【感想・ネタバレ】カフネのレビュー

あらすじ

☆2025年本屋大賞受賞作☆

【第8回未来屋小説大賞】
【第1回あの本、読みました?大賞】

一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。

最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。

食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。

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想いで満たされる

美味しい食事の話かと思っていました。
満たされることの幸せ、が描かれているのかと。

確かに美味しそうなレシピは出てきます。
でも、それをつくる人の想いや食べる人の環境や想いがたくさん詰まっていて、読んでいて胸がいっぱいになりました。
そして、こんなにも自分は人を想ったことがあるだろうかと、少し心がさみしくなりました。

読み終わるのがもったいなくなった1冊です。

#泣ける #切ない #共感する

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025年本屋大賞受賞作品ということで、楽しみに読みました。

阿部暁子さんの本は初めて手に取りましたが、
「色鉛筆の箱の中ほど多岐にわたる」
「やさしい水色の空に粉砂糖を振りまいて、そっと刷毛で広げたような雲」
など、素敵な表現が特に印象に残りました。

小説に出てくる食べ物の描写が個人的には大好きで、この小説もありとあらゆる食べ物が非常に繊細に美味しそうに描かれていて好きでした。特に、薫子が誕生日に買い込んだスーパーの食材を活用したパフェは、まさに魔法のように作られていく様が描かれていて素敵でした。

夫との離婚と、弟の死とで荒れていた主人公の薫子は、弟の遺書による相続の相談のため元恋人のせつなと接触することになります。

薫子はせつなに、生前春彦に振る舞った料理をつくらせてもらって食べることを繰り返していましたが、
四十九日が終わり、春彦がたべたものではなくて二人の食べたいものをリクエストしたシーンが、この物語の中で最初に強く感動した部分でした。
ようやく薫子が、夫と弟のいない世界での人生を歩み出したシーンはとても美しかったです。

カフネの土曜日チケットで訪問した先のネグレクト気味の子供達に、弁護士である元夫の名刺を渡して
「何かに困った時、あなたには相談できる人間がいる。これは社交辞令じゃない。これから何日、何ヵ月、何年経っても、今ここに名前の出ている三人の大人は、一ミリも変わらずにあなたの力になりたいと思っているから」
と伝えたシーンがグッときました。
なにより、母親を責めているように、悪者するのではなく、洗面台にあった、母親の努力の痕跡を見て、それに気づいているよと伝えるのが素晴らしかったです。そしてこの後この伏線が後半に生きてくるという・・

食事によって様々な人の生活を立て直す手助けをしていたせつなにも、暗い過去と持病との戦いがありました。
薫子は、自分を立ち直らせてくれたという恩もあり、こんどはせつなを支える側に回る決意をします。(余談ですがこの自病の伏線、わたしは苦手な食べ物の話の時にグレープフルーツと聞いてピンときてしまいました)
この二人の関係性がわりとこの小説のメインの話であるのかなとは思うのですが、私としては全体として少々性急に感じました。

飛んで後半、薫子がどんなに考えても分からなかった、夫が離婚をしたがった理由について、再会時にたずねたシーンも良かったです。
稽留流産をした時の悲しみを、夫が心から共感してくれていなかったなんて。と絶句でした。でも、境遇からしたら責めることはできない。
「こうして彼が本音で話すことができるのも、自分がそれを受け止めることができるのも、もう、夫婦と言う関係が終わった他人同士だからだ。」本当に、これに尽きるなと。。

そして、その元夫から手渡される茶封筒に入った資料でわかる、弟の想い。
会社を退職して、人道支援医療団体で働こうと考えていたこと。家族からの愛に苦しんでいた彼にとって、家族はそれを素直に話せる相手ではなかったこと。
それも、結果的に、いなくなってからしか判らなかったことでした。切ない。

ラストにせつなに伝える、薫子のぶっ飛んだ考えには、少々やりすぎではと驚かされました。
しかも、出会ってからこの日までたった1ヶ月しか経っていないのか。とも同時に驚きました。そんな短期間の間にそんな大事なこと決めていいの・・?と。
しかし、「笑顔の下に隠されていた弟の気持ちを、ひとつも気づいてやれなかった。その過ちをくり返さないために、彼女に言葉をかけ続け、彼女の言葉を聴き続けよう。」という一文で、薫子が前を向き、共に生きていくことを決意したことが読み取れました。
一度は反発して店を飛び出してしまったせつなでしたが、最後のページの二人の「カフネ」のシーンはとても美しいものでした。

謎が多かった弟の死の謎が最後に分かるところや、薫子の元夫への気持ちがスッキリするところは読後感がよく、好印象でした。
カフネでの仕事シーンも、素敵なお仕事だなあ、自分の仕事もこんなふうに人に役立てていたらいいなあなどと思いを馳せてしまいました。
全体として、とても素敵な小説でした。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近読む本にはよくLGBTQを盛りこんであるので、何となくそんな気がしていた。
ただ、よくある理解して貰えないと自ら死を選ぶ話かと思いきや、そうではなかったところに希望が見えてくる。
きちんと暮らしを整えることで、人生を見直し、構築し直し、歩き始める人々に、断捨離に燃えていたあの頃を思い出した。
イエットと断捨離のマイブームが終わり、すっかりリバウンドして物が溢れてきたが、1度成功したもんだから、またいつかやれば出来ると自分を甘やかしてもう何年になるだろう、、、
そろそろ始めなきゃ、人生はそんなに長くない。
せめて、家事が得意だったら良かったのになーとカフネに勤める人たちを羨ましく思う。

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2025年12月03日

匿名

ネタバレ

がっかり

本屋大賞を受賞しているから期待して読んだけど、期待外れだった。こんなに全肯定で好評ばかりで信じられない。料理のレシピがいちいちくどく描写されてるのが、いかにも中年の主婦が書いた感じ。子供への執念が醜い。女性の性格はキツく、優しい弟。男が好きな男が出て来て、腐だと納得。

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2025年07月16日

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