あらすじ
☆2025年本屋大賞受賞作☆
【第8回未来屋小説大賞】
【第1回あの本、読みました?大賞】
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。
最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。
食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
食べることは生きること。
何かを作って食べさせてあげるのは好きを伝えること。
誰かに手を差し伸べてもらった時、手を差し伸べ返せるようでありたい。大切な人に大切だと伝えたい。
本人のことは本人にしか分からないけど、分かろうと努力することは諦めないでいたい。
Posted by ブクログ
■ Before(本の選定理由)
第8回本屋大賞受賞作らしい。気になる。
■ 気づき
カフネとはポルトガル語で、日本語では「なでなで」に意味の近い言葉のようだ。読んでいて自分自身も思い込みをして、どんでん返しがあり、つい涙が溢れるシーンが幾つかあった。
■ Todo
誰かのことをちゃんと理解している、なんて思い上がりかもしれないけれど、関わっていきたいと思う気持ちは大切にしたい。
Posted by ブクログ
よかった、、何回も泣いた。
あらゆる愛についてこんなに解像度の高い作品はちょっと他に思い出せないかも。
圧倒、って言葉が相応しいような。
本屋大賞や身近な人の声を聞いてとても楽しみに読んだけど、軽々それを越えてきてくれる素晴らしい物語だった。
Posted by ブクログ
カフネ 愛おしい人の髪に指を通す仕草
とにかく胸が締め付けられたり、すごくわかるなって気持ちとでもどこかわかった気になってるだけなんだろうなって気持ちと、薫子のまっすぐさにどこか不器用な自分自身が救われるような気持ちになった。
人は大抵どこか人には見せられない裏側を持っていて、時には人を苦しめないように、相手の幸せや平穏のために知らぬ間に自分を苦しめて、そんなある意味で相手本位の生き方しかできない自分を見て見ぬ振りをする。これってきっとたくさんの人が気づかない間にしてしまっていることで、言い換えて仕舞えばそれは優しさなのかも知れなくて。でもそんな生き方しかできなかった春彦が変わろうとしていたこと。それがすごく嬉しかったし、自分のために生きられなかった春彦が、カフネの訪問先で出会ったご老人との出会いだけで一歩を踏み出せたことが、人との出会いの奇跡さを感じさせてくれて、生きる希望を私たち読者にも与えてくれる展開だった。
公隆やせつな、航一、カフネの訪問先で出会ったこどもたち、いろんな人が口々に言った、子どもが生まれてくることは親のエゴで、こんな世界に生まれてくることは不幸なことだと思ってしまうと、、。
だけれど春彦の死をきっかけにいろんな人の縁が繋がって、なんだろう、その縁がその人の生きる活力になって行ったように思った。
不器用に生きていた薫子もきっとこれまで報われないことがたくさんあって、挙句の果てに1人になって、航一だってそう。そんなどこか似ていて、どこか似つかないもの同士が不器用ながらに生きてみようと誰かのために生きたいと、この人のために生きてみようと、そんなふうに前に進み出していく姿にすごく心が揺さぶられたし、また読み返したい作品だと思いました。
とりあえず泣きました。大好きな作品です。出会えてよかったありがとう。
Posted by ブクログ
ふんわり料理系小説と思いきやメンタル直撃もの。この展開はずるいと思うほどに自分の内臓を抉り取られた。料理を媒介して味覚、嗅覚、触覚に訴えてくる。ぐっと作品世界に誘い込まれて、いつの間にか気付いたときにヒューマン・ダークネスの深淵の奥底に。けれども食の力で強靭に引き寄せてくるというか。日頃の食べ物の味について考え方が変わるほどの名著。
Posted by ブクログ
カフネとはポルトガル語で愛する人の髪にそっと指を通す仕草。
そんな繊細な名を持つ家事代行サービス会社の活動を通して、傷ついた人への寄り添いや癒し、そして家族のあり方が描かれる。登場する料理何点かのレシピが折りたたみの冊子で付いている。マンガに出てくる骨付き肉の再現には笑わせられた。
Posted by ブクログ
終章まで全てで圧倒されました。
料理から風景、心情までの表現がとても丁寧で美しかった。このストーリーの根底には常に食がある。誰かの料理で活力を得て、その活力を誰かのために使う。
人は死んだら何も残らない。常に今を生きていくしかないのだが、そんな一瞬を誰かと一緒にいられたらそれ以上幸せなことはないと思った。それは必ずしも恋人でなくてもいい。
自分のためだけの人生。この本を通して、一度きりの人生を自分のために生きてもよし、辛かったら支えてもらえばいい、支えてもらった分、誰かを支えよう。そんな気持ちにさせられた。
Posted by ブクログ
2025年本屋大賞受賞作である本作は、健康的な食事や生活環境の大切さ、そして多くの人が抱える生きづらさについて考えさせられる一冊だった。主要な登場人物たちは皆、過去に心の健康を損なうような経験を抱えている。主人公の薫子も、夫との離縁や弟・春彦の死をきっかけに、自暴自棄な日々を送っていた。
そんな薫子が、弟の元恋人であるせつなと再会したことを機に、家事代行のボランティアを始める。活動を通して出会う依頼者家族との関わりは、少しずつ薫子自身の心も癒やしていき、生きていく希望を取り戻していく様子が丁寧に描かれている。
終盤では、せつなや春彦の過去が明かされ、胸が締めつけられる場面もあったが、読後には不思議と心が温まり、静かな余韻が残った。人とのつながりの力を改めて感じさせてくれる作品だった。
Posted by ブクログ
「食べる」ことの大切さや素晴らしさに気づきます。「美味しいものを食べる」「好きな人と食べる」は幸せを感じる時。
幸せは食事シーンにリンクしている。精神や生活の乱れは食生活に関係します。
AIには出来ない、誰かのために愛情をかけて美味しい料理を作る、大切な人といただく時間を大切にしたいです。料理の描写が上手で同じメニューを作ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
主人公の薫子が41歳という年齢設定にしてはオバさんくさすぎないか?という違和感はありましたが、それを完全に払拭するほど久しぶりに魂を揺さぶられる作品でした。
誰とも関わりたくない人なんて本当は一人もいないんだろうな、と思います。
「誰とも関わりたくない」という発言は、誰かに期待して、裏切られて傷付くくらいなら誰とも関わらなくていい、という防衛反応なのではないでしょうか。
人間って本当に面倒くさい、でもそれが故に愛おしい生き物だと改めて感じさせてくれる一冊でした。
阿部暁子さんおそるべし。
ファンになりました。
私個人的な意見としては、映像化するなら薫子は尾野真千子、せつなは小松菜奈かな。
Posted by ブクログ
今まであまり小説を読んでこなかったけど、こんなにも面白いのかと驚いた。
自分が実際に経験しなくても、リアルな物語を読むことで、人の気持ちや痛みを理解できるようになるんだなと思った。
せつなの過去を知ったときの、かおるこがせつなを思う気持ちや、その後の接し方が本当に好きだった。
最初は、せつなが無愛想なのが気になっていたけど、過去を知って「そういうことだったのか」と納得した。
これまでの自分なら、態度が悪い人や無愛想な人を見ると、感情的になっていたと思う。
でもこれからは、その人の痛みや背景を想像するようにしていきたい。
『カフネ』くらい心に残る小説なら、これからも読んでいきたい。
Posted by ブクログ
カフネという本の事を知った時、カフネとはポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」の事だと書いてあり、すごくこの言葉に惹かれてこの本を読みたいとずっと思っていました。
そして2026年1番最初に読んだ本となりました。
最初は、「ハウスキーパーが色んな家を回って、様々な事情を抱えた人と関わり合い、自身が成長していく物語」と聞くと、正直カフネ以外にもありそうなありきたりな本だなと思ってしまっていました。
しかし、いざ読んでいくと、最初から最後まで一気に読んでしまうほど、カフネを読むことに没頭してしまいます。
ありきたりな物語では無く、薫子と小野寺せつなと春彦と、それらを取り巻く1つ1つの出来事・関係性が、時にすれ違い複雑に絡み合いながら、生きること・子供を持つこと・大切な人との付き合い方を食べることを交えながら伝えてくれる小説でした。
下記、後から思い返せるよう自分用としても、色々とカフネの心に残ったフレーズを書きつつ、感想を述べていきます。
生きることに価値を感じながら生きるのか、どうせ人は最後は死ぬといって価値を見出さずに生きるのか、人それぞれ価値観は異なるのかと思います。
どんな価値観や考え方を持っても良いから、大切な人を大切に扱いたい。取り繕わずに、ちゃんと向かい合いたい。私も自分の大切な人に、ちゃんと向かい合って、お互い気持ちよく過ごすことができているのか、見つめ直したいと思います。
人間は自分以外の人間のことは何ひとつ分かるわけなく、物語に登場する春彦も実は29年間ずっと誰かに愛されて欲しがられて休みなく続いて本当に疲れていた様子だったことが明らかになりました。同時に自殺では無く、自分がこれから生きたいと思える生き方をしていく覚悟も持っていたと最後の支援団体の封筒から読み取れました。
薫子の「家族というしがらみの中で味も分からないものを食べ続け、美味しいねと笑顔で話しかけ、みんなをつないでいたのか。」と春彦に対して空想する場面がありましたが、自分の親に言いごたえする事を許されていた私にとって、春彦の生きづらさは相当に大変だっただろうなと思います。
私は食事の時間が大好きです。よく趣味は食べることと自己紹介で話したりしています。小説の中の「どんなに気落ちしてても、美味しいものを食べると幸せを感じる」このフレーズに共感しました。
また、小野寺せつなの料理と対話が、薫子の春彦を失った痛みを癒していったり、薫子と鈴夏が作ったおにぎりを食べるせつなが、「みんないなくなっちゃう」と言って涙を流したことからも、食事の効果は絶大だなと改めて感じます。
「食べることは生きるために必要な栄養を摂るだけじゃ無くて、美味しいと思うこと、楽しいと思うこと、うれしいって思うことが生きていくために必要」という文章があり、味の分からない春彦に、おいしい以外の感情を与えようとしたせつなが凄くてただただ感激しました。
最後、せつなの側に薫子が居てくれるという安心感…ホッとしました涙
「あなたの人生も、あなたの命も、あなただけのもので、あなただけが使い道を決められる。」
「愛情というラベルを貼った束縛」
カフネには胸に刺さってくるフレーズがいくつか散っており、次へ次へと読み進めるうちに没頭し、感動してしまいます。
人との付き合い方・大切な人との付き合い方・食事の大切さ・人生の生き方
勉強になりました。
Posted by ブクログ
カフネって言葉の意味とても素敵だなと思った。
主人公の薫子は弟を亡くし、不妊治療もうまくいかず夫とも離婚。荒んだ生活を送っていた時、弟の元恋人のせつなに温かい手料理をふるまわれた。せつなの料理を食べた薫子は、立ち直る気力を取り戻していく。
私も子どもが部活の試合で負けて落ち込んだり、顧問に怒られたりして帰ってきたら、何も言わずとりあえず子どもの好きなご飯をたくさん作るようにしている。
ちょっとでも元気になってもらえるように。
食べることは生きること。
辛い悲しいどうしようもない時ほど美味しいものを食べて、明日を生きる活力にしたい。
でも、この本に出てくる登場人物たちは様々な事情で食事を作ったり家の中を片付けるのもままならない。薫子とせつなはそんな人たちの家へ家事代行のボランティアへ出向く。
せつなの料理は食べる人のことを思い寄り添う。
大切な人に美味しいご飯を食べてもらいたいと思うことは愛だ。
この本は大事なことを再認識させてくれたと思う。
Posted by ブクログ
孤立、貧困といった日常から目を逸らさずまた諦める事なく、自分をその現場に放り込み 自分の特技を体当たりで活かしていく主人公たち。
そこに関わる人々の単純ではない関係を、人間の本能に備わる力=食べる力使って紡ぎなおしていく。
時代に合った新しい遺言の制度やパートナーシップ制度まで活用しながら、逞しく生き抜こうとする 本能と知恵を駆使して人生を切り拓こうとする現代日本の風景が垣間見える作品 小説という方法の持つ洞察力を感じた一冊
匿名
濃くて深い話が沢山詰まっている。これでもかというほどの人の感情や思いが伝わってくる。色んな生き方があり、自由も人それぞれだと思い知りました。彼女達みたいに自分らしくいたい。
匿名
さすが本屋大賞
読んでよかったな、読了してから感じたのはまずその言葉でした。本作では料理を通じて愛が語られていくストーリーになっています。誰かのためを思って料理をすること、普段何気なく行っていること、やってもらっていることが実は1番の愛の表現ということなのだなと改めて感じさせるものでした。普段は自分の分だけ料理をする私ですが、たまには自分自身を喜ばせるためにも、少し豪華な食材を使ってなにか作ってみようかなと思いました。
想いで満たされる
美味しい食事の話かと思っていました。
満たされることの幸せ、が描かれているのかと。
確かに美味しそうなレシピは出てきます。
でも、それをつくる人の想いや食べる人の環境や想いがたくさん詰まっていて、読んでいて胸がいっぱいになりました。
そして、こんなにも自分は人を想ったことがあるだろうかと、少し心がさみしくなりました。
読み終わるのがもったいなくなった1冊です。
大変良かったです
亡くなった弟の死因に迫るミステリーと思いきや
現代社会の暗い現実と、それを補いながら進んでいく
周囲の人たちのお話で物語の中心、著者さんの伝えたい所はもっと違う所かな?
何だか泣きそうになる場面多数、流石本屋さん大賞
またディグりたい著者さんに出会えました。
泣いた。
読み進めていくうちに、つっけんどんな態度だったせつなの隠された事情や春彦をめぐる姉すら知らなかった事実など、読んでいて胸が張り裂けそうなくらい辛いものが多かった。
人前ではあんなだけど本当はすごく愛があって相手のことを見てよく考えているせつな、人間味がとってもあって好き。
中学生の男の子と妹に対して本気で心配しはたから見たら若干暴走気味になってたところも胸を打たれた。
本当に、周りをよく見る子でこれから過去の分までいっぱい愛を注がれて受け止められるようになっていけたらいいと思う。
Posted by ブクログ
本屋大賞受賞作ということ以外、前情報もなく読み始めました。
美味しそうなご飯がたくさん出てくるほっこりした気分になれる本だと勝手に思っていたのですが⋯
のっけから不穏な主人公の心の声、弟の謎の急死、弟の元恋人の不遜な態度。
前半は正直あまり入ってこず、淡々と読み進めました。
ただご飯が本当に美味しそうだな〜と。
次第に登場人物それぞれの事情が明らかになっていきます。
主人公だけでなく、それを取り巻く周りの人達のエピソードや心情を丁寧に表現されていて、のめり込んでいきました。
主人公は努力の人、ずっと自分で道を切り拓いて生きてきた、だけどどうにもならないこともある。
後半、切実な想いに感情移入して泣いてしまいました。
弟もこれは辛い⋯
一見幸せそうに見えていても、みんな何かしら抱えて生きている、目に見えるものが全てではないんですね。
「食べることは生きること」この言葉に全て詰まっていると思います。
Posted by ブクログ
初めて阿部暁子さんの著書を読みましたが、言葉のチョイス、表現など個人的にはすごく好みの作家さんでした。
感想としては物語に出てくる食事がすごく美味しそうでいいと思ったのですが、それ以上に悲しい気持ちになったり胸が痛くなることが多かった作品でした。
子供に対する愛情が逆に子供が気持ちを表現できなくなったり、押し殺したり。
原因が何もわからずに突然を別れを告げられたり。
弟のことで色々なことが明らかになって薫子さんが絶望してお酒に逃げたくなったり。
家族に自分だけ愛されなかったり。
状況は違いますが、何がいけなかったのか、何ができたのではないかとか、すごく共感してしまうところがあり読んでいて色々考えてしまい胸が痛かったです。
個人的に好きなシーンはピザとポップコーンを作ろうとした時にせつなさんが薫子さんの地雷を踏んだあたりが笑ってしまい印象に残っていますw
色とりどりのポップコーンも美味しそうでしたし。
没入感が高く全体的に読みやすくて満足でした!
Posted by ブクログ
この小説の題名、カフネ、とはポルトガル語で、親しい人の髪を、指でやさしく撫でる/梳くしぐさ、愛情・安心・いたわりを込めたスキンシップ、を意味する。翻訳するのが難しい言葉の一つとされているらしく、確かにこの言葉のニュアンスにうまくフィットする日本語は思いつかない。40代に突入し、思い描いた人生が大きく揺らいだしまった女性、薫子。亡き弟春彦の元恋人せつな、家事代行業で働く料理人、と関わりを持っていく中で、無意識に蓋をしてしまっていた自分自身の本当の気持ち、見えていなかった身近な人たちの想いや苦しみ、と向き合いながら、再生していく物語。そして、薫子、せつな、今は亡き春彦の人生が交わって、このタイトルをつけた真意が小説の最後の1行に結実する。
突然亡くなった弟、春彦の遺言書、そして死後に届いた薫とせつなへのプレゼントから物語は始まる。なぜ、春彦はこんなことをしたのか、本当の死因は?それがずっとモヤモヤとしながら、物語が進んでいく。その謎が解けた時、等身大の春彦の姿と思いが薫子とせつなの前に現れる。春彦の二人への想いは、彼が最も大切に思っていたであろう薫子とせつなの人生を切なくも暖かいものに変えて、最後の1行となる。実際には登場しない春彦の存在感が物語の中に強く感じられて、これは薫子、せつな、そして春彦、3人の物語なのだと思った。物語では、薫子とせつなが家事代行ボランティアで訪れるそれぞれの家庭の問題を通して、二人の距離が徐々に縮まっていく。そして、春彦とせつなの隠し事も明らかになっていく。その過程が、刹那の作る料理を絡めながら、静かに描かれている。せつなの作る料理は、食べる人のことを思いやっていて、とても優しく、どれも美味しそう。せつなは料理で優しさを表現する、というか料理でしか優しくできない。料理をするせつなは凛としていて、食べることを強く信じているというよう…、という薫子の言葉が心にのこる。一番心に残るエピソードは、彼女が生前の春彦のために作った甘ったるいポップコーンと濃い味付けのかぶりつきのフライドチキン。このレシピに隠された秘密に薫子が気づいた時の切なさに胸が痛む。
私は物語に登場したばかりの薫子があまり好きではなかった。杓子定規な国家公務員、常識人でいつも正論、努力を怠らない薫子に少しイラッとしながら読み進んだ。ぶっきらぼうで非常識だけど心根は優しくて、我が道を行く強さを持ったせつなの方が魅力的であった。でも、物語の中で薫子が自分自身で心のしがらみを自覚して、生きづらさと対峙して、再生していくにつれて、彼女の優しさとか善良さの美点がわかるような気がしてきた。だから、春彦にとって、とっても大事なお姉さんだったのだな、せつなと引き合わせたかったのだなと納得できた。せつなとのやり取りの場面はどれも心にのこる何かがあるのだけれど、それ以外で印象的だった場面は、彼女の元夫が出会ったこと頃の薫子に惹かれた理由を語るシーン。上司の紹介で断りきれず、それほど乗り気ではなく顔合わせをした時、子供の頃、毎日細かく切った生のピーマンを食べて、ピーマン嫌いを克服したという話をいきいきと語る薫子の姿に思わず虚を突かれて、好感をもったんだと語る場面。薫子の馬鹿正直で実直な人柄が違う角度からふっと見えた気がして記憶に残った。
この小説を読んで浮かんだ言葉は、「ケアの倫理」。 2025年の京都賞を受賞した発達心理学者キャロル・ギリガンなどが提唱した倫理思想。普遍的なルール、社会の効率性、最大多数の幸福・利便性と対極が優先される現代が削ぎ落としてきたもの、他者への気遣い、個々の事情に寄り添った責任や対応、人と人との関係性を重視した倫理観(私の理解では)である。人は決して一人で自立、完結するわけではなく相互依存的であること、何が最良か、必要かという判断は状況、関係、感情、文脈で変わるものであり、「普遍的な正しさ」よりも「どう支えるか」を重要視し、論破よりも対話を、と説く。「ケアの倫理」はフェミニズムという文化的背景に生まれてきたものでもあり、なんとなく信じている世間の常識、幸せの定義に全ての人をはめ込もうとするのは非人間的だと捉える。物語の最後、必要なことも関係性、感情も時間が経てば変わるものかもしれない、でも、今、せつなに対して必要だと思ったことを実行しなきゃという薫子の決意が ―実際、自分ではこんな決断できそうにないがー 最後の1行を導いて、まさにこの「ケアの倫理」物語だなと拍手を送りたい。 本当に最後の1行に心臓が掴まれた感じがした。
Posted by ブクログ
今年も良かった。
私の好きな本はキャラがしっかりしてて、感情移入出来る本。
星1つ足りないのは、最後いきなり駆け足で、無理くり収めました、感が強いから。
ドラマ化するならせつなは絶対、土居志央梨!
一択!!
彼女のお陰で余計に楽しく読めたと言っても過言ではない。
Posted by ブクログ
家族を失った人
恋人を失った人
子供を持てなかった人
親に捨てられた人
病気をもっている人
人生辛いことばかりだけど、
美味しいご飯を食べている間は救われる。
そして美味しいご飯を一緒に食べたいと思う人がいるなら
その人こそが貴方の人生を救う大切な人。
当たり前すぎて忘れそうになってたことを
教えてくれる本。
料理に興味がなかったけど、
明日から大切な家族と、
少しだけでも美味しいものが食べれるように
クックパッドを見てみようと思った。
Posted by ブクログ
後半なぜだかたくさん涙が出た。
登場人物たちに色んなもの背負わせすぎているようにも見えたけど
案外言葉にしないだけで、
みんなこのくらいのことは抱えているのかもなと、読み終わった時には思った。
一気に読める文体の読みやすさもよかったと思う。
クセつよなそれぞれの人物のそこかしこに自分と似た部分を感じては
同属嫌悪みたいな気持ちが湧いたw
Posted by ブクログ
最愛の弟を亡くした姉・薫子が、弟の元恋人・せつなと出会い、彼女が働く家事代行サービス「カフネ」を手伝う中で、食を通じて互いの心の傷を癒し、人と人とのつながりや「生き方」を見つめ直す物語です。タイトルのカフネは「愛する人の髪にそっと指をとおす仕草」を意味し、温かい食事や家事を通して、現代社会の孤独や家族のあり方、そして「食べることは生きること」を繊細に描いた、2025年本屋大賞受賞作です
Posted by ブクログ
ご飯は元気!みたいな内容かなと思ったら、いろいろと考えさせられる内容だった。
自分は凄く疲れたとき、ロイヤルミルクティーかハーブティーを飲み、温かいお湯に浸かり、手料理を食べることで精神を安定させている。
弟が自殺じゃなくて本当に良かった。
Posted by ブクログ
心が、ほんわかするし、ひりつくし、久しぶりに泣けた物語。☺️ 「子供を持つということは、またひとり不幸な思いをする人間をこの世に生み出すことに思えてしまう」という言葉。正に、多様性です。他人も自分もだけど、心の中は、分からない。 薫子さんの家族、息苦しい。 映像化して欲しくない作品です。
家事代行カフネをご利用ください
どうしようもなく疲れて食事や掃除、片付けが疎かになり、立ち上がれなくなることは誰にでもある。大切な人を失ったり、仕事や子育て、介護に追われて別人のように疲れ果ててしまう。誰にも助けを求められず、落ちていくしかないんだなと。頑張る人ほど助けを求めるのが下手クソで。でも知ってる?不器用だけど、助けてくれる人は、あなたの力になりたいと思っている人はこんなにもたくさんいるんですよ。そう教えてくれる、優しい物語。ペイフォワード。
Posted by ブクログ
読みやすい、ざーっと読める
周りくどさがある、説明して説明して、でしょうね!!という展開が多い気がする
不幸話も多いような気もしてそんなに不幸の人間ばかり1ヶ所に集まらんだろという気もしましたがそうしないと物語が進まないか、、とも思いました
終わり方がなんともいえない感じの展開
直前で、まさか??と思わせてきてそうですよね、、意味は分からないけどそういう感じになるかなと思ってましたという展開
『汝、星の如し』もそうですが不幸人間の結集編が作者の方は好きなのかな、、家庭環境にコンプレックスがある人間を書くのが好きそうとも感じました。
あたたかい気持ちになるかと言われると特に、、
Posted by ブクログ
美味しいものを食べることは、自分を大切にすること、愛を伝えること。薫子とせつな、このままいいバディになっていくのかな…と思いきや、いい意味で裏切られた。
夫・公隆への薫子による気持ちの吐露が時々織りまぜられているけど、今夫婦関係に悩んでいる方にこそ読んで欲しいと思った。
《夫婦という関係に寄りかかり、甘え、時には感情の捌け口にした》《粗雑にされるかなしみを知っていたはずなのに努力を怠っていた自分は傲慢だった》
Posted by ブクログ
人とのつながりって大切だなって思った。
いつ何が起こるのかはわからない。
妊娠をしたくてもできなく苦しんだ薫子
新たな命の誕生って素晴らしいこと
と思ったのと同時に
それにのれない女性の立場って
なんでこんなに苦しいんだろうと思った。
こういうのって男性が苦しんでいるのを
あまり見聞きしたことがない。
なんだか不思議。
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