あらすじ
☆2025年本屋大賞受賞作☆
【第8回未来屋小説大賞】
【第1回あの本、読みました?大賞】
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。
最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。
食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公の薫子、弟の死や離婚から堕落しかけていたが、弟の元恋人?のせつなのおかげで立ち直っていく。
食べ物の力は凄いという話かと思ったら、実はせつなも。。。
登場人物の思いや、それぞれの背景や慈しみ方、どの立場から見ても納得してしまう。
最後はちょっと感動です。
Posted by ブクログ
読書の趣味が合う義母がお友達の本を又貸ししてくれてやっと読めた。1.食べることの大切さ。2.子どもを迎えることについて。3.人付き合いの難しさ、特に親や夫婦をはじめとする家族との関係。大きな3本柱を1つの物語で伝え切るって器用だなって思った。
1.いま1歳になった娘のご飯を離乳食からずっと担当してて、『おいしいって思うことが、楽しいって思うことが、嬉しいって思うことが、生きていくためにどれだけ大事か』を伝えられるような食事時間にしようと思った。
2.『 僕にはどうしても、子供を持つということは、またひとり不幸な思いをする人間をこの世に生み出すことに思えてしまう』似たようなことは思ったことある。でも、私は夫となら娘を幸せにできる自信がある。漠然と思ってたことだけど、このセリフをきっかけに、明確に意識して、言語化できた。
3.『親を信じすぎないで』は特に印象に残ったセリフ。破壊力がすごかった。『かなしかった。他人に戻ってやっと本当の話ができる自分たちが、とても、かなしかった。』は本当に切ない気持ちになった。多くの人が理解できるセリフだろうな思ったのもまた切ない。
夫を大切にしよう、娘を幸せにしよう、と改めて思わせてくれた作品だった。義母から借りたのも感慨深い。
Posted by ブクログ
文章が分かりやすく、登場人物やその背景が頭の中で想像できました。
読書初心者の私でも読み切りました。
最後のページで、涙ぐんでしまいました。
カフネ、いい言葉だと思います。
Posted by ブクログ
読み進めるほど、薫子とせつなが好きになってくる。
もう2人のやり取りが、最初から好きなんだよな。
特に好きなのは、
「そんなことをする人間がいるんですか?びっくりですね」「あら、よろしかったら洗面所へお行きになって?すぐに会えましてよ」
です。
Posted by ブクログ
「食」への人間の欲求、美味しさの度合いは違えども「食」は生きていく上でとても大切なこと、どのような家庭でも!
それをより強く感じさせられる本でした。
実はこの本は2度読みました。1度読んだのに何故か頭に入ってなくて今回はゆっくり完読しました。
Posted by ブクログ
昨年、評判になった時
読もうかな、と悩んで
そのままにしていました
それから益々評価が凄くなって
読むことに
こんなにも人は抱えているものが様々で
一見、恵まれているようでも
生き方すら左右するものを持っていたり
家族でも兄弟であっても
見えない事があって
大変だけれど
生きている間も
もう二度と会えなくなっても
人を思い 慈しみながら生きていく事が
残された者の役割かな、と思いました
Posted by ブクログ
最愛の弟を亡くしてしまい、さらには理由もわからずに夫に離婚をされてしまった女性の再生の物語。
最愛の弟の恋人と紹介されていた女性と共にボランティアとして2時間の家事代行サービスを行いながら、様々なことを感じ、時に傷付き、動揺したりしながら、最終的には立ち上がっていく物語。
食べ物の描写がとても鮮やかで、若干飯テロな側面もあるのだけれど、なんていうか、ちゃんと食べて、ちゃんと生活することの尊さも感じられた。
Posted by ブクログ
本当にすごい。
他人のことはどうしたってわからない、だから言葉を掛け合いたい、”遠慮なく”言葉を交わしたい。
そして、ご飯を食べて戦闘力をあげたいと思った。
主人公が私みたいだなって思った。
主人公のように辛い出来事があるわけじゃないけど、自分の苦しさばかりに目が向いて、それをすぐに人に話してしまう。でも同時に、弟のように周りが欲している自分であろうとして、嘘を重ねたり。
色んなことがブッ刺さった。
Posted by ブクログ
カフネが意味する「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」がこの物語の全体に染み渡っていて、みんなそれぞれが持っている喪失感であったり表に出せない深い悲しみを誰かが寄り添って、誰かに救われる。「食べること」が人を救う力として描かれていたことが印象に残る作品でした。薫とせつなの言葉のバトル?がとても楽しく緊張感もあり、お互いの心と心を通わす過程がとても繊細に描かれていて、読み終わったというより、一本の映画を見終わったような爽快感があとに残る作品でした。
Posted by ブクログ
p111
未来は暗いかもしれないけど卵と牛乳と砂糖はよっぽどのことがない限り世界から消えることはない。あなたはあなたとお母さんのプリンを自分の力でいつだって作れる
p180
けれど今は春彦は彼女が「いらない」といえば、笑ってうなづいただろうと思う。弟はきっと彼女の人の思惑に左右されず自分の意思を貫くところこそを愛していたと、思う。
p247
この子にとって何かを作って食べさせてあげることは好きだよって伝えることなんだなって
p275 でも結局あなたの言葉では何も聞いてなかったんだって、あなたと離れてから気づいたの。
やり直す事など望んでいないし、謝って欲しいとも思っていない。ただ夫婦でありながら本当は何も理解できていなかった彼のせめて本当の気持ちを聞きたい。
それがどれほど鋭く心を貫ぬくものでも、懸命に受け止める。そうしてやっとこれから始めていける気がするのだ。
人のために料理を作って元気を与えてる人が本当は
自分のために料理を全く作れず、病気を抱えていることが衝撃だった。
主人公がこれまでその料理に助けられていたからこそあなたの力になりたいと伝えてる場面は人との繋がりを大事に感じました。
Posted by ブクログ
弟がゲイだという設定は、読み始めてすぐに「あ、そうか」と思った。驚きよりも腑に落ちる感覚。それくらい自然に物語に組み込まれていた。
本来の自分を少しずつ取り戻していく過程が軸で、周囲の人物はそのための装置として機能している。主人公は少しおせっかいが過ぎるとは感じたが、それも含めて人間らしいと言えばそうかもしれない。
せつなの不器用さは、見ていてちょっと苦しかった。でも料理のシーンだけは違った。言葉では届けられないものを、食べ物に乗せて渡そうとしている。それは不器用なんじゃなくて、たぶん誠実なんだと思う。
自分も料理をする。日常的に。
愛情を込めているつもりだけど、伝わっているかどうかは正直わからない。せつなを読んで、「伝わっているかどうかより、込めることが先だ」と少し思い直した。子供が大きくなったとき、食卓の記憶が残っていたらいい。
Posted by ブクログ
美味しい食事をからめた話がとても素敵でした。心温まる話に愛情のこもったご飯はとても相性が良いと思います。登場人物の心情が複雑に表現されつつ、表情の描写がとてもわかりやすくて描かれていました。
Posted by ブクログ
とても良かった。登場人物のそれぞれに背景がある。春彦そのものは登場しないが、彼の悩み、心の痛みがわかるような気がした。親にとっての所謂「良い子」が抱える悲しみ。せつなが安心できる決断ができるように応援したい。
Posted by ブクログ
愛おしくて苦しかった。
食べることは生きること、が軸の物語だけど、
人間だれしも抱えているものがある、それを悟られないように生きているだけ、だからしんどくなったらみんな休んでいい、
ってメッセージにも感じた。
なんかの小説だったか読んだ時も思ったけど、やっぱり人間って繋がりがないと生きていけないんだな、繋がって支え合おうとする、人間の営みって素敵。
Posted by ブクログ
食べたくなる描写ランキング
第3位 スーパーで買った菓子パン
p132
サクサクのデニッシュ生地にこれでもかと盛られた生クリームはミルクの匂いがして、
チョコレートと一緒に舌の上で溶ける。
チョコレートの上にまぶされたクランチのザクザクした食感も快感だ。
だが何よりも甘い。
脳がぐずぐずになるくらい甘くて、快楽物質がものすごい勢いで脳内に分泌されていく。
「これ悪魔の食べ物ね」
第2位 せつながアレンジした苺パフェ
p66
グラスの底にはスライスされた赤い苺、次に真っ白なクリームと、サイコロ状にカットされた淡い黄色のスポンジケーキが交互に重ねられている。
その上層には、翡翠色と乳白色、二色のアイスクリームが美しい色の対比を見せながら盛られ、その上をまたスポンジケーキとクリームが覆う。
クライマックスであるパフェの頂点には真っ赤な苺が女王のように飾られ、その脇には、小さな薄紅色の薔薇が三つ咲いていた。(略)
てっぺんの苺は最後の楽しみに取っておいて、白いクリームとスポンジケーキが作るなだらかな丘にそうっとスプーンを入れる。
水脈を掘り当てたように艶やかなチョコレートソースがあふれ出してきて、胸がときめいた。
そう、このパフェを見た瞬間から、ずっとときめいているのだ。
↑女王のように飾られがよかった。
第1位 海賊が食べそうな骨付きチキン
p134
飴色にローストした骨付きチキンを、骨の端が牛肉の両側から飛び出るように二つずつ配置して、太巻き寿司を作るように巻き込んで成形していく。(略)
巨大な肉の両側に突き出した骨を両手でつかむなり、歯で肉をむしり取るように齧ってみせた。
こんなに野蛮に肉を齧る女を見たのは生まれて初めてで、薫子は呼吸もまばたきも忘れて見入った。
せつながソースと脂に濡れた唇を薬の先でぬぐい、それを舐めとるのを見た時、どきりと心臓が跳ねた。
衝撃は体のもっと奥まったところまで響き、じんと下腹部が熱くなる。
↑これを読んだあと、真似はできなかったので、代わりにチキンの照り焼きを実際に食べた笑
異論は認める!めちゃくちゃ迷った!
事前の情報などから、「食べ物系のほんわか小説だろ」と高を括っていたけど、いやー、すごかった。
参った。
しかも食べ物だけではなかった。
泣いた。
小説で泣いたのは60冊振りくらい。
最近は書き手のことを考えながら少しメタな読み方をするので、「すごい」とか「上手い」とかの感想を抱くことはあるけど、
泣いちゃうまではさすがになかったので、
すごい読書体験だった。
阿部先生本当にありがとう。
なんで泣いてしまったんだろう
と疑問を抱いたときに、
やっぱり、それまでの流れで感情移入していたから、没入感が高かったからだろうという答えになり、じゃあなんで他の作品より没入感あったのかと改めて考えてみたので、
「ここで泣いた」
を書く前に、感情移入のきっかけや、また、一方で、没入感があった故に、ここが残念だったというところを先に書いてみる。
□冒頭
p3
死んだ弟の元恋人は、すでに十九分遅刻している。
↑情報が詰まったキャッチーな冒頭。
「死体を先に出せ」というミステリの定石をならったものかと思った。
女の人と待ち合わせているのかなと推測できるし、「すでに十九分遅刻」で、視点の人物が時間にルーズではなく厳しすぎないことも分かる気がする。リズム感も好き。
□キャラクター
感情移入のきっかけは、やっぱり薫子とせつなのキャラクター要素は大きいかなと思った。
「成瀬」と似ているという感想を持っている方もいて、せつなのキャラ立ちと似ているかも、特徴的なキャラクターという部分が共通点ではないかと予想。
強くキャラ立ちさせていて賛否分かれるところだけど、私的にはそれがよかった。
薫子: よく泣く
情緒が下腹部にあらわれる
パンプスの踵を鳴らす
努力家で真面目
他たくさん
せつな:さばけている
印象的な目もとをしている
遅刻グセがある
料理うまい
毎回同じ服装
他たくさん
印象的だったのは薫子の、情緒が下腹部にあらわれるっていうのがすごかった。
女性あるあるなんだろうけど他では見かけない新しい感じがした。
上述の骨付きチキンを食べる描写とか、男性作家にこの描写は不可能だろっていうエッジの効いた文章がバンバン出てくるのが印象的だった。
p52
女としての寿命を前借りしてすっかり干からびてしまったような心地がするのに、自分の卵巣にはまだ卵が残っていて、周期に沿って排出されては、命を宿すことなく寿命を迎え、胎児のベッドになるはずだった子宮内膜と一緒に流れ出てくる。
薫子はため息をつき、トイレに行くために腰を上げた。
お腹がすいた。でも何も食べたくない。
お酒が飲みたい。
↑前半の説明で後半のお腹がすいた。でも何も食べたくないが共感性を持って鋭く伝わってくるし、お酒が飲みたいがかわいい。
□文体
口語と文語を絶妙な配合でまぜており、
それが独特の文体になっている気がする。
心の声をそのまま文字に起こしたような感じ。
ブログやエッセイを読んでるようで親近感が
湧いた。
実際にいそうな人物として感情移入が高まった。
p57
カロリーがなんだ、糖質がどうした、トランス脂肪酸がなんぼのものだ。こっちは誕生日なんだから最強だ。夫に捨てられて子どもを産む予定のない女はこの世に怖いものはない。
↑誕生日だからといって最強ではないぞ笑
p59
あっと声を漏らしてしゃがみ込むと、床に叩きつけられたケーキは透明パックの中で横倒しになっていた。涙がこみ上げた。だけど唇を噛みしめながらすぐに立ち上がる。泣いちゃだめ、大人だもの。
↑喜んだり、泣きそうになったり情緒が波のように表現されてて、一緒になって酔っ払いそうなくらい楽しめた。
p100
無心で箱をつぶして一定数溜まったら髪紐で縛る、という作業をくり返すうちに畳のスペースが増えてきた。いい。努力が人生を切り開いているこの感覚、すごくいい。
↑いい。がめっちゃいい。二文字で一文なのがいい。
私的には薫子のキャラに一番感情移入した。
いいところと人間くさいところが併存していて、どこにでもいそうなのに新しい感じもあってよかった。
□ユーモア、諧謔、笑った
(宅配便のお兄さんが晴彦の誕生日プレゼントを持ってくるシーン)
p60
『え、はい…すみません、俺あまり漢字が得意じゃないんですけど、ユーミンの春よ、来いの春に、スラムダンクの井上雄彦先生と同じ彦です』
↑言い換えも不得意か笑
のちに鈴夏におにぎりの調理をレクチャーするときに「左手は添えるだけ――」という
スラムダンク好きにしかわからない隠れミッキーみたいな描写がある。
p133
(お酒を流しに捨てられたあとの会話)
「そんなことをする人間がいるんですか?びっくりですね」
「あら、よろしかったら洗面所へお行きになって?すぐに会えましてよ」
p290
「常盤さんに昨日から仕事復帰したと聞いたけど、また具合が悪くなってしまうなんて心配ね。病名は何かしら、仮病?」
↑ウィットに富んだ会話シリーズもよかった。
□余談
読書をするときに、イメージしやすくするために画像検索をかけることがあって、薫子が勤めている八王子法務局って実際にあるのかなあと思ってグーグルマップで位置検索したら実際にあった。
所在地の写真にカフネの本が飾ってあって笑った。公認されてる笑
□残念だった点
没入感が高かった分、その落差があった箇所があった。
他の方の感想も読んでみて多かったのは
①終盤に色々詰めすぎていた
という点と
②ラストの薫子の公的パートナーの申し込みが性急すぎたという点
①に関しては私も同じ感想を持っていて、具体的に言うと、
私自身の感情の流れとしては、
晴彦が港と恋人関係だったと分かるころ。第三章の4の部分。
のちに、ゲイというより性格が起因してるっぽいことがわかるんだけど、読んでる最中は想像していた晴彦像と大きくずれていて、うわーそっちできたかーってなって
突拍子のない印象を受けた。
何かワンクッション伏線となるエピソードが入っていた方がよかった。
幼い頃に男の子に好かれる過去があったとか。
ただ、この部分に関してはのちに一定理解できたので、たいした事はなかった。
ほんで次が晴彦が子どもの頃から味覚障害だったというところ。さすがに10年以上味覚障害で誰も気づかないは無理くね?ってなったし、もし周りがまったく気づかない程、自然な生活だったらすぐに気づいたせつなも都合がよくなる。
ただ納得できなかったのは「子どもの頃から」という部分で「味覚障害」自体については丁寧に伏線が張られていたので気持ちよかった。
序盤の激辛料理と激甘料理の描写は読んでる最中は晴彦との仲を干渉してくる薫子に対してせつながいけずな対応を取ったと解釈したので、理由がわかったときに二度楽しめた。第四章については他の方が色々と書いているのでここでは割愛。
「いやー、阿部先生、LGBTQとか病気とか、毒親とかヤングケアラーとか物語の中になんとかねじ込んでくれませんかねー。そうしないと売れないんですよねー」
みたいな、大人の事情みたいな神様の声みたいなのがチラチラ見える気がした。
色んな読者が楽しめるようにしたんだろう。
②の公的パートナーの申し込みが性急すぎる点に関しては、他の方の感想を読んで、確かに鋭い指摘と思った。
読んでる最中は気にならなかった。
通常だと上記の点でうーんてなるんだけど、前述したとおり没入感がそれを上回った。
□ここで泣いた!
感情移入の一番大きな部分はやっぱり「食べ物×ドラマ」だったのは大きかったと思う。
読者を惹きつける鉄板要素のようなものがあるとすれば(殺人などの犯罪や科学などの知的好奇心をくすぐるもの、恋愛、家族、愛憎、官能とか)
「食べる、食べ物」という要素も他のと肩を並べるくらい面白いというのを確信させてくれた作品だった。
なんとなくぼんやり思っていたけど言語化できなかったのは、食べる描写がここまで上手い作家があまりいなかったせいだろう。
薫子という情緒豊かな女性の、感情のジェットコースターみたいなものに一緒に乗りこんだら、泣けるところまで連れていってくれる。
読み手を置いてけぼりにしないために共感性の高い「食べる」をトリガーに随所に結びつけてくれてると感じた。
あと、世話焼きなのも、とてもよかった。薫子のそれが目立っていたけど、せつなも前半の薫子の家に押しかけるシーンとか、
なんだかんだで世話焼きで、ごちゃごちゃ言わず黙って食えみたいな、食えば分かるみたいな、世話を焼いてくる文章が作品全体を通して伝わってきてたからだと思う。
p164
(西川拓斗君とののかちゃんの家事代行サービスのシーン)
どうか覚えていて。何かに困った時、あなたには相談できる人間がいる。これは社交辞令じゃない。これから何日、何ヶ月、何年経っても、今ここに名前の出ている三人の大人は、一ミリも変わらずにあなたの力になりたいと思っているから
↑泣きポイントは色々あると思うが、私の場合一発目はここだった。
読書するときにそばにコーヒーとかメモ帳は置いているけどティッシュはない。
まさか席を立って取りに行かされるとは。
p260
(前半と立場が逆転して薫子が療養中のせつなの家に押しかけるシーン)
丁寧にラップを剥がし、三角形のおにぎりのてっぺんを齧る。つられたようにせつなもおにぎりを取り、のろのろとラップを剥がして、三角形のてっぺんを小さく齧った。ひと口、ふた口。ご飯を咀嚼して、もう一口頬張った時、彼女の瞳がゆれた。(略)
「ありがとう。晴彦の分まで、ありがとうってあなたに伝えたかったの。そのために私、ここに来たのよ」
↑二発目がここ。正確に言うと三発だけど。最初の部分でうるっと来て薫子のセリフで止まらなくなった。追い涙的な。
この時点ではもうひれ伏している。
今書いていてまた泣きそうになってきた。
これから阿部作品を読むときはそばに置くアイテムをひとつ増やさないといけない。
p267
じょじょに腕の中でせつなは静かな呼吸を取り戻し、寝入ったようだった。かすかな息づかいに耳を澄ましていると、愛しさを痛みに近づくまで煮詰めたような、何かがこの子を害するならきっと自分は牙を剝いて戦うだろうなと思うような、激しく切ないものが子宮の底から突き上げてきた。
↑私の中で今作品一番のやられたフレーズがこれ。
愛しさを痛みに近づくまで煮詰めたような
ってやばくない?
すごい表現力。
煮詰めるという表現が、調理の煮詰めると、「議論が煮詰まる」のような、「まとまりそう」「結論が出そう」という意味をなんとなく連想して、この描写では愛しさから「痛み」に繋がっていくというのが、共感と新しさを含んでいてすごさを感じた。
睾丸が縮まった。
百年考えてもこんなフレーズ思いつかない。
匿名
濃くて深い話が沢山詰まっている。これでもかというほどの人の感情や思いが伝わってくる。色んな生き方があり、自由も人それぞれだと思い知りました。彼女達みたいに自分らしくいたい。
匿名
さすが本屋大賞
読んでよかったな、読了してから感じたのはまずその言葉でした。本作では料理を通じて愛が語られていくストーリーになっています。誰かのためを思って料理をすること、普段何気なく行っていること、やってもらっていることが実は1番の愛の表現ということなのだなと改めて感じさせるものでした。普段は自分の分だけ料理をする私ですが、たまには自分自身を喜ばせるためにも、少し豪華な食材を使ってなにか作ってみようかなと思いました。
想いで満たされる
美味しい食事の話かと思っていました。
満たされることの幸せ、が描かれているのかと。
確かに美味しそうなレシピは出てきます。
でも、それをつくる人の想いや食べる人の環境や想いがたくさん詰まっていて、読んでいて胸がいっぱいになりました。
そして、こんなにも自分は人を想ったことがあるだろうかと、少し心がさみしくなりました。
読み終わるのがもったいなくなった1冊です。
大変良かったです
亡くなった弟の死因に迫るミステリーと思いきや
現代社会の暗い現実と、それを補いながら進んでいく
周囲の人たちのお話で物語の中心、著者さんの伝えたい所はもっと違う所かな?
何だか泣きそうになる場面多数、流石本屋さん大賞
またディグりたい著者さんに出会えました。
泣いた。
読み進めていくうちに、つっけんどんな態度だったせつなの隠された事情や春彦をめぐる姉すら知らなかった事実など、読んでいて胸が張り裂けそうなくらい辛いものが多かった。
人前ではあんなだけど本当はすごく愛があって相手のことを見てよく考えているせつな、人間味がとってもあって好き。
中学生の男の子と妹に対して本気で心配しはたから見たら若干暴走気味になってたところも胸を打たれた。
本当に、周りをよく見る子でこれから過去の分までいっぱい愛を注がれて受け止められるようになっていけたらいいと思う。
Posted by ブクログ
人間は自分以外の人間のことは理解できない。
なんなら時たま自分のことも理解できないのに。
だからせめて言葉で行動で伝える。
その努力すらも怠ったら必ずきっと後悔する。
と思う!
食べることは生きること。
それぞれに色々あるけどどれも間違ってないこと。
無限にある愛の中から色とか温度を感じた感じ。
あと終わり方がオシャレだよね!
なんか分からんけど秋とかオレンジ色ってイメージ
Posted by ブクログ
大切な人に今すぐ会いたくなるような本だった。
見えてるものより見えないものの方が多くて、自分にとっては愛情だとしても、それを受け取る方がそう感じなかったら錘になったり
バラバラだったものが美味しいご飯とか誰かがずっとかけてくれる言葉で解されてこれまでの自分を取り戻していく
その過程が細かく書かれててすんなりと読めた
Posted by ブクログ
離婚、弟の死、親子問題、避けては通れない絶望がある。生きているだけで偉いのに、出産や結婚というしがらみで苦しむこともある。
苦しさや悲しさから這い上がるにはやっぱり人の助けって大切。1人でも頑張ることが悪いわけじゃない。ただちょっと手を差し伸べることで、光がみえる。支え合って、その先に笑顔がある。昨日まで他人だった人が気付けば大切な人になっている。おいしいねって話せる人が1人でもいるって本当に幸せ。
薫子のまっすぐで不器用なところが大好きだ。
Posted by ブクログ
どんなに親しいと感じている人でも、知らない一面があるんだよなと感じた。
勝手に自分の身内の人と重ねながら読み進めていったら、涙が止まらなかった。
寂しい、辛い、悩み、にそっと寄り添ってくれる人の姿がとても温かく、心を温めてくれた。
でも最後はちょっと違和感があった。
Posted by ブクログ
食の話だからほんわか系だと思っていたけど、なかなか苦しくなる部分もあった。
この本をも読んで思ったことは、その人が発する言葉や表情、態度などの外見からだけでその人のことを分かったような気になってはいけないってこと。
言葉や態度がキツいから冷たい人間。って訳じゃない。
人はそれぞれ色んな事情を抱えている。
子どもができず、夫に出ていかれ、突然弟を亡くした薫子を救ったのはつっけんどんな弟の元恋人せつな。まぁそこにも色々あるんだけどw
家事代行サービスを通じて色んな人に料理を作り、人々に余裕と元気を与えていたせつなだけど、彼女だって色んなものを抱えていて。
むしろ彼女も人の手が必要だと気づいた薫子が今度はせつなに手を貸そうとする。そんなお話
2025年 本屋大賞受賞作
Posted by ブクログ
夫から離婚を言い渡され、愛する弟も亡くした公務員勤めの40代の薫子という女性が、弟の相棒だった「せつな」という女性とタッグを組み休日に家事代行のボランティアを行う話。
薫子が両親や夫と対話が出来ず、関係が上手く取り持てなかったからこそ、同じ過ちを防ぐためにせつなとは対話をしようとする薫子の姿が印象的だった。
家族や恋人だとしても所詮は他人で、本当の気持ちに気付けないことも沢山あること。
分かりあうために対話が重要であること。
人の人生を表面的に判断してはいけないこと。
親の愛情の形が子供にとって適切ではない場合があること。
いつまでも親に捕らわれなくてもいいということ。
そんな様々なことを考えさせられる一冊だった。生きる上で重要なことを教えてもらえた気がしたし、結婚や子育てに対するマイノリティ側の意見も出てきたのも共感できてとても良かったなと思う。
あと、主人公、公務員やりながら土日にボランティアって体力すごすぎる…。
Posted by ブクログ
家の中を整えること、ご飯を作ること、洗濯すること
生活していく上で家事は、毎日毎日、こなしていかなくては滞ってしまう
でも軽んじられる家事
もっと気楽に罪悪感なしに、家事代行など、誰かの助けを借りれたら、家事に縛られている人々の肩の力を抜いてあげることができる
カフネ、もっと広がらないかなぁ
Posted by ブクログ
全ての登場人物に理解できる部分があり、正解は1つもないのだと思う。そういった違った考えの人同士で補っていく人生を素晴らしく感じれる本だった。ご飯を食べるという事、そこで生まれる物語としてすごく面白かった。
ある意味春彦は必要とされるだけ良かったのではなかろうか。
個人的はシングルマザーと小6の女の子の家の話が好き
Posted by ブクログ
本屋大賞の本は毎年何かしら読めたらいいな、と思いつつ、なかなか読めていませんでしたが、これは対象受賞後に寄った書店ですぐに目に入ったので、購入しました。
とにかく心が温まる素敵なお話でした。お料理も思わずお腹を鳴らしてしまうくらい美味しそうなものばかりで、また読み返したくなる本です。
Posted by ブクログ
食べることは生きること。
人生どれだけどん底を味わったってお腹は空くし美味しいものを食べれば、おいしいとかんじる。
自分が、もうどうしようもなくなった時に限界を迎えた時に誰かに助けを求める少しの勇気も必要。
せつなと薫子の掛け合いがとっても面白い
家族で血が繋がってても友達や恋人でも、実は相手のことを何も見えてないし何も知らないことなんてたくさんあるけど、それはそれでいいのかもしれない。
薫子のバックグラウンドの中で不妊治療をして子供を授かることができなかった。しかも妊娠した後に流産をしてしまったという過去が、今の自分に重なるところもあって読んでてすごく辛かった。
また私の中で家族の形が変わった時にでも読み返そうかと思う。
家事代行カフネをご利用ください
どうしようもなく疲れて食事や掃除、片付けが疎かになり、立ち上がれなくなることは誰にでもある。大切な人を失ったり、仕事や子育て、介護に追われて別人のように疲れ果ててしまう。誰にも助けを求められず、落ちていくしかないんだなと。頑張る人ほど助けを求めるのが下手クソで。でも知ってる?不器用だけど、助けてくれる人は、あなたの力になりたいと思っている人はこんなにもたくさんいるんですよ。そう教えてくれる、優しい物語。ペイフォワード。
Posted by ブクログ
人間同士の距離の詰め方ってかなり複雑で難しいと思うのだけど、そこに違和感をおぼえることがたびたびあった。薫子はせつなのためにそこまでするかという行為に出るし(特に最後の養子縁組の件はやりすぎと思う)、家事代行サービス会社の社長の斗季子さんも、本人に無断でせつなのパーソナルな情報を話すべきではない。
不妊、難病、LGBTと要素てんこ盛り。今の時代の本屋大賞らしい本屋大賞作品であることは確か。
Posted by ブクログ
自分に見えている世界なんてものは、自分の解釈でしかない。
人は都合のいいように解釈するし、だからこそ自分自身もまた人であることを明確に自覚しなければならないと感じた。