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身体に障害を負った野心家グロスター公リチャードは、兄のエドワード四世王が病に倒れると、王権を狙い、その明晰な知能と冷徹な論理で、次つぎに残忍な陰謀をくわだて、ついに王位につく──。魔性の君主リチャードを中心に、薔薇戦争終結へといたる権謀術数の暗部を描き、口を開いた人間性のおそろしい深淵に、劇詩人シェイクスピアが、真っ向からいどんだ傑作史劇である。
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Posted by ブクログ
表紙の絵がえっらい美男子で、これ・・・?これがリチャード3世なの・・・??とイメージの再構築を迫られます(笑) シェークスピアん中ではすごく読みやすくて理解しやすいなあ、と思う。 むかーし、立て続けにシェークスピア読んだことあったんだけど ・ハムレット⇒父親の亡霊出てくるのがなんともコミカルで、その...続きを読むコミカルさに今一つついてけなかった ・ベニスの商人⇒シャイロックかわいそすぎるだろ・・・。借金しといて踏み倒す二人組怖すぎ ・ロミジュリ⇒若さと言ったら一言で済むが、さんざっぱら女と遊びまくってた男が、いきなり清純派に惚れて心中て・・・ねえ・・・あと一週間ぐらい考えようよ、とつい思っちゃう。短気な人こわい。 とか、そんな感じで現代ニッポンの感覚からは理解できねーわー、と今ひとつ魅力が感じられなかったんだけど(十二夜だけは、男装の麗人好き趣味から萌えた)、そういう感覚のずれみたいなもんがリチャは少ないなって思う。 まあ、こんな美形イメージでいいのなら、こーいちさんがやってみたらいいよね!
リチャード王「黙れ、梟ども!死の歌しか歌えぬのか?(使者を殴る)これが駄賃だ、とっておけ、もっとよい知らせをもってくるまではな。」〜使者の三「いえ、…当のバッキンガムは一人離れて行方知らずというありさま。」〜リチャード王「おお、すまなかった、許してくれ、さ、この財布をやる、痛みどめにな。ところで、…...続きを読む」〜おああ、リチャード王w
シェイクスピア作品のなかでも死者数が最も多いと言われる悲劇作品。その主人公リチャード三世は、あらゆる文学作品のなかでも最大の悪人だと言われており、実際に本作を読んでいくと、確かにそのような見方をされても無理はない。リチャード三世の一連の行動に注目すると、リチャード三世は、自身の敵となる者に対して容...続きを読む赦なく潰しており、そこから、マキャベリ『君主論』の内容を実践する、いわゆるマキャベリストと見なされる。権力を巧みに行使して、相手を徹底的に潰す様子は、人間がどれほど恐ろしい存在であるかがよくわかる。とくに権力者が客観的に見て悪人である場合、人間に対してどれほどひどい仕打ちを与えるのかが本作から伝わる。
悪に染まる宣言から始まる冒頭の掴みが秀逸! 最初に独白する劣等な境遇に共感する読者は意外に多いような気もします。悪党を志す邪なキャラクターを主人公に据えた物語は史上初だったのでは?と関心する構成。 王族に生まれながら、悪行に身をおかねばならなかった悲劇の物語とも読み取れます。王族のランカスター家、ヨ...続きを読むーク家も元を辿れば一人の王に行き着きます。短い期間で両家から幾人もの国王が生まれ敗れていく。(薔薇戦争) その最終走者がリチャード三世。王族をとりまく諍いの火種をひとつひとつ消していく悪行は権力の行き所をシンプルさせていきます。 この冒頭の独白は国王を目指す覚悟の宣言であり、その後の諸行は国王になるためのプロセスだと捉えると更に面白く感じられると思います。 この戯曲のテーマはテューダー朝が起こる英雄譚の裏にあるBサイド(Badサイド?、Blackサイド?)を描く!にあったと思います。
さすがシェイクスピア。翻訳にも関わらず文章が美しい。人間同士の闘いのシーンを描ききったのは秀逸。物語として舞台になることがよくわかった。リチャード三世のキャラクター性に心惹かれた。
シェイクスピア 「リチャード三世」 いろいろな見方があるのかもしれない。解説者は 史劇、復讐劇 と見ている。ピカレスクとしてリチャード三世を英雄視する読者もいる 私は この物語を 悲劇として捉えた。リチャード三世を人生の失敗者とみている。 *自分で自分を呪う人生 *母から自分の死を望まれる...続きを読む人生 *自分が死んでも誰も悲しまない人生 *最期の言葉「馬をくれ、代わりに国をやる」〜手段を選ばず 手に入れた王位の価値が 馬より低いこと に気付いた人生 から考えると「リチャード三世」は 悲劇としか思えない 解説者は リチャード三世のハンディキャップ(コンプレックス)と悪事は結びつかないと捉えているが、リチャード三世の破綻的な人間性のキッカケは それ以外 考えられない リチャード三世の悪党な名言「聖書の言葉を借用し〜己が悪事の素肌に衣を着ける〜それでけっこう聖人に見えるのだ。そのときこそ、俺が悪魔の役になりきっている最高の瞬間だ」 マーガレットの預言的な名言「高い樹は風あたりが強い。それがひとたび倒れれば木端微塵に砕け散る」
血を血で洗う薔薇の戦争 約束は脆く、愛は偽り 突き動かすは復讐の炎 他の悲劇とはその動き方が違うように感じられる。悲劇の歯車がひとつひとつ噛み合って徐々に動き出すのに比べ、リチャード三世はすでに悲劇が動き始めた状態で幕が上がる。人を呪わば穴二つ、因果応報、どのような形にしろ、不条理な形で死を迎える...続きを読むのではなく、始まりからすでに血にまみれた死の臭いが漂い、物語全体が果てのない復讐で包まれている。 父を殺され、夫を殺され、子供も殺される。憎い敵でも、偽りの愛だとわかっても、結婚せねばならぬ。それはただ、ランカスター家だとかヨーク家に生まれたがため。たとえ王の前で、神に誓って手と手を取り合っても、もう外部からの強い介入がなければ止めることのできない連鎖。民衆はただただそれを眺めるだけ。というよりは、民衆にはとても届かぬ世界。歴史とはかくも重い。 キリストが愛をわざわざ説いたのは、抗えぬ復讐の定めから少しでも目を逸らさせるため。右の頬や左の頬を殴って済むようなものなら、それは復讐ではない。一度血で手を汚してしまうということは、もう誰にもその血を落とすことができないという烙印。自己を犠牲にしろというのではなく、そんな宿命に身を委ねさせないようにするためのキリストなりの愛という魔法なのだ。 リチャード三世の戦死、ヘンリー7世の祝福をもって幕が閉じられるが、ヘンリー8世が示したように王家が血にまみれないことはない。そうやって作られる歴史だからこそ、王家は王家であり続けなければならない。
登場人物も多く、相互の関係も複雑であるために最初はやや分かりにくい。それもある意味では当然で、史劇『リチャード3世』には、それに先行する『ヘンリー6世』で描かれた史実が前提になっているからだ。シェイクスピアの作品群の中では比較的初期のもののようだが、その最大の魅力はリチャードの造型と、それを台詞で浮...続きを読むき彫りにしていく妙味だろう。この時代(史実は15世紀末、劇の初演は16世紀末)にあって、神を全く畏れることなく、悪の魅力を振りまくリチャード。史劇ゆえ、いたしかたないものの、最後が勧善懲悪で終わるのが残念だ。
四大悲劇を読み終えたときよりさらに感慨深いのは、福田恒存の翻訳の見事さによるのではないだろうか。 日本語の音がとにかく美しく耳にここちよい。 それとやはりシェイクスピアは天才。 セリフ運びの見事さといったらもう、ほれぼれする。 しかもそのセリフがまたインパクトの強いこと、 深いことこのうえなし。 ...続きを読む これまでシェイクスピアに感慨を抱いたことがなかったのだが あらためて再読したいと思った次第。 もちろん福田訳で。
いやぁシェイクスピアさん、悪人書かせると天下一品!絶対本人悪くないとこんなの書けないよ! そしてこの悪口の応酬ね。皆さん悪口のネタが尽きた際には是非シェイクスピアを。この作品はもう呪詛のレベルだけど。 その呪詛のクライマックスで、締めくくりにその対象の名前呼んで決めようとした所をタイミング良く相手...続きを読むの名前に変えて呪詛返しした上に、言い直されたら「は?」って。「は?」と来ましたよこのリチャード3世。笑った。 ガンガン邪魔な奴を殺しまくって、要所要所で演技も挟んで相手を騙くらかし、しかも上記のようにお口の達者っぷりが他の追随を許さない(皮肉の言い合いで絶対負けない)リチャード3世。あっという間に王冠を手にしましたが、その瞬間から破滅へ急降下。すごいアップダウン、そしてスピード感。 このリチャード3世の退場で薔薇戦争は終了、赤薔薇白薔薇組み合わさった紋章が作られ、時代はエリザベスも出るテューダー朝へと進みます。 漱石の「倫敦塔」を思い出しながら読んでいた。沙翁の穴に落ち込んだ漱石の白昼夢を脳裏に浮かべて本家。日本人ならではの贅沢。
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