アーデンの森で喜劇的なイベントが起こるこの感じは「夏の夜の夢」と似ているし、女性が男装をして思い人(パートナー)をだますという仕組みは「ヴェニスの商人」に似ている。
これらはすべて私が大好きな作品だ。そして本書「お気に召すまま」もその中に加えられた。シェイクスピアの戯曲なら悲劇より断然喜劇。二人の
...続きを読む男女の恋愛がうまくいく過程が幸せすぎて顔がにやけてしまうのだ。
「ハッピーエンドよりもバッドエンドが好き」という人は死ぬほど見かけるが、本当か?もちろん私も余韻があったり、考察の余地が多いモヤモヤさせる作品は好きだが、この発言毎回気になってしまう。確かにバッドエンドものは劇的展開が多く、ストーリー構成が美しかったり、緻密な芸術性があり、「伏線回収がある美しい漫才」を好む人なんかは例外なく好きなジャンルであろう。
しかし、ハッピーエンドものを軽視するのは、単にあなたの読書量がまだまだ足りていなくて、質のいいハッピーエンドものにまだ触れていないだけではないのか?と思わずにはいられない。感性は人それぞれであるから、否定しようとしているわけではないのだが、「シェイクスピアの喜劇を読んでも同じことが言えるのか?一回読んでみろ!」と言いたくなる(笑)
つまり私は「ハッピーエンドもバッドエンドもどっちも好き。序列はつけられない」と答えるということだ。
また、pp.83-84にかけて、「この世界すべてが一つの世界、人はみな男も女も役者にすぎない」という一説があった。個人的にこの一節いいなと思ってフレーズ追加したところ、読み終わってネットの情報を漁ると、このフレーズ、つまり “All the world’s a stage. All men and women merely players”は有名な一説であることがわかって嬉しかった。
「お気に召すまま」が何を指しているのかは是非実際に読んで感じてほしい。よい読書体験だった。