あらすじ
☆2025年本屋大賞受賞作☆
【第8回未来屋小説大賞】
【第1回あの本、読みました?大賞】
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。
最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。
食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2025年本屋大賞!突然亡くなった春彦を通して、その姉と元恋人が出会い、友だちでも恋人でもない関係が作られていく。まぁ既視感のある設定のほっこりする話だなぁと思いながら読んでいたら、予想の何周も先まで話が展開されていき、後半は驚きの連続だった。と同時に、生前の春彦を思って何度も何度も涙がこぼれた。結局はその人の苦しみだって希望だって、その人にしか分からない。どれだけ長く過ごしても近くにいても、相手に「こうあってほしい」というフィルターを通して見てしまうから。自分のことで精一杯で相手の気持ちを慮る余裕がないときもたくさんあるから。
小さい春彦と姉の薫子が手をつないで歩くシーンはとても印象的だった。なぜだかその時の怖いほど美しい夕陽やそこに佇む2人がとてもリアルに想像できた。でも目を離すと2人ともフッと消えてしまいそうな儚さも背負っていた。「一緒に帰ろう」その言葉にいろんな想いが頭を駆け巡って、胸がぎゅっと締め付けられた。
とても素敵な作品だった。薫子みたいな41歳・不屈のレスラーになりたい。
自分を大切にしようと思える本
悲しさや優しさが入り混じる、温かい物語。
強さ、生きるということ、助け合い。
野宮薫子は夫の公隆から離婚を切り出され、弟の春彦を亡くし、荒んだ生活を送っていた。そもそも薫子はつらい幼少期を過ごし、真面目で生きにくいところがある。
そんな折、春彦の遺した遺言書を通して春彦の元恋人だという小野寺せつなに会う。
せつなが薫子に料理を作ってくれたり、カフネの家事代行サービスでやっている週一のボランティアに誘ってくれたりして、薫子を絶望の生活から救い出す。
薫子はせつなとペアでいろんなお宅にボランティアに行くうち、生き生きと活力を取り戻す。
せつなが料理をするシーン、人に正直に真っ直ぐに言葉を放つところが印象的。
それぞれの家庭における事情、薫子の生きづらさ、せつなの境遇、カフネの仕事・存在、春彦の死が引き合わせたせつなと薫子の関係。どれも良かった。
自分も子どもがいて母なので、薫子やせつなのこと、各家庭に出てきた子どもや親のことがとても入ってきた。頑張りすぎちゃうとこも、自分を後回しにしちゃうとこも共感できた。
しんどくなった時に読んだら、人を頼ったり、まず自分を大切にしたりできそう。
人に頼ること大事。
家事代行サービス頼んでみたくなりました 笑
1番は、どれだけ大変でも、食べることと寝ることは大事にしようと思いました。
Posted by ブクログ
現代を生きる女性なら誰でも直面する結婚、子供を望むか望まないか恵まれるか恵まれないか、家族、仕事の悩みに、あらゆる困難を努力とガッツで幼少期から乗り切ってきた薫子が挫折しながらも、立ち向かっていく様子に共感したり、元気をもらえたりする作品。
パフェ、プリン、おにぎり、卵味噌などの料理の描写が鮮やかに印象に残る作品で、たべものが人に与えてくれる力の大きさも感じました。
春彦、公彦たちも含めて、それぞれの登場人物に自分の一部を感じて、とても読みやすく自分の中にすっと入ってくる物語でした。
恋人とも、友人とも、家族とも違う薫子とせつなの関係性も愛おしく思えて、物語の結末も劇的でないけれど、未来に向かって進んでいる感じが、素敵だなと思いました。
またこれから自分自身の人生を進めていって、自分が置かれる立場が変わってから読むのも楽しめそうだなと思っています。
Posted by ブクログ
愛について考えたくて読んだ
失望と諦めが、愛情を根こそぎ着し去ってくれたなら、いっそどんなに楽なのか。けれど、愛しさはしぶとい雑草のように胸に根付いて、乳られても、毟られても、ほんのわずかな雨さえ降れば、こうして息を吹き返す
このセリフが心に残っている。
主人公は何もかも上手く行かない、でも応援したくなるようなひと。
でも、時々でてくる自虐とか、見える強さがリアルな年齢の女って感じがしてよかった。
春彦の設定が神々しすぎて、あと死んだ理由もわからなくてうーんという感じ
主人公が感じる愛の描写がこの小説では見どころだと思う。
Posted by ブクログ
本屋大賞、うなずけます。
カフネの意味が全てを物語ってます。
せつなくて優しい、お話しですが私は、 せつなのぶっきらぼうな優しさや、棘があるが的を得た物言いが刺さります。薫子さんに出会えたせつなが、いつか肩の力を抜き生きていけたらと願います。
Posted by ブクログ
せつなは、薫子の前からいなくなろうとしている。薫子は卵味噌おにぎりを作る。以前、せつなが作った卵味噌おにぎりの味だ。プリンも、ある。泣きながらおにぎりを食べるせつなと、私は同じ部屋にいた。ふいに部屋がほどけ、ページが戻る。本の外の読み手に戻って、号泣していた。
弟の晴彦を突然失った野宮薫子は、晴彦の元恋人で、家事代行で働く小野寺せつなと会う。二人を向かい合わせたのは、遺産相続というあまりに事務的な用件だった。せつなは無愛想で、どうにも仲良くなれそうにない。
言葉だけでは縮まらない二人のあいだを、食べ物が行き交う。倒れた薫子へ作られた温かい素麺。潰れたケーキは捨てられず、パフェになる。元の形には戻らなくても、別の形なら食卓へ戻せる。せつなと過ごすうち、薫子も、自分があまりにも傷ついていたことに気づく。
薫子がせつなへ伸ばす手は、唐突にも見える。その違和感は消えない。それでも、せつなが差し出してきた味を、今度は薫子が返す。その一口を見届けたとき、唐突だったはずの手を理解できる部分がある。
未来に希望を失っても、生き抜かなければならない。生きることが大きすぎるなら、まず食べる。食べることは、正しい。
Posted by ブクログ
自分の興味がある内容が詰め込まれていて、とても面白かったです。読んでよかった。
ヒットする読者層は一部な気がしますが、自分には刺さりまくりました。
Posted by ブクログ
切なさと、暖かさを感じる作品。
人は誰でも孤独を感じる時がある。そんな時に誰にどんな風に寄り添って欲しいかも人それぞれ。
誰かの為になりたいと思う気持ちを押し付けるのではなく、お料理を通して少しずつ心を開いていく。
せつなの人物像にも惹きつけられました。
Posted by ブクログ
最後、せつなの目が赤くなって顔をゆがめてたところ、めっちゃ良かった。最後の最後まで素直じゃないせつなが見せる素直な部分の描写、涙腺緩んだ
てっきり春彦の死に皆が納得する理由があるのかと思ってたけど、そうじゃない展開は驚いたし少し残念でもあった。薫子やせつなが少しでも晴れやかな気持ちになれる材料が減ってしまったと思って。
けどそれは、この作品がミステリー要素とかを含まず、「温かさド直球」で構成されていることを示す何よりの証明
美しい作品でした
本屋大賞も納得の面白さ
弟を亡くした姉と、弟の元恋人。
弟の死をきっかけに、本来なら交わることのなかった二人の人生が静かに交差していく。
喪失と向き合いながら、それでも前を向こうとする姿が胸を打つ、切なくも温かな再生の物語です。
本屋大賞受賞も納得の一冊でした。
Posted by ブクログ
はい、ドラマ化します
NHKのドラマ10でやります
ごはんシーンはもう美味しそうに仕上がりますし、特に子役の演技が光る感じになりますね
春彦の子供時代もかわいいですが、せつなの子供時代がもうそりゃ可愛い
あー、見たいなー
俳優さんはお任せします、よろしくお願いします!
人間って、本当に多面的で、その人がどんな人かなんて家族でもやっぱり分からない
もしかしたら、自分のことも分かっていないのかも
それでも全編を通して、人との関わっていくことの大切さ
人の善良性を感じることのできるお話でした
良い話でした、ありがとうございました
特に薫子と同世代で似たようなところもあり、感情移入してしまったか所も大きいかも知れません
私はそこまで自分の年齢意識してなかったし、世間の荒波をかき分けてきた感無いですけど…精神年齢全然届かないわ、薫子さんすごいわ
最後のはぶっ飛んでたけど
まぁそれは彼女の個性や生活環境考えると選択肢になるのかなぁ
Posted by ブクログ
食べたくなる描写ランキング
第3位 スーパーで買った菓子パン
p132
サクサクのデニッシュ生地にこれでもかと盛られた生クリームはミルクの匂いがして、
チョコレートと一緒に舌の上で溶ける。
チョコレートの上にまぶされたクランチのザクザクした食感も快感だ。
だが何よりも甘い。
脳がぐずぐずになるくらい甘くて、快楽物質がものすごい勢いで脳内に分泌されていく。
「これ悪魔の食べ物ね」
第2位 せつながアレンジした苺パフェ
p66
グラスの底にはスライスされた赤い苺、次に真っ白なクリームと、サイコロ状にカットされた淡い黄色のスポンジケーキが交互に重ねられている。
その上層には、翡翠色と乳白色、二色のアイスクリームが美しい色の対比を見せながら盛られ、その上をまたスポンジケーキとクリームが覆う。
クライマックスであるパフェの頂点には真っ赤な苺が女王のように飾られ、その脇には、小さな薄紅色の薔薇が三つ咲いていた。(略)
てっぺんの苺は最後の楽しみに取っておいて、白いクリームとスポンジケーキが作るなだらかな丘にそうっとスプーンを入れる。
水脈を掘り当てたように艶やかなチョコレートソースがあふれ出してきて、胸がときめいた。
そう、このパフェを見た瞬間から、ずっとときめいているのだ。
↑女王のように飾られがよかった。
第1位 海賊が食べそうな骨付きチキン
p134
飴色にローストした骨付きチキンを、骨の端が牛肉の両側から飛び出るように二つずつ配置して、太巻き寿司を作るように巻き込んで成形していく。(略)
巨大な肉の両側に突き出した骨を両手でつかむなり、歯で肉をむしり取るように齧ってみせた。
こんなに野蛮に肉を齧る女を見たのは生まれて初めてで、薫子は呼吸もまばたきも忘れて見入った。
せつながソースと脂に濡れた唇を薬指の先でぬぐい、それを舐めとるのを見た時、どきりと心臓が跳ねた。
衝撃は体のもっと奥まったところまで響き、じんと下腹部が熱くなる。
↑これを読んだあと、真似はできなかったので、代わりにチキンの照り焼きを実際に食べた笑
異論は認める!めちゃくちゃ迷った!
事前の情報などから、「食べ物系のほんわか小説だろ」と高を括っていたけど、いやー、すごかった。
参った。
しかも食べ物だけではなかった。
泣いた。
小説で泣いたのは60冊振りくらい。
最近は書き手のことを考えながら少しメタな読み方をするので、「すごい」とか「上手い」とかの感想を抱くことはあるけど、
泣いちゃうまではさすがになかったので、
すごい読書体験だった。
阿部先生本当にありがとう。
なんで泣いてしまったんだろう
と疑問を抱いたときに、
やっぱり、それまでの流れで感情移入していたから、没入感が高かったからだろうという答えになり、じゃあなんで他の作品より没入感あったのかと改めて考えてみたので、
「ここで泣いた」
を書く前に、感情移入のきっかけや、また、一方で、没入感があった故に、ここが残念だったというところを先に書いてみる。
□冒頭
p3
死んだ弟の元恋人は、すでに十九分遅刻している。
↑情報が詰まったキャッチーな冒頭。
「死体を先に出せ」というミステリでよく使われる技術をならったものかと思った。
女の人と待ち合わせているのかなと推測できるし、「すでに十九分遅刻」で、視点の人物が時間にルーズではなく厳しすぎないことも分かる気がする。リズム感も好き。
□キャラクター
感情移入のきっかけは、やっぱり薫子とせつなのキャラクター要素は大きいかなと思った。
「成瀬」と似ているという感想を持っている方もいて、せつなのキャラ立ちと似ているかも、特徴的なキャラクターという部分が共通点ではないかと予想。
強くキャラ立ちさせていて賛否分かれるところだけど、私的にはそれがよかった。
薫子: よく泣く
情緒が下腹部にあらわれる
パンプスの踵を鳴らす
努力家で真面目
他たくさん
せつな:さばけている
印象的な目もとをしている
遅刻グセがある
料理うまい
毎回同じ服装
他たくさん
印象的だったのは薫子の、情緒が下腹部にあらわれるっていうのがすごかった。
女性あるあるなんだろうけど他では見かけない新しい感じがした。
上述の骨付きチキンを食べる描写とか、男性作家にこの描写は不可能だろっていうエッジの効いた文章がバンバン出てくるのが印象的だった。
p52
女としての寿命を前借りしてすっかり干からびてしまったような心地がするのに、自分の卵巣にはまだ卵が残っていて、周期に沿って排出されては、命を宿すことなく寿命を迎え、胎児のベッドになるはずだった子宮内膜と一緒に流れ出てくる。
薫子はため息をつき、トイレに行くために腰を上げた。
お腹がすいた。でも何も食べたくない。
お酒が飲みたい。
↑前半の説明で後半のお腹がすいた。でも何も食べたくないが共感性を持って鋭く伝わってくるし、お酒が飲みたいがかわいい。
□文体
口語と文語を絶妙な配合でまぜており、
それが独特の文体になっている気がする。
心の声をそのまま文字に起こしたような感じ。
ブログやエッセイを読んでるようで親近感が
湧いた。
実際にいそうな人物として感情移入が高まった。
p57
カロリーがなんだ、糖質がどうした、トランス脂肪酸がなんぼのものだ。こっちは誕生日なんだから最強だ。夫に捨てられて子どもを産む予定のない女はこの世に怖いものはない。
↑誕生日だからといって最強ではないぞ笑
p59
あっと声を漏らしてしゃがみ込むと、床に叩きつけられたケーキは透明パックの中で横倒しになっていた。涙がこみ上げた。だけど唇を噛みしめながらすぐに立ち上がる。泣いちゃだめ、大人だもの。
↑喜んだり、泣きそうになったり情緒が波のように表現されてて、一緒になって酔っ払いそうなくらい楽しめた。
p100
無心で箱をつぶして一定数溜まったら髪紐で縛る、という作業をくり返すうちに畳のスペースが増えてきた。いい。努力が人生を切り開いているこの感覚、すごくいい。
↑いい。がめっちゃいい。二文字で一文なのがいい。
私的には薫子のキャラに一番感情移入した。
いいところと人間くさいところが併存していて、どこにでもいそうなのに新しい感じもあってよかった。
□ユーモア、諧謔、笑った
(宅配便のお兄さんが晴彦の誕生日プレゼントを持ってくるシーン)
p60
『え、はい…すみません、俺あまり漢字が得意じゃないんですけど、ユーミンの春よ、来いの春に、スラムダンクの井上雄彦先生と同じ彦です』
↑言い換えも不得意か笑
のちに鈴夏におにぎりの調理をレクチャーするときに「左手は添えるだけ――」という
スラムダンク好きにしかわからない隠れミッキーみたいな描写がある。
p133
(お酒を流しに捨てられたあとの会話)
「そんなことをする人間がいるんですか?びっくりですね」
「あら、よろしかったら洗面所へお行きになって?すぐに会えましてよ」
p290
「常盤さんに昨日から仕事復帰したと聞いたけど、また具合が悪くなってしまうなんて心配ね。病名は何かしら、仮病?」
↑ウィットに富んだ会話シリーズもよかった。
□余談
読書をするときに、イメージしやすくするために画像検索をかけることがあって、薫子が勤めている八王子法務局って実際にあるのかなあと思ってグーグルマップで位置検索したら実際にあった。
所在地の写真にカフネの本が飾ってあって笑った。公認されてる笑
□残念だった点
没入感が高かった分、その落差があった箇所があった。
他の方の感想も読んでみて多かったのは
①終盤に色々詰めすぎていた
という点と
②ラストの薫子の公的パートナーの申し込みが性急すぎたという点
①に関しては私も同じ感想を持っていて、具体的に言うと、
私自身の感情の流れとしては、
晴彦が港と恋人関係だったと分かるころ。第三章の4の部分。
のちに、ゲイというより性格が起因してるっぽいことがわかるんだけど、読んでる最中は想像していた晴彦像と大きくずれていて、うわーそっちできたかーってなって
突拍子のない印象を受けた。
何かワンクッション伏線となるエピソードが入っていた方がよかった。
幼い頃に男の子に好かれる過去があったとか。
ただ、この部分に関してはのちに一定理解できたので、たいした事はなかった。
ほんで次が晴彦が子どもの頃から味覚障害だったというところ。さすがに10年以上味覚障害で誰も気づかないは無理くね?ってなったし、もし周りがまったく気づかない程、自然な生活だったらすぐに気づいたせつなも都合がよくなる。
ただ納得できなかったのは「子どもの頃から」という部分で「味覚障害」自体については丁寧に伏線が張られていたので気持ちよかった。
序盤の激辛料理と激甘料理の描写は読んでる最中は晴彦との仲を干渉してくる薫子に対してせつながいけずな対応を取ったと解釈したので、理由がわかったときに二度楽しめた。第四章については他の方が色々と書いているのでここでは割愛。
「いやー、阿部先生、LGBTQとか病気とか、毒親とかヤングケアラーとか物語の中になんとかねじ込んでくれませんかねー。そうしないと売れないんですよねー」
みたいな、大人の事情みたいな神様の声みたいなのがチラチラ見える気がした。
色んな読者が楽しめるようにしたんだろう。
②の公的パートナーの申し込みが性急すぎる点に関しては、他の方の感想を読んで、確かに鋭い指摘と思った。
読んでる最中は気にならなかった。
おそらく申し込む側(薫子側)に感情移入の比重が大きい場合は、心の流れとして自然に感じるけど、申し込まれる側(せつな側)、もしくは第三者目線で見ている場合は早すぎね?ってなるんだろうと解釈した。
通常だと上記の点でうーんてなるんだけど、前述したとおり没入感がそれを上回った。
□ここで泣いた!
感情移入の一番大きな部分はやっぱり「食べ物×ドラマ」だったのは大きかったと思う。
読者を惹きつける鉄板要素のようなものがあるとすれば(殺人や詐欺などの犯罪系や、科学などの知的好奇心をくすぐるもの、恋愛、家族、愛憎、官能、お金とか)
「食べる、食べ物」という要素も他のと肩を並べるくらい面白いというのを確信させてくれた作品だった。
なんとなくぼんやり思っていたけど言語化できなかったのは、食べる描写がここまで上手い作家に今まで出逢えてなかったせいだろう。
薫子という情緒豊かな女性の、感情のジェットコースターみたいなものに一緒に乗りこんだら、泣けるところまで連れていってくれる。
読み手を置いてけぼりにしないために共感性の高い「食べる」をトリガーに随所に結びつけてくれてると感じた。
あと、世話焼きなのも、とてもよかった。薫子のそれが目立っていたけど、せつなも前半の薫子の家に押しかけるシーンとか、
なんだかんだで世話焼きで、ごちゃごちゃ言わず黙って食えみたいな、食えば分かるみたいな、世話を焼いてくる文章が作品全体を通して伝わってきてたからだと思う。
p164
(西川拓斗君とののかちゃんの家事代行サービスのシーン)
どうか覚えていて。何かに困った時、あなたには相談できる人間がいる。これは社交辞令じゃない。これから何日、何ヶ月、何年経っても、今ここに名前の出ている三人の大人は、一ミリも変わらずにあなたの力になりたいと思っているから
↑泣きポイントは色々あると思うが、私の場合一発目はここだった。
読書するときにそばにコーヒーとかメモ帳は置いているけどティッシュはない。
まさか席を立って取りに行かされるとは。
p260
(前半と立場が逆転して薫子が療養中のせつなの家に押しかけるシーン)
丁寧にラップを剥がし、三角形のおにぎりのてっぺんを齧る。つられたようにせつなもおにぎりを取り、のろのろとラップを剥がして、三角形のてっぺんを小さく齧った。ひと口、ふた口。ご飯を咀嚼して、もう一口頬張った時、彼女の瞳がゆれた。(略)
「ありがとう。晴彦の分まで、ありがとうってあなたに伝えたかったの。そのために私、ここに来たのよ」
↑二発目がここ。正確に言うと三発だけど。最初の部分でうるっと来て薫子のセリフで止まらなくなった。追い涙的な。
この時点ではもうひれ伏している。
今書いていてまた泣きそうになってきた。
これから阿部作品を読むときはそばに置くアイテムをひとつ増やさないといけない。
p267
じょじょに腕の中でせつなは静かな呼吸を取り戻し、寝入ったようだった。かすかな息づかいに耳を澄ましていると、愛しさを痛みに近づくまで煮詰めたような、何かがこの子を害するならきっと自分は牙を剝いて戦うだろうなと思うような、激しく切ないものが子宮の底から突き上げてきた。
↑私の中で今作品一番のやられたフレーズがこれ。
愛しさを痛みに近づくまで煮詰めたような
ってやばくない?
すごい表現力。
煮詰めるという表現が、調理の煮詰める「味が濃くなっていく」イメージと、「議論が煮詰まる」のような、「まとまりそう、結論が出そう」という意味をなんとなく連想して、この描写では愛しさから「痛み」に繋がっていくというのが、共感と新しさを含んでいてすごさを感じた。
川端康成の雪国に出てくる冒頭の一文
「夜の底が白くなった」
のように、難しい語彙を使用しなくても単純な言葉の組み合わせで、これだけすごい表現ができるということの好例だと思った。
睾丸が縮まった。
百年考えてもこんなフレーズ思いつかない。
匿名
濃くて深い話が沢山詰まっている。これでもかというほどの人の感情や思いが伝わってくる。色んな生き方があり、自由も人それぞれだと思い知りました。彼女達みたいに自分らしくいたい。
匿名
さすが本屋大賞
読んでよかったな、読了してから感じたのはまずその言葉でした。本作では料理を通じて愛が語られていくストーリーになっています。誰かのためを思って料理をすること、普段何気なく行っていること、やってもらっていることが実は1番の愛の表現ということなのだなと改めて感じさせるものでした。普段は自分の分だけ料理をする私ですが、たまには自分自身を喜ばせるためにも、少し豪華な食材を使ってなにか作ってみようかなと思いました。
想いで満たされる
美味しい食事の話かと思っていました。
満たされることの幸せ、が描かれているのかと。
確かに美味しそうなレシピは出てきます。
でも、それをつくる人の想いや食べる人の環境や想いがたくさん詰まっていて、読んでいて胸がいっぱいになりました。
そして、こんなにも自分は人を想ったことがあるだろうかと、少し心がさみしくなりました。
読み終わるのがもったいなくなった1冊です。
大変良かったです
亡くなった弟の死因に迫るミステリーと思いきや
現代社会の暗い現実と、それを補いながら進んでいく
周囲の人たちのお話で物語の中心、著者さんの伝えたい所はもっと違う所かな?
何だか泣きそうになる場面多数、流石本屋さん大賞
またディグりたい著者さんに出会えました。
泣いた。
読み進めていくうちに、つっけんどんな態度だったせつなの隠された事情や春彦をめぐる姉すら知らなかった事実など、読んでいて胸が張り裂けそうなくらい辛いものが多かった。
人前ではあんなだけど本当はすごく愛があって相手のことを見てよく考えているせつな、人間味がとってもあって好き。
中学生の男の子と妹に対して本気で心配しはたから見たら若干暴走気味になってたところも胸を打たれた。
本当に、周りをよく見る子でこれから過去の分までいっぱい愛を注がれて受け止められるようになっていけたらいいと思う。
Posted by ブクログ
とにかくきれいな作品
人にはいろいろあって、それを全て理解して慮るのは難しいけど、だからといって諦めず気働きを続けることに意味があり、感動があるよなぁと感じた。
最後は大胆な終わり方だと思う。これから2人には、幸せじゃなくてもいいから、ちょうど良い距離感で一緒にいてほしいなぁと感じた。
Posted by ブクログ
周りからどれだけ印象の良い人でも、また無愛想な人であっても生きづらい環境であったり苦労は隠されている。過去のトラウマから立ち振舞いも変わってしまうし損をすることもあると思う。それでも人のために活動しようと思う熱意がある人を尊敬する。またそういう人を支えられる人になりたい。
Posted by ブクログ
いろんな話が詰め込まれていましたが、涙。
いろんな人生がありますね。
「おにぎりを作れるようになると、人生の戦闘力が上がるよ」は共感
さすが本屋大賞。
Posted by ブクログ
まず装丁が素敵〜 紙の質とかも好き
あと書体も!筑紫オールド明朝(ぽい)、お気に入り書体になった!
じんわりあったかかったり、きゅーって締め付けられたり
誰かの他愛のない一言やちょっとした行動によって救われたり、明日も生きよう、って思えるの、もちろんその逆もあるけどね、なんだかわかる
"人にやさしく" ありたいなぁ、って、実際は難しいけどちょっとだけそんなことを思ったり
エンディングは個人的な好みとは違ったけど
春彦のこと「星の王子さま」って描写が好きでした
─────────────────
そういう善意百パーセントじゃないところが好きです。善意って油みたいなもので、使い方と量をまちがえると、相手を逆に滅入らせてしまうから(p.94)
生まれてくることがいいことなのか私にはわからないし、子供本人に自分が育つ環境も選ばせずに、こんなにどんどん壊れていくような世界に何十年っていう人生を背負わせて生まれさせる。それは、すごく理不尽なことだと私は思います。(p.138)
Posted by ブクログ
登場人物はみんな苦しさを抱えていて、うまく生きれていない。それを埋めるように他者の力になろうとする。いろんな愛情の形があってときにそれは人を救い、ときに誰かを傷つけるのだと、暖かさと切なさを感じる小説だった。
Posted by ブクログ
外出先の待ち時間が長くてずっと読んでいた。
途中から泣きながら読んでいたので、非常に怪しいおばちゃんだったと思う。
苦しい場面も多いのに文章の柔らかさで読め進められた。
誰が悪いわけじゃないからみんな幸せになっててほしいと思うし、きっと幸せだと思った。
カフネって言葉の響きも意味も初めて知ったけど素敵だなと思う。
Posted by ブクログ
家で読んでたらたぶん泣いてた。あったかかった。ちゃんと知りたかったことも明らかになってくれたし、みんな幸せに暮らしてるんじゃないかなと思う。最後の一文が好きだった!
Posted by ブクログ
どこかで既視感あったのは対岸の彼女の筋だった
それにしても初対面でのせつなのキャラは強烈
それに対する春彦の態度も「かっこいいだろ〜」なんてあまりに楽天的
一番印象に残るシーンだった
終盤で、ああそういうことだったのか〜と納得
天使のような春彦は一体何者だったのだろう
Posted by ブクログ
途中から最後までずっとぽろぽろ泣いてた。とても疲れたときもう何もできなくて心も体も疲れ切ってしまった時、ご飯を食べることが本当に大事なことなんだと書いてあって納得した。晴彦が突然死してしまって私も最後まで愛情という束縛に縛られて、どこにも自分の素でいられる場所がなくて疲れて自殺してしまったんだと思ってたけど本当は人生を諦めたわけではなくて新しい自分の人生を始めようとしてたというところがめっちゃ泣いた。というかずっと泣いてた。薫子とせつなもお互いがとても落ち着く存在になっていったのもそれを最後この本のタイトルであるカフネという言葉で表してたのも良かった。
Posted by ブクログ
本屋大賞作品。表拍子とタイトルが妙に目引いたため購入した。あまり読書はしないので、読み切れるか不安だった。久々の読書は、なんだかじんわりしてしまった。生活を通して交わる温かさを感じました。途中うるっと感情的に、、、。薫子さん、、、強いね(笑)
匿名
一気読み
あらすじを読んで想像していたよりも濃かったです。でも先が気になり、読みやすい文体でさくさくと全く飽きずに、一気に読み終わりました。面白かったです。
感想
子供が産むことができない、夫に離婚を突きつけられ離婚してしまい、現実によくある事象プラス最愛の弟が急死してしまってからの最悪の展開から始まるストーリーの中で、出会いをきっかけで新たな生きがいを見つける、とても心に残る作品だと感じました。
Posted by ブクログ
人には言えない事情を抱えて苦しみながら、
他の誰かの苦しみに寄り添おうとする心をもつ人たちが
少なからずいることに、
これまでの生活で出会ってきました。
そのような生き方に触れたときに
「結局は自分のためだろう」
と断じる人がいるのも分かるんです。
結果的にはそうなるのかもしれないから。
だけど…
自分が疲弊していることに気づけなくなるほど、
人のために心を尽くすことって、確かにあります。
周りから見ていたら危ういのは一目瞭然な状況。
これは確かに
無意識であれ自己犠牲なのかもしれないです。
「それを愛とは言わない…」
という人もいることは分かります。
そんな愛を受ける側が感じる重圧、苦しさも分かります。
だけど、
そんな愛に心を動かされる私の感覚も嫌いではありません。
時に重たく感じる愛もあれど、
深い慈愛の上の愛だと理解して、
受け止めることができることもありました。
過去を振り返ると
見返りを求めてこなかった行動が自分にもたくさんあります。
一方で、
内心見返りを求めてしまった行動もあるのは私の弱さ。
二つの行動の比較で浮かび上がる心の様相があります。
その心に、タイトルの「カフネ」との重なりを感じます。
「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」
隣で寝ている恋人を眺めてる時
座っている子どもの後ろに立った時
大切なその相手の髪に、
気付いたら指を通してしまうことがたしかにあります。
「好きだ」とも「愛してる」とも…
何かの言葉の代わりにそうしているのではなく、
もっと全部を含んだような、言語化が難しい行動。
だから『カフネ』というような言葉がそこに生まれる。
“なんとなくわかる““そんな感覚ある“という、
感じ方を共有するための言葉。
「ただ隣にいるあなたの存在が愛おしい」
「隣にいれるあなたとの関係性が愛おしい」
うまく言葉にはできないけど、そんな瞬間。
そしてそれは、
相手は私が髪に触れているのに気付いていない瞬間。
本作の『カフネ』での仕事に携わった人たちにも、
そうしたくなる…というか、
そうせざるをえない静かな衝動があるように思えます。
同じような苦しみをもつ誰かに気付き
その相手を支えることで、
結果的に自分の心が癒されることはあるのでしょう。
でもね、
その結果を求めたわけではなく、
そこには「ただ寄り添いたい」という
伝わる相手にしかわからない思いがあるのだと思います。
『カフネ』を呼んだ後、
少しだけ、世界に対して優しくなれたように思います。
(追記)
前半を読んで、まだ全体像が見えていない中で、
美味しそうな料理の数々の描写に影響されたわたし。
家族のために、ずっと気になっていた料理を
いくつも作ってしまいました。
楽しかったし、心の癒しにもなったなぁ・・・。
めっちゃ見返り(感想)を求めた、
料理体験だったもんなー。
喜んで欲しいという密かな欲はあったから。
薄っぺらいかもしれないけど、
そんなこともやってしまった読書体験でしたー。
家事代行カフネをご利用ください
どうしようもなく疲れて食事や掃除、片付けが疎かになり、立ち上がれなくなることは誰にでもある。大切な人を失ったり、仕事や子育て、介護に追われて別人のように疲れ果ててしまう。誰にも助けを求められず、落ちていくしかないんだなと。頑張る人ほど助けを求めるのが下手クソで。でも知ってる?不器用だけど、助けてくれる人は、あなたの力になりたいと思っている人はこんなにもたくさんいるんですよ。そう教えてくれる、優しい物語。ペイフォワード。
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「カフネ」という言葉を初めて知った。知れて良かった(使うことはなさそうだけど)。
主人公はとっつきにくいがシゴデキでサバサバしてて好感を持てた。最初は弟の死と元カノへの遺言という謎めいたところにとてもワクワクさせられた。好みの問題だが、行間を読むタイプの小説が好きなので、謎が解けていくに連れて、描写がベタというか悪い言い方だと陳腐に感じてしまって、ページがなかなか進まずで今ひとつだった。
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想像以上に内容が重かった…
春彦が味覚障害も恋人の話も伏せて家族に笑顔で接したら、それは嘘になるのか。
両親が薫子に無愛想に接したり、老後のことを押し付けたら薄情な親になるのか。
人間関係ってその場の出来事や表面的な所では分からなくて、そこには温かい思い出や優しさも含まれている。
薫子が無愛想なせつなと今度こそ本音で話そうと、これまでの人生から距離感や関係に悩みながらも側にいようとする姿に、人との関わりって簡単に断ち切れなくて試行錯誤しながらもその人と関わろうと努めることの大切さに気づけた気がする。
傷つきながら、誤解してすれ違いながら、相手のことを知っていく。人との関わりって重くてめんどくさいけれど、たまに心がじんわりする温かいものがあって、その人が愛おしくなるときもあるから関わるんだと思う。
Posted by ブクログ
久々にまともに読んだ本
夏の時間を利用してまとめて読んだ
家事代行サービスについて、こんな仕事なんだと理解
春彦の笑顔に触れてみたくなる
Posted by ブクログ
カフネというタイトルに納得。
「食べること」を通して、せつなと薫子が少しずつ距離が近づいていくのがよかった。
最後の展開がイマイチついていけずそこが残念…
Posted by ブクログ
愛とはなんだろう。29年間、弟の味覚障害に気が付かず、亡くなった後に知るって凄く悲しいことだと思う。春彦…愛さずにはいられない、人をやさしい気持ちにさせる笑顔の春彦。周りの期待に応え、愛情に応え、やりたいことも分からず、空虚だった春彦。やっと、やりたいことをやろうと踏み出した春彦が、心半ばで亡くなったのはすごく悲しい。春彦のことを考えるとずっと心が苦しかった。
そして、パートナーシップ???!なんで??愛おしさってそういうこと??急になんでこんな感じに?!と、困惑した。
薫子は、子供を産めず行き場のない愛情をせつなに全振りしようとしているように見えて、それがなんだか狂気に思えた。
もはや薫子は、他人に頼られ、守ることでしか存在意義を感じなくなっている。せつなにとって、それは同情にしか見えないと思うし、助けたいというのは完全に薫子のエゴでしかない。
しかし、せつなも心を許した人々に続々と先立たれ、孤独を抱えながら病気と戦わなければならない。だから、薫子の差し出した手に縋るような気持ちで、髪に触れたように見えた。
孤独を抱えた2人が手を取りあって生きていく。きっとこれから、美味しいご飯を食べ、綺麗な空間でたまに衝突しながら生きていくのだろう。しかし、本人たちが幸せならそれで良いか……と思った。
あと、とにかく食べ物が全部美味しそう。海賊肉、ピザ、パフェ……落ち込んでどうしても食べ物が喉を通らない時、見た目が綺麗だったり、わくわくしたりする食べ物が出てきたら手を伸ばすだろうし、それで栄養が得られたら少しは立ち上がる元気が出るだろう。
どんなにしんどくても、温かいご飯を食べて、綺麗な部屋でゆっくり休むことが大事だなと思った。
Posted by ブクログ
展開が都合良すぎるなと思うところもあったけど、楽しく読んだ
最も親しい人が、理由を告げずにいなくなったとき、凄まじい不安に襲われる
それはたぶん、自分の何が正しくて何が間違ってるか分からなくなるから
「自分を信じられるポイント」が上がる出来事と下がる出来事
予期せず訪れる下がる出来事に備えて、できるだけポイント稼いでいきたい