自身が、子供を持つことは素晴らしいと疑わない気持ちがあったけれど、この世の中自体に不安感を抱いていて子供を無責任に産めない、と考える人もいるんだと思った。
そして、そう思わせてしまうようなことが起こっていること、悲しくなるし、そういう人に手を差し伸べたいね。
どんなに親しくなっても他人は他人で、全てわかりあうことはできない。このことはしっかり覚えておきたいな。味覚障害を明かさない弟、びっくり。
薫子が養子縁組やパートナーシップを、せつこに提案するのは、かなりお節介だし踏み込んでいると思うけれど、やはり人と人の繋がりは大事なんだと思った。
Posted by ブクログ
読んだあとには、あたたかい気持ちになった。
初めから真ん中くらいまでは、ハラハラ、ドキッとする場面もあったけど、途中で意外な事実が出てきて、そこからは人物像が180度変わったりして… サスペンス読んでたっけ、と思ったり笑
後半は涙が出た。誰にも、見えていない一面があって、人を完全に理解するのは無理なんだな。でもそれでも、理解しよう、一緒に生きよう、とすることが支え合うってことなんだと思った。
法務局に勤めている薫子さんが、12歳下の弟の春彦くんをなくし、その遺言書に書かれた、元彼女のせつなさんと会う。せつなさんは、ぶっきらぼうで愛想のない、穏やかだった春彦くんとは合いそうにない家事代行サービスをしている女性。春彦くんの遺産をいらないと言う彼女に薫子さんは怒るけど、執行人に指定されているし、春彦くんのためにも希望通り遺産を受け取って欲しい。2人の話し合いの場で倒れた薫子さん。せつなさんに家に送ってもらい、めちゃくちゃ荒れた部屋を見られてしまう。実は薫子さんは夫の公隆さんと離婚し、アルコール依存症になりかけて生活力を失っていた。そこで、せつなさんはあたたくて美味しいにゅうめんを作った。不器用でそっけなくも、悪い人ではないのでは?と感じ始めた薫子さん。もともと掃除の腕はある薫子さんは、せつなさんの提案から、彼女の職場「カフネ」の土曜日のボランティアとして、せつなさんと組んで家事代行をすることになる。
いろいろな事情がある利用者さんと関わったり、せつなさんが春彦くんに作っていた料理を食べたりして、薫子さんとせつなさんの距離が縮まる。
ある日せつなさんは、春彦くんの遺体発見者である同僚の港くんに呼び出される。薫子さんも同行。そこで、春彦くんは港くんとつきあっていたこと。せつなさんは、港くんの依頼で春彦くんの家に家事代行サービスで行っていたこと。せつなさんは春彦くんとは友だちだったこと。春彦くんは味覚障害で味がほとんどわからなかったこと。港くんは家柄的に結婚しなきゃいけないけど、変わらず春彦くんはキープしたくて、それを春彦くんも了承し、それが原因で自殺したと港くんは思っていることを知る。自分が知らない春彦くんを知って、動揺する薫子さん。せつなさんに、騙していたことを責める。
せつなさんは体調を崩す。カフネの社長のトキさんと一緒にお見舞いに行ったとき、せつなさんが慢性白血病と知る。母親は蒸発、父親は自殺、育ててくれた伯母はコロナで亡くなっていて、せつなさんはひとりだということも知る。
薫子さんは、元夫の公隆さんから、春彦くんが薬剤師の資格を活かして、国境なき医師団的な団体に参加しようとしていたと知る。春彦くんは、自分を求める人から自由になりたくて、その道を選ぼうとしていて、決して自殺ではなかったと気づく。
薫子さんは、自分がいちばんしんどかったときに支えてくれたせつなさんをひとりにしておけないと思って、パートナーシップか養子縁組を提案。突っぱねるせつなさんだったが、最後は一緒に生きることを選ぶ…
Posted by ブクログ
4章から一気に話が進むが、それまでに飽きたりすることなく読みやすい。温かく切ない気持ちになる。人の見た目や態度だけで判断してはいけない、見えているのは今の状態だけでその人の今まで生きてきた人生や思いの全てを知らないから。人の辛いという気持ちは数値化できないし、本人以外の誰も理解することはできないし、理解しようとする姿勢さえも重荷になることもある。でも心が病んでいると知った時、その人を支える人が1人だけでもいなければいけない。1人だけでは生きていけない。そんな事が食や生活を通して身に染みてわかる1冊だった。また絶対読みたいし、周りの人にも読んで欲しい1冊。
Posted by ブクログ
自分のことを肯定も否定もしてくれるような作品だった。
少し突飛だったり不思議に思ったりする部分もあったけど、本当の意味では理解できない人間らしさでもあるのかなと思えた。
もやもやする終わり方でもなく、あたたかい気持ちで読み終えることができた気がする。
あと、読んでいるとすごいご飯が食べたくなる。
自炊でも人に作ってもらうでもいいから、あたたかいご飯が食べたくなった。
Posted by ブクログ
遅ればせながら、拝読。
本屋大賞の本が大好きな理由のひとつに、曖昧な表現が多用されているというものがある。
繊細な表現が物語の輪郭を創り出し、そうして読者の脳内に人物像や見取り図を作る。
『春風が突き抜けるような』と繰り返し表現される春彦の話し方と声はどんなものだっただろう。亡くなった今、残された薫子やせつなに知る術はないが偶然にも、いや必然的に出会った2人は彼の願ったものだったのかもしれない。
私が知っているあの人のことは、その人の100%のたったの1%に過ぎない。
久しぶりに読んだ本屋大賞の本が、カフネで良かったと心から思う。
Posted by ブクログ
★4.5
登場人物全員の内面が次々に紐解かれて行くのが読んでいて面白かったです。
薫子の努力一筋で人生を切り開いてきたところに親近感もあるし、自分の中で小野寺せつなが後半に連れてどんどん魅力的な人物になりました。
食の大切さを改めて教えてくれるとても素敵な1冊でした。
Posted by ブクログ
本屋大賞、なるほど。
とても読みやすい文章でありながら、心が温まる内容。
とは言え、それぞれが抱える不安や焦燥には心が痛む。
全てのキャラクターが生きていて、感情が入りやすい。素晴らしい。
Posted by ブクログ
人生のどん底を知った2人だからこそ支え合える物語でした。簡単に言ってしまえば、家事代行をボランティアで行う2人の歳の離れた女性が様々な事情を抱えるお家に伺う日常を描いたお話。ですが、それだけはなく彼女達自身の生い立ちや置かれている状況にとても感情を揺さぶられました。物語の展開も予想のつかないものばかりで、日常系のお話なのに一時も飽きることなくすぐに読みきってしまいました。
Posted by ブクログ
まず「カフネ」とは、作中で家事代行サービスをする団体のことを指します。弟を亡くし、不妊に悩み生活が荒れてしまった野宮薫子。弟のパートナーだった小野寺せつな。弟の遺した遺言書をきっかけにこの2人が出会い、物語が展開していきます。カフネの活動、弟の死の真相、それらを通して気付かされる家族、友人、恋人、との関係の在り方。2025年本屋大賞作品、その賞に恥じぬ素晴らしい作品でした。現代に疲れた方にもぜひ読んでいただきたいです。
(ちなみに読んでいる時イメージしたのは、薫子が江口のりこさん、せつなが池田エライザさん、春彦が岡田将生さんでした。映画化が楽しみです。)
Posted by ブクログ
ずっと積んでいた1冊、とっても良かった〜。
不妊治療がうまくいかず、夫と離婚し、弟まで突然失った薫子はアルコールに頼るようになるが、弟の遺した遺言状をきっかけに弟の元恋人のせつなと再会し、一緒に家事代行サービスの仕事を手伝うことで再生していく物語。
薫子の気持ちが分かりすぎて胸が締め付けられるけど、せつなやカフネを通じて知り合う人たちとの交流によって自分の人生を取り戻していく姿が力強い。何度も「私は不屈の努力で人生を切り開いてきた女だ」と自分を奮い立たせる薫子が最高。
だれかと仲良くなりたい、もっと知りたいと思うとき、どこまで踏み込んでいいものか迷ってしまって難しい。でも人間関係を築くには、やっぱり自分の気持ちを話して伝えることが大事、そこで拒否されることはあるだろうけど。
薫子が再生していく姿を追いながら、ずっと春彦の死の真相が謎としてあって、最後まで面白く読み進められた。
おいしいごはんを食べるだけで問題は解決しないけど、また頑張ろうと思えるエネルギーになる、この作品もそんな栄養になる一冊だった。
Posted by ブクログ
「カフネ」はポルトガル語で愛する人の髪に手を添える仕草という意味があります。2025年の本屋大賞ようやく読むことができました。疲れた一日の終わりにはぜひカフネを読むことをオススメします。最初はチグハグな関係だった薫子とせつながすれ違いながらも共に家事代行サービス「カフネ」をやっていくという話でした。とても読みやすくてあたたかい物語でした。やっぱり本屋大賞の本は面白い!
Posted by ブクログ
本屋大賞、信頼できすぎる。
あっという間に読んだ。
胸が熱くなって泣ける。
生きていくために、必要とされること、必要としてる人がそばにいることって大事ね。でもそれが満たされることってほんとに奇跡。
Posted by ブクログ
登場人物の抱えるものを自分も抱えている感覚。
愛情という美しい言葉のもとに、大切な人を追い込んでしまう現実。
そういったことが苦しくて、読みながら、度々泣いてしまった。
生きることは苦痛の連続で、それでも生きることは貴い。
人は本当に愚かで、自分の欲望や妄想のために心を悩ませたり、他の者を従わせようとしたりする。自分の正義は他の人にとっての正義ではないのに。
読み終えて、思うことは
ただ自分の愛する人が自分に正直に、自由に生きてほしいということ。
そして、自分自身もそうありたい。
Posted by ブクログ
お腹がすいていることと、寝起きする場所でくつろげないことは、だめです。子供も大人も関係なく、どんな人にとっても
無償の愛、人の温もり。大好きな人においしいご飯を作ってあげたくなるお話でした。
匿名
濃くて深い話が沢山詰まっている。これでもかというほどの人の感情や思いが伝わってくる。色んな生き方があり、自由も人それぞれだと思い知りました。彼女達みたいに自分らしくいたい。
Posted by ブクログ
久々に読書しました。心温まるお話。普通に面白かった。幸せになるために、料理、家事、って大切なんだな、と思いました。自分の人生に大切なことを教えてくれた本です。
匿名
さすが本屋大賞
読んでよかったな、読了してから感じたのはまずその言葉でした。本作では料理を通じて愛が語られていくストーリーになっています。誰かのためを思って料理をすること、普段何気なく行っていること、やってもらっていることが実は1番の愛の表現ということなのだなと改めて感じさせるものでした。普段は自分の分だけ料理をする私ですが、たまには自分自身を喜ばせるためにも、少し豪華な食材を使ってなにか作ってみようかなと思いました。
想いで満たされる
美味しい食事の話かと思っていました。
満たされることの幸せ、が描かれているのかと。
確かに美味しそうなレシピは出てきます。
でも、それをつくる人の想いや食べる人の環境や想いがたくさん詰まっていて、読んでいて胸がいっぱいになりました。
そして、こんなにも自分は人を想ったことがあるだろうかと、少し心がさみしくなりました。
読み終わるのがもったいなくなった1冊です。
大変良かったです
亡くなった弟の死因に迫るミステリーと思いきや
現代社会の暗い現実と、それを補いながら進んでいく
周囲の人たちのお話で物語の中心、著者さんの伝えたい所はもっと違う所かな?
何だか泣きそうになる場面多数、流石本屋さん大賞
またディグりたい著者さんに出会えました。
Posted by ブクログ
言わずと知れた2025年本屋大賞第1位作品で、初の阿部 暁子作品。
冒頭からちょっといけ好かない女性(せつな)に先制攻撃を受けながら、この後ストーリーがどのように展開していくのだろうと、とても気になって、気が付けば夢中になって読み進めることができた、とても温かくて優しい作品でした❗️
最初に登場する豆乳素麺をはじめとして、出てくる料理の描写がとても美味しそうで、食欲をそそります。
好きなエピソードは、西川 拓斗君ファミリーの話しで、その後の展開がジェットコースターに乗っているような速さで、少し感情がついていけませんでしたが、最後はとても綺麗と纏まっていて、今年読んだ中でも上位に入る素敵な作品でした❗️
やはり本屋大賞はハズレがないですネ❗️
泣いた。
読み進めていくうちに、つっけんどんな態度だったせつなの隠された事情や春彦をめぐる姉すら知らなかった事実など、読んでいて胸が張り裂けそうなくらい辛いものが多かった。
人前ではあんなだけど本当はすごく愛があって相手のことを見てよく考えているせつな、人間味がとってもあって好き。
中学生の男の子と妹に対して本気で心配しはたから見たら若干暴走気味になってたところも胸を打たれた。
本当に、周りをよく見る子でこれから過去の分までいっぱい愛を注がれて受け止められるようになっていけたらいいと思う。
Posted by ブクログ
読みやすく、3時間で読み終えました。こういう感じの作品、久しぶり。サポートで生き返る人たちの姿を描き、社会の一面が見て取れました。サポートする側の人ほど、真面目に考えるのかも。ストロング缶のくだり、私も飲んでるからぎくっとした。
Posted by ブクログ
登場人物それぞれのキャラクターがとても魅力的で、凄く読みやすかったです。
読み始めるとページをめくる手が止まらなくなり、すぐに読み切ってしまいました。
自分自身の人生を生きることの大切さを優しく説いてくれるようなお話でした。
食べ物に対する描写が細かくて、読みながらすごく美味しそうだなと思いました。
美味しいご飯の力と、人と人との繋がりの温かさが心に沁みました。
Posted by ブクログ
亡くなった弟がお手伝いをしていた、家事代行サービス『カフネ』。
そこではボランティアとして、誰にも頼れず疲弊している家の家事を無料で請け負う活動もしていた。
親の介護をする人、シングルマザーとして一生懸命働く人。一生懸命頑張りすぎて、疲れて、家事にまで手が回っていない家庭が沢山あった。
美味しいご飯と清潔な環境が大切なのだと、頑張りすぎなくても良いのだと、教えてくれる物語だった。
Posted by ブクログ
良かったなぁ、、、
身近な人を大切にしようと思うのと同時に、それは独りよがりになってはいけないんだよという教訓も得られたかな
表面的なところなんて何割見せてるかわからない
Posted by ブクログ
春彦くんはやはり自殺ではなかった、自分らしく生きようとしていた、というラストには救われました。努力で人生を切り開いてきた薫子さんが、出産やパートナーの気持もち、努力だけではどうしょうもない問題に直面して傷つき、せつなさんに救われて、相手に寄り添うことによって自分も救われる経験をしていく過程に共感しました。
Posted by ブクログ
料理を通して人と通じ合うことができる。登場人物に思いを馳せると涙なしでは読めない。。
素敵な作品でした。
少しもやっとした部分もありましたが、、
Posted by ブクログ
オーディブルにて。文庫本がでたら買います。
よく知らない知り合いなのに、つらい時に助けてくれる人って本当にいたらいいな…
薫子とせつな、幸せになりますように。
Posted by ブクログ
昭和でもなく、平成でもなく、令和だからこその物語。でも、どこか昔の日本のよさも感じさせられるような気もして、自分のなかの何かがアップデートされた気分になった。
Posted by ブクログ
本屋大賞っぽい一冊でした
窮屈な生き方
本当の自分
人との距離
がテーマかな
登場人物が少ないのに色んな生き方を描き、なのに全然とっ散らかってなくてとても読みやすかった
薫子さんとせつなさんの立場?が知らぬ間に逆転する展開も面白かった
家事代行カフネをご利用ください
どうしようもなく疲れて食事や掃除、片付けが疎かになり、立ち上がれなくなることは誰にでもある。大切な人を失ったり、仕事や子育て、介護に追われて別人のように疲れ果ててしまう。誰にも助けを求められず、落ちていくしかないんだなと。頑張る人ほど助けを求めるのが下手クソで。でも知ってる?不器用だけど、助けてくれる人は、あなたの力になりたいと思っている人はこんなにもたくさんいるんですよ。そう教えてくれる、優しい物語。ペイフォワード。
Posted by ブクログ
可もなく不可もない。後半につれて色々とびっくりする事実があった。主人公の心を再生していく過程は丁寧で良かった。個人的には読んでも読まなくてもいい気がします。
Posted by ブクログ
不妊に悩み、理由がわからないまま離婚された主人公が、溺愛する弟の急死をきっかけに、その元恋人と関わりを持ち、立ち直る。
弟にもその元恋人にも元夫にもそれぞれの事情があることがわかるが、それらを知った主人公のパワフルな行動力に感心する。バツイチバリキャリはこうでないと。
この作品が本屋大賞に選ばれたのは納得。
しかし、そんなにも受け入れられているのに、現実はなぜ? という思いと、だから苦しむ人に受け入れられるのかという思いと。
本読みはさほどに社会に影響を与えるわけではないのだとつきつけられているようでもあり。
Posted by ブクログ
家事代行サービスから見た現代社会が描かれています。生徒のお勧めで読んだのですが、中学生で本当に楽しめたのか、いささか心配になりました。いい話でしたと言う人もいたにですが、私はちょっと苦手なストーリーでした。